【祝福の御子】黄金の瞳の王子が望むのは

尾高志咲/しさ

文字の大きさ
199 / 202
第四部 婚礼

第45話 シェンバー、子どもになる⑧ ※

しおりを挟む
 
 シェンの手が伸びて、ゆっくりとぼくの背に回る。腕の中に抱きしめられて、確かな温もりにほっとした。
 髪に瞼に優しい口づけが降ってきて、ぼくはシェンの頬を両手で包んだ。白い肌のどこにも、柔らかな丸みはない。頬骨は高くなり、精悍で見惚れるほどに美しい顔に変わった。
 幼いシェンの名残を探すようにすりすりと頬を撫でていると、シェンが小さく笑う。

「ずいぶん大きくなった、と思っているだろう?」
「うん⋯⋯。よくわかったね」
「幼子を愛おしむような目をしている。でも、やっぱり今の私を見てほしい」

 シェンがぼくの体を引き寄せた。
 甘い吐息がかかり、そっとぼくの唇が塞がれる。体から力が抜けると、開いた唇の隙間から柔らかな舌が入ってきた。互いに舌を絡め合ううちに、少しずつ体の奥に火がついていく。
 口中にたまった唾液を飲み込めば、瑠璃色の瞳は確かな欲を宿してぼくを見た。

 シェンの唇がぼくの首から鎖骨、胸へとゆっくり下りていく。愛撫はどこまでも優しく執拗だった。無骨な指に優しく乳首を捏ねられて、体中に甘い痺れが走る。ぼくの反応を楽しむように、今度は熱い舌が乳首を舐めた。

「⋯⋯ッ!」
「我慢しないで、声、出せばいいのに」
「だって、恥ず、かしい、から⋯⋯」

 くすりと笑ったシェンは、手を伸ばして、既に勃ちあがっていたぼく自身に触れた。

「あッ! シェン!!」

 もう蜜をこぼしているのに大きな手で扱かれて、たまらず高い声が出た。シェンの口元に妖艶な笑みが浮かび、手の動きが早くなる。頭の芯がぐずぐずに溶けていく。

「シェン、シェ⋯⋯!」
「⋯⋯いい声。もっと聞かせて」

 ぼくがシェンの手の中であっけなく極めると、シェンは深い口づけをくれた。舌が柔らかく食まれ、耳元で甘い囁きが聞こえる。

 ──イルマ、いい子。もっと、感じて、と。

 言葉は官能を引きずり出し、あっという間に本能が全てを飲み込んでいく。汗ばんだ肌と肌が重なれば、自分の中に留めていた理性は瞬く間に消えた。

 シェンの手が触れたところは、まるで甘美な毒に痺れるようにすぐに熱を持つ。膝を開かれ内腿にもゆっくりと口づけられた。チクリと痛みを感じた柔らかな場所に次々に赤い花が咲いていく。シェンはそこに指でそっと触れる。

「⋯⋯ここに痕があるのを知っているのは私だけだね」
「そこだけじゃな⋯⋯んッ! ⋯⋯シェン」
「ああ、そうだね。イルマの体の、全部に⋯⋯」

 シェンはそう言いながら、ぼくの唇を塞ぐ。息もできないほど強く舌を吸われ、シェンの指がたっぷりの香油を纏って中に入ってくる。ぐちゅぐちゅと水音が響けばびくびくと体が跳ね、瞬く間に快感が引き出された。指が増やされ、柔らかく綻んだ場所がもっと、と縋りつく。

「っあ! シェン⋯⋯、シェン、すき」

 シェンの熱く昂った楔がゆっくりと中に入ってくる。中へ中へと進むたびに声にならない快楽に揺さぶられた。

「⋯⋯イルマ、知ってる?」

 ──⋯⋯イルマはね、感じた時にすごく舌っ足らずになるんだ。

 そう言いながらシェンの抽送はどんどん激しくなる。ぼくの快楽が何度目かの絶頂を迎えた時に、ひときわ強く穿たれて、奥に熱いものが満ちた。

「イルマ⋯⋯愛してる」

 力の抜けた体に、何度も優しい言葉が囁かれる。たしかに、シェンの言うとおりだ。ぼくはまるで小さな子どものように、好き、とだけ返し続けた。





「イルマ、口を開けて」

 シェンの腕の中でまどろみながら、言われるがままに開けた口に、小さな欠片かけらが落とされる。

「⋯⋯あま、い。マォン?」
「そう、好きでしょう?」

 たった一つだけ、あの子が残していったもの。柔らかな小さな手が渡してくれたもの。
 マォンの甘みがあの子の笑顔に重なる。

 シェンの胸にすり寄れば、腕の中にぎゅっと抱きしめられた。


「⋯⋯シェン、もう一度ガゥイに⋯⋯孤児院に行こう。今のシェンが見たものは、きっと、あの子に届く」

 シェンはぼくの髪を撫でながら、瞳を瞬く。そして、わかったと花のように微笑んだ。






 【シェンバー、子どもになる 了】
しおりを挟む
感想 33

あなたにおすすめの小説

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

侯爵令息セドリックの憂鬱な日

めちゅう
BL
 第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける——— ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。

氷の婚約者様に破談を申し出たら号泣された

楽矢
BL
目が覚めると、レースの牢獄のような天蓋付きベッドの上だった。 何も覚えていない出来損ない下級貴族ミラ。無能だクズだと冷酷な罵詈雑言を浴びせてくる氷の騎士セティアス。 記憶喪失から始まる、2人のファンタジー貴族ラブコメディ。 ---------- ※注) かっこいい攻はいません。 タイトル通りそのうち号泣しますのでご注意! 貴族描写は緩い目で雰囲気だけお読みいただけると幸いです。 ハッピーエンドです。 激重感情をこじらせた攻→受な関係がお好きな同志の方、どうぞよろしくお願いします! 全16話 完結済み/現在毎日更新予定 他サイトにも同作品を投稿しています。 様子を見ながらそのうち統合するかもしれません。 初めての一次創作でまだよく分かっておらず、何かおかしなことをしでかしていたら申し訳ないです!

「オレの番は、いちばん近くて、いちばん遠いアルファだった」

星井 悠里
BL
大好きだった幼なじみのアルファは、皆の憧れだった。 ベータのオレは、王都に誘ってくれたその手を取れなかった。 番にはなれない未来が、ただ怖かった。隣に立ち続ける自信がなかった。 あれから二年。幼馴染の婚約の噂を聞いて胸が痛むことはあるけれど、 平凡だけどちゃんと働いて、それなりに楽しく生きていた。 そんなオレの体に、ふとした異変が起きはじめた。 ――何でいまさら。オメガだった、なんて。 オメガだったら、これからますます頑張ろうとしていた仕事も出来なくなる。 2年前のあの時だったら。あの手を取れたかもしれないのに。 どうして、いまさら。 すれ違った運命に、急展開で振り回される、Ωのお話。 ハピエン確定です。(全10話) 2025年 07月12日 ~2025年 07月21日 なろうさんで完結してます。

【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。 BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑) 本編完結しました! おまけのお話を時々更新しています。 きーちゃんと皆の動画をつくりました! もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。 インスタ @yuruyu0 絵もあがります Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら! 本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけです! 名前が  *   ゆるゆ  になりました。 これからもどうぞよろしくお願い致します! 表紙や動画はAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。

【完結】100回生まれ変わっても心のないオレの心を奪ったのは黒い竜

MINORI
BL
100回生まれ変わり、98回黒い竜に殺され、99回の人生の記憶を持つ、心と感情を持たない主人公が、唯一の記憶がない初回人生をすごした6体の竜が統べる異世界に、自分の魂を確実に消し去る方法を探す旅に出るお話。 竜が主人公を取り合い、BLになる・・・はず・・・ですが、大分遠いかもしれません・・・。 ※このお話は、ムーンライトノベルズ様の方で先行投稿しております。

【完結】恋人になりたかった

ivy
BL
初めてのキスは、 すべてが始まった合図だと思っていた。 優しい大地と過ごす時間は、 律にとって特別で、 手放したくないものになっていく。 けれど……

処理中です...