17 / 101
第1章 【異世界召喚】アグストリア城
第17話 結婚の条件①
しおりを挟む結婚する事を認められたと言っても、今の俺はこの世界では無職な訳で。それにこの世界の事を何も知らない。フローラとアリアが最高に可愛くて、ワインが美味い位しか知らん。
そこで王様からは「冒険者でも何でも良いから、世界を見つつ何か功績を立ててこい」と言われた訳。
まぁ、確かにこのままヒモ男みたいな状況じゃ、流石に一国の姫様を娶るのは難しいよな。世論的にも批判凄そうだし。
フローラは気にしないって言うが、俺は気にするよ。
王様的には「まだ16歳になったばかりの娘を嫁にやるには早すぎる!20歳……いや、せめて18歳になってからでないと許さない!」と言うのが本音みたいで。
俺も娘を持ったらそう思うのかな。
で、王様の条件を全面的に飲んで、フローラが18歳を迎えてから結婚をする事になった訳だけど。
後2年の内に、俺、暗殺とかされないよね?
いや、まさかね。世界を見つつとかいって、旅先で襲われたり……。実はそれが目的で最初から厄介払いをする為の口実ってことは?
はぁ、考えるだけ精神が病む。止めよう。
「アオイが旅立つ時には、少しばかり国から援助させてもらおう。まぁ、正直な話それ位しか出来ないしな。そうだな、まずは城下町に行って冒険者でもやってみたらどうだ?」
「援助は有難く。正直、この国のお金持ってないので。冒険者って事は、ギルドがあるんですか?」
そうそう、異世界と言えばこれ!冒険者ギルド!
屈強な戦士たちに、眉目秀麗な受付のお姉さん達。魔物の素材沢山持って行って、ビックリさせちゃうぞっ!みたいな。
「ん?アオイの世界ではギルドと言うのか。成程……冒険者ギルドか。悪くないな」
「えーっと、こっちでは何て名前なんです?」
「依頼斡旋所だ」
「はっ?」
ハローワークでしたぁ……。さよなら俺の異世界!
「何でも、昔に召喚された者がそう呼んだらしいのだが。まぁ、国としては名称なんて大した問題では無いからな。斡旋所で十分なんだが。
それに冒険者と呼ばれてはいるが、実際にやっている事と言えば、大半の者は日銭を稼ぐ為に依頼をこなしているだけだ。労働者、便利屋みたいなもんだな」
おっふ……、これは中々冒険者のイメージが思ってたのと違うな。確かに日雇い労働みたいなもんだけどさ。
王様の話には続きがあった。
「とはいえ、ごく一部の者の冒険者ランクが高い者達が居るのも事実だ。どちらかと言えば、この高ランクの者達が冒険者と言えるだろうな」
成程。要は、ランクが低いうちは冒険者見習いって事か。
実績を積んで評価されればランクも上がって行く。
因みにランクは【Fランク】から始まり【Sランク】が最高だそうだ。
ただ、【Sランク】になる昇級条件がほぼ不可能らしい。
3つの国の斡旋所の本部……あぁっ!
もうっ!
雰囲気出ねぇ!
俺はこれからギルドって呼ぶからな!
その3つのギルド本部から推薦を受け、所属している国から認定を受ける事が条件なんだと。
【F】~【A】までは各ギルドで昇級出来るらしいけど。
だが、もし仮に【Sランク】までいければ、爵位と領地がもらえるそうだ。
「それってつまり、俺に【Sランク】まで上がれって言ってます?」
無理ゲーな予感しかしない。
「まぁ、そこまで言っては無いが。アオイが【Sランク】に到達するのなら、フローラを嫁がせても誰も異存はあるまいよ」
あー、これ嫁にやる気ないやつだ。絶対そうだ。
「……そうすか……、因みに何人位いるんですか?その【Sランク】の冒険者は」
「過去になった者を入れて3人か。現在生きているのは2人だったか」
少なっ!いや、でもまぁ、なれない訳では無いのか。
「確か、一人はまだ現役の冒険者だった様な気がするな。他国の冒険者だから名前しか知らんが。もう一人は爵位を貰い、自分の領地を持っているな。まぁ、その後国になったがな」
いま、サラッと凄い事言ってないか?
「はい?冒険者から一国の主になったって事ですか?」
「そうだ。あぁ、だがクーデターとかではなく、領地が広がり過ぎたらしいな。何でも、荒れた土地をどんどん切り開いて、いくつもの街を作っていったら、自分の所属する国と同規模になったらしいからな。流石に、その国の国王が独立させたって話だ」
「ぶっ飛んでんな。ラノベかよ……」
「ラノベ?は何か知らんが、アオイが他国で活躍して領地でも貰ってくれば、私としては言う事なしなんだが」
「流石にそこまでは……。何年かかるんだ……」
「その3人は早かったらしいな。確か、最速は1年か。正に偉業だな」
「いや、おかしいでしょ」
1年で何が出来るって言うんだ。その短期間で成せる偉業って、魔王の討伐とかじゃないの?ってか、大体魔王なんて居るのか?こっちに来てから聞いた事ないぞ。
「その者は、今生きているのか定かでは無いのだが、話を聞く限りはまだどこかで何かしらしているのだろう。個人的には、表舞台には出て来ない様にひっそりと生きている。そう思っている。と言うより、そんな簡単に死ぬとは思えないからな」
「何やったんですか。その1年で【Sランク】になった人」
「魔王の討伐だ。その者は【勇者】と呼ばれる職業だったと聞いている」
はい、ぶっこんで来ましたよ。魔王いました。勇者もいました。
「それは俺には無理かな――」
勇者じゃないし。今はただの無職だよ、俺。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
783
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる