恋愛物語り。

闇猫古蝶

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幼馴染

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貴方の背中に回した腕に、思わず力が入る。

「……」

「ちょっと、くるし…っ?」

ギブと言うように貴方は私の背中をぽんぽんと叩く。

抱きしめてはくれない、その手で。

「やだよ」

ほかの女の子に触れた手だということも

「やだ?」

自分を愛してはくれないことも

「…何でもない」

嫌で嫌で仕方がない。

憎くて大嫌い…それでも好きだ、愛してる。

たとえ私をみてくれなくても。

それでも諦められないくらい、どうしようもなく。

「言いたい事あるなら、言っていいんだよ?」

言えるわけ、ないじゃん。

どこにもいかないで、傍にいて、離れないで

私だけに心から愛を囁いて

二番じゃなくて、貴方の一番になりたい

「…何も、ないよ」

そんなこと、言えない。

「本当に?」

「本当に」

顔は逸らして、抱きついたまま呟いた。

目を見たらきっと泣いてしまうし、伝えてしまう。

溢れだしそうな想いのすべてを。

「…そっか」

どうして、貴方は寂しそうに笑うの?

「何でもないなら、いいんだ」

どうして、その手を離してしまうの?

「帰ろっか」

「…うん」

聞けないまま、私は頷いた。

そうして私はまた『甘えん坊な幼馴染』を演じ続ける。

きっと貴方は、気づいてる。

それがフリでしかないってこと。

それでも何も言わないのは、多分、曖昧なまま、幼馴染のままが一番丁度いいから

──だって君には

──彼女が、いる
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