メイド、冒険者になる。

エムポチ

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新しい仕事

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 マリク達が手に入れたのは家と言うより、城であった。
 堅牢な造りに質素な内装。
 たった二人が住むには広過ぎる。
 片付けが終わり、広々とした部屋にポツンと食卓が置かれた。
 「なんか・・・無駄に広いな」
 マリクは広々とした何も無い空間に呆れる。
 「まぁ・・・元は兵士が集まる場所でしたでしょうから・・・」
 掃除を続けるエリスは忙しそうにしている。
 「幸い、お金に余裕が出来たから、何か必要な物はあるかい?買って来るよ」
 「そうですか。では夕飯の食材をお願いします。私はその間に台所を使えるようにしますので」
 「解った」
 マリクは小銭を財布に入れて、外出をした。
 街は悪魔に支配される以前と同様に活気があった。
 マリクはそんな街の様子を見ながら不思議に思った。
 「悪魔は人の魂を喰らうと聞いたが・・・そんな雰囲気は無いな」
 以前と変わらぬ街の雰囲気を眺めつつ、買い物を始めるマリク。
 だが、すぐに異変に気付いた。
 「なんで、こんなに何もかもが高いんだ?」
 マリクは驚いて、商人に尋ねる。
 「あぁ・・・魔族に支配されてから、魔物の数が一気に増えたんだ」
 「魔物の数が?そうか・・・王国も貴族も居なくなったから、討伐されないから」
 「あぁ、それもあるけど、以前より増えたし、強くなってるって噂だよ」
 「なるほど・・・」
 とりあえず冒険者ではあるマリクだが、まともな魔獣と戦う事まではまだ考えていなかった。
 
 家に戻り、エリスに相談をする。
 「スライム狩りとかも悪くないけど、そろそろ、もっと実入りの良い依頼を請けた方が良いんじゃないかな?」
 その言葉にエリスが細い目でマリクを見る。
 「ご主人様の体力だと・・・ダンジョンなどは難しいかと」
 「そ、そうだけど・・・それでもここ数日でかなり体力は付いたんじゃないかな?」
 「数日で付くような体力なんて、たかが知れています。無理はしない方が良いと思います。魔獣狩りと簡単に言いますけど、魔獣の後ろには必ず、魔族が存在します。魔族に狙われているご主人様が魔族の目に留まる可能性もあるので、お勧めは出来ませんね」
 エリスの言う通りだった。
 「だけど・・・こんな状況じゃ・・・まともな食事だって出来なくなるんじゃ・・・」
 「ふむ・・・私が魔獣を狩ってきます」
 エリスは自信満々に答えるとマリクは慌てる。
 「い、いや、君1人ってわけには・・・」
 「私一人の方が安心が出来ますが・・・」
 「そ、そうだけど・・・僕は魔族に狙われているわけで」
 「そうですね・・・その割には1人で買い物に行っていただいていますけど」
 「う・・・うん」
 「魔法が使えるご主人様が居れば、何かあれば、助かるのも事実。では、一緒に魔獣狩りに向かいましょう」
 
 翌朝、エリスと共にマリクは冒険者ギルドのある酒場へと向かう。
 単純に街から出て、魔獣を狩っても得られる素材で金にはなるが、ギルドに討伐依頼のある魔獣を狩れば、依頼料も入るので、得であった。なので大抵の冒険者は依頼を請けてからしか狩りをしない。
 とは言え、討伐依頼があるのはかなり手強そうな魔獣が多い。
 依頼料が低いものだと、スライムからオーク、ゴブリンなどの数ばかりの弱い魔獣の討伐だったりする。
 依頼料が高いとドラゴンなど、軍隊じゃないと無理な物もある。
 その為、受けられる依頼にはランクがあり、そのランクにあったレベルを持つ冒険者しか受けられない。
 登録したばかりのマリク達は最低ランクのアールであり、受けられる依頼は一番、低いスライムや小鬼狩りである。
 「スライムでは相変わらずなので・・・こちらのゴブリンにしてみましょうか。こちらの方が被害が大きく、依頼料もかなり良いですから」
 エリスに言われて、マリクも同意した。
 ゴブリンとは猿のような魔獣だ。
 低能で人の言葉を理解する事は出来ないが、猿よりは知能は高く、道具も使えば、火も使える。
 人を襲うのは当然として、雌の居ない種族なので、比較的、自らに近い形状をした猿や人、エルフなどの雌と交尾をして、孕ませるという特徴がある。その為、女性が拉致される事が多々あるのである。その為、ゴブリン狩りは国を挙げて行われる。それでもどこかで繁殖をして、人の住む場所に現れたりするのであった。
 「解ったよ。だけど、ゴブリンは女性を襲うから、エリスは気を付けてね」
 「私は大丈夫であります。そして、ご主人様もこの剣で守ってみせますから」
 そう言うと、エリスはゴブリン狩りの依頼書を手にした。
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