俺はゲームのモブなはずだが?

レラン

文字の大きさ
29 / 33

25

しおりを挟む

「大丈夫か?僕」
「うぇ?お兄ちゃん誰?」
「ふふふ‥よくぞ聞いてくれた!俺の名前はフォックスレンジャーレッドだ!迷子の君を助けに来たぞ!」
「!!??」

 しばらくして迷子の子供と幸弥の前に現れたのは、クラスの赤いTシャツを着た白蓮だった。いきなり現れた白蓮に幸弥は驚きをかくせていない。

「とりあえずこれで大丈夫かな?」

 白蓮を連れてきたのは俺だ。運良く白蓮がクラスにいてくれたおかげですぐに連れてくることが出来た。
 俺が出ていくと本当に白蓮のイベントを全てクラッシュしてしまうことになるので、俺はすぐに白蓮を連れてきた。
 その間に生徒会が来て大事になることも考えたが、周りに生徒会の姿はない。

「さぁ!俺と一緒にお母さんを探そう!勇気ある君の名前はなんだい?」
「ぼ、僕の名前は、ゆうだよ!」
「そうか!勇!まずはお母さんとはぐれた場所に行くぞ!」
「おぉー!」

 そのまま迷子の勇君と手を繋いで立ち上がった白蓮は、俺の方へと真っ直ぐに来る。
 ‥‥‥なんだ?

「うわぁ!美人なお姉ちゃんだ!」
「お、お姉ちゃん?」
「ブフォ!」

 勇君の言葉に盛大に吹き出す白蓮を睨み、俺は勇君を見る。
 勇君はキラキラ目を輝かせて俺を見てくる。何を期待しているのだろうか。俺には想像もつかない。
 とりあえず、テレビで見るようなヒロインよろしくにっこりと笑えないので、アンドロイドキャラでいくしかない。ここで勇君をガッカリさせたらあとが面倒だ。

「‥‥貴方は誰ですか?私の名前はファイブKonです。皆様からは稜驊と呼ばれています」

 しゃがみこんで勇君と目線を合わせる。スカートが短いので中にスパッツは履いているが、見えないに越したことはないので、頑張って見えないように工夫してしゃがむ。

「僕は勇!なんでお姉ちゃんの名前がいつかなの?」
「5はいつつとも読みますから稜。KonとKを取って驊。合わせて稜驊です。そこにいるマスターが名付けてくださいました」

 そう言って俺が指さすのは、先程から俺を見て呆然としている幸弥だ。
 急に話を振られた幸弥は慌てている。そして話を振った俺を軽く睨んでくる。いや、目付きが元から悪いからその文睨んで見えるだけかもしれない。

「え!?あの怖い人がマスターなの?」
「はい。マスターが感情を出すのが苦手なので、私にもそれがうつってしまいました。マスター。いい加減に笑顔ぐらい作れるようになってください」
「わ‥‥悪い」

 俺の言葉に本気で傷ついたのか、シュンっと頭が項垂れてしまった幸弥。俺は心の中で幸弥に謝りながら白蓮の方を向いた。

「何故私を巻き込むのですか。巻き込むならマスターだけで十分なはずです」
「わ、悪い‥ブクク‥‥思わず‥‥っ!」

 プルプルと震えながら喋る白蓮に冷ややかな目を向けてから俺は勇君を抱き上げた。

「うわぁ!お姉ちゃん力持ちなんだね!」
「アンドロイドはロボットですから」
「ロボットってことは変身するの!?それとも道具出すの!?」
「‥‥‥‥どちらも出来ません」
「ブハァ!アハハハハハ!」

 ついに我慢の限界を迎えた白蓮は盛大に笑いだした。

「‥‥‥マスター。レッドさんは置いて行きましょう」
「あ‥あぁ」
「え!?レッド置いていっていいの?」

 白蓮を置いてスタスタと歩き出す俺達に驚いている勇君に向かって、「いいんです」と軽く返して勇君が親とはぐれたという場所に向かう。
 幸弥は俺の斜め後ろに。白蓮は笑いながらも急いで後ろに続く。
 勇君がはぐれたのは、文化祭中にあるお約束のミスコンなどが行われるステージ近くだった。

「さて勇さん。耳を塞いでおいてくれますか?今から私が拡声器機能を使い勇さんのお母さんを探しますので」
「?カクセイキキノウ?」
「‥‥‥耳が聞こえなくなる可能性があるので、耳をないないできますか?ついでに目もないないしておいてください」
「!お耳聞こえなくなるの!?分かった!僕お耳もおめめもないないする!」

 すぐに耳を塞ぎ目もつぶった勇君を見て、純粋な子供だな~など思いながら、俺は近くにいたステージ係の人に説明をしてステージマイクを貸してもらった。
 そしてステージ中央に立った。
 ステージ周りには思った以上に人がいた。その誰もがいきなり出てきた俺に驚いている。
 俺は緊張を隠すように息を吸った。

「‥‥皆さん。お願いがあります」
「「「「「「「!?」」」」」」」

 いきなり泣き出した俺に動揺する人々。
 それもそのはずだ。先程まで泣いていなかった俺がマイクを両手で持って震える声で涙を流しながら話しているのだから。
 表情筋は動かない俺だが、涙腺は動かせるのだ。とめどなく涙を流すなんて余裕のよっちゃんだ。

「グス‥‥勇君っていう子がいるの‥・でもね?その子がお母さんとはぐれちゃって、今一緒にいるの‥‥‥誰か‥勇君を助けて!」
「お、俺さっき向こうで女性が子供探してるの見たぞ!」
「私は向こうで見たわ!」
「私!その人連れてくるわ!」

 俺が「助けて」と叫ぶと同時に崩れ落ちると、ステージを見ていた人達がすぐに動き出してくれた。

「皆さん!ありがとうございましす!」

 無表情だが涙を流しながらお礼を言って、俺はステージを降りた。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。

星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。 前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。 だが図書室の記録が冤罪を覆す。 そしてレイは知る。 聖女ディーンの本当の名はアキラ。 同じ日本から来た存在だった。 帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。 秘密を共有した二人は、友達になる。 人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。

【完結】だから俺は主人公じゃない!

美兎
BL
ある日通り魔に殺された岬りおが、次に目を覚ましたら別の世界の人間になっていた。 しかもそれは腐男子な自分が好きなキャラクターがいるゲームの世界!? でも自分は名前も聞いた事もないモブキャラ。 そんなモブな自分に話しかけてきてくれた相手とは……。 主人公がいるはずなのに、攻略対象がことごとく自分に言い寄ってきて大混乱! だから、…俺は主人公じゃないんだってば!

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。

小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。 そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。 先輩×後輩 攻略キャラ×当て馬キャラ 総受けではありません。 嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。 ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。 だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。 え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。 でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!! ……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。 本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。 こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

事なかれ主義の回廊

由紀菜
BL
大学生の藤咲啓嗣は通学中に事故に遭い、知らない世界で転生する。大貴族の次男ランバート=アルフレイドとして初等部入学前から人生をやり直し、学園で出会う無愛想で大人顔負けの魔法の実力者であるヨアゼルン=フィアラルドと親友になるが、彼に隠された力に翻弄され次々と襲ってくる災難に巻き込まれる。終いには、国家の存続を揺るがす大事件にまで発展することに・・・

王道学園のモブ

四季織
BL
王道学園に転生した俺が出会ったのは、寡黙書記の先輩だった。 私立白鳳学園。山の上のこの学園は、政財界、文化界を担う子息達が通う超名門校で、特に、有名なのは生徒会だった。 そう、俺、小坂威(おさかたける)は王道学園BLゲームの世界に転生してしまったんだ。もちろんゲームに登場しない、名前も見た目も平凡なモブとして。

推しの完璧超人お兄様になっちゃった

紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。 そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。 ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。 そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。

【完結】我が兄は生徒会長である!

tomoe97
BL
冷徹•無表情•無愛想だけど眉目秀麗、成績優秀、運動神経まで抜群(噂)の学園一の美男子こと生徒会長・葉山凌。 名門私立、全寮制男子校の生徒会長というだけあって色んな意味で生徒から一目も二目も置かれる存在。 そんな彼には「推し」がいる。 それは風紀委員長の神城修哉。彼は誰にでも人当たりがよく、仕事も早い。喧嘩の現場を抑えることもあるので腕っぷしもつよい。 実は生徒会長・葉山凌はコミュ症でビジュアルと家柄、風格だけでここまで上り詰めた、エセカリスマ。実際はメソメソ泣いてばかりなので、本物のカリスマに憧れている。 終始彼の弟である生徒会補佐の観察記録調で語る、推し活と片思いの間で揺れる青春恋模様。 本編完結。番外編(after story)でその後の話や過去話などを描いてます。 (番外編、after storyで生徒会補佐✖️転校生有。可愛い美少年✖️高身長爽やか男子の話です)

処理中です...