勝手に魔王と呼ばれて困ってます。/【旧題】俺的魔王の楽しみ方。

きつねころり

文字の大きさ
9 / 32

第9話

しおりを挟む
「まじかー。え――……まじかぁ……」

 俺はその光景を、背中がぞわぞわする感覚を我慢しながら見ていた。

「いやいやいやいや、そりゃさ分かるよ?魔王に挑んで、確かに生きて帰れないかもしれないしね?でも、そこまで堂々と寝取れるものなの?……はぁ……何か疲れた。つーか、どうでも良くなって来たわ」

 俺はそう独り言ちて……それでもチラチラと【モニター】に目を向ける。

 勇者君、最初は戸惑っていたけど随分乗り気じゃーないかい?

 いやさぁ、良いんだよ?別に誰が何処で何をしてもさ?

 あー、めっちゃチューしてるやん……。

 つーかさー、人んだぜ?いや、城だけども。

 あー、えっ、下だけ脱ぐの?!……器用なんですねぇ……。

 じゃなくてさ、俺は何を見させられてるの?いや、勝手に見てるんだけどさ。

 駄目だ、それ以上はイケナイ。

 【モニター】を消して、俺は目頭を押さえながら天を仰いだ。

 くそっ!うらやまけしかr……ごほん。


 少しして、サザンスターが僧侶ちゃんを連れて戻って来た。

「あぁ、お帰り。少し落ち着いたかい?」

 魔王城自慢の温泉に浸かって、身体を綺麗にし、服も新しいものに着替えさせた。
 まぁ、杖は持っていても問題無いからそのままにしてある。

「あ、あの……有難う御座います……」

 うん、ちゃんとお礼も言えるんだね。予想通り、この子はまだ染まっていないみたいだ。

「それで……あの……私はこの後、どうなるのでしょうか」

 僧侶ちゃんは、恐る恐るながらそう尋ねて来た。

 そうだよな、攫われた様なもんだもんな。

「そうだね……。君の好きにしたら良いと思うよ?」

「え?」

 俺の言葉が信じられないのも無理はない。けど、別に僧侶ちゃんを監禁するつもりとか無いし。

 僧侶ちゃんはサザンスターが用意した【神秘のローブ】を見に纏っている。

 ローブという名前ではあるが、清楚系の薄っすらとピンクっぽい白いワンピースだ。

 足元はサンダルが良かったんだけど、動きやすさを重視させて黒いショートブーツだ。

 これで袖の短い赤いジャケットがあれば、完全にエアリスだな。ん?エアリスって誰だっけ。

 まぁ、異世界に似合わない格好だけど、可愛いから良いんじゃないかな?

 しかも性能は折り紙付きだ。

「貴方は一体……それに、この服とか靴って……」

 僧侶ちゃんが当然の疑問を投げかけて来た。

「しっ……」

 俺は唇に人差し指をあて、僧侶ちゃんの言葉を遮った。

「今は……まだ教えられない」

 そう答えた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない

しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。

異世界ママ、今日も元気に無双中!

チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。 ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!? 目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流! 「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」 おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘! 魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

処理中です...