転・精・者/邪神の生贄 ~地獄みたいな異世界で、僕は憧れの彼に会う~

空月 瞭明

文字の大きさ
47 / 66

47話 決壊ショー(1)

しおりを挟む
 キツネ目の男は僕たちを、表通りから外れた建物に案内した。

「ショーは下の階なんです」

 言いながら僕らを地下への階段へと導く。急な階段を降りると、扉の脇にテーブルがあって女性と用心棒らしい大男がいる。女性が僕らに会釈をしながら手を差し出してきた。

「お一人様、五万ブランになります」

 たかっ!

 思わずのけぞった。
 僕もこの異世界の相場感覚はなんとなくわかってきている、五万ブランはだいぶ高いよ!
 はあ、夜遊びってのはお金がかかるんだなあ。大人ってすごい。

「れ、レン、そんなお金……」

 レンは舌打ちをして、ニコニコしているキツネ目の男に一瞥をくれて、懐から十万ブランを金貨で受付に差し出す。

 あるんだ!
 ポンと即金を出せちゃうレンすごい。
 ハンターで結構溜め込んでるのかな?
 そんなことを考えながら男に開けられた扉の中に入ると、思ったよりずっと大きな空間が広がっていた。

 地下型の円形劇場、といった感じ。
 中央に丸いステージがある。ぐるりと取り囲む階段状の座席が、ステージを見下ろしている。
 
 すごい人いきれだった。席はもう満席に見えた。
 男たちが興奮した様子で、ショーの始まりを今か今かと待っている。

 ステージ上には大きな四角いものがあり、すっぽりと黒い布で覆われていた。

 僕はステージを指差した。

「あの中にストリップのお姉さんでも隠れてるの?」

 キツネ目の男は含み笑いを浮かべて、

「まあ、そのような感じです。さあ席にご案内します」

 座席と座席の間の狭い通路を、男について歩いた。ほとんど円を半周したくらいのところ、一番後ろの席が二つ、空いていた。

 男はそれを指差した。

「さあ、あちらにどうぞ」

 レンが男を睨みつける。

「このどうでもいい見世物が終わったら、本当に情報をよこすんだろうな?」

「ええ、もちろん。そうだ申し遅れました、わたくしの名前はモンテスです。一階の受付嬢にモンテスを呼べとおっしゃってくださればすぐ出てきますので。では失礼いたします、存分にショーをお楽しみください」

 モンテスは一礼をすると、踵を返して去って行った。

 僕らは気乗りがしないながらも、モンテスに示された空席に座った。

 するとちょうど、会場の照明が落とされた。
 会場がどよめく。

 そうか、今からショーが始まるんだ。

 ステージにスポットライトが当てられた。

 ステージの下の床、最下部の座席と座席の間の扉から、真っ白なローブを着た、仮面の男が登場した。
 観客から拍手と歓声と口笛が上がる。

 白い顔面に、目元部分に逆さの三日型のスリットが二つ空いた仮面。
 虚ろで不気味な、笑顔の仮面だ。

 仮面男は床からステージ上への階段を上る。
 
 ステージの上から両腕を掲げて、男のよく通る声が響いた。

「お集まりのみなさま、大変長らくお待たせいたしました!半年に一度のお楽しみ、背徳の街ラガド一番の目玉!これを見ずしてラガドは語れない!<転生者決壊>をとくとご覧いれ下さい!」

 割れるような大歓声が、会場中に轟いた。

 転生者決壊?

 初めて聞く言葉に首を傾げ、僕は隣に座るレンを見た。
 レンは明らかに動揺していた。

「ど、どうしたの?転生者決壊ってなに?」

 レンの喉がごくりと鳴らされる。

「転生者を『飢餓』状態のままにして、極限まで体内の転生者液を溜め続けると……『決壊』って現象を引き起こして、そのまま転生者は廃人になっちまうんだ……」

「えっ……」

 そ、それってつまり、どういうこと?

 と僕が聞こうとしたら、突然ドラムロールの音がなり始めた。

 仮面男の朗々とした声が、地下空間にこだまする。

「本日ぶっ壊れちゃうのはーーーーーーー、ジョアン君!はい、ご開帳ーーーー!!」

 ステージ中央の箱に被せられた黒い布が、ばらりと降ろされた。
 
 布の下から、黒い鉄格子の檻が出現した。
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜

レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」 魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。 彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました

よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、 前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。 獣人が支配する貴族社会。 魔力こそが価値とされ、 「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、 レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。 そんな彼を拾ったのは、 辺境を治める獣人公爵アルト。 寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。 溺愛され、守られ、育てられる日々。 だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。 学院での出会い。 貴族社会に潜む差別と陰謀。 そして「番」という、深く重い絆。 レオンは学び、考え、 自分にしかできない魔法理論を武器に、 少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。 獣人と人族。 価値観も、立場も、すべてが違う二人が、 それでも選び合い、家族になるまでの物語。 溺愛×成長×異世界BL。 読後に残るのは、 「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

悪役令嬢の兄でしたが、追放後は参謀として騎士たちに囲まれています。- 第1巻 - 婚約破棄と一族追放

大の字だい
BL
王国にその名を轟かせる名門・ブラックウッド公爵家。 嫡男レイモンドは比類なき才知と冷徹な眼差しを持つ若き天才であった。 だが妹リディアナが王太子の許嫁でありながら、王太子が心奪われたのは庶民の少女リーシャ・グレイヴェル。 嫉妬と憎悪が社交界を揺るがす愚行へと繋がり、王宮での婚約破棄、王の御前での一族追放へと至る。 混乱の只中、妹を庇おうとするレイモンドの前に立ちはだかったのは、王国騎士団副団長にしてリーシャの異母兄、ヴィンセント・グレイヴェル。 琥珀の瞳に嗜虐を宿した彼は言う―― 「この才を捨てるは惜しい。ゆえに、我が手で飼い馴らそう」 知略と支配欲を秘めた騎士と、没落した宰相家の天才青年。 耽美と背徳の物語が、冷たい鎖と熱い口づけの中で幕を開ける。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

処理中です...