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第1章 【異世界召喚】アグストリア城 

第4話 少し休憩。

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 二人とも頑張り過ぎて・・・・・・汗だくだったので、風呂入ることにした。勿論、交代でね!

 風呂に入ろうって話をしている時に、アリアさんが顔を赤くしながら部屋に入って来た。
 ……あ、これは覗いていたな。

 少し歩き方が変な気もしたが、流石に覗き見しながら一人で…は無いよな。うん。きっと。多分。

 アリアさんはフローラが裸のままだったので、タオルを被せ隣の部屋に一緒に連れて行った。

 俺は一人になったベッドの上で、何気なくシーツを見た。汗なのか愛液なのかしっとりと濡れている。さっきまでここでフローラと…考えるとまた元気に・・・なってしまうから、思考を切り替えよう。

 自分のステータスを開く

名前:アオイ
年齢:26
職業:転移者
LV:30
HP:700
MP:2050
状態:良好+
称号:転移者・初めてを奪いし者
スキル:健康LV3 精神耐性LV4
   :奇跡
   :代用
   :鑑定LV5
   :処女狩り
   :アイテムボックス



「いや、ツッコミたい放題だな」

 女神様のチュートリアル期間?のお陰で、確かにLVが上がっている。ただ、このLVが高いのか低いのかが分からないから、何とも言えないな。HPとMP数字のキリが良過ぎる。まぁ見やすいから良いんだけどさ。
 状態が良好から良好+になってるな。
 
 称号…何だよ『初めてを奪いし者』って。

 この世界の人は処女をもらうとこんな称号付くの?!

 いや、光栄なことだけど、人に見せられないな。ステータス鑑定とかされて、「あぁ、こいつやったな」みたいに思われちゃうじゃん。

 っと、ちょっと待て。王様に鑑定されたらやばくね?
「良くも娘を傷物に!」
 とか言って襲ってきそうだわ…。

 はぁ、後で考えよう。

 健康と精神耐性のLVが上がってるのか。

 後は…鑑定と処女狩りとアイテムボックスか。

 『鑑定』はさっき王様が見せてくれたから分かるけど…なんだ『処女狩り』って。穏やかじゃないスキル名だな。

『処女狩り』
効果:処女に対して性交をする時、相手の好感度が高ければ高いほど、様々な加護を与える事が出来る。好感度が低ければ低いほど、相手は隷属の呪いにかかる可能性が高まる。

「隷属の呪いって…つまり奴隷みたいになるって事?一気に悪役じゃないか」

 俺は頭に手を当てた。これは、後でフローラのステータス見せてもらわないと。隷属なんて駄目だろう。

 不安は不安だが、それは後で確認しよう。それに、今後誰かとセックスする。ましてや処女の女の子とセックスする機会なんて無いだろうし。フローラが大丈夫ならそれでいいか。

「アイテムボックスか。これは異世界の定番だよな、と言っても、使い方が分からん」

 俺は独り言を言いながら、『アイテムボックス』の詳細を確認する。

『アイテムボックス』
効果:異空間にアイテムを収納する。生き物は収納不可。現在の収納可能重量「30㎥又は300kg」
触れるだけで収納可能。

「なるほど。で、出す時どうすんの?これ」

 とりあえず試してみよう。

 ベッドの上にあるシーツ…では無く、このふかふかの枕にしよう。

 枕に手を触れ、収納とイメージする。

 すっ――、

「おお!まじか!」

 枕が消えた。これは説明が難しいかもしれない。感覚としては、脳内の倉庫の中に入れた感じで、そこに在るのも分かってる。取り出すイメージをすると

 すっ――、

「成功じゃん!」

 自分がイメージした通りに出てきた。

「これは便利すぎるな。四次元のあのポケットと一緒か」

 『アイテムボックス』の事も大体分かった。これは想像だが、俺のLVによって収容できる容量が上がると思っている。寧ろ確信に近い。まぁそれも今度確認すればいいだけだが。

 俺はベッド際に座りなおす。すると、丁度こちらへ歩いて来るフローラとアリアが見えた。

「どうして裸のままなのですか!変態なんですか?!」

 アリアさんにめっちゃ怒られた。





☆☆☆☆☆




 アリアさんに投げつけられたタオルを腰に巻き付け、俺は風呂場までやって来た。
 石風呂って感じで、デカイ一枚岩を綺麗に削って浴槽にしている。

「これ、大理石っぽいんだよな。幾らすんの、これ」

 庶民染みた感想しか出てこないが、有難くお湯を頂くとしよう。

 軽く体を流し、湯船に浸かる。まさか、お湯に浸かれるとは思っていなかったので、これは正直有難い。

 薄々感じてはいたんだけど、これって……夢では無いよな。

 このお湯の暖かさと、身体がジンワリと温まっていく感じ……いくら何でも、夢では在り得ない。

 あぁ、因みにこの部屋は、ベッドがあった部屋と同じくらいの広さがある部屋を間仕切りで2つに分けている。間仕切りの反対側は、調理スペースだ。水場が近くないと魔石が余分に必要になってしまうから、この世界では、調理場と風呂は大体隣り合っているそうだ。

 アリアさんが顔だけだして「これをお召しになって下さい」って、服だけ置いてサッと消えた。良い人なんだよな。きっと。


☆☆☆☆☆


 ベッドの部屋に戻ると、フローラはソファに座り、紅茶を飲んでいた。

 お互いの視線が重なり、何とも気恥しい空気が流れた。

「う、うんっ!」

 ワザとらしくアリアさんが咳ばらいをしてくれたお陰で、我に帰る事が出来た。

「あ、あの、良かったらアオイ様もお茶をどうぞ」

「あぁ、有難う。頂くよ」

 とりあえずフローラの向かいの椅子に座る。
 なにこれ。何喋って良いか分からないんだけど。16歳の女の子に26歳が照れて何も喋れないなんて。はぁ。

 夢じゃないと意識した途端に、照れるのは何故だ。俺。

 そんな俺を見て空気を読んだのか、アリアさんは調理場の方に消えていった。

 いかん、気を取り直してフローラに話しかけた。

「フローラ、お願いがあるんだけど」

「はい、私に出来る事なら。あ…でも、さっきみたいな・・・・・・・事は流石に…」

 照れながらフローラは言う。

「違う違う!そうじゃなくて!」

 俺は何を必死に弁解しているのか分からないが、ただ、何となく思い出して恥ずかしかった。

「違うのですか?私はもう少し体を休めさせて頂ければ…その…いつでも…」

 頬を赤らめて言うんじゃないよ!その気になっちゃうからね!

「いや、実は、フローラのステータスを見せてほしいんだ」

「ステータスですか?大丈夫ですよ?どうしたら良いですか?」

「そのまま何もしなくて大丈夫。鑑定のスキルを持っているから」

「え!アオイ様、鑑定のスキルお持ちなのですか?!それは凄い!」

 いや、そんなキラキラした目で見ないでおくれよ。別に俺の力で手に入れた訳じゃないからさ…。

「たまたまね。ほんと。あ、じゃあ見させてもらうね」

「はい。どうぞ」

 フローラが何故か俺の方に向いて座り直し、姿勢を正してる。
 証明写真じゃないんだから。可愛いけども。

「鑑定」

名前:フローラ・アグストリア
年齢:16
身長:151cm
体重:40kg
職業:王女
LV:3
HP:50/50
MP:20/20
状態:良好+
スキル:アオイの加護LV10


 項目が王様のより増えてるな。って、個人情報丸出しだな。知りたい気もするけど、知りたくも無かった。あ、オンオフ出来るの?便利だね。

 んで、さっきのまでの状態が、睡眠と■■■■■■■ってなってたから、あの正体不明のが、術式ってやつだな。
 アオイの加護って…。これ俺の処女狩りの効果だよな。やっぱり。とりあえず、隷属になってなくて良かったよ。

 好感度が高かったのは純粋に嬉しいけど、どんな効果があるんだろう。
 好奇心から詳細を見てみた。そして、少しだけ後悔する。

『アオイの加護』
効果:取得経験値100倍・魔法耐性・術式耐性・健康LV3・精神耐性LV4
  :自動回復(永続)・奇跡の残滓(小さな奇跡をおこす事が出来る)




 ………まぁ………何と言うか、あれだ。

 とんでもないスキルお化けになってしまっておられる。

 俺の加護って、一体どうなってんの?俺自身より凄くないですか?いや、まぁ、フローラに害のあるものでは無いから良かったけど。これは正直に教えるべきか……。

「どうですか?」

 フローラが俺の顔を覗き込む。

「あぁ、大丈夫だ。もう何の心配も要らない。寧ろ、俺と同じ『健康』ってスキルがあって、多分風邪もひかないと思うよ」

「アオイ様と一緒なんですか?!ふふっ、それは嬉しいですっ」

 そんな嬉しそうに…他のスキルについては、また今度でいいか。
 



☆☆☆☆☆


 暫くして、アリアさんが食事の用意を始めた。
 何か手伝おうか?と言ったら、

「アオイ様は今は・・私の主様みたいなものなので、こき使う訳にはいきませんよ」
 って断られちゃった。

 異世界に来たのが何時だったか分からないけど、夕食の時間らしい。

 アリアさんが用意してくれたのは、なんとかって動物の肉のステーキとなんとかって香草のサラダ。それにコーンスープみたいなスープだった。あと、赤ワイン。

 肉は柔らかくて、ホロホロと口の中で溶けていく感じ。食感は豚の角煮に近いかも。味付けは塩だ。サラダは、なんて言うか…草だな。うん。いや、これはアリアさんが悪いんじゃなくて、オイルと塩と少しレモンの風味があって、女の子は好きなんだと思う。食べますよ?ただ、男の一人暮らしは、サラダなんて食べないからね。
 スープはコーンスープまんまだった。美味しい。

 赤ワインって苦手意識があったんだけど、この赤ワインは凄く飲みやすかった。初めて美味い!って思ったよ。

 アリアさんは最初、自分は後で食べるっていうから、無理を言って食事をご一緒してもらってる。だって、3人しかいないんだから。色々話も聞きたいじゃないか。


 そういえばこの部屋、窓が無いんだよ。何でも、外からの侵入を防ぐ為なんだそうだ。

 明かりは、魔石を使って照らしている。つくづく便利だな。魔石って。

 まぁ、便利だからこそ魔石の採掘権を争って戦争が度々起きているそうだ。
 どこの世界でも戦争が起こる理由なんて変わらないのかもしれないな。

 このアグストリアは、周辺諸国とは友好的な関係を保っているらしく、戦争の危険は今のところは無い。らしい。
 魔石も潤沢とまではいかないまでも、それなりの採掘量があるそうだ。

 アリアさんもフローラもワインを飲んで、少し饒舌になってるのかもな。

 アリアさんは俺の事をまるっきり信用していなかったそうだ。そりゃそうだよ。
 でも実際にフローラが元気になって、少しは信用を得られたみたい。

 そうそう、フローラの体調が戻った所で、外に出てもいいんじゃないかって話をした時に、

「絶対反対です。女神さまに1週間のチュートリアル?を頂いたってききました。でしたらその間は3人で留まるべきです!」

 と、フローラに詰め寄られたって訳ですよ。俺的には良いんだけど、ホントに大丈夫かな。

 そんなこんなで、夜も良い時間になって来たところで、片付けをし、俺とフローラは寝間着に着替え、各自寝る事になった。

 俺のスーツは「アイテムボックス」にでも入れておこう。

 アリアさんはまだ仕事があるらしく、メイド服のままだ。

 フローラは自分のベッドで。ベッドとソファーの間には、一応目隠し的な間仕切りを設置していた。一応、マナーなんだそうだ。

 アリアさんは奥の部屋に簡易ベッドを用意してあるらしい。

 まあ俺はソファーでもいいしな。

「アリア、少しいいかしら」

「はい、何でしょう、お嬢様」

 フローラはアリアを呼びつけると、何やら話している。俺には聞こえないが、そんな事気にならんさ。

 話が終わって、アリアさんは俺たちに一礼して奥の部屋に消えた。

「アオイ様、今日は何だか疲れてしまったので、先に失礼しますね」

「あぁ、おやすみ。また明日な」

 フローラはソファーから立ち上がり、ベッドへと向かった。

 俺はそれを見送り、ベッドとは反対側にある本棚の前に立った。不思議と文字が読める。

 特段気になるものは無かったが、『魔法の基礎』ってタイトルの本があるもんだから、お借りしますよね。
 ソファーに座り、本を開く。ワインを少し口に含み唇を湿らせる。

 貴族みたいだ…。

 そんな下らない感想を抱いていると、向こうの部屋からお湯を流す音が聞こえてくる。

 アリアさんが風呂に入って居るんだろう。そういえば、アリアさんて、意外と可愛いよな。何歳位なのかな。鑑定したら早いけど、流石にマナー違反だろう。

 意識を違う方向に向ける為に、『魔法の基礎』に目を落とす。

 魔法の基礎
 魔法を行使するには、行使する魔法に相応した魔法力MPが必要とされる。
 魔法には基本属性【火・水・風・土・木】が存在する。
 魔法には上級属性【時・光・闇】が存在する。
 
 属性は生まれながらに持ち合わせている先天性のモノと、加護やスキルによって取得する後天性のモノがある。
 
 属性を持ち合わせていない魔法においては行使する事は理論上可能である。この場合、本来よりも多くの魔法力MPを必要とする。

 上級属性に関しては、先天性以外での習得条件が不明である。
 上級属性の持ち主に関しては、各国で数える程しか存在しない。故に、各国においても要職に就くものが殆どである。




「まぁ、なんだ。思ってた通り。って感じだな。」

 良くあるRPGとかと一緒だった。特別な情報は無かった。強いて言えば、属性は後からでも習得出来るって事かな。
 俺も魔法を使いたいよ。



☆☆☆☆☆



 ワインを飲みつつ『魔法の基礎』を流し読みしてたら、随分時間が経っていたみたいだった。照明が寝るのに丁度良い明るさまで光度を落としてあって、眠気を誘う。
 ちょっと飲み過ぎたかも知れない。

 アリアさんもきっと寝てしまっただろう。

 うん…いい感じ。寝れそう。

 ソファーにゴロンと横になり、目を閉じた。不思議と寒かったり暑かったりはない。

 

「あの…アオイ様…起きていらっしゃいますか?」

 俺は少し眠っていたらしく、鉛の様に重たくなった瞼をこじ開ける。

「ん?あぁ…アリアさん。どうしました?」

「お願いがあるのですが」









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