少女はドラゴンハンターになった。

エムポチ

文字の大きさ
10 / 19

横浜

しおりを挟む
 県境を越えて、ゆっくりと車列は横浜に向かっていた。
 川崎周辺は比較的、人の住居区も多く、治安は安定していた。
 そして、車列は横浜港へと到着する。
 愛理達はトラックから降りる。
 愛理達は東京湾などを見ているので、海が初めてってわけじゃなかったが、大きな貨物船が行き交う光景には驚いた。
 「東京湾が大型船が行き交うのが難しくなったから、こっちが交易の中心だとは聞いたけど、凄いわね」
 それを聞いていた港湾労働者のおっさんが笑う。
 「嬢ちゃん、ハマは初めてか?」
 「えぇ、朝霞からトラックの護衛で来たのよ」
 「埼玉か。関東からの便か。まぁ、ここは外国からの物資も豊富だ。露店が並んでいるだろ?色々と売ってるから見ていくと良い。地元には無い物がいっぱいあるぞ」
 愛理達はそう言われて、物珍しそうに露店を見て回った。
 滞在期間は三日。
 彼女達をここまで連れて来たトラックは荷物を詰み、帰路に着く。帰りもきっと、ゴブリンなどの襲撃に遭う危険はある。だが、こうしなければ、人間の生活は守れない。
 愛理達は露店で買ったアイスを食べながら港を見て回った。
 多くの貨物船や護衛艦などが停泊している。貿易の中心と言った感じだ。
 「平穏ですね」
 アミルが周りを見ながら言う。確かにここは平穏だった。物が豊富と言うのは人々の心も豊かにさせるって事だろうか。だが、その一角にはそうとも言えない光景があった。
 足枷などを付けられたドワーフなどの亜人が肉体労働に使われていた。
 奴隷
 知能は多少、低いながら、人と意思疎通が取れるドワーフや一部の妖精、亜人などは人に捕まり、奴隷として使われ宇事が多い。人は彼等を家畜程度にしか考えてない。その中でエルフだけは別格だった。知能指数が高く、人と対等に話せるのが大きかったのだろう。それと見た目が人が好む程に美しい個体が多い。アミルもそうだ。だが、それ別の悲劇も生んでいるわけだが。
 アミルもその光景を見るが、あまり何とも思わない。不思議なもんだが、エルフ族は基本的にその他の種族を下に見ている感じがある。ドワーフなどが奴隷扱いされていてもあまり何とも思っていない。むしろ当然ぐらいの感じだ。彼等が恐れるのはドラゴン。それ以外は下等生物と言う感じだ。
 だが、ドワーフからすれば、違うのだろうと愛理は彼らを見て感じ取る。明らかにアミルを見る目が違う。何か憎悪みたいな物を感じ取れる。彼等からすれば、同じ世界から来たにも関わらず、人間と親し気に接するエルフは裏切り者なのか・・・それとも元々、エルフを嫌いなのか。
 愛理はそんな事を想いながら、散策を続ける。
 
 夜は安宿が用意されていた。幸いにも雑魚寝部屋では無く、アミルとの二人部屋だ。それなりに配慮してくれたのかもしれない。畳の上に薄い蒲団があるだけの部屋だが、寝るには充分だった。
 愛理は眠ろうとする愛理に明日の予定を告げる。
 「明日は銃器の店に行こうと思うの。海外からの品もあるって聞いたわ」
 「解りました。しかし、この街は面白いですね。色々は珍しい品がいっぱいです」
 アミルは横浜が気に入った様子だ。
 「そうね。このまま、ここに居ついてもイイぐらいだけど、それじゃ、アルバイト料は貰えないしね」
 報酬はあくまでも無事に戻ってからだ。ドラゴンを狩るの比べると安い報酬だが、楽な仕事だとも思った。
 無論、ゴブリンの襲撃はかなりヤバかったが、あそこまで組織的な襲撃もそうは無いと田中は言っていたし、帰りはせめて、のんびりさせて欲しいと思った。

 二日目は予定通り、銃砲店に向かった。
 元々、銃砲店を生業にしていた店らしく、中には散弾銃やライフル銃などの猟銃も多く置いてあった。それ以外に自動小銃や機関銃などもある。
 愛理はじっくりと色々な銃器を手にした。
 店主は女子高生が珍しいのか、気さくに話し掛けて来た。
 「そっちはアメリカ製だ。自衛隊の使っている奴より扱い易いから人気がある」
 「なるほどねぇ。これは?」
 愛理は店の片隅に置かれた太い銃身の銃を見る。
 「あぁ、それか。珍しいから手に入れたが、M79グレネードランチャーだよ」
 「グレネードランチャー?」
 愛理が解っていないみたいなので、店主は一個の砲弾を持って、説明してくれた。
 「この40ミリのグレネード弾を使うんだが、こいつ自身が爆弾でね。そいつで撃ち出すと、着弾地点で爆発するのさ。簡単に言えば、手榴弾をぶっ放す銃って事かな。まあ、グレネード弾が半端なく高くて、手に入り辛いから、自衛隊ぐらいでしか扱えないけどね」
 愛理は興味津々でそれを眺めてから、決心したように店主に向かう。
 「これ、貰うわ。グレネード弾もありったけ頂戴」
 「へぇ・・・そうかい。と言ってもうちのグレネード弾の在庫も5個のHEしかないけどね」
 「弾は彼方此方で何とかするわ。自衛隊でも同じ弾を使っているんでしょ?」
 「ああ、自衛隊やアメリカ軍は同じさ」
 愛理はグレネードランチャーを手に入れるとそれをアミルに持たせる。
 「それ、軽いし、非力なあんたでも使えるでしょ?」
 そう言われて、アミルはM79グレネードランチャーをまじまじと触る。木製のストック部分が妙に手に馴染む。
 「確かに・・・でも5発しか無いんでしょ?」
 「だけど、手榴弾みたいなもんって言うから、距離を置いて、使えば、効果があるわ。それで離れた場所の敵にダメージを与えられれば、ゴブリンの襲撃を受けた時もかなり余裕が出来るんじゃないかと思うの」
 愛理の説明にアミルは納得する。ゴブリンみたいな小さい目標は余程、射撃に自信が無いと、簡単には当たらない。だが、爆弾ならば、炸裂して、周囲に破片をばら撒くので、ゴブリンにも効果がありそうだった。
 「さて・・・飯にしよっか。なんか、変わった食い物とかありそうだし」
 愛理は買い物を終えて、港町の屋台が並ぶ方へと向かった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

弁えすぎた令嬢

ねこまんまときみどりのことり
ファンタジー
 元公爵令嬢のコロネ・ワッサンモフは、今は市井の食堂の2階に住む平民暮らしをしている。彼女が父親を亡くしてからの爵位は、叔父(父親の弟)が管理してくれていた。  彼女には亡き父親の決めた婚約者がいたのだが、叔父の娘が彼を好きだと言う。  彼女は思った。 (今の公爵は叔父なのだから、その娘がこの家を継ぐ方が良いのではないか)と。  今後は彼らの世話にならず、一人で生きていくことにしよう。そんな気持ちで家を出たコロネだった。  小説家になろうさん、カクヨムさんにも載せています。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

転生『悪役』公爵令嬢はやり直し人生で楽隠居を目指す

RINFAM
ファンタジー
 なんの罰ゲームだ、これ!!!!  あああああ!!! 本当ならあと数年で年金ライフが送れたはずなのに!!  そのために国民年金の他に利率のいい個人年金も掛け、さらに少ない給料の中からちまちまと老後の生活費を貯めてきたと言うのに!!!!  一銭も貰えないまま人生終わるだなんて、あんまりです神様仏様あああ!!  かくなる上はこのやり直し転生人生で、前世以上に楽して暮らせる隠居生活を手に入れなければ。 年金受給前に死んでしまった『心は常に18歳』な享年62歳の初老女『成瀬裕子』はある日突然死しファンタジー世界で公爵令嬢に転生!!しかし、数年後に待っていた年金生活を夢見ていた彼女は、やり直し人生で再び若いままでの楽隠居生活を目指すことに。 4コマ漫画版もあります。

私と母のサバイバル

だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。 しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。 希望を諦めず森を進もう。 そう決意するシェリーに異変が起きた。 「私、別世界の前世があるみたい」 前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?

悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。

三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。 何度も断罪を回避しようとしたのに! では、こんな国など出ていきます!

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

処理中です...