【祝福の御子】黄金の瞳の王子が望むのは

尾高志咲/しさ

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第三部 父と子

第10話 面影② ※

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 静まり返った夜だった。
 中空には、大きな丸い月が浮かぶ。月の光が穏やかに庭のあちこちに満ちている。
 青白い光は木々の輪郭を浮かび上がらせ、夜の中に咲く花の白い花弁が輝いていた。どこからか甘い香りが漂ってくる。

 どうにも眠ることが出来ずに、イルマは一人、寝台から起き上がった。窓の外を見れば、月明かりが思ったよりもずっと明るい。上掛けを羽織って、そっと部屋を抜け出した。
 昼間は見知った庭も夜は別の顔を見せる。一人だけで立っていると、まるで見知らぬ場所に来てしまったかのようだった。

「⋯⋯イルマ」
「わっ!」
イルマは驚きのあまり、叫び声をあげた。振り向けば、シェンバーが立っている。
 
「ど、どうしたの、シェン」
「どうしたのはこちらが言いたい。窓の外にイルマが一人で歩いているのが見えたから、驚いて外に出たんだ」
「何だか眠れなくて。月がすごく綺麗だったから、庭に出てみようと思ったんだ⋯⋯」

 イルマは胸を押さえながら大きく息をついた。するりと頬を撫でられて、シェンバーの顔が近づく。
 唇に柔らかい感触があった。何度も口づけられているうちに、お互いに息が熱くなっていく。シェンバーの胸の中に強く抱きしめられて、体から力が抜けそうになる。

「イルマ、⋯⋯久しぶりすぎて、とても我慢できそうにない」
 ドクンとイルマの胸が鳴った。
 顔を上げると、シェンバーの瑠璃色の瞳が目の前にあった。美しい瞳に見つめられていると、何だかたまらない気持ちになる。
 最近はずっと忙しくて、二人の時間もゆっくり取れなかった。口を開けば、王宮に行く準備や夜会のことばかりだ。このまま王宮に向かえば、もっと慌ただしい日々が続くのだろうか⋯⋯。

 イルマは、シェンバーの手を取った。
「へ、部屋に行こう。シェン⋯⋯」

 歩き出したイルマの手を逆に引き寄せ、シェンバーは一階の自分の部屋に誘った。入った途端に、イルマは素早く服を剥ぎ取られる。
 何ひとつ身に着けないままで寝台に寝かされ、雄茎をいきなりシェンバーの口に含まれた。

「あっあっ! シェン!」
 
 イルマが逃げようとしても、シェンバーは体でイルマの足を割り開く。じゅぶじゅぶと音を立てて出し入れされ、鈴口を舌先で突かれた。シェンバーの熱い口内で竿をねっとりと舐め上げられて、イルマの足先までびりびりと快感が走る。
 
 あまりに強い刺激だった。
 指に力が入らず、シェンバーを押しのけることもできなかった。
 
「や、あっ! い、いっちゃう」
 シェンバーの喉奥まで咥え込まれた時に、イルマはこらえきれずに吐精した。シェンバーはさらに根元を擦り上げ、雄茎に残る精液も一滴残らず飲み下す。
 びくびくと跳ねるイルマの体に、シェンバーは満足げに笑った。

「可愛い、イルマ。ああ、嬉しいな」
 シェンバーの手が、ゆっくりとイルマの胸を撫でる。イルマの体はシェンバーに触れられるたびに反応し、緩やかな快感が続く。

 シェンバーが小卓に置いてあった香油の瓶を手に取った。
 手の平にたっぷりとって温め、指にも纏わりつかせる。シェンバーはイルマの後孔をゆっくりと撫でた。

「久しぶりだからね、ゆっくり解さないと」
 そう言いながら、シェンバーはイルマの胸を舐め上げる。膨らみを口に含まれると、イルマの体はすぐに快感を拾い上げた。
 小刻みに震えるうちに、後孔にシェンバーの指がつぷりと入ってきた。探るように気持ちのいい場所を見つけられて、そこばかりを何度も擦りあげられる。シェンバーの指が増やされ、奥へ奥へと肉襞をかき分けていく。解された場所全てがじんじんと痺れて、イルマは自分が何を求めているのかを知った。

「シェン⋯⋯!」
「なぁに、イルマ」
 イルマが必死で名を呼べば、シェンバーがとびきり優しい声で応える。

「も、もう、欲しい⋯⋯」

 シェンバーは満足気に微笑んで、イルマの膝裏をすくった。
 イルマの後孔に己の怒張をぴたりと当てて、ゆっくりと中に押し入れる。じわじわと進んでいく怒張を肉襞が包み、シェンバーの体がぶるりと震えた。堪らぬ快感に、馴染むまで抑えようと思っていた腰を思わず動かしてしまう。

「ん! まって、まっ、ああっ」
 イルマの声に、シェンバーの腰の動きは一層早くなる。止まらぬ律動にイルマは思わず、ぎゅっと中を締め付けた。

 シェンバーの口から熱い息がこぼれる。
「イルマ、すごい。絡みついてくる」
「シェン、あ、あっ!」

 肉襞に強く締め付けられ、シェンバーの怒張は限界まで膨れ上がった。自分を制することが出来ずに、奥まで精を叩きつける。
 イルマの中に、どくどくと熱い子種が注がれていく。広がる熱が体に染み込んでいくかのようだった。
 
 シェンバーとイルマは、深く繋がったまま唇を重ねた。
 お互いを強く強く抱きしめる。指を絡め合って、二人の間に何者も入り込めないように。 
 
 ⋯⋯この先何があっても、離れない。
 シェンバーが呟けば、イルマがぼくも、と頷く。
 どちらからともなく唇を求めあい、甘く切ないため息がこぼれた。繰り返される口づけの合間に、想いが溢れ出る。

 ───愛してる
  
 夜の中にひっそりと、二人の言葉が溶けていく。
 
 夜明けまではまだ遠い。
 部屋の中には、蝋燭の柔らかな明かりだけが揺れていた。
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