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闇に堕ちた者
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村長のガビルと言う男が姿を現す。
「お客さんか・・・エルフが旅するとは珍しいな。それも人間とか・・・」
アミルを見て、村長は軽く笑う。愛理はそれを無視する。
「旅するエルフが珍しいのはもういいよ。それより、世界を崩壊させるドラゴンの話を聞かせてちょうだい」
「そんなのは知らん」
愛理の質問に長老は即答する。
「そうか・・・他にそんな事を知ってそうな奴は知らない?」
「さぁな・・・そう言えば・・・」
村長は何かを思い出したように話を続ける。
「実は・・・この近くに城があってな。そこに棲み付いたエルフが居てな」
「エルフ?何であんた達と一緒に居ないの?」
愛理に聞き返されて、村長は困惑した表情を見せる。
「ふむ・・・どう説明すべきか・・・彼女は・・・闇に堕ちた者でね」
それを聞いたアミルが驚く。
「ダークエルフって事ですか?」
愛理はアミルにそれが何かを聞いた。
「ダークエルフはエルフが何かの影響で魔獣化してしまったエルフの事です」
「魔獣化って・・・何?」
「魔獣化ってのは、知性などを持たない獣になるって事」
「なるほど・・・魔獣は魔力石を体内に持つから魔が付くけど、エルフも持ってるからか」
「そうですね。人からすれば、私達も魔獣の内みたいですけど・・・」
「どうでも良いわ。それで、そのダークエルフってのが、ドラゴンの話を知ってると?」
愛理に尋ねられて村長は答える。
「噂だが、元は腕の良いハンターだったらしく、西の方でドラゴンを狩っていたようだけど」
「ドラゴンを狩っていた・・・エルフなんてドラゴンの餌でしょ?」
それを聞いて村長は笑う。
「そう言われたらそうだが、さすがに我等も無抵抗に食われるわけじゃない。狩猟民族だしな。弓や刃物、魔法だって、得意なわけだ。その気になれば、ドラゴンとだって戦える」
「へぇ・・・うちの相方を見ていると、とてもそんな風に思えないわ」
「ははは。元々、肉体的には強くないのでな。力で人間には敵わない。だが、中にはそうで無い者も居る。それがハンターと呼ばれる職を得るのだ」
「なるほど・・・そいつなら、ドラゴンの話が解るわけね」
「まともに会話になればな」
「解ったわ。ダメ元で行ってみる」
愛理はそう答えるとすぐに村を出た。
那古野から名古屋城までは1キロ程度。それほど高架である高速道路以外に高い建物などは無いが、多くは木々と融合して、森と化していた。
「鬱蒼としているわね」
愛理は木々の間を抜けるように道を進む。すると堀に辿り着く。
「これは城の堀って奴ね。この先に城があるのは間違いがないわ」
「堀って何ですか?」
アミルは不思議そうに水面を見る。
「堀ってのは城郭などの周囲を掘って、敵の侵入を防ぐのよ。水を入れる場合もあって、これはそれ」
「なるほど・・・橋が無いと城へ入れないじゃないですか?」
「戦国時代ならそうね。だけど、今は彼方此方に橋が掛けられて、道になってるわ」
二人は堀沿いに歩いていくと確かに堀を渡れる道があった。
「ここから城へ行けるみたいね」
「それにしてもこの辺は魔獣が居ないみたいですね」
鬱蒼とした森と言えば、大抵はスライム程度の魔獣は姿を現す。だが、今のところ、その気配は無い。
「そうね。警戒は怠っていないつもりだけど・・・」
愛理も常に銃は構えられるようにして、周囲を見て歩いているが、不思議と魔獣は居ない。
「そのダークエルフが狩ってるんじゃない?この辺は食料になりそうな生き物がそう居るわけじゃないし」
「そうですね」
二人は歩いていくと名古屋城の正門を案内する看板を見た。
「正門はこっちか・・・この辺は道路が広くて、助かるわ」
鬱蒼とした森は開けて、広い道路となっていた。
そして、堀の向こうに大きな城を見た。
「あれが城ですか?」
アミルは珍しそうに眺める。
「日本の城・・・アミルは初めて見るわね」
「はい。ビルとは違うんですね」
「昔の造りだからね。あっ・・・名古屋城は戦後に建てられたんだっけ」
そんな会話をしながら、正門へと辿り着いた。
「石垣の一部が壊れているけど、原型は留めているわね」
堀の一部も地形の変化で埋まっていた。石垣も崩れ、木々が出たりしている。
「この中にダークエルフが居るのね?」
「少しでもまともなら良いんですけど・・・」
不安そうなアミルを他所に愛理は正門を潜った。
木々によって、ちょっとした林になっていたが、元の状態は残していた。
本丸御殿も木々が生えて、一部は壊れていたが、ちゃんと残っているようだ。
愛理は安全だと考え、自動小銃を肩に担ぎ、腰から9ミリ自動拳銃を抜いた。
「アミル。何かあれば、機関銃を撃ちなさい。相手がまともじゃ無かったら、ヤバいから」
「了解です」
アミルも手にした9ミリ機関拳銃のボルトを引いた。
二人がちょっとした広場に出た時、愛理は何かを察して、一歩、何かを避けるように退く。
その時、地面に矢が刺さった。
「弓矢か・・・調達を考えれば、銃より手軽よね」
愛理は拳銃を構えながら、周囲を探る。
「愛理さん、危ない!」
アミルが短機関銃を撃つ。愛理はアミルの撃つ先を見た。
そこには茂みに隠れて、矢を放とうとして褐色の肌の人影があった。
「あれがダークエルフか・・・ダークって言うだけあって、肌が黒いわね」
愛理は相手の動きを観察する。銃弾はアミルの腕のせいで、頭上を越えているようだが、それでも危険を察しただろう相手は矢を放つの止め、茂みの奥へと逃げようとしていた。
「追うわよ。相手は弓を持っているから、警戒して」
「了解です!」
二人は相手を追い詰めるために銃を構えながら、駆け出した。
「お客さんか・・・エルフが旅するとは珍しいな。それも人間とか・・・」
アミルを見て、村長は軽く笑う。愛理はそれを無視する。
「旅するエルフが珍しいのはもういいよ。それより、世界を崩壊させるドラゴンの話を聞かせてちょうだい」
「そんなのは知らん」
愛理の質問に長老は即答する。
「そうか・・・他にそんな事を知ってそうな奴は知らない?」
「さぁな・・・そう言えば・・・」
村長は何かを思い出したように話を続ける。
「実は・・・この近くに城があってな。そこに棲み付いたエルフが居てな」
「エルフ?何であんた達と一緒に居ないの?」
愛理に聞き返されて、村長は困惑した表情を見せる。
「ふむ・・・どう説明すべきか・・・彼女は・・・闇に堕ちた者でね」
それを聞いたアミルが驚く。
「ダークエルフって事ですか?」
愛理はアミルにそれが何かを聞いた。
「ダークエルフはエルフが何かの影響で魔獣化してしまったエルフの事です」
「魔獣化って・・・何?」
「魔獣化ってのは、知性などを持たない獣になるって事」
「なるほど・・・魔獣は魔力石を体内に持つから魔が付くけど、エルフも持ってるからか」
「そうですね。人からすれば、私達も魔獣の内みたいですけど・・・」
「どうでも良いわ。それで、そのダークエルフってのが、ドラゴンの話を知ってると?」
愛理に尋ねられて村長は答える。
「噂だが、元は腕の良いハンターだったらしく、西の方でドラゴンを狩っていたようだけど」
「ドラゴンを狩っていた・・・エルフなんてドラゴンの餌でしょ?」
それを聞いて村長は笑う。
「そう言われたらそうだが、さすがに我等も無抵抗に食われるわけじゃない。狩猟民族だしな。弓や刃物、魔法だって、得意なわけだ。その気になれば、ドラゴンとだって戦える」
「へぇ・・・うちの相方を見ていると、とてもそんな風に思えないわ」
「ははは。元々、肉体的には強くないのでな。力で人間には敵わない。だが、中にはそうで無い者も居る。それがハンターと呼ばれる職を得るのだ」
「なるほど・・・そいつなら、ドラゴンの話が解るわけね」
「まともに会話になればな」
「解ったわ。ダメ元で行ってみる」
愛理はそう答えるとすぐに村を出た。
那古野から名古屋城までは1キロ程度。それほど高架である高速道路以外に高い建物などは無いが、多くは木々と融合して、森と化していた。
「鬱蒼としているわね」
愛理は木々の間を抜けるように道を進む。すると堀に辿り着く。
「これは城の堀って奴ね。この先に城があるのは間違いがないわ」
「堀って何ですか?」
アミルは不思議そうに水面を見る。
「堀ってのは城郭などの周囲を掘って、敵の侵入を防ぐのよ。水を入れる場合もあって、これはそれ」
「なるほど・・・橋が無いと城へ入れないじゃないですか?」
「戦国時代ならそうね。だけど、今は彼方此方に橋が掛けられて、道になってるわ」
二人は堀沿いに歩いていくと確かに堀を渡れる道があった。
「ここから城へ行けるみたいね」
「それにしてもこの辺は魔獣が居ないみたいですね」
鬱蒼とした森と言えば、大抵はスライム程度の魔獣は姿を現す。だが、今のところ、その気配は無い。
「そうね。警戒は怠っていないつもりだけど・・・」
愛理も常に銃は構えられるようにして、周囲を見て歩いているが、不思議と魔獣は居ない。
「そのダークエルフが狩ってるんじゃない?この辺は食料になりそうな生き物がそう居るわけじゃないし」
「そうですね」
二人は歩いていくと名古屋城の正門を案内する看板を見た。
「正門はこっちか・・・この辺は道路が広くて、助かるわ」
鬱蒼とした森は開けて、広い道路となっていた。
そして、堀の向こうに大きな城を見た。
「あれが城ですか?」
アミルは珍しそうに眺める。
「日本の城・・・アミルは初めて見るわね」
「はい。ビルとは違うんですね」
「昔の造りだからね。あっ・・・名古屋城は戦後に建てられたんだっけ」
そんな会話をしながら、正門へと辿り着いた。
「石垣の一部が壊れているけど、原型は留めているわね」
堀の一部も地形の変化で埋まっていた。石垣も崩れ、木々が出たりしている。
「この中にダークエルフが居るのね?」
「少しでもまともなら良いんですけど・・・」
不安そうなアミルを他所に愛理は正門を潜った。
木々によって、ちょっとした林になっていたが、元の状態は残していた。
本丸御殿も木々が生えて、一部は壊れていたが、ちゃんと残っているようだ。
愛理は安全だと考え、自動小銃を肩に担ぎ、腰から9ミリ自動拳銃を抜いた。
「アミル。何かあれば、機関銃を撃ちなさい。相手がまともじゃ無かったら、ヤバいから」
「了解です」
アミルも手にした9ミリ機関拳銃のボルトを引いた。
二人がちょっとした広場に出た時、愛理は何かを察して、一歩、何かを避けるように退く。
その時、地面に矢が刺さった。
「弓矢か・・・調達を考えれば、銃より手軽よね」
愛理は拳銃を構えながら、周囲を探る。
「愛理さん、危ない!」
アミルが短機関銃を撃つ。愛理はアミルの撃つ先を見た。
そこには茂みに隠れて、矢を放とうとして褐色の肌の人影があった。
「あれがダークエルフか・・・ダークって言うだけあって、肌が黒いわね」
愛理は相手の動きを観察する。銃弾はアミルの腕のせいで、頭上を越えているようだが、それでも危険を察しただろう相手は矢を放つの止め、茂みの奥へと逃げようとしていた。
「追うわよ。相手は弓を持っているから、警戒して」
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