殉教者の皿の上

もじかきくらげ

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丸いパン2つとすりおろしたじゃがいものスープ(パン1つとスープ半分はギャビーへ)

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ギャビーの体力も大分回復してきた。この調子でいけば来週にでも街に出られそうだ。彼も最近はそれを楽しみにしている様子だし、あとでそれについて詳しく話し合わなければ。
今日も聖歌隊のみんなは熱心に練習をしてくれている。食事もよく摂れているおかげで、顔色も少し良くなってきた気がする。本当によかった。ピアノを弾き終え、皆も満足したところで、一部始終を聞いていた奴が私に話しかけてきた。弾き間違いがあったとの事だ。そうだったか?確認すると確かに私は後半を半音上げたり少し別のコードに置き換えてから転調させたりしていた。まあいくつかミスはあったかもしれない。ただしこれはみんながかなり楽しそうに、というか、盛り上がっていたので、より気持ちを込めて歌えるようアレンジを加えただけだ。本番でやるとは限らないし、みんなも楽しそうだったからこれでいい。だから別にミスをした訳では無い。そう伝えると、何やらごちゃごちゃいろんな、私の弾き方についてやその他技術面や音楽の歴史を引っ張り出していろんな指摘をしてくる。別にそんな話が聞きたかった訳では無い。
私と奴が揉めていることに、みんなが不安の色を見せ出した。あまり表でこういうことをするべきでは無いな。話なら食事が終わったあとで聞くと伝えるが、奴は納得いかないようだ。「みんなの前で叱られるのが怖いのか?まさか、指導者としての威厳が落ちるとでも?」奴は得意げにそう言う。うるさい奴だ。私は、みんなに先に食事するよう言って、ギャビーに私の分も半分食べていいから私の分の配膳も頼む、とお願いした。奴はまだ食い下がってくる。みんながせっかく楽しそうに歌っていたのに、台無しだ。うるさい。あまりにうるさい。気分を害する。我慢ならなくなった私は遂に奴の胸を押してしまった。「私は今、楽しく歌うみんなのために、これから聞いてくれる聴衆への練習のために、音楽を楽しむ私のためにピアノを弾いた。お前のように何か評判を言い指導をしたがる奴のために弾いたのではない」言い放つと、食事の準備を始めていたみんなも、奴も、私を見て、静寂に息をしていた。ああ、そんなことをしたかったのでは無い。私は、お前を怒らせたかったわけでも、みんなにこんな嫌な思いをして欲しかったわけでもない。すまない。私は楽譜をしまい、みんなへ謝罪をし、食事へ戻るよう促した。奴にも感情的になってしまったことを謝り、すぐに部屋を出た。主よ、未熟なわたくしめをお許しください。罰として、今夜はいつも以上に念を入れて楽譜の確認と、練習をしよう。そしてしばらくは、食事の量を減らして節制しよう……
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