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第2章 【異世界召喚】冒険者
第85話 アオイ出撃。
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ドタドタと足音が聞こえる。そして俺達が居る部屋のドアを荒々しく叩く音がして、
「アオイ様!オーガ確認の合図がっ!」
侍女の物と思われる声が聞こえ、俺とエリちゃんはお互いの顔を見合わせた。
いや、正直、何か起こっても不思議では無い雰囲気だったので助かった気もする。うん。
「ふふ、残念だったね。危うく、アオイ君と一線越えちゃうところだったのにねっ」
「越えません!」
エリちゃんが俺を揶揄う様に言うが、そこはホントに……。
「とにかく、行きましょう!」
そう言うと俺達は部屋のドアを開け、詳細を聞く事にした。
そこには侍女と、王妃様が俺を待っていた。
「アオイ君。こんな事、本当は君にお願いすべきでは無いのだろうけど……力を貸して欲しいの。オーガを討伐出来るのは、今この国にはレオニード様と、アオイ君。君しかいないの。ごめんなさい」
王妃様が悲しそうな表情で俺を見つめる。
いや、分かっている。
国を守るためだ。手段は選んではいられないんだ。頼りにされているって事だと思えば……。でも何だろう。少しだけ胸に何かが引っかかる様な。利用されてる。そんな考えが浮かばなくも無い。
「無事に帰って来てね。そうしたら……アオイ君の好きな事、沢山してあげるから。だから、絶対に死んじゃダメだよ」
あ、引っかかり取れました!
「勿論です。帰ってきたら覚悟して下さいね」
そんな軽口を叩きながら、俺は廊下を歩きだす。
その後をエリちゃんも黙ってついて来てくれる。
どうやらレオニードさんは一足も二足も早くオーガの討伐に向かったらしい。それこそ風の様に。
俺達は城の外に出る。そして、重要な事に気付く。
「アオイ君。君はオーガの居場所が分かるのかい?」
そんなエリちゃんの問いかけに、俺はさぞ滑稽な程青ざめた顔をしていただろう。
何故って?
あんな格好つけて出て来ておいて「オーガってどっちですか?」何て聞く為に戻れないだろう?
「いや……えーと……。どっちに居るんでしょうね……」
「ふふふっ、あっはははは!いや、君、最高だね!いいよ!うん!あー、可笑しい!」
エリちゃんが、それこそ腹を抱えて笑い出した。
「いや、そんなに笑わないで下さいよ!」
「いやいや、そうだよね!うん、ごめん!あー、そうだね。じゃあ、同盟関係が成立したって事で今回は貸しにしておいてあげよう!お姉ちゃんに任せなさい!」
そう言ってエリちゃんは目を閉じ、何かを唱えている。
エリちゃんは暫くの間、そのまま微動だにしなかったが、目を閉じたままこう言った。
「あー、来てるねぇ。うん、方角と大体の場所は分かったよ。あ、待って。途中でメイドさんが倒れてるねぇ。これは……相当ヤバいか、もしかしたら手遅れかも」
「侍女じゃないですか!?助けなきゃ!」
「いや、でもオーガ優先した方が良いんじゃないのかい?」
エリちゃんのいう事も正しいと思う。でも。
「どうせ通り道ですよね!全力で走れば!どっちの方角ですか?!」
「アオイ君。まさかと思うけど、君、走って行くつもりかい?」
「いや、だって!」
「落ち着き給えよ。分かったから」
こうしている間に、助かるかも知れない命があるのに!
「オーガは必ず倒します。だから、先にその侍女を助けたいです!お願いします!方角を教えて下さい!」
「……ふむ。分かった。じゃあ、今回だけ特別大サービスだよ。後で、色々してもらうからね?」
エリちゃんが俺の方をみて、真面目な顔をする。
いや、この際なんだってしてやりますよ。
「勿論です。お願いします」
俺はそう言って、エリちゃんに頭を下げた。
「じゃあ、とりあえず私を抱きしめて貰えるかな?」
そう言って両手を広げるエリちゃん。
「あ、いや。ふざけている場合じゃ」
「ふざけていないよ」
俺が言い終わる前に、真剣な表情のエリちゃんに遮られた。
何が何だかわからないけど、この場は大人しく従う事にした。
「じゃ、じゃあ……失礼します」
俺はそう言って、エリちゃんをそっと抱きしめた。
「アオイ様!オーガ確認の合図がっ!」
侍女の物と思われる声が聞こえ、俺とエリちゃんはお互いの顔を見合わせた。
いや、正直、何か起こっても不思議では無い雰囲気だったので助かった気もする。うん。
「ふふ、残念だったね。危うく、アオイ君と一線越えちゃうところだったのにねっ」
「越えません!」
エリちゃんが俺を揶揄う様に言うが、そこはホントに……。
「とにかく、行きましょう!」
そう言うと俺達は部屋のドアを開け、詳細を聞く事にした。
そこには侍女と、王妃様が俺を待っていた。
「アオイ君。こんな事、本当は君にお願いすべきでは無いのだろうけど……力を貸して欲しいの。オーガを討伐出来るのは、今この国にはレオニード様と、アオイ君。君しかいないの。ごめんなさい」
王妃様が悲しそうな表情で俺を見つめる。
いや、分かっている。
国を守るためだ。手段は選んではいられないんだ。頼りにされているって事だと思えば……。でも何だろう。少しだけ胸に何かが引っかかる様な。利用されてる。そんな考えが浮かばなくも無い。
「無事に帰って来てね。そうしたら……アオイ君の好きな事、沢山してあげるから。だから、絶対に死んじゃダメだよ」
あ、引っかかり取れました!
「勿論です。帰ってきたら覚悟して下さいね」
そんな軽口を叩きながら、俺は廊下を歩きだす。
その後をエリちゃんも黙ってついて来てくれる。
どうやらレオニードさんは一足も二足も早くオーガの討伐に向かったらしい。それこそ風の様に。
俺達は城の外に出る。そして、重要な事に気付く。
「アオイ君。君はオーガの居場所が分かるのかい?」
そんなエリちゃんの問いかけに、俺はさぞ滑稽な程青ざめた顔をしていただろう。
何故って?
あんな格好つけて出て来ておいて「オーガってどっちですか?」何て聞く為に戻れないだろう?
「いや……えーと……。どっちに居るんでしょうね……」
「ふふふっ、あっはははは!いや、君、最高だね!いいよ!うん!あー、可笑しい!」
エリちゃんが、それこそ腹を抱えて笑い出した。
「いや、そんなに笑わないで下さいよ!」
「いやいや、そうだよね!うん、ごめん!あー、そうだね。じゃあ、同盟関係が成立したって事で今回は貸しにしておいてあげよう!お姉ちゃんに任せなさい!」
そう言ってエリちゃんは目を閉じ、何かを唱えている。
エリちゃんは暫くの間、そのまま微動だにしなかったが、目を閉じたままこう言った。
「あー、来てるねぇ。うん、方角と大体の場所は分かったよ。あ、待って。途中でメイドさんが倒れてるねぇ。これは……相当ヤバいか、もしかしたら手遅れかも」
「侍女じゃないですか!?助けなきゃ!」
「いや、でもオーガ優先した方が良いんじゃないのかい?」
エリちゃんのいう事も正しいと思う。でも。
「どうせ通り道ですよね!全力で走れば!どっちの方角ですか?!」
「アオイ君。まさかと思うけど、君、走って行くつもりかい?」
「いや、だって!」
「落ち着き給えよ。分かったから」
こうしている間に、助かるかも知れない命があるのに!
「オーガは必ず倒します。だから、先にその侍女を助けたいです!お願いします!方角を教えて下さい!」
「……ふむ。分かった。じゃあ、今回だけ特別大サービスだよ。後で、色々してもらうからね?」
エリちゃんが俺の方をみて、真面目な顔をする。
いや、この際なんだってしてやりますよ。
「勿論です。お願いします」
俺はそう言って、エリちゃんに頭を下げた。
「じゃあ、とりあえず私を抱きしめて貰えるかな?」
そう言って両手を広げるエリちゃん。
「あ、いや。ふざけている場合じゃ」
「ふざけていないよ」
俺が言い終わる前に、真剣な表情のエリちゃんに遮られた。
何が何だかわからないけど、この場は大人しく従う事にした。
「じゃ、じゃあ……失礼します」
俺はそう言って、エリちゃんをそっと抱きしめた。
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