勝手に魔王と呼ばれて困ってます。/【旧題】俺的魔王の楽しみ方。

きつねころり

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第28話

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 少しずつ意識が覚醒して「またいつもの毎日が始まるのか」そんな絶望に似た感覚を覚えながら、ふと違和感を感じた。

 背中が痛い。自分のベッドから床に落ちた?いや、それなら目が覚めるハズだ。

 それに、何か胸の辺りは暖かい。つーか重い。

 俺は、目を覆ったままの腕を退け、目を開いた。

 眩しかった――。

 思わず目を細めた。

 そして、今見ているものが自分の部屋の天井では無く、雲一つない青空だった事に困惑した。

 夢から覚めていない?

 いや、そんな事より、俺の胸の上で気持ち良さそうに眠っている「猫」の方が問題だ。

 その猫は、ロシアンブルーの様な毛並みの猫だった。色は白だけど。

 どうやら、この猫の体温のお陰で寒く無かった……って事?

 というか俺は、未だに夢から覚めていない事に驚いている。

 驚きつつも、胸の上で寝てる猫を優しく撫でてみるのだった。

 その猫は尻尾を振りながら、俺の胸に頭をこすり付ける様な仕草を見せた。



 ☆





「……何か、随分懐かしい夢を見た気がする」

 夢のせいか、胸の辺りに重さと温もりを感じ俺は目を覚ます。

「って。おい、お前何してんだよ……」

 俺の胸に上半身を横から被せる様にサザンスターが眠っていた。

 どうやって忍び込んだのかは知らないが、困ったヤツだ。

 全く……。仕方の無い。

 俺は身体を捻る様にして起き上がり、サザンスターをしっかりと横に寝かせた。

 仰向けになった彼女は、良く見ると……いや、良く見なくても美少女なんだが。

 何となく頭を一撫でし、目線を動かすと――。そこには二つの豊かな膨らみがっ。

 寝間着の薄さが災いし? その膨らみに目が釘付けにされてしまう。

 頭を撫でていた手が勝手に移動を始め――。

「いやいや、それは駄目だ。うん。落ち着け、俺」

 まるで降参でもするかの様に両腕を上げる。視線だけは、柔らかそうな膨らみを凝視したまま……。

「うちの魔王様はヘタレにゃ」
 
 目を閉じたままサザンスターがそう呟いた。

「って、起きてるならさっさと出て行きなさいっ」

 俺は恥ずかしさもあって、そう言いながらサザンスターを追い出した。

「だから、魔王じゃ無ぇっての……」
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