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第1章 【異世界召喚】アグストリア城
第12話 侍女サリーと国王たちと。
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俺が異世界に来て、1週間が経とうとしていた。
もう、これが夢だったなんて思っていない。ここは異世界なんだ。だって……気持ち良かったし。
結局フローラとアリアとは、数えきれない程の回数肌を重ねた。
いや、ホントは何回したか覚えてるけども…。
部屋のドアを開け、王様を呼んでもらい、そしてフローラが無事に治ったと報告をすれば作戦完了だ。
「アオイ様。折角ですので、このワインを持ち帰りませんか?勿体ないですし……」
俺のスキルに『アイテムボックス』があるのは、二人には伝えている。隠しても仕方ないしね。
そこでアリアが、このワインを『アイテムボックス』に収納しようと提案してきた。まぁ、これには俺も反対する要素が無いので、あるだけ収納した。…泥棒じゃないよ?ほら、ホテルとかかでも備え付けの飲み物とか飲むよね?有料だけど…。
「さてと、二人共。準備はいいかい?」
「アオイ様。お会いできるの……これが最後……じゃないですよね……?」
フローラは上目使いで今にも泣きそうな顔を向けてくる。
「前にも言ったけど、最後じゃないだろ?まぁ直ぐには無理かもしれないけど。それも王様次第だし。この後の俺の処遇が気になるところではあるな」
優しくフローラの髪を撫で、そっと抱き寄せて触れるだけのキスをした。
いや、今からその気になったらまずいでしょ。3人とも蕩けてたら、もう完全アウトでしょうよ。
実は事前に、俺がこの部屋から出た時の事を話し合っておいたんだ。
パターン①
フローラが全快した事で、俺に特別待遇が与えられて、暫くこの城に滞在できるパターン。
一番理想的なパターンかも知れない。これなら、フローラにもアリアにも会う事が出来そうだ。
パターン②
もう用済みなので、城を追い出されるパターン。
俺はこれが一番ありそうだと思っている。
王様は娘が大事で仕方ない感じだから、俺をフローラの傍には置かないだろうと踏んでいる。
そうなったら、冒険者にでもなれば良いかと考えている。
でもこれだと、フローラとアリアに会うのが難しくなる。最悪攫って逃げる事も考えている。二人の気持ち次第だけど。
パターン③
娘を傷物にした罪で、投獄または何らかの処罰を受ける。
次点でありそうなのがこれ。
これは王様の鑑定で何処まで見れるのかにもよるけど、職業がアオイの婚約者になってるからな…。見えないといいなぁ。絶対見えちゃうんだろうけど…。暫く鑑定をしないでくれと願うばかりだ。
流石にこうなると、どうにかして逃亡を図る事になるだろうけど。
『奇跡』を使って逃げるか。条件が法外じゃない事を祈ろう。
とまぁ、考えても仕方ない。出たとこ勝負だ。
アリアが俺を凝視している。怖いよ…。
俺は苦笑いしながら、フローラを開放し、アリアを抱きしめた。
「忘れられているかと思いました」
「んなバカな。忘れられるハズ無いだろう?」
「そうですか。それはきっと良い心掛けだと思います」
そんな軽口を交わしながら、俺とアリアはキスをした。
名残惜しそうに唇と唇が離れる。
さて。いよいよだな。
身だしなみを整え、俺はドアを開けた。
予め待機していたのだろう、侍女が2名程立っていた。
「姫様は無事だ。王様に知らせて来てくれ」
俺がそう言うと、侍女の一人が返事をした。
「は、はいっ!只今っ!」
返事をした侍女が通路の向こうに消えていった。
残った侍女はと言うと。
「姫様、体調はいかがですか?」
フローラの事を心配してくれている様だ。
でも何でだろう。俺、睨まれている気がするんだけど。
「心配してくれてありがとうサリー。もう大丈夫よ」
フローラが笑顔を見せると、サリーと呼ばれた侍女はその顔を綻ばせた。
「では……この男は用済みでしょうか。ご要望とあれば、私が処分致しますが」
「はい?」
あー、まぁアリアが『暗殺術』とか持っているもんだから、予想はしてたよ?あれでしょ?この侍女の子も持ってるんでしょ?『暗殺術』。
「サリー。止めておいた方が良いわ。貴方では絶対に勝てないわ。まぁ、それは私もなんだけど」
「アリア様、ご冗談を」
いや、アリアは直ぐに俺のLVを上回る気がしてるんだけど……。そしたら俺じゃあ勝てないだろうよ。
「サリー……。止めなさい」
アリアは殺気を放った。これ以上は許さないという意思を込めた言葉に。
サリーはびくりと身体を震わせ、姿勢を正し頭を垂れた。
「申し訳ありません。アリア様…」
「謝る相手を間違えているわ」
サリーは渋々といった雰囲気で俺の方に体を向け、キッと俺を睨みながら謝って来た。
「——……申し訳ありませんでした」
謝る気皆無なのが逆に清々しくてね。
「はは…消さないでもらえて助かるよ…」
「アオイ様。申し訳ありません。今後この様な事が無いよう、しっかりと調教してきますので」
んー?ニュアンスが何か変だけど…何だろう。気にしたら負けな気がする。
「アオイ様っ、私からも。我が国の侍女が、大変申し訳ありません。どうか、お許しを……」
フローラとアリアが二人して俺に頭を下げるもんだから、侍女がかなり焦ってるのが分かる。
「二人共止めてくれ、頼むから。怒ってないからっ」
その言葉を聞いて、二人は顔を上げた。
「アオイ様が焦ってるのを見ると、何でしょう。もっと意地悪をしたくなるのです。まぁ冗談ですが」
「いやアリア。冗談に聞こえないんだけども」
「ふふ、どうなんでしょうね」
くすくす笑いながら、なんか誤魔化されたんだけど。
「アオイ様、この国の侍女がした事なので、私にも責任があると思います」
「なっ!姫様!何を」
フローラはサリーを無視して続ける。
「ですので、お詫びとして…私を…正式に妻としてもらって頂けませんか?」
「「「はい?」」」
フローラ以外の全員が呆気にとられた。
「あれ?間違えましたか?これなら、サリーの事も許してもらえるし、私もアオイ様の元にと嫁げるので、一石二鳥というやつではないかと」
「お、おぅ…。とりあえず気持ちは受け取っておくが、それ、王様の前で言っちゃ駄目だからな?一応……今はな」
「えへへ、言質。取りましたからねっ」
フローラの笑顔が咲いた瞬間だった。
「あーーーーー!フローラ!マジ可愛い!!天使だよ、て、ん、し!結婚して欲しい!今すぐ!あーもう!今すぐ抱きしめたいわ!もういっそ俺の子を孕む迄、永遠と中でピュッピュするからな!」
とは口が裂けても言えないので、笑顔でフローラの頭をナデナデした。
この甘々な空気に毒気を抜かれたサリーは、只呆然と理解出来ない不思議空間を見守る事しか出来なかった。
「サリー、姫様が言った事は忘れなさい。それが貴女の為よ」
アリアに口止めされては、従うしかない。アリアの方が立場も実力も上なのだ。
「わ…かりました」
そう言って、その後何かを喋ることは無かった。
若干居た堪れない気持ちになったが、一瞬でも敵意を向けられてるし、気にするのは止めようと思った。
良く見るとサリーは背が低めで、可愛らしい顔立ちをしている。
会社とか学校のクラスに居たら人気者だな。
俺は気付かれない様に鑑定を使った。
名前:サリーサ・ナイトレイ
年齢:17
身長:149cm
体重:42kg
職業:メイド
lV:15
HP:140/140
MP:75/75
状態:混乱
スキル:奉仕
:暗殺術LV1
:隠密
やっぱり持ってたね。『暗殺術』。後、『隠密』って…。忍者じゃないんだから。
ここのメイド達は、顔採用だけじゃなく、戦えるのが常識なのか…。
☆☆☆☆☆
暫くして、王様は別室で待機しているとの事なので、そちらへ案内されて向かうのだった。
気を引き締めて、案内された部屋へ入る。
部屋の中には王様と、見た事の無い男が2人女が1人いた。
王様がフローラに駆け寄り、
「おぉーっ、フローラぁ!無事で…無事で何よりだ」
王様が泣きながらフローラを抱きしめる。あ、ついおっさんとか思っちゃった。
「お父様、ご心配をおかけしました。この通り、アオイ様のお陰で…。あと、苦しいですっ」
フローラはそう言い放ち、少し暑苦しい王様から離れた。
「嬉しくてついな。して、アオイよ。どの様にしてフローラを助けたのか聞いても良いか?」
きた。これは下手な事言えない場面だ。
「はい、王様。王様もご存じの様に、姫様をお救いする為には、一億もの生命力が必要でした。しかし、女神様の協力の元、何とかそれを乗り越える方法を用いて、姫様をお助けする事が出来ました。
しかし、その方法については、語れない制約になっております。もし語ってしまうと、どんな災いが起こるか分かりません。姫様がまた同じように病に伏せってしまう可能性も御座います。ですので、何卒方法に付きましては、どうか詮索などなさいません様にお願いいたします。国王様に対して、大変無礼だとは存じますが。何卒」
別に女神様との制約はしていないけど、秘密にしておいた方が良い事だってある。
それに、此処で詮索の目を潰しておかないと、後々絶対面倒な事になる。
「ふむ。あい分かった。確かに人智を超えた女神さまのお力添えがあった事は確かであろう。ならば今は不問とする。大儀であった、アオイ殿」
「勿体なきお言葉」
っしゃー!勝ったぞ!とりあえずこの場は何とかなった!
後は、ここからどうやって退散するかだが…。
俺はこの後、問題が発生するだろう事を予感していた。
いや…確信していた。
何故なら、王様の後ろに待機していた3人だが。
まぁ、勝手に鑑定させてもらいますよ。何故だか無詠唱で出来ちゃうのに気付いたからさ。
一人はこの国の宰相
名前:ガイアス・メウィザード
年齢:56
身長:175cm
体重:70kg
職業:宰相/マジックキャスター
lV:30
HP:140/140
MP:300/300
状態:健康
称号:アグストリアを支えし者
魔法:火属性
:光属性
スキル:暗殺術LV2
:看破LV1
:速読
:人心掌握LV1
:詠唱短縮LV1
これ、この国の宰相って位だから、きっと強いんだろうな。って、この人も『暗殺術』持ってんのかいっ。何なんだ、この国は。
宰相さんは問題ないんだよ。問題は次だよ、次。そこの2人。はぁ……。
名前:グズリン・ナイトフィーバー・ローズィリア
年齢:17
身長:165cm
体重:85kg
職業:ローズィリア国 第2皇子/奴隷使い
lV:10
HP:80/80
MP:40/40
状態:怒り/興奮/嫉妬
称号:クズ息子
スキル:奴隷使役
これだよ。グズリンだよ。アリアに奴隷の術式掛けたヤツの元凶。
確か…
『上級奴隷術式』
効果:一般的な奴隷術と違い、奴隷紋は首には出現しない。
:命令を遂行しているか、拒否しているかは術者が分かる様になっている。
契約内容:グズリン様以外がフローラを助けようとした場合、対象者を排除。
だったか。
はい。これで確定。
称号に『クズ息子』ってなるの凄くない?だって、称号だよ??どんだけだよ…。
後は…どっちかって言うと、次がヤバイ。
名前:マール(魔族)
年齢:127
身長:160cm
体重:48kg
職業:騎士
lV:60
HP:534/534
MP:475/475
状態:隷属
称号:グズリンの奴隷
魔法:火属性
:風属性
:闇属性
スキル:上級奴隷術式
:魅了
:エナジードレイン
:バーンアウト
:魔法剣
魔族だよ…。ホントに居るんだね。ぱっと見、普通の女の子にしか見えないんだけど。だけど、こいつが一番ヤバイ。今まで見てきたLVじゃない。どうすっか…。とりあえず様子を見るしかないんだけど、このまま終わる訳がない…よな。
というか、グズリンの奴隷か……。つまり、この魔族の子が奴隷術式使ったって事か。
……はぁ。
もう、これが夢だったなんて思っていない。ここは異世界なんだ。だって……気持ち良かったし。
結局フローラとアリアとは、数えきれない程の回数肌を重ねた。
いや、ホントは何回したか覚えてるけども…。
部屋のドアを開け、王様を呼んでもらい、そしてフローラが無事に治ったと報告をすれば作戦完了だ。
「アオイ様。折角ですので、このワインを持ち帰りませんか?勿体ないですし……」
俺のスキルに『アイテムボックス』があるのは、二人には伝えている。隠しても仕方ないしね。
そこでアリアが、このワインを『アイテムボックス』に収納しようと提案してきた。まぁ、これには俺も反対する要素が無いので、あるだけ収納した。…泥棒じゃないよ?ほら、ホテルとかかでも備え付けの飲み物とか飲むよね?有料だけど…。
「さてと、二人共。準備はいいかい?」
「アオイ様。お会いできるの……これが最後……じゃないですよね……?」
フローラは上目使いで今にも泣きそうな顔を向けてくる。
「前にも言ったけど、最後じゃないだろ?まぁ直ぐには無理かもしれないけど。それも王様次第だし。この後の俺の処遇が気になるところではあるな」
優しくフローラの髪を撫で、そっと抱き寄せて触れるだけのキスをした。
いや、今からその気になったらまずいでしょ。3人とも蕩けてたら、もう完全アウトでしょうよ。
実は事前に、俺がこの部屋から出た時の事を話し合っておいたんだ。
パターン①
フローラが全快した事で、俺に特別待遇が与えられて、暫くこの城に滞在できるパターン。
一番理想的なパターンかも知れない。これなら、フローラにもアリアにも会う事が出来そうだ。
パターン②
もう用済みなので、城を追い出されるパターン。
俺はこれが一番ありそうだと思っている。
王様は娘が大事で仕方ない感じだから、俺をフローラの傍には置かないだろうと踏んでいる。
そうなったら、冒険者にでもなれば良いかと考えている。
でもこれだと、フローラとアリアに会うのが難しくなる。最悪攫って逃げる事も考えている。二人の気持ち次第だけど。
パターン③
娘を傷物にした罪で、投獄または何らかの処罰を受ける。
次点でありそうなのがこれ。
これは王様の鑑定で何処まで見れるのかにもよるけど、職業がアオイの婚約者になってるからな…。見えないといいなぁ。絶対見えちゃうんだろうけど…。暫く鑑定をしないでくれと願うばかりだ。
流石にこうなると、どうにかして逃亡を図る事になるだろうけど。
『奇跡』を使って逃げるか。条件が法外じゃない事を祈ろう。
とまぁ、考えても仕方ない。出たとこ勝負だ。
アリアが俺を凝視している。怖いよ…。
俺は苦笑いしながら、フローラを開放し、アリアを抱きしめた。
「忘れられているかと思いました」
「んなバカな。忘れられるハズ無いだろう?」
「そうですか。それはきっと良い心掛けだと思います」
そんな軽口を交わしながら、俺とアリアはキスをした。
名残惜しそうに唇と唇が離れる。
さて。いよいよだな。
身だしなみを整え、俺はドアを開けた。
予め待機していたのだろう、侍女が2名程立っていた。
「姫様は無事だ。王様に知らせて来てくれ」
俺がそう言うと、侍女の一人が返事をした。
「は、はいっ!只今っ!」
返事をした侍女が通路の向こうに消えていった。
残った侍女はと言うと。
「姫様、体調はいかがですか?」
フローラの事を心配してくれている様だ。
でも何でだろう。俺、睨まれている気がするんだけど。
「心配してくれてありがとうサリー。もう大丈夫よ」
フローラが笑顔を見せると、サリーと呼ばれた侍女はその顔を綻ばせた。
「では……この男は用済みでしょうか。ご要望とあれば、私が処分致しますが」
「はい?」
あー、まぁアリアが『暗殺術』とか持っているもんだから、予想はしてたよ?あれでしょ?この侍女の子も持ってるんでしょ?『暗殺術』。
「サリー。止めておいた方が良いわ。貴方では絶対に勝てないわ。まぁ、それは私もなんだけど」
「アリア様、ご冗談を」
いや、アリアは直ぐに俺のLVを上回る気がしてるんだけど……。そしたら俺じゃあ勝てないだろうよ。
「サリー……。止めなさい」
アリアは殺気を放った。これ以上は許さないという意思を込めた言葉に。
サリーはびくりと身体を震わせ、姿勢を正し頭を垂れた。
「申し訳ありません。アリア様…」
「謝る相手を間違えているわ」
サリーは渋々といった雰囲気で俺の方に体を向け、キッと俺を睨みながら謝って来た。
「——……申し訳ありませんでした」
謝る気皆無なのが逆に清々しくてね。
「はは…消さないでもらえて助かるよ…」
「アオイ様。申し訳ありません。今後この様な事が無いよう、しっかりと調教してきますので」
んー?ニュアンスが何か変だけど…何だろう。気にしたら負けな気がする。
「アオイ様っ、私からも。我が国の侍女が、大変申し訳ありません。どうか、お許しを……」
フローラとアリアが二人して俺に頭を下げるもんだから、侍女がかなり焦ってるのが分かる。
「二人共止めてくれ、頼むから。怒ってないからっ」
その言葉を聞いて、二人は顔を上げた。
「アオイ様が焦ってるのを見ると、何でしょう。もっと意地悪をしたくなるのです。まぁ冗談ですが」
「いやアリア。冗談に聞こえないんだけども」
「ふふ、どうなんでしょうね」
くすくす笑いながら、なんか誤魔化されたんだけど。
「アオイ様、この国の侍女がした事なので、私にも責任があると思います」
「なっ!姫様!何を」
フローラはサリーを無視して続ける。
「ですので、お詫びとして…私を…正式に妻としてもらって頂けませんか?」
「「「はい?」」」
フローラ以外の全員が呆気にとられた。
「あれ?間違えましたか?これなら、サリーの事も許してもらえるし、私もアオイ様の元にと嫁げるので、一石二鳥というやつではないかと」
「お、おぅ…。とりあえず気持ちは受け取っておくが、それ、王様の前で言っちゃ駄目だからな?一応……今はな」
「えへへ、言質。取りましたからねっ」
フローラの笑顔が咲いた瞬間だった。
「あーーーーー!フローラ!マジ可愛い!!天使だよ、て、ん、し!結婚して欲しい!今すぐ!あーもう!今すぐ抱きしめたいわ!もういっそ俺の子を孕む迄、永遠と中でピュッピュするからな!」
とは口が裂けても言えないので、笑顔でフローラの頭をナデナデした。
この甘々な空気に毒気を抜かれたサリーは、只呆然と理解出来ない不思議空間を見守る事しか出来なかった。
「サリー、姫様が言った事は忘れなさい。それが貴女の為よ」
アリアに口止めされては、従うしかない。アリアの方が立場も実力も上なのだ。
「わ…かりました」
そう言って、その後何かを喋ることは無かった。
若干居た堪れない気持ちになったが、一瞬でも敵意を向けられてるし、気にするのは止めようと思った。
良く見るとサリーは背が低めで、可愛らしい顔立ちをしている。
会社とか学校のクラスに居たら人気者だな。
俺は気付かれない様に鑑定を使った。
名前:サリーサ・ナイトレイ
年齢:17
身長:149cm
体重:42kg
職業:メイド
lV:15
HP:140/140
MP:75/75
状態:混乱
スキル:奉仕
:暗殺術LV1
:隠密
やっぱり持ってたね。『暗殺術』。後、『隠密』って…。忍者じゃないんだから。
ここのメイド達は、顔採用だけじゃなく、戦えるのが常識なのか…。
☆☆☆☆☆
暫くして、王様は別室で待機しているとの事なので、そちらへ案内されて向かうのだった。
気を引き締めて、案内された部屋へ入る。
部屋の中には王様と、見た事の無い男が2人女が1人いた。
王様がフローラに駆け寄り、
「おぉーっ、フローラぁ!無事で…無事で何よりだ」
王様が泣きながらフローラを抱きしめる。あ、ついおっさんとか思っちゃった。
「お父様、ご心配をおかけしました。この通り、アオイ様のお陰で…。あと、苦しいですっ」
フローラはそう言い放ち、少し暑苦しい王様から離れた。
「嬉しくてついな。して、アオイよ。どの様にしてフローラを助けたのか聞いても良いか?」
きた。これは下手な事言えない場面だ。
「はい、王様。王様もご存じの様に、姫様をお救いする為には、一億もの生命力が必要でした。しかし、女神様の協力の元、何とかそれを乗り越える方法を用いて、姫様をお助けする事が出来ました。
しかし、その方法については、語れない制約になっております。もし語ってしまうと、どんな災いが起こるか分かりません。姫様がまた同じように病に伏せってしまう可能性も御座います。ですので、何卒方法に付きましては、どうか詮索などなさいません様にお願いいたします。国王様に対して、大変無礼だとは存じますが。何卒」
別に女神様との制約はしていないけど、秘密にしておいた方が良い事だってある。
それに、此処で詮索の目を潰しておかないと、後々絶対面倒な事になる。
「ふむ。あい分かった。確かに人智を超えた女神さまのお力添えがあった事は確かであろう。ならば今は不問とする。大儀であった、アオイ殿」
「勿体なきお言葉」
っしゃー!勝ったぞ!とりあえずこの場は何とかなった!
後は、ここからどうやって退散するかだが…。
俺はこの後、問題が発生するだろう事を予感していた。
いや…確信していた。
何故なら、王様の後ろに待機していた3人だが。
まぁ、勝手に鑑定させてもらいますよ。何故だか無詠唱で出来ちゃうのに気付いたからさ。
一人はこの国の宰相
名前:ガイアス・メウィザード
年齢:56
身長:175cm
体重:70kg
職業:宰相/マジックキャスター
lV:30
HP:140/140
MP:300/300
状態:健康
称号:アグストリアを支えし者
魔法:火属性
:光属性
スキル:暗殺術LV2
:看破LV1
:速読
:人心掌握LV1
:詠唱短縮LV1
これ、この国の宰相って位だから、きっと強いんだろうな。って、この人も『暗殺術』持ってんのかいっ。何なんだ、この国は。
宰相さんは問題ないんだよ。問題は次だよ、次。そこの2人。はぁ……。
名前:グズリン・ナイトフィーバー・ローズィリア
年齢:17
身長:165cm
体重:85kg
職業:ローズィリア国 第2皇子/奴隷使い
lV:10
HP:80/80
MP:40/40
状態:怒り/興奮/嫉妬
称号:クズ息子
スキル:奴隷使役
これだよ。グズリンだよ。アリアに奴隷の術式掛けたヤツの元凶。
確か…
『上級奴隷術式』
効果:一般的な奴隷術と違い、奴隷紋は首には出現しない。
:命令を遂行しているか、拒否しているかは術者が分かる様になっている。
契約内容:グズリン様以外がフローラを助けようとした場合、対象者を排除。
だったか。
はい。これで確定。
称号に『クズ息子』ってなるの凄くない?だって、称号だよ??どんだけだよ…。
後は…どっちかって言うと、次がヤバイ。
名前:マール(魔族)
年齢:127
身長:160cm
体重:48kg
職業:騎士
lV:60
HP:534/534
MP:475/475
状態:隷属
称号:グズリンの奴隷
魔法:火属性
:風属性
:闇属性
スキル:上級奴隷術式
:魅了
:エナジードレイン
:バーンアウト
:魔法剣
魔族だよ…。ホントに居るんだね。ぱっと見、普通の女の子にしか見えないんだけど。だけど、こいつが一番ヤバイ。今まで見てきたLVじゃない。どうすっか…。とりあえず様子を見るしかないんだけど、このまま終わる訳がない…よな。
というか、グズリンの奴隷か……。つまり、この魔族の子が奴隷術式使ったって事か。
……はぁ。
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