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触れたい
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瑛太(山城)視点
駅のホームに立ちいつもの電車を待つ。
月曜の朝のラッシュアワーは、どこか皆気だるさが漂う。
そんな中、俺は一人顔をしかめている。
なんとなく・・俺の周りだけ空間が空いている気がするのは気のせい・・ではないだろう。
無愛想な俺が考え事に頭を支配されると、どうやら人を寄せ付けないぐらいのオーラを発するらしい。
こうゆう時、後輩の宮本のような可愛らしい女顔だったら、きっと周囲の人間に心配されるんだろうな・・。まあ、あいつはあいつで「可愛いとか、褒め言葉じゃないですからっ!!」って吠えてたな。
「・・はぁ。」
そんな他の奴の事より俺が先週から気にしてるのは、凛ちゃんからのチョコ。
先週はバレンタインの後は、試験とか休講とかで同じ電車に乗れなかった。
だから、今朝がバレンタイン後、初顔合わせ。
「気持ちです。」
そう言われて渡されたチョコ。
気持ちって・・?
「気持ちってなんだよ。」と聞きたい。
すげえ聞きたい。
しかし、三十路も近づく俺が19の子相手にそんな事を鼻息荒く問い詰める図を想像すると・・
痛い。
痛すぎる。
「え?義理ですけど?感謝の気持ちですけど?」
と、凛ちゃんに困った顔で言われたら・・死ねる。
「何勘違いしてんだ、コイツ」事案だ。
あの日は一日中なかなか仕事に集中できず、デスクで無意識に黙想を繰り返してしまった。
冴木課長には気を遣わせてしまうし、我ながらチョコ一つに動揺しすぎで情けない。
凛ちゃんは思いもしないんだろうな。
俺があのチョコ一つでどんだけ振り回されてるかなんて。
気持ちってどういう意味?
他にも誰か他の奴にもあげた?
「はぁ・・。」
世の中に義理チョコなんてなかったらいいのに。
そしたら、こんな恥ずかしいぐらいの期待なんてしなくていいのに。
駄目だと思うのに、期待なんかするなと俺の冷静な部分が戒めるのに、凛ちゃんがくれたチョコがコーティングされたドライフルーツの甘さが俺の思考を甘やかす。
「おはよ。」
「おはよう・・ございます。」
いつもの朝。
いつもの挨拶。
俯く彼女のつむじを見つめ、どこか気恥ずかしさを感じて言葉がうまく出てこない。
ガタンッ。
電車が揺れて、ヒールを履いた彼女の身体が傾く。
反射的に彼女の華奢な肩を引き寄せる。
「大丈夫か?」
彼女は触れた肩がピクリと動き、俯いていた顔を上げる。
「だ、大丈夫です。ご、ごめんなさい。」
「っ!!」
し、心臓がっ!
どうして今日に限ってそんなに瞳がうるうるしちゃってんだ!?
顔もなんだかピンク色に染まって。
「・・つかまっていいぞ?」
いや別に、やましい思いではなく・・。
「はい。」
おずおずと彼女は俺の腕をそっと掴む。
触れられたところから感じる彼女の温度。
そこが発火点のように血がめぐり、全身が熱くなる。
・・マジで勘弁してくれ。
冷静沈着と称される俺はどこに行った?
心臓がどくどくと音を立てる。
腕を掴まれたぐらい、いつもの事なのに。
ガタンガタンと揺れる車内で、こんなに近くにいるのに無言が耐えられなくなった俺は、どうにか口を開く。
「あのさ、チョコ、美味かった。ありがとう。」
そっけない言い方に・・。自分の気の利かない性格にうんざりする。
「!良かった。甘いの好きじゃなかったかもってちょっと心配だったんです。」
そう言った彼女は、可愛らしい顔をふわりと綻ばせた。
にこにこと嬉しそうに笑う彼女。
ああ、かわいいな。
誰のものにもならないで欲しいと思うのは、俺のわがままだ。
「甘くて、たまらなく・・あ、いや・・すごく・・嬉しかった。」
彼女の笑顔を見ていたら、心のままに口走ってしまい焦るがどうにもならなくて、顔が熱い。
彼女を見ると、じわじわと顔を赤くし耳まで真っ赤になっていた。
「あ、わ、私も・・嬉しいです。」
そう言うと彼女はまた俯いてしまった。
彼女の顔見たいが、自分もどうしょうもない顔をしてるからこれでいいんだろう。
でも、俯いても、彼女のピンク色に染まった耳は髪の隙間から見えている。
その耳を触れて、舐めて・・しゃぶって、甘噛みして、その可愛らしい穴に舌を差し込んで、吐息を吹きかけたら、彼女はどんな顔をするんだろう?
真っ赤になって「止めてください!」って言うのか?
それとも、とろとろと溶けた顔をみせてくれるのか?
・・まずい。
本人目の前に、俺は・・。
初めて会った時から5年。
あのあどけなくまだ少女だった君は今、俺がどんな風に見える?
信頼出来る大人?
頼りになる優しい兄?
俺は、君を・・「瑛太さん!」
仄暗い思考に囚われた瞬間、彼女に名を呼ばれる。
「ん?なに?」
自分の顔がちゃんと正気に戻っているか心配だ。
「ホワイトデー、リクエストしてもいいですか?」
かわいい彼女の上目づかい。
くっ。可愛すぎて辛い。
「なんだ、おねだり目的か?」
しょうがない奴という様に見せかけてはいるが、彼女のおねだりならできる限りの甘やかしたいと思ってしまう。
「お、おねだりっていうか・・。」
言い淀む彼女を電車は待ってはくれない。
「じゃあ、また。」
「じゃあ。」
いつものように別れを告げる。
でも。
振り返り俺に背を向け歩き出した彼女を見つめる。
人並みに紛れる小さな彼女は、そのままどこかに消えてしまいそうに思えた。
凛視点
「じゃあ、また。」
そう言って、瑛太さんは背を向けた。
スーツに黒いコートを羽織った瑛太さんはビジネスシューズにビジネスバック。
長身で颯爽と歩き出す姿は、仕事のできる大人の男性。
かっこいいなぁ・・。
ぼんやり見つめていると、ドンと人にぶつかる。
「すみません。」
こんなホームでぼうっとしてたら迷惑だ。
私も出口に向かって歩き出す。
本当は、またデートしたいって言いたかったけど・・。
あーあ。でも誘って、それはちょっと・・とか言われたらって考えると言えなかった。
瞬もチキンだと思ったけど、私も人の事言えないな。
ガシッ。
「へ?」
後ろから手首をガシッと捕まれ、驚いて振り向くと、
「せ、・・瑛太さん!」
そこには、息を切らした瑛太さんがいた。
人波の中立ち止まった私たちを他の人達が避けていく。
「・・ちっせえな。」
「はっ!?」
めっちゃドキドキしたのに!!
何だそれ!
「いや、なんか人混みに埋もれて・・ちゃんと大学行けるかと・・。」
真面目か!?真面目にそんな事言うのか!?
「いやいや、毎日行ってますよ!確かにちっさいですが・・ってわざわざそれ言いにきたんですか?」
無駄にドキドキさせないで欲しいんですけど。
「おねだり、ちゃんと考えとけよ。」
「え?うわっ。」
瑛太さんは私の頭をくしゃくしゃと撫でて「しっかり大学辿り着けよ。」と行ってしまった。
・・なんなんだ。
恥ずかしいぐらい顔が熱い。
こんなに小娘をときめかせてどうしてくれるの!?
大人って、大人って!!
ズルイ!
その頃、瑛太さんは・・。
俺、超恥ずかしい。
勝手に身体が動いて、無意識に凛ちゃん捕まえるって、やべえ。
凛ちゃん驚かせて・・。
自分の不甲斐なさに今日も顔をしかめ駅構内を鬼の形相で闊歩する山城。
ラッシュの人々は今日も彼を避けて通る。
不器用すぎる冷静沈着男子、さっさと捕まえちゃいなヨ。
グズグズしてると・・ね?
駅のホームに立ちいつもの電車を待つ。
月曜の朝のラッシュアワーは、どこか皆気だるさが漂う。
そんな中、俺は一人顔をしかめている。
なんとなく・・俺の周りだけ空間が空いている気がするのは気のせい・・ではないだろう。
無愛想な俺が考え事に頭を支配されると、どうやら人を寄せ付けないぐらいのオーラを発するらしい。
こうゆう時、後輩の宮本のような可愛らしい女顔だったら、きっと周囲の人間に心配されるんだろうな・・。まあ、あいつはあいつで「可愛いとか、褒め言葉じゃないですからっ!!」って吠えてたな。
「・・はぁ。」
そんな他の奴の事より俺が先週から気にしてるのは、凛ちゃんからのチョコ。
先週はバレンタインの後は、試験とか休講とかで同じ電車に乗れなかった。
だから、今朝がバレンタイン後、初顔合わせ。
「気持ちです。」
そう言われて渡されたチョコ。
気持ちって・・?
「気持ちってなんだよ。」と聞きたい。
すげえ聞きたい。
しかし、三十路も近づく俺が19の子相手にそんな事を鼻息荒く問い詰める図を想像すると・・
痛い。
痛すぎる。
「え?義理ですけど?感謝の気持ちですけど?」
と、凛ちゃんに困った顔で言われたら・・死ねる。
「何勘違いしてんだ、コイツ」事案だ。
あの日は一日中なかなか仕事に集中できず、デスクで無意識に黙想を繰り返してしまった。
冴木課長には気を遣わせてしまうし、我ながらチョコ一つに動揺しすぎで情けない。
凛ちゃんは思いもしないんだろうな。
俺があのチョコ一つでどんだけ振り回されてるかなんて。
気持ちってどういう意味?
他にも誰か他の奴にもあげた?
「はぁ・・。」
世の中に義理チョコなんてなかったらいいのに。
そしたら、こんな恥ずかしいぐらいの期待なんてしなくていいのに。
駄目だと思うのに、期待なんかするなと俺の冷静な部分が戒めるのに、凛ちゃんがくれたチョコがコーティングされたドライフルーツの甘さが俺の思考を甘やかす。
「おはよ。」
「おはよう・・ございます。」
いつもの朝。
いつもの挨拶。
俯く彼女のつむじを見つめ、どこか気恥ずかしさを感じて言葉がうまく出てこない。
ガタンッ。
電車が揺れて、ヒールを履いた彼女の身体が傾く。
反射的に彼女の華奢な肩を引き寄せる。
「大丈夫か?」
彼女は触れた肩がピクリと動き、俯いていた顔を上げる。
「だ、大丈夫です。ご、ごめんなさい。」
「っ!!」
し、心臓がっ!
どうして今日に限ってそんなに瞳がうるうるしちゃってんだ!?
顔もなんだかピンク色に染まって。
「・・つかまっていいぞ?」
いや別に、やましい思いではなく・・。
「はい。」
おずおずと彼女は俺の腕をそっと掴む。
触れられたところから感じる彼女の温度。
そこが発火点のように血がめぐり、全身が熱くなる。
・・マジで勘弁してくれ。
冷静沈着と称される俺はどこに行った?
心臓がどくどくと音を立てる。
腕を掴まれたぐらい、いつもの事なのに。
ガタンガタンと揺れる車内で、こんなに近くにいるのに無言が耐えられなくなった俺は、どうにか口を開く。
「あのさ、チョコ、美味かった。ありがとう。」
そっけない言い方に・・。自分の気の利かない性格にうんざりする。
「!良かった。甘いの好きじゃなかったかもってちょっと心配だったんです。」
そう言った彼女は、可愛らしい顔をふわりと綻ばせた。
にこにこと嬉しそうに笑う彼女。
ああ、かわいいな。
誰のものにもならないで欲しいと思うのは、俺のわがままだ。
「甘くて、たまらなく・・あ、いや・・すごく・・嬉しかった。」
彼女の笑顔を見ていたら、心のままに口走ってしまい焦るがどうにもならなくて、顔が熱い。
彼女を見ると、じわじわと顔を赤くし耳まで真っ赤になっていた。
「あ、わ、私も・・嬉しいです。」
そう言うと彼女はまた俯いてしまった。
彼女の顔見たいが、自分もどうしょうもない顔をしてるからこれでいいんだろう。
でも、俯いても、彼女のピンク色に染まった耳は髪の隙間から見えている。
その耳を触れて、舐めて・・しゃぶって、甘噛みして、その可愛らしい穴に舌を差し込んで、吐息を吹きかけたら、彼女はどんな顔をするんだろう?
真っ赤になって「止めてください!」って言うのか?
それとも、とろとろと溶けた顔をみせてくれるのか?
・・まずい。
本人目の前に、俺は・・。
初めて会った時から5年。
あのあどけなくまだ少女だった君は今、俺がどんな風に見える?
信頼出来る大人?
頼りになる優しい兄?
俺は、君を・・「瑛太さん!」
仄暗い思考に囚われた瞬間、彼女に名を呼ばれる。
「ん?なに?」
自分の顔がちゃんと正気に戻っているか心配だ。
「ホワイトデー、リクエストしてもいいですか?」
かわいい彼女の上目づかい。
くっ。可愛すぎて辛い。
「なんだ、おねだり目的か?」
しょうがない奴という様に見せかけてはいるが、彼女のおねだりならできる限りの甘やかしたいと思ってしまう。
「お、おねだりっていうか・・。」
言い淀む彼女を電車は待ってはくれない。
「じゃあ、また。」
「じゃあ。」
いつものように別れを告げる。
でも。
振り返り俺に背を向け歩き出した彼女を見つめる。
人並みに紛れる小さな彼女は、そのままどこかに消えてしまいそうに思えた。
凛視点
「じゃあ、また。」
そう言って、瑛太さんは背を向けた。
スーツに黒いコートを羽織った瑛太さんはビジネスシューズにビジネスバック。
長身で颯爽と歩き出す姿は、仕事のできる大人の男性。
かっこいいなぁ・・。
ぼんやり見つめていると、ドンと人にぶつかる。
「すみません。」
こんなホームでぼうっとしてたら迷惑だ。
私も出口に向かって歩き出す。
本当は、またデートしたいって言いたかったけど・・。
あーあ。でも誘って、それはちょっと・・とか言われたらって考えると言えなかった。
瞬もチキンだと思ったけど、私も人の事言えないな。
ガシッ。
「へ?」
後ろから手首をガシッと捕まれ、驚いて振り向くと、
「せ、・・瑛太さん!」
そこには、息を切らした瑛太さんがいた。
人波の中立ち止まった私たちを他の人達が避けていく。
「・・ちっせえな。」
「はっ!?」
めっちゃドキドキしたのに!!
何だそれ!
「いや、なんか人混みに埋もれて・・ちゃんと大学行けるかと・・。」
真面目か!?真面目にそんな事言うのか!?
「いやいや、毎日行ってますよ!確かにちっさいですが・・ってわざわざそれ言いにきたんですか?」
無駄にドキドキさせないで欲しいんですけど。
「おねだり、ちゃんと考えとけよ。」
「え?うわっ。」
瑛太さんは私の頭をくしゃくしゃと撫でて「しっかり大学辿り着けよ。」と行ってしまった。
・・なんなんだ。
恥ずかしいぐらい顔が熱い。
こんなに小娘をときめかせてどうしてくれるの!?
大人って、大人って!!
ズルイ!
その頃、瑛太さんは・・。
俺、超恥ずかしい。
勝手に身体が動いて、無意識に凛ちゃん捕まえるって、やべえ。
凛ちゃん驚かせて・・。
自分の不甲斐なさに今日も顔をしかめ駅構内を鬼の形相で闊歩する山城。
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