転・精・者/邪神の生贄 ~地獄みたいな異世界で、僕は憧れの彼に会う~

空月 瞭明

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46話 背徳の街ラガド(3)

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 案内図を頼りに、僕たちは宿を見つけることができた。
 裸の男女の彫刻でゴテゴテと飾られた巨大な宿だった。
 正面玄関も大理石張りでシャンデリアがぶら下がって、噴水があって金色の魚が跳ねていて、派手派手だった。
 なんか悪趣味な気がするけど、豪華なのは確か。

 受付を済ませて案内された部屋も広くて立派だった。ベッドもふかふか。
 僕は早速、

「お腹すいた!ご飯!」

「言うと思ったぜ。まあ情報収集しないとだしな」

「やったー」

 案内図には酒場の情報も書かれている。どの酒場がいいかな、なんてウキウキしながら正面ホールに降りると。

 フード付きローブに身を包む、耳の尖ったキツネ目の男が作り物めいた笑顔で話しかけてきた。

「この街は始めてですか?ご案内しますよ」

 えっ、とうろたえながら周囲を見回すと、他にもフードを被った男たちが宿泊客たちに話しかけている。
 うわ、客引きは宿の中でも営業してるのか。めんどくさいなあ。

 レンが邪険な様子で、

「いらん。俺たちはハンターだ。遊びに来たんじゃない、ミルドジャウ山に近いからこの街に来ただけだ」

 だがキツネ目の男は驚いた様子もなく、さらにニコニコとした。

「ああ、転生者狩りのハンターさんですか。いいでしょう、情報ありますよ」

 レンは胡散臭そうに見遣る。

「本当か?」

「そりゃあ、わたくしこの街で生まれ育ってますからねえ、お隣の魔の山の情報なんていくらでも入って来ますよ、欲しいですか?」

「……ああ」

「ただとはいきませんよ?」

「いくらだ」

「やだな、お金が欲しいんじゃなりません、わたくしここで仕事をしているんです。ちょっとうちのお店をご利用いただければ、後でたっぷりお教えしましょう」

 レンは不快げに眉根を寄せる。

「俺は娼婦なんて抱かねえ」

「ははあ、さようですか、せっかくラガドに来たのに勿体無い。でもそう言う方もショーくらいなら楽しめるでしょう?ちょうど今宵は、半年に一度の大型ショーの開催日なんですよ。そちら、いかがでしょう」

 僕とレンは顔を見合わせる。
 こう言う街のショーって、ストリップショーとか?
 
 レンはしぶしぶ、と言った顔つきで一つ舌打ちをすると、

「分かった、行ってやるよ、ショー。その代わりそれ終わったら絶対に情報寄越せよ」

 男は満面の笑みで手揉みをした。

「はいもちろんですう」


 男に案内され、僕たちは夜の街へ繰り出した。
 街路樹を飾る色とりどりのランタンに明かりが灯されていた。夜の街に咲く幻想的な花々のようで、夜見ると案外美しいと思った。
 露出度の高い服を着た、男女の娼婦たちが、その肢体を見せつけるように通行人を誘い、暗い路地へと消えていく。
 男たちの夢の街、か。
 
 首輪をつけた転生者もいた。
 
 初めて見た、レン以外の転生者。

 年齢は僕らと同じくらいだろう、綺麗な顔立ちを淫らに緩めて、客らしき男にしなだれかかり歩いている。

 その姿は、女の娼婦たちよりよほど扇情的でエロチックだった。
 僕は同じ転生者として、直視できないような気恥ずかしさを感じた。

 転生者と言うものがなんであるか、見せつけられたような気がした。

 その時、僕の見ていた転生者に向かって奇声をあげながら近づいて着た男がいた。ボロボロの服を纏う浮浪者のような男。
 浮浪者は客にしなだれ掛かる転生者の腕を取り、引っ張った。
 客の男が怒声をあげる。
 転生者は浮浪者と客に、綱引きのように両腕を引っ張られ痛そうに悲鳴をあげた。

 すぐにローブを身につけた者たちがどこからともなくやって来て浮浪者を取り押さえた。
 浮浪者は地面に押さえつけられ叫んだ。

「えっ、えきっ!えきえきえきえき、液いいいいいいい!転生者液いいいいいいい」

 転生者は蔑むように浮浪者を見下ろし、客の男の首に腕を回して妖艶なキスをした。

 それらの光景を、僕とレンは物も言えず見つめていた。

 キツネ目の男が肩をすくめて苦笑いした。

「あー、驚きましたあ?この街じゃ、ああいうのは日常風景ですよ。さあこちらへ、うちの店はすぐそこです」
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