君がこの世にいる内は

そらた

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18話.こころ

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サイド. 椎野


今週か来週までに裕貴の臓器移植を完了させなければいけないと
いけないにも関わらず入ってしまった他の患者さんの治療。

「他の先生は…」

「この治療法が出来るのが残っている先生で椎野先生しか
いらっしゃらなくて…!」

それはそれでやばいだろこの病院…
人員不足もいい所まで来たと言って良いだろう。

「薬物療法ではどうにかならない人なんですかね?」

かけていた眼鏡をすっと外し問いかける。

「症状を和らげるだけではなく外科療法でないとまずいかと…」

外科療法とはがんを含めて正常細胞の1部を切り取ってガンを無くす、
という治療法。がんが最初にできた場所…つまり原発巣にがんが
とどまっている場合には完全に治すことが出来る。という
効率も可能性も非常にいい手術方法。

でも、この患者さんをやっていたら裕貴が…だからといって
裕貴をとるとこの患者さんが…。

がん治療者は計2人。他の患者さんは別の医師でも対応が可能との事。
この人達を1週間ちょいくらいで終わらせればきっと行ける。
両方を助ける。俺ならいける。

「よし、やります俺!」


━━━━━━━━━━━━━━━


即刻次の日から手術を始める。
1人目は膀胱がんぼうこうとの事。この患者さんは骨や肺にも転移があったために
シスプラチンを中心とした抗がん剤を打っていた。
その際…全身化学療法を使った時、多種類の薬剤を併用して行った事による
がんとはまた違う炎症が起きてしまった、という。
薬というのはそれぞれにあったものを使用しないといけないと
言うにも関わらずここの看護師…いや、医師は何をしていたというのだ。


━━━━━━━━━━━━━━━


患者さんに腰椎麻痺ようついまひを行い専用の内視鏡でがんを電気メスにより
切除していく。…表在性がん。
これは膀胱内に再発しやすいという特徴があり、この人は
再発のリスクがとても高い。
ため、予防として膀胱内注入療法を行わなければならなかった。


━━━━━━━━━━━━━━━


およそ1時間後にこの手術は終わった。手術後、尿を体外へ誘導するために
膀胱内にカテーテル…まぁいわゆる管だ、それを留置する。
状況が状況のために数日間留置するのだ。
カテーテルをとるまでは次の患者さんの所へはいけない様子だな…。
そこでちらっと時計に目をやる、昼の時間はとうにすぎているが、
医師内での昼とはこの時間だろう。そこでふと気づく。
隣の席、裕貴の席の書類やパソコンや荷物などが綺麗に
なっている事を。片されていたわけではないが、なんだか少し
心にモヤがかかった気がした。
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