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ゴブリン退治
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ゴブリン退治の為に訪れたのは都から半日程、歩いた所にある村であった。
500人程度が住む小さな村。
マリクは早速、村長の家を訪れた。
かなり高齢の村長が彼等の相手をする。
「これは若い冒険者だね」
村長はマリクとエリスを見て、そう呟いた。
「す、すいません。まだ、冒険者としては駆け出しで」
マリクが頭を下げると村長は笑いながら返す。
「いやいや。こんな小さな村に来ていただけたで助かります。報酬の額も少ないのに」
確かに報酬の額は同じゴブリン退治でも少なかった。それでも駆け出しの冒険者が経験値を上げる事を考えれば、充分であるとマリクは考えていた。
「それでは早速、ゴブリンを退治したいのですが、どこら辺に居るとか解りますか?」
「あぁ、それならば、村の北にある山の中に潜んでいると思います。数ははっきりしませんが、村にやって来るのはいつも1匹か2匹程度なので、そんなには居ないと思いますが」
「解りました。それでは」
マリクとエリスは立ち上がり、村長の家を後にする。
村から山までは徒歩で30分程度。
山と言っても丘程度の小さな山で広葉樹などで覆われている。
ゴブリンが出るまでは山菜取りなどが盛んな山だったそうだ。
「主様、いつゴブリンが襲撃をしてくるか解りません。私の後ろから離れないでください」
エリスは剣を抜いて、肩に刃を担ぐようにして歩いている。
「解ったよ。ゴブリンは小さくて、素早いからねぇ。気を付けないと」
「猿より知能があって、道具も使いこなしますから。弓矢を使われると厄介ですよ」
「矢か・・・奇襲を受けたら、危険だね」
たった二人のパーティなので、どちらかが傷付いたら、危険が一気に増すのである。エリスがそうなる可能性が低いとすれば、マリクが足手纏いになる可能性が高いのマリクが一番、理解していた。
あまり管理されているとは言えない山は下草が生い茂り、鬱蒼としていた。
「獣道程度しかありませんね。とりあえず、草を払い除けながら、進みます」
エリスは剣を振るって、茂みを払い除ける。
獣道を進むと、エリスが唐突に足を止めた。
「何かあったの?」
マリクが尋ねるとエリスは左手の人差し指で口を押える仕草をした。
エリスは静かに周囲を見ている。
「主様、臭いがします。酷い臭い。多分、ゴブリンです」
ゴブリンは衛生的とは言えない生活習慣の魔獣なので、体臭が酷かった。
「簡単に見つかったな。まずはどれだけ居るかを確認しよう」
マリクは冷静に臭いの方へと近づく。
茂みから覗くとそこには瘦せ細った小猿のような体躯をしたゴブリンが居た。
醜い皺だらけの顔とポッコリと出た腹、毛が無いため、動物の毛皮を腰や体に巻いている。
「ご主人様、ゴブリンです。数は3体。どうしますか?」
「下手に襲うと本隊を逃がす可能性があるな。様子を見て、本隊へと案内して貰おう」
「わかりました。周囲の警戒を怠らない方が良いです。ゴブリンは狡猾でありますから」
「狡猾か・・・気を付けるよ」
二人は静かにゴブリンの動きを見ながら、後をつけた。
ゴブリン達は周囲を見ながら、山の奥へと入っていく。
ゴブリンがよく使うのだろう。獣道が出来ており、二人はそこを辿る。
1時間も歩かない内に洞窟が発見された。洞窟にゴブリン達が入っていく。その入口を守るように二匹のゴブリンが槍を持って、立っている。
その様子を伺っていたエリスはマリクに尋ねる。
「あそこがゴブリンの巣ですね。どうしますか?」
「火炎の魔法を撃ち込み、中を酸欠して、一掃しよう」
「適切だと思います。ただ、洞窟の広さが分かりませんから、効果がどこまであるか不明ですが」
「効果が無ければ、更に攻撃をつづけるだけだよ」
マリクは魔法の詠唱を始める。その言葉に気付く二匹のゴブリン。
だが、彼らが動くより先にエリスが動いた。彼女は大剣を振るい、一撃で二匹のゴブリンの体を薙ぎ切った。
内臓が飛び散り、体は上と下に分かれて、転がった。その間にマリクは詠唱を終えて、杖から火炎を生み出した。それを洞窟へと放り込む。
洞窟内で火炎が爆発的に燃え上がる。マリクはありったけの火炎を洞窟内に放り込む。
灼熱の炎が洞窟から噴き出す。
エリスは洞窟から飛び出してくるかもしれないゴブリンに備えて、剣を構える。
数分に及ぶ炎の乱舞。やがて、炎は収まり、洞窟内から肉が焼き焦げた臭いだけが漂う。
「中を確認するには冷やす必要があるね」
マリクは疲れをとるために水筒の水を飲む。それから詠唱を始めた。
今度は多量の水を洞窟内に放り込む。十分近く、水を流し込むと洞窟の入り口から水が溢れ出した。
そこには黒焦げになったゴブリンの死体も多数ある。
「ゴブリンの焼肉は美味しそうに見えませんね」
エリスはそれを眺めながら、嫌そうな表情をする。
500人程度が住む小さな村。
マリクは早速、村長の家を訪れた。
かなり高齢の村長が彼等の相手をする。
「これは若い冒険者だね」
村長はマリクとエリスを見て、そう呟いた。
「す、すいません。まだ、冒険者としては駆け出しで」
マリクが頭を下げると村長は笑いながら返す。
「いやいや。こんな小さな村に来ていただけたで助かります。報酬の額も少ないのに」
確かに報酬の額は同じゴブリン退治でも少なかった。それでも駆け出しの冒険者が経験値を上げる事を考えれば、充分であるとマリクは考えていた。
「それでは早速、ゴブリンを退治したいのですが、どこら辺に居るとか解りますか?」
「あぁ、それならば、村の北にある山の中に潜んでいると思います。数ははっきりしませんが、村にやって来るのはいつも1匹か2匹程度なので、そんなには居ないと思いますが」
「解りました。それでは」
マリクとエリスは立ち上がり、村長の家を後にする。
村から山までは徒歩で30分程度。
山と言っても丘程度の小さな山で広葉樹などで覆われている。
ゴブリンが出るまでは山菜取りなどが盛んな山だったそうだ。
「主様、いつゴブリンが襲撃をしてくるか解りません。私の後ろから離れないでください」
エリスは剣を抜いて、肩に刃を担ぐようにして歩いている。
「解ったよ。ゴブリンは小さくて、素早いからねぇ。気を付けないと」
「猿より知能があって、道具も使いこなしますから。弓矢を使われると厄介ですよ」
「矢か・・・奇襲を受けたら、危険だね」
たった二人のパーティなので、どちらかが傷付いたら、危険が一気に増すのである。エリスがそうなる可能性が低いとすれば、マリクが足手纏いになる可能性が高いのマリクが一番、理解していた。
あまり管理されているとは言えない山は下草が生い茂り、鬱蒼としていた。
「獣道程度しかありませんね。とりあえず、草を払い除けながら、進みます」
エリスは剣を振るって、茂みを払い除ける。
獣道を進むと、エリスが唐突に足を止めた。
「何かあったの?」
マリクが尋ねるとエリスは左手の人差し指で口を押える仕草をした。
エリスは静かに周囲を見ている。
「主様、臭いがします。酷い臭い。多分、ゴブリンです」
ゴブリンは衛生的とは言えない生活習慣の魔獣なので、体臭が酷かった。
「簡単に見つかったな。まずはどれだけ居るかを確認しよう」
マリクは冷静に臭いの方へと近づく。
茂みから覗くとそこには瘦せ細った小猿のような体躯をしたゴブリンが居た。
醜い皺だらけの顔とポッコリと出た腹、毛が無いため、動物の毛皮を腰や体に巻いている。
「ご主人様、ゴブリンです。数は3体。どうしますか?」
「下手に襲うと本隊を逃がす可能性があるな。様子を見て、本隊へと案内して貰おう」
「わかりました。周囲の警戒を怠らない方が良いです。ゴブリンは狡猾でありますから」
「狡猾か・・・気を付けるよ」
二人は静かにゴブリンの動きを見ながら、後をつけた。
ゴブリン達は周囲を見ながら、山の奥へと入っていく。
ゴブリンがよく使うのだろう。獣道が出来ており、二人はそこを辿る。
1時間も歩かない内に洞窟が発見された。洞窟にゴブリン達が入っていく。その入口を守るように二匹のゴブリンが槍を持って、立っている。
その様子を伺っていたエリスはマリクに尋ねる。
「あそこがゴブリンの巣ですね。どうしますか?」
「火炎の魔法を撃ち込み、中を酸欠して、一掃しよう」
「適切だと思います。ただ、洞窟の広さが分かりませんから、効果がどこまであるか不明ですが」
「効果が無ければ、更に攻撃をつづけるだけだよ」
マリクは魔法の詠唱を始める。その言葉に気付く二匹のゴブリン。
だが、彼らが動くより先にエリスが動いた。彼女は大剣を振るい、一撃で二匹のゴブリンの体を薙ぎ切った。
内臓が飛び散り、体は上と下に分かれて、転がった。その間にマリクは詠唱を終えて、杖から火炎を生み出した。それを洞窟へと放り込む。
洞窟内で火炎が爆発的に燃え上がる。マリクはありったけの火炎を洞窟内に放り込む。
灼熱の炎が洞窟から噴き出す。
エリスは洞窟から飛び出してくるかもしれないゴブリンに備えて、剣を構える。
数分に及ぶ炎の乱舞。やがて、炎は収まり、洞窟内から肉が焼き焦げた臭いだけが漂う。
「中を確認するには冷やす必要があるね」
マリクは疲れをとるために水筒の水を飲む。それから詠唱を始めた。
今度は多量の水を洞窟内に放り込む。十分近く、水を流し込むと洞窟の入り口から水が溢れ出した。
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「ゴブリンの焼肉は美味しそうに見えませんね」
エリスはそれを眺めながら、嫌そうな表情をする。
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