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しおりを挟む「大丈夫か?僕」
「うぇ?お兄ちゃん誰?」
「ふふふ‥よくぞ聞いてくれた!俺の名前はフォックスレンジャーレッドだ!迷子の君を助けに来たぞ!」
「!!??」
しばらくして迷子の子供と幸弥の前に現れたのは、クラスの赤いTシャツを着た白蓮だった。いきなり現れた白蓮に幸弥は驚きをかくせていない。
「とりあえずこれで大丈夫かな?」
白蓮を連れてきたのは俺だ。運良く白蓮がクラスにいてくれたおかげですぐに連れてくることが出来た。
俺が出ていくと本当に白蓮のイベントを全てクラッシュしてしまうことになるので、俺はすぐに白蓮を連れてきた。
その間に生徒会が来て大事になることも考えたが、周りに生徒会の姿はない。
「さぁ!俺と一緒にお母さんを探そう!勇気ある君の名前はなんだい?」
「ぼ、僕の名前は、勇だよ!」
「そうか!勇!まずはお母さんとはぐれた場所に行くぞ!」
「おぉー!」
そのまま迷子の勇君と手を繋いで立ち上がった白蓮は、俺の方へと真っ直ぐに来る。
‥‥‥なんだ?
「うわぁ!美人なお姉ちゃんだ!」
「お、お姉ちゃん?」
「ブフォ!」
勇君の言葉に盛大に吹き出す白蓮を睨み、俺は勇君を見る。
勇君はキラキラ目を輝かせて俺を見てくる。何を期待しているのだろうか。俺には想像もつかない。
とりあえず、テレビで見るようなヒロインよろしくにっこりと笑えないので、アンドロイドキャラでいくしかない。ここで勇君をガッカリさせたらあとが面倒だ。
「‥‥貴方は誰ですか?私の名前は5Konです。皆様からは稜驊と呼ばれています」
しゃがみこんで勇君と目線を合わせる。スカートが短いので中にスパッツは履いているが、見えないに越したことはないので、頑張って見えないように工夫してしゃがむ。
「僕は勇!なんでお姉ちゃんの名前がいつかなの?」
「5は5つとも読みますから稜。KonとKを取って驊。合わせて稜驊です。そこにいるマスターが名付けてくださいました」
そう言って俺が指さすのは、先程から俺を見て呆然としている幸弥だ。
急に話を振られた幸弥は慌てている。そして話を振った俺を軽く睨んでくる。いや、目付きが元から悪いからその文睨んで見えるだけかもしれない。
「え!?あの怖い人がマスターなの?」
「はい。マスターが感情を出すのが苦手なので、私にもそれがうつってしまいました。マスター。いい加減に笑顔ぐらい作れるようになってください」
「わ‥‥悪い」
俺の言葉に本気で傷ついたのか、シュンっと頭が項垂れてしまった幸弥。俺は心の中で幸弥に謝りながら白蓮の方を向いた。
「何故私を巻き込むのですか。巻き込むならマスターだけで十分なはずです」
「わ、悪い‥ブクク‥‥思わず‥‥っ!」
プルプルと震えながら喋る白蓮に冷ややかな目を向けてから俺は勇君を抱き上げた。
「うわぁ!お姉ちゃん力持ちなんだね!」
「アンドロイドはロボットですから」
「ロボットってことは変身するの!?それとも道具出すの!?」
「‥‥‥‥どちらも出来ません」
「ブハァ!アハハハハハ!」
ついに我慢の限界を迎えた白蓮は盛大に笑いだした。
「‥‥‥マスター。レッドさんは置いて行きましょう」
「あ‥あぁ」
「え!?レッド置いていっていいの?」
白蓮を置いてスタスタと歩き出す俺達に驚いている勇君に向かって、「いいんです」と軽く返して勇君が親とはぐれたという場所に向かう。
幸弥は俺の斜め後ろに。白蓮は笑いながらも急いで後ろに続く。
勇君がはぐれたのは、文化祭中にあるお約束のミスコンなどが行われるステージ近くだった。
「さて勇さん。耳を塞いでおいてくれますか?今から私が拡声器機能を使い勇さんのお母さんを探しますので」
「?カクセイキキノウ?」
「‥‥‥耳が聞こえなくなる可能性があるので、耳をないないできますか?ついでに目もないないしておいてください」
「!お耳聞こえなくなるの!?分かった!僕お耳もおめめもないないする!」
すぐに耳を塞ぎ目もつぶった勇君を見て、純粋な子供だな~など思いながら、俺は近くにいたステージ係の人に説明をしてステージマイクを貸してもらった。
そしてステージ中央に立った。
ステージ周りには思った以上に人がいた。その誰もがいきなり出てきた俺に驚いている。
俺は緊張を隠すように息を吸った。
「‥‥皆さん。お願いがあります」
「「「「「「「!?」」」」」」」
いきなり泣き出した俺に動揺する人々。
それもそのはずだ。先程まで泣いていなかった俺がマイクを両手で持って震える声で涙を流しながら話しているのだから。
表情筋は動かない俺だが、涙腺は動かせるのだ。とめどなく涙を流すなんて余裕のよっちゃんだ。
「グス‥‥勇君っていう子がいるの‥・でもね?その子がお母さんとはぐれちゃって、今一緒にいるの‥‥‥誰か‥勇君を助けて!」
「お、俺さっき向こうで女性が子供探してるの見たぞ!」
「私は向こうで見たわ!」
「私!その人連れてくるわ!」
俺が「助けて」と叫ぶと同時に崩れ落ちると、ステージを見ていた人達がすぐに動き出してくれた。
「皆さん!ありがとうございましす!」
無表情だが涙を流しながらお礼を言って、俺はステージを降りた。
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