異世界に召喚されて、レアスキルもらったのでヤリたい放題したいと思います。

第2章 【異世界召喚】冒険者

第86話 命の灯。

　俺はエリちゃんの身体をそっと抱きしめ、その柔らかな双丘の感触にドキドキしながら、言われるでも無く目を瞑っていた。

　すると、

「アオイ君。抱きしめられるのも悪くは無いけど、そろそろ離れてくれるかい？その……何だか恥ずかしいからね」

　そう言われて、思っていたよりもギュッと抱きしめていた事に気付き、慌ててエリちゃんから離れた。

「す、すみません。それで一体……」

　視線を巡らせると、すぐ傍に俯せに倒れ、頭部から出血をしている侍女を見つけた。

　どうやらエリちゃんは「転移」のスキルを使ってくれた様だった。が、そんな事より、

「助けなきゃ！」

　俺は我に返り、その侍女を抱き起す。

　と同時に、鑑定も同時に発動する。

　瞬間、俺の全身から血の気が引いて行くのが分かった。



　サリーだ。



名前：サリーサ・ナイトレイ
年齢：17
身長：149cm
体重：42kg
職業：メイド
ｌＶ：15
ＨＰ：0/158
ＭＰ：0/75
状態：死亡
スキル：奉仕
　　　：暗殺術LV1
　　　：隠密


　ぐったりとしていて、後頭部から流れ出た自身の血液で顔中血だらけだった。

「う、嘘だろ？サリー、目を開けてくれよ！」

　左肩にも損傷があるけど、どう見ても後頭部の傷が致命傷だ。

　くそ！誰だ！サリーをこんな目に合わせたヤツは！殺す！絶対に殺す！殺すだけじゃ足りない！

　俺の意識がどんどん怒りに飲まれていく。

「てい！」

　その時、エリちゃんが俺の頭をそこそこの強さで殴りつけた。

「なにすっぼごあぁ！」

　言い終わる前に今度は顔面に良い拳を貰ってしまった。

「アオイ君、少しは落ち着き給え。その子は助けられるのかい？それとも手遅れだったのかい？怒りに満たされるのも良いけど、今はそれより優先する事があるのだろう？私は君がこのメイドさんを助けに行きたいと願ったから手助けをしたんだ。復讐の為じゃない。それに君からそんな怨念染みた感情が漏れ出す様は見たくないよ」

　全くの正論だった。

　エリちゃんの言う通りだ。

　駄目だな、ホント。直ぐに感情的になって……。

　サリーの顔を再び見る。

　安らかとは言えない表情だ。こんな事があって良い訳が無い。でも。

「でも……サリーは……もう……」

　言いながら俺は涙を流していた。ポタポタとサリーの顔に涙が落ちて、そのまま流れ落ちていく。

「助け……られながっだんれす……」

　悔しい。

　あの、少し小馬鹿にしたような表情。

　時折見せるふんわりとした笑顔。

「くそぅ……」

　俺は強くサリーを抱きしめた。

「ふむ……。アオイ君。君は仮にこのメイドさんがまだ生きていたとして、どうやって助けようと思っていたんだい？あ、エリクシールでも持っていたりするのかな？」

「いや、エリクシールって……」

　エリクシール？

　待て……。そうだよ。

　俺はどうやって助けようと思っていた？

　スキルだ。聖液だ。触れた者を癒す。でも、それって生きている相手にしか……。

　それなら奇跡はどうだ？

　試す価値は……ある！