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27話 質屋
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僕たちはルビーを売りに街までやってきた。
いわゆる質屋に入り、カウンターのこちら側で鑑定結果を待っていた。
緑色の肌をして口髭を生やした鑑定士は、片眼鏡でじっくり眺め、いかにも興味なさげに、
「八万ブランってところかな」
と言った。
レンは鑑定士からルビーをひったくった。
「他、行くわ」
「わーちょっと待った!わかったよ、九万でどうだ」
まるで興味なさそうだったのに慌てて引き止める鑑定士。レンは冷ややかに見返して、
「二十万以下では売れねえ」
鑑定士は悔しそうに頭をガリガリかき、
「ちくしょう、分かった二十万な。ったくボロい商売してんな」
「こっちのセリフだ」
鑑定士は二十万ブラン分の金貨銀貨が入った巾着袋と、ルビーを交換した。
こういうところ、手慣れてるなあって僕はレンに感心してしまう。
鑑定士は僕を見て、
「レンもやっとパーティー組んだのか」
「ま、そんなもんかな」
「ぱ、パーティー?」
誕生日会とかクリスマスとか!?
僕の脳内を見透かしたかのようにレンが、
「仲間って意味だよ」
「ああ!」
そういえばゲームで「パーティーを組む」とかって言うっけ。おお、異世界感!
「ハンターギルド登録はまだしないのか?」
「あんま興味ねえし、クエストとかだりい」
鑑定士の問いに、気だるげに答えるレン。
またまた異世界感のある単語が出てきた。ハンターギルドにクエストだって。
多分あれだ、ギルドってのはハンターに仕事を斡旋してくれる組合みたいなところだ。
でクエストってのが仕事のことだ。
<クエストナンバー1
●●村近くの街道に、スライムが多く出没して困っている。
スライムを全て(十匹)討伐してくれたら報酬を支払う。 by●●村の村長>
みたいなやつだ。
僕はすっかり興奮してきた。
やっと楽しくなってきた!
……なんて思った僕が、甘かった。
「最近は転生者狩りクエストが超高額報酬で熱いらしいぜ」
僕はひゅっと背筋が冷たくなる。
ああそうか、僕達は狩る側じゃない。狩られる側なんだ。
レンは顔色ひとつ変えなかった。
「転生者とか超激レアにもほどがあるだろ、狩りたくて狩れるもんじゃない」
「まあ、な。フェンリルさえ手に入れば簡単なんだけどなあ」
「フェンリル自体が激レアモンスターだろ。手なづけるのにも超上級テイムスキルが必要だ」
「フェンリル、って……」
僕の質問にレンが答えてくれる。
「すんごい鼻のいい犬。犬ってか魔獣だけどな。通常、見た目でしか違いが判別できない転生者の、ごくごくわずかな臭いの特徴を嗅ぎわけることができる、唯一の生き物」
僕は顔を引きつらせる。
「や、やば……いくらい、便利な犬だね!ほ、欲しいなあ!」
「それが、最近この街の周辺にフェンリル使いがやってきたらしいんだよ」
鑑定士の言葉に、僕ら二人は硬直する。さすがにレンも動揺を隠せなかった。でも鑑定士はレンの動揺をただの驚きと解釈したようで、得意げにうわさ話を続けた。
「なんだ知らなかったのか?ほらギルド所属してないから、情報に疎くなるんだぜ。北のユルカン高原に潜伏していた転生者を狩りつくして大もうけしたらしい。で南下してきて、今はここらへんを狩場にしてるってよ。うらやましい話だぜ、わんころ一匹で大金持ちだ」
レンは口の端を歪めて相槌をうつ。
「へえ、そりゃ、景気のいい話だな。俺もテイムスキル鍛えるわ」
「お前ならいけるかもな。お前、半年前うちに通い始めたけど、どんどん持って来るアイテムのレベル上がってるもんな。若いっていいな、これからぐんぐんスキル伸びるさ」
「はっ、お世辞言っても値引きはしねえからな?じゃあまた、なんか手に入れたら売りにくるわ」
「おう、待ってるぜ、ぼったくりハンター」
お金と共にものすごく悪い情報を得て、僕らは質屋を後にした。
僕は石畳の通りを歩きながら、小声でレンに話しかける。
「ね、ねえ、フェンリルまさかこの街の中にもいるとか」
「いや、街の城壁の中に魔獣は入れないルールだ。たとえテイムされてても……つまり、ペットでも」
「そっか」
僕は胸をなでおろす。レンの顔に焦りが見えた。
「質屋の言うとおりだな、情報収集のためだけにでもとりあえずギルドに出入りしておけば良かった。もうこの辺りは危険だ。明日にも引っ越そう」
「えっ!わ、わかった!」
僕達は街の城壁を出て、ウマで帰宅した。必要なものをまとめて、明日は引越しか。
常に追っ手におびえて逃げ続ける生活、これが転生者なんだ、と僕は改めて自覚した。
いわゆる質屋に入り、カウンターのこちら側で鑑定結果を待っていた。
緑色の肌をして口髭を生やした鑑定士は、片眼鏡でじっくり眺め、いかにも興味なさげに、
「八万ブランってところかな」
と言った。
レンは鑑定士からルビーをひったくった。
「他、行くわ」
「わーちょっと待った!わかったよ、九万でどうだ」
まるで興味なさそうだったのに慌てて引き止める鑑定士。レンは冷ややかに見返して、
「二十万以下では売れねえ」
鑑定士は悔しそうに頭をガリガリかき、
「ちくしょう、分かった二十万な。ったくボロい商売してんな」
「こっちのセリフだ」
鑑定士は二十万ブラン分の金貨銀貨が入った巾着袋と、ルビーを交換した。
こういうところ、手慣れてるなあって僕はレンに感心してしまう。
鑑定士は僕を見て、
「レンもやっとパーティー組んだのか」
「ま、そんなもんかな」
「ぱ、パーティー?」
誕生日会とかクリスマスとか!?
僕の脳内を見透かしたかのようにレンが、
「仲間って意味だよ」
「ああ!」
そういえばゲームで「パーティーを組む」とかって言うっけ。おお、異世界感!
「ハンターギルド登録はまだしないのか?」
「あんま興味ねえし、クエストとかだりい」
鑑定士の問いに、気だるげに答えるレン。
またまた異世界感のある単語が出てきた。ハンターギルドにクエストだって。
多分あれだ、ギルドってのはハンターに仕事を斡旋してくれる組合みたいなところだ。
でクエストってのが仕事のことだ。
<クエストナンバー1
●●村近くの街道に、スライムが多く出没して困っている。
スライムを全て(十匹)討伐してくれたら報酬を支払う。 by●●村の村長>
みたいなやつだ。
僕はすっかり興奮してきた。
やっと楽しくなってきた!
……なんて思った僕が、甘かった。
「最近は転生者狩りクエストが超高額報酬で熱いらしいぜ」
僕はひゅっと背筋が冷たくなる。
ああそうか、僕達は狩る側じゃない。狩られる側なんだ。
レンは顔色ひとつ変えなかった。
「転生者とか超激レアにもほどがあるだろ、狩りたくて狩れるもんじゃない」
「まあ、な。フェンリルさえ手に入れば簡単なんだけどなあ」
「フェンリル自体が激レアモンスターだろ。手なづけるのにも超上級テイムスキルが必要だ」
「フェンリル、って……」
僕の質問にレンが答えてくれる。
「すんごい鼻のいい犬。犬ってか魔獣だけどな。通常、見た目でしか違いが判別できない転生者の、ごくごくわずかな臭いの特徴を嗅ぎわけることができる、唯一の生き物」
僕は顔を引きつらせる。
「や、やば……いくらい、便利な犬だね!ほ、欲しいなあ!」
「それが、最近この街の周辺にフェンリル使いがやってきたらしいんだよ」
鑑定士の言葉に、僕ら二人は硬直する。さすがにレンも動揺を隠せなかった。でも鑑定士はレンの動揺をただの驚きと解釈したようで、得意げにうわさ話を続けた。
「なんだ知らなかったのか?ほらギルド所属してないから、情報に疎くなるんだぜ。北のユルカン高原に潜伏していた転生者を狩りつくして大もうけしたらしい。で南下してきて、今はここらへんを狩場にしてるってよ。うらやましい話だぜ、わんころ一匹で大金持ちだ」
レンは口の端を歪めて相槌をうつ。
「へえ、そりゃ、景気のいい話だな。俺もテイムスキル鍛えるわ」
「お前ならいけるかもな。お前、半年前うちに通い始めたけど、どんどん持って来るアイテムのレベル上がってるもんな。若いっていいな、これからぐんぐんスキル伸びるさ」
「はっ、お世辞言っても値引きはしねえからな?じゃあまた、なんか手に入れたら売りにくるわ」
「おう、待ってるぜ、ぼったくりハンター」
お金と共にものすごく悪い情報を得て、僕らは質屋を後にした。
僕は石畳の通りを歩きながら、小声でレンに話しかける。
「ね、ねえ、フェンリルまさかこの街の中にもいるとか」
「いや、街の城壁の中に魔獣は入れないルールだ。たとえテイムされてても……つまり、ペットでも」
「そっか」
僕は胸をなでおろす。レンの顔に焦りが見えた。
「質屋の言うとおりだな、情報収集のためだけにでもとりあえずギルドに出入りしておけば良かった。もうこの辺りは危険だ。明日にも引っ越そう」
「えっ!わ、わかった!」
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