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第2章 【異世界召喚】冒険者
第73話 交渉。
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目の前に現れたのは、グズリンを脱獄させた張本人。
確かこの人、転移と隠蔽の魔法使えるんだっけ。
いやいや、つまり、この人がその気になれば城になんて侵入し放題って事ですか?
「やだなぁ、君ぃ。そんなに警戒しないでくれよ」
そう言われて「はい、そうですね」とはならないだろうよ。
大体、今転移してきたのか?それともずっと後を付けられていたのか。
「何の様です?もう要件は済んだはずじゃ」
この人自体は、グズリンの一連の流れで此処に来ただけのハズ。
「そうだね、本音を言わせてもらうとアオイ君。君に興味が湧いたから、少しお話でも――。そう思ってたんだけどね。ほら、何だか取り込み中だったみたいだしね。いや、まさかね、王妃様とまでそんな事になってるとは思わなかったんだけどね。それに、そっちのメイドさんもアオイ君のお気に入りだろう?私はね、それなりに沢山の男も女も見て来たけど、君みたいな規格外は嘘偽りなく初めてだよ。うん」
いや、何と言いますか……言い返す言葉が見つからないのですが。
「それは……褒められてるんでしょうか……ね」
「そう!純粋に凄い!と思っているよ!」
そんな嬉々とした表情で褒められても。
「はぁ、えっと、つまり俺に用事があるって事ですよね。だったら、二人は戻らせてもいいですか」
危険が及ぶかも知れない状況だし、出来るならここから遠ざけたいんだけど。
「ん――、きっと何処に居ても危険だと思うよ?」
ん?どういうことだ?
「アオイ様、あの方は敵と認識して宜しいのでしょうか」
アリアが後ろからそう声を掛ける。
「いや、正直俺にも分からないけど、多分、俺でも勝てないかも知れない」
さっき、俺一人ならどうにかなるって言ってたもんな。そこにアリアが加わった所で、王妃様を守りながら戦うとか、分が悪すぎる。
「あぁ、私は君達と争うつもりは無いんだよ。それに、そんな事しなくても、多分この城は一晩も防衛出来ないと思うしね。このままなら。いかにあの有名人が強くても、流石に一人は厳しいと思うよ?」
「さっきから何を――」
「オーガの大群が接近しているんだよ。この城にね」
その言葉に、アリアと王妃様が息を飲む気配が伝わって来た。
「そんな……」
王妃様は口元に手を当て、驚愕している。
「だったら俺も一緒に戦えばっ」
俺だって戦える。バーサーカー状態だったけど、倒せる事は立証されている。
「うん、きっと被害としては減ると思うんだけど、それを黙って私が見ているかなぁ。って、素朴な疑問なんだけどね。正直、オーガが攻めて来て、この城がどうなったとしても私にはそこまで大した事では無いからね。それよりも、私に協力をさせるというのも一つの手ではあると思うよ?」
「協力って……、そんな事いきなり言われても信じられるはず」
「時間は無いんだよ?オーガが接近している事がもしかしたら、そもそも嘘かも知れないし、本当かも知れない。だけど、あの有名人なら、可能性があるなら手段は選ばないと思うよ?」
確かに、手遅れになってしまっては意味が無い。
もしこれが嘘であっても、備えて置く事は別段悪い事でな無い。と思う。
実際に付近にオーガが出没して、それを討伐している訳だし。
「アオイ様……」
アリアが心配そうに俺に声を掛ける。そっと俺の服を指先で掴んでいた。
嘘だろうと本当だろうと、迷っている時間は無い。という――事だよな。
「分かりました。どちらにしても、とりあえず俺は貴方と話をしないといけない様ですし」
素直にこの人が引いてくれる気がしないしな。
「うんうん、良いね!ちゃんと決断できる事は良い事だよ!」
何か、王妃様とは違うベクトルで調子を狂わされている気がするけど。
「王妃様、申し訳ないんですが侍女隊を使って警備体制と周辺の警戒をお願いできますか?宰相様にも連絡してもらえると助かります。あ、あと、レオニードさんにも教えて下さい。アリアはリンダとサリーを連れて、王妃様と合流していてくれ」
正直、警備体勢とか良く分からないから本職の人たちに丸投げしよう。
「俺は、少しこの人と話をしてきます」
「アリア、空いている部屋にご案内して差し上げて。私は、先にやる事があるから」
王妃様はアリアに指示を出すと、俺を一度見て少し微笑んだ。そして、足早に何処かへと向かって行った。
「アオイ様……ご案内致します」
アリアは俺とこの謎の人物を先導して歩き始めた。
俺はアリアの後に続きながら、後ろを警戒していた。まぁ、警戒したところで何が出来る訳でも無いんだけど。
ニコニコしながら謎の人物は俺の後を付いて来る。時折物珍しそうにキョロキョロしていたけど。
そして、空き部屋の前でアリアが止まり、部屋のドアを開けて待っていた。
先に、謎の人物を部屋に通した。
「すまないねぇ。レディーファーストってやつかな?」
そんな感じで流れる様に部屋に入って行った。
俺も部屋に入ろうとした時にアリアに服を引っ張られ、
「ん、どうした?アリア」
俺は振り返りアリアを見た。
「お気を付けて」
アリアはそう言って俺の顔に両手を添え、自分の顔に近付けて――、
そっとキスをした。一瞬だったし、部屋の中からはきっと見えない角度だったと思う。
眼を伏せながら「失礼しました」と、一礼しその場から立ち去って行った。
少し、他人行儀っぽかったのが気になるけど、まぁ、知らない人物が居るし余所行きの言葉使いだったのかな。
「さて……」
俺も部屋に入り、そして扉を閉めた。
確かこの人、転移と隠蔽の魔法使えるんだっけ。
いやいや、つまり、この人がその気になれば城になんて侵入し放題って事ですか?
「やだなぁ、君ぃ。そんなに警戒しないでくれよ」
そう言われて「はい、そうですね」とはならないだろうよ。
大体、今転移してきたのか?それともずっと後を付けられていたのか。
「何の様です?もう要件は済んだはずじゃ」
この人自体は、グズリンの一連の流れで此処に来ただけのハズ。
「そうだね、本音を言わせてもらうとアオイ君。君に興味が湧いたから、少しお話でも――。そう思ってたんだけどね。ほら、何だか取り込み中だったみたいだしね。いや、まさかね、王妃様とまでそんな事になってるとは思わなかったんだけどね。それに、そっちのメイドさんもアオイ君のお気に入りだろう?私はね、それなりに沢山の男も女も見て来たけど、君みたいな規格外は嘘偽りなく初めてだよ。うん」
いや、何と言いますか……言い返す言葉が見つからないのですが。
「それは……褒められてるんでしょうか……ね」
「そう!純粋に凄い!と思っているよ!」
そんな嬉々とした表情で褒められても。
「はぁ、えっと、つまり俺に用事があるって事ですよね。だったら、二人は戻らせてもいいですか」
危険が及ぶかも知れない状況だし、出来るならここから遠ざけたいんだけど。
「ん――、きっと何処に居ても危険だと思うよ?」
ん?どういうことだ?
「アオイ様、あの方は敵と認識して宜しいのでしょうか」
アリアが後ろからそう声を掛ける。
「いや、正直俺にも分からないけど、多分、俺でも勝てないかも知れない」
さっき、俺一人ならどうにかなるって言ってたもんな。そこにアリアが加わった所で、王妃様を守りながら戦うとか、分が悪すぎる。
「あぁ、私は君達と争うつもりは無いんだよ。それに、そんな事しなくても、多分この城は一晩も防衛出来ないと思うしね。このままなら。いかにあの有名人が強くても、流石に一人は厳しいと思うよ?」
「さっきから何を――」
「オーガの大群が接近しているんだよ。この城にね」
その言葉に、アリアと王妃様が息を飲む気配が伝わって来た。
「そんな……」
王妃様は口元に手を当て、驚愕している。
「だったら俺も一緒に戦えばっ」
俺だって戦える。バーサーカー状態だったけど、倒せる事は立証されている。
「うん、きっと被害としては減ると思うんだけど、それを黙って私が見ているかなぁ。って、素朴な疑問なんだけどね。正直、オーガが攻めて来て、この城がどうなったとしても私にはそこまで大した事では無いからね。それよりも、私に協力をさせるというのも一つの手ではあると思うよ?」
「協力って……、そんな事いきなり言われても信じられるはず」
「時間は無いんだよ?オーガが接近している事がもしかしたら、そもそも嘘かも知れないし、本当かも知れない。だけど、あの有名人なら、可能性があるなら手段は選ばないと思うよ?」
確かに、手遅れになってしまっては意味が無い。
もしこれが嘘であっても、備えて置く事は別段悪い事でな無い。と思う。
実際に付近にオーガが出没して、それを討伐している訳だし。
「アオイ様……」
アリアが心配そうに俺に声を掛ける。そっと俺の服を指先で掴んでいた。
嘘だろうと本当だろうと、迷っている時間は無い。という――事だよな。
「分かりました。どちらにしても、とりあえず俺は貴方と話をしないといけない様ですし」
素直にこの人が引いてくれる気がしないしな。
「うんうん、良いね!ちゃんと決断できる事は良い事だよ!」
何か、王妃様とは違うベクトルで調子を狂わされている気がするけど。
「王妃様、申し訳ないんですが侍女隊を使って警備体制と周辺の警戒をお願いできますか?宰相様にも連絡してもらえると助かります。あ、あと、レオニードさんにも教えて下さい。アリアはリンダとサリーを連れて、王妃様と合流していてくれ」
正直、警備体勢とか良く分からないから本職の人たちに丸投げしよう。
「俺は、少しこの人と話をしてきます」
「アリア、空いている部屋にご案内して差し上げて。私は、先にやる事があるから」
王妃様はアリアに指示を出すと、俺を一度見て少し微笑んだ。そして、足早に何処かへと向かって行った。
「アオイ様……ご案内致します」
アリアは俺とこの謎の人物を先導して歩き始めた。
俺はアリアの後に続きながら、後ろを警戒していた。まぁ、警戒したところで何が出来る訳でも無いんだけど。
ニコニコしながら謎の人物は俺の後を付いて来る。時折物珍しそうにキョロキョロしていたけど。
そして、空き部屋の前でアリアが止まり、部屋のドアを開けて待っていた。
先に、謎の人物を部屋に通した。
「すまないねぇ。レディーファーストってやつかな?」
そんな感じで流れる様に部屋に入って行った。
俺も部屋に入ろうとした時にアリアに服を引っ張られ、
「ん、どうした?アリア」
俺は振り返りアリアを見た。
「お気を付けて」
アリアはそう言って俺の顔に両手を添え、自分の顔に近付けて――、
そっとキスをした。一瞬だったし、部屋の中からはきっと見えない角度だったと思う。
眼を伏せながら「失礼しました」と、一礼しその場から立ち去って行った。
少し、他人行儀っぽかったのが気になるけど、まぁ、知らない人物が居るし余所行きの言葉使いだったのかな。
「さて……」
俺も部屋に入り、そして扉を閉めた。
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