不本意ながらも双剣英雄譚

藤亮遠真

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Lv7 共鳴せし2人の愛

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「こいつ…共鳴者っぽいぞ…」
「何だって?」
「あ…あ…けけけ…剣が喋った…」
「お前…こいつの声が聞こえるのか?」
まさかほんとにこいつが…
「共鳴者みたいだねぇ…この子…」
「英雄と共鳴者しか俺たちの声は聞こえないからな」
「まあもう一人いるっちゃ入るけどね」
「あいつは例外だろ」
例外?まあいいや…今は関係ないしな
「あの…」
「なんだ?」
「もしかして…あなたは…双剣の?」
「ああ…そうだ」
「もう会えた!」
「え?」
「私、最近双剣の共鳴者の能力が発現したんですよ…それで双剣の英雄を探そうと思っていたところで
双剣の英雄がボルカニオンを撃退したという知らせを聞いて…探し始めたんです。そしたら旅立って小一時間で見つかって…」
すごい喋るなこいつ…まるでマリンみたいだ
「あの…私と魔王を倒しに行ってください!」
「え…」
「私には魔王を倒さなければならない理由があるんです!今は話せませんけど…」
「いいよ。俺も元よりそのつもりだし。
俺は神代結心…ユウトって呼んでくれ
あと…敬語じゃなくていいよ」
「は、はい!ありがとうございます!
ユウト…くん!」
ユウトくん…かマリンも俺をそう呼んでたな…
というか雰囲気もなんだかマリンに似てるなマリ…
「なあフォーミュラ…俺たちは最初に何をすればいい?」
「まずはぁ、双剣の英雄と共鳴者の能力を
使えるようにしなければぁ、ダメかな?」
「能力?」
「英雄と共鳴者は2人いることで最強になれる…
だからまずはその能力を引き出さねばならない。」
「それは…どうやってやるんですか?」
マリが聞いた…
「それはぁ、英傑の神殿に行くしかないねぇ」
「英傑の神殿?」
「英傑の神殿とは双剣の巫女と呼ばれる
奴が管理している双剣の英雄、共鳴者の力を
引き出すための儀式を行う場所だ…」
「そんなところ…聞いたこともないし
地図とかでも見ないよ?」
「英傑の神殿はどこにでもある」
「「どこにでも?」」
「ここで最初の共同作業だねぇ。
2人とも手を繋いで?」
「え?」「手を?」
「いいから早くしろ」
「えーと…じゃあ、宜しく…」
「宜しく…」
俺たちは手を繋いだ…すると眩い光が目の前に広がった。
「今だ…【英傑の神殿よ今此処に顕現せよ】と唱えろ」
「「英傑の神殿よ今此処に顕現せよ!」」
するといっそう明るい光が出てきた…
そして気づいたら目の前に建物があった…
「これが英傑の神殿だ」
「この神殿はねぇ、どこにいようと英雄と共鳴者
さえいれば呼び出せるんだよぉ」
「マジかよ…」
「大きいね…ユウトくん…」
「え…あ、ああ」
焦った…急に呼ばれたら焦るわ
「だが今は開いていないようだ…」
「もうすぐ日が完全に沈むしねぇ。ここは
昼のあいだしか開かないんだよぉ」
「そうなのか…」
「じゃあ、一旦休も?あそこに湖があるし
私食べ物持ってるよ?私キャンプ好きなんだ!」
「ああ…分かった」
そう言ってマリは湖の方へ走っていった。
その後ひとしきり食事を終えたあと、
俺たちは横になって話していた。
「さっき…私には魔王を倒さなければならない理由があるって言ったでしょ?」
「ああ…そうだな」
「本当は言わないはずだったんだけど…話すね?」
「…」
俺は黙ってその話を聞くことにした…
「私ね…気づいてたと思うけど…目が片方黒いの…本当は金のはずなのに」
「気づかなかった…」
「鈍感なんだから」
「うるせえ」
「あはは…それでね私…親に捨てられたの…というかもとより私は拾われた子なんだけどね…ある日お父さんが拾ってきて…でもお母さんはあまりいい気がしなかったみたい。お腹に妹がいたしね…呪われてるとかって言われて…」
「お父さんと妹は、そんなこと言わなかったし
捨てようともしなかった…でもお母さんが…」
酷いな…それは…
「それでもお父さんが私をお母さんに内緒で
おばあちゃんの家に預けてくれたの…それがバレて離婚しちゃったらしいけど…だからお父さんのことは好きだし、もちろん妹…マリンも…」
え?マリン?
「なあマリ…お前のお父さんと妹はもしかして
アレンに住んでるか?」
「え?そうだけど…ギルドにいるはず」
はい出た。マジか…それはないでしょ流石に…
「そうか…」
「それがどうしたの?」
「ああ…あとで話す。続けて」
「それで私はこの目を治したいの…この目のせいでお父さん達は離婚しちゃったし。だから目を治して…」
「お前は良い奴だな…」
「ユウトくんの方がよっぽどいい人だよ?」
「なんで?」
「だって…私のこの目を見た人はお父さんと妹と
おばあちゃん以外はみんな気持ち悪いって言って避けたんだよ?でもユウト君は私の目を見ても避けないでしょ?」
「ああ…なんだそんなことか…俺はお前の目を
気持ち悪いだなんて思ったりはしないぜ?
むしろすごく綺麗だと思うよ、その目。別に治す必要なんてないと思うぜ?」
「え?えへへ、嬉しいな…初めてそんなこと言われたよ。」
「じゃあ今度は俺の話だな…」
「うん!聞かせて?」
「俺は元々4人編成のパーティで冒険していた。」
「うん」
「その中の一人はマリン…お前の妹だ…」
「え?嘘…」
「俺も信じれてないよこんなこと…」
「良かった…マリンは元気にやっていけてたのね…」
そんなこと言われると心苦しいな…
「いや…元気じゃない…」
「え?」
「俺がボルカニオンを迎え撃った話は知ってるな…俺はあの戦いの中で英雄の力が発現した。
そのきっかけが仲間3人の死だ…」
「嘘ッ…」
「ほんとだ…だから…俺はお前に謝らなければならない…妹を守ってやれず…本当に済まなかった…」
「ユウトくん…顔を上げて…大丈夫だよ…
怒ってないよ?だって現に今…君は私の妹を助けるために、旅に出たんでしょ?魔王に勝って妹を…
マリンを生き返らせるために…」
「マリ…」
「それに…私今不思議と嬉しいんだ…」
「え?」
「だって…ユウトくんはマリンたちを殺されて…
怒って、それで力が使えるようになったんでしょ?
それを聞いて私は、マリンがちゃんと大事にされてたってわかって嬉しいんだよ。」
「…」
「私の魔王を倒しに行く理由ひとつ増えちゃったな」
「え…」
「一緒にユウトくんの仲間を生きかえらせよ?」
「…マリ…ありがとう…」
「だから…明日から頑張ろう!」
「ああ!」
そうして明日に備えて今日は眠りについた…

~翌日~
「じゃあ行くか…」
「うん!」
俺たちは神殿に向かって歩き出した
「よく来たな…英雄に共鳴者よ…
私は双剣の巫女…アルカディア要件は分かっておる
こちらへ来い。」
「この部屋で何を?」
「今からお前らにはひとつの儀式とふたつの試練を行ってもらう。」
「儀式?」
「そこに2人で座れ…そして英雄…ユウトよ
フォーミュラとディスフォーミュラをこの台に…」
俺は言われるがままに台に剣を置いた。
「では始めよう…」
その言葉と同時にあかりが消えた…
「今から先代の英雄達からお前ら2人に能力を
継承する。【偉大なる双剣の英雄達よ…今こそその力、若き英雄へと継承したまえ…】」
途端に俺たち2人に7色の光が入り込んできた…
「なんだ…これ…」
「なんだか…変な感じ…」
そして気づいたら儀式は終わっていた…
「さあ儀式は終わりだ…これから試練に移る…
こっちへ来い…」
そうして剣を取り付いていくと…
「闘技場?」
「その通り…この闘技場で2人にはある相手と戦ってもらう…試練は2つある」
「2つも?」
「まあ…1つ目の試練で能力を使えるようにはなれる。2つ目はおまけだな…」
「分かりました…やりましょう」
「その意気だ…では第1の試練の相手はこいつだ」
そして空からなにか巨大なものが落ちてきた…
ド…ドラゴン!?
「最初の相手はメテオドラゴン…流石にこんなところには生息していない。だから私が召喚した…」
「召喚したって…」
「ちなみに能力を使うにはある鍵が必要だ…
なにかは内緒だがな…それを使えなければ…
死ぬ。では頑張ってくれ。」
そう言ってアルカディアは去っていった。
「マジか…なあマリ…お前どんな技が使える?」
「基本魔法です…攻撃も支援もできます。」
「分かった…じゃあ俺に攻撃力の支援をかけて
その後は援護を頼む…」
「うん!分かった。ATK・UP・HYPER!」
上位の支援か…ありがたい!
「スターライト・フォーミュラ!」
当たった…があんまりダメージはなさそうだな…
「双剣星破斬!」
30連撃だが…
当たるには当たるしダメージも少しはありそうだ…
だけどこれじゃぁ勝てない!
「私も行くよ!ホーリー・クロス!」
光の十字架がドラゴンに当たる!
「すごいなその技!」
「えへへ」
その瞬間…一瞬のマリのすきをついてドラゴンが攻撃してきた…
だが俺もそれと同時に飛び出していた…
攻撃は俺に当たった…
「ちょ…ユウトくん!?大丈夫!?こんなに血が!」
「大丈夫だよ…それより怪我はない?」
「私は大丈夫よ…でも」
刹那…光が舞い降りた…
【互いを愛し自らより相手を想うことの出来る
2人の英雄よ…今こそ共鳴シンパシーの力をさずけよう…】
共鳴シンパシーの力が解放されました』
「もしかして…」
「これって…」
「その通り」
「アルカディア…」
「お前達は気付かぬうちに互いを愛しあっていた
そして相手のことを自分よりも上に置いて考えるようになった…だから共鳴シンパシーを使えるようになったのだ。共鳴シンパシーは愛が深まれば力も高まる。さっさとあのドラゴンを倒して次の試練に移ろう。共鳴シンパシーは共鳴者が念を英雄に送ることで発動するぞ。」
「じゃあ…やってみるか」
「うん!はぁぁぁぁー!」
「「共鳴シンパシー・スターライト・フォーミュラ!」」
轟音とともに今までとは比べ物にならないくらいの力が斬撃にのり、ドラゴンへ飛んでいく。
負けじとドラゴンも反撃に出るが…もう遅い。
共鳴シンパシーの力が入った斬撃はゆうに
亜音速を超えていた。
気づいた時にはドラゴンが2人の前に横たわっていた
「おめでとう。第1の試練成功だ。」
「よし!」
「やったぁ!」
「では第2の試練に移ろう。第2の試練の相手は…
先代の双剣の英雄と共鳴者だ。」
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