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偶然のようで 後半
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瑛太(山城)視点
ダンッ!
グラスに入ったウィスキーを一気飲みしてカウンターに置く。
「もー俺、クズ。ゴミっ!」
カウンターに肘をつき頭を抱えても現状は何も変わらないって分かってても、飲まずにいられねえし、なんか話してないと息が詰まりそうだ。
「おっまえ、その酒・・安酒じゃねえんだけどな?」
こんな俺の横には、無駄にイケメンな上司が酒を片手に苦笑いしている。
正直こんな最悪な時、麗しいイケメンといると自分の残念さが際立って余計に落ち込む・・。
それでも、ボロボロの俺に何があったんだ、どうしたんだと質問せず、ただ馴染みのバーに連れてきてくれる冴木課長は、
「いつも頼りっぱなしのお前の一大事だからなぁ。・・やっぱ飲め。」
そう言いしょうがない奴と笑い俺の背中をポンと叩くから、中身もイケメンで最早となりにいるのが辛い。
俺はやっぱ何をしてもこの課長には追いつけねえなと思ってしまう。
・・そう、俺は、ちっせえ男なんだ。
「俺・・怖くて。」
もう今更課長に取り繕うこともないと、ポツリと呟く。
「何が?」
イケメン課長はカウンターに肘をつき、こちらにちらりと視線を流しつつウイスキーを飲む仕草まで絵になる。
「俺、ロリコンじゃないかって。」
ゴッフォ。
イケメン課長がむせた。
・・すみません。これでも真面目です。
「あ、相手、大学生じゃなかったのかっ!?」
涙目の冴木課長は手の甲でむせた酒を拭きつつ
「いくら好きでも犯罪はダメだ!」
と言っている。
犯罪・・。
ああ、幾度もそう思った。
「好きになった時、相手はまだ14で。」
「「えっ!!」」
気がつけば、課長の友人のバーテンさんも話に加わっている。
「そばにいるとつい触りたくなって。
駄目だと思うのに堪らなくて。
限界ギリギリで離れたんです。」
「「おおっ。」」
ホッとする二人。
「で、他の女の子・・ああ、いや大丈夫です。
成人女子と何人かと付き合ったんですが・・その女子中学生を忘れられなくて。」
「その中学生は・・こう・・早熟で色気があったとか?」
バーテンが思わずと言ったように聞いてくる。
「いえ。どちらかと言えば、ふわふわした砂糖菓子みたいな子です。」
「「!!」」
課長がこめかみを揉んだ。
「お前・・真面目に言うなよ・・。」
ため息混じりの課長の声。
分かってますよ、自分のイタさぐらい。
「振り切るように離れたのに、偶然再会して・・。」
そう、偶然なんだ。
凛ちゃんが会いたいと思ったわけじゃなく。
「・・今、いくつなんだ?相手。」
課長がおそるおそる聞いた。
「19才です。」
「わっか!ピチピチじゃん。」とにやけるバーテン。
凛ちゃんをいやらしい対象で想像するのはやめてくれ。
「10代・・。未成年・・。
うーん、禁断な感じ?背徳感がたまらないってことか。」
酒を飲む冴木課長に何とも言えない腹立たしさを感じる。
「そんなんじゃないです!そういうんじゃないんだけどっ・・。」
でも、あの大人になりきれない少女に欲情し続けてしまった日々が紛れも無い事実でもある。
こんな俺を凛ちゃんはどう思うんだ?
「気持ち悪い」と・・言われれば、立ち直ることは難しい。
言葉に詰まった俺は、うつむくしかない。
そこに、「はぁぁ。」と深いため息が聞こえた。
不埒なバーテンだ。
「なんなの?エリートは恋愛一つもできないわけ?
それともお前の部下だから?類友なの?恋愛まで指導必要な訳?」
「っ。お前みたいな要領いい奴ばっかじゃねえんだよ。それに、本気の恋愛なんて一つで十分だろ!」
と言い返す冴木課長。
そうだった、このイケメン課長も恋愛初心者。
相談相手としては・・。
なんて思っていると、
「山城、今お前俺じゃ恋愛相談無理だって思っただろ!」
あ、エスパー。さすがです。
「たっく。その通りだけどな。
でも一つ言えんのは、偶然だろうが運命だろうが唯一と思える相手に会っちまったら・・。」
ガタンとグラスを置いた冴木課長はニヤリと笑う。
「会っちまったら、なんだよ、初心者?」
バーテンが小馬鹿にするように笑う。
「なりふり構わず・・縋り付け。」
自信満々に言う冴木課長。
たしかに・・課長が恋愛初心者であることは間違いなさそうだ・・。
「おい、ロリコン。」
ぐさっと人の痛いところを刺してくるバーテン。
「たしかに14の砂糖菓子みたいな女の子に欲情するのはロリコンかもな。
俺にはそういうの分かんねえよ。
でもさ、その相手の女の子だって分んねんじゃねえの?」
「分からない?」
それは、ロリコンが?
「昔から知ってる大の大人が自分を好きだって分かった時、
ロリコンだ!って避けられるか・・捕獲されてもいいって思うか。」
「!そ、そんな都合良くは無理ですよ。俺なんて何にもないし・・。」
俺は課長と違ってイケメンじゃないし、無愛想だし、勉強ならいくらでも教えられるが、大切にしたいと思っても、どうしていいか分からないんだ。
ダンッ
酒の注がれたグラスが目の前に置かれる。
「うっぜーなぁ。なんなのお前!ちんこついてんのかよ!?」
言い過ぎだとカッとなる気持ちを抑えようとすると、バーテンが俺のネクタイをぐいっと引っ張り上げた。
「おい、やめろ。」
冴木課長の声が聞こえるが、目の前のバーテンがこちらを殺気立った目で睨むからこちらもそらすことは出来ない。
このバーテンはいかにも遊んでそうな男だが、締め上げられたところで空手有段者の俺が先に手を出すことは許されない。
こちらを気に入らないと睨みつけるこのバーテン。
俺はそれをただじっと睨み返す。
この人の真意は何だ?
ピンと張りつめた空気。
BGMのジャズだけが流れる。
「拓、やめとけ。こいつ空手の有段者だ。」
沈黙を破ったのは冴木課長。
その声で、店内の緊張感がふっと消えた。
「なんだよ、早く言え。俺、超カッコ悪いじゃん。」
殺気を消した拓というバーテンは、へらりと笑う。
「山城、こいつ悪いやつじゃないんだ。ちょっと・・気が短いけど。
多分、こいつなりにお前にハッパをかけたかたんだ。そうだろう?」
冴木課長がそう言うと、
「そんなんじゃねぇよ。・・お前、ただのガリ勉じゃねえし、冴木がここに連れてくるぐらい気に入ってる奴なんだ。もう少し、ウダウダ言ってねえで自信持てよ。
無理って諦めたら、その女子はお前じゃない誰かのものになっちまうんだ。分かってんのか?」
ぐっと苦いもので胸が締め付けられる。
「分かって・・ます。」
「はあぁ。分かってねえよ!
お前、その大事にしてきた女の子がそこら辺の男に裸に剥かれて、ちんこガツガツ突っ込まれて、あんあん鳴かされっ・・!あ、っぶねえなっ!!」
気がつけば立ち上がって、バーテンを殴りかかっていた・・。
「す、すみません!!大丈夫ですかっ!」
カウンターの中で尻もちをついたバーテンにざっと青ざめた。
「おっまえ、有段者だろ!?俺だからギリギリ避けれたんだ。簡単に手なんか出すなよ!」
そう怒鳴られ、言い返す言葉もない。
「・・まあ、今のは拓も悪い。」
と冴木課長が取りなす。
「なんだよ。俺は脳内お花畑の男に現実を教えただけだろっ!?」
立ち上がりながらバーテンは言う。
現実って、そんなかよ?
あのふわふわした凛ちゃんが・・。
服を乱し透けるような白い肌を晒して、白く細い脚を広げて男を咥えこみながら「気持ちいいっ。」とか言うっていうのか?
・・顔や耳を赤く染めて?
快楽に溺れて・・しがみつくのか?
生々しすぎる俺の妄想が全身を焼くように熱を持たせる。
「・・むっつり?」
「ち、違います!!」
バーテンの鋭いツッコミを否定しつつ、目の前に置かれた酒を一気にあおる。
「っ!っけほ。な、んですか!や、焼ける。」
信じられないくらいのアルコールの熱。
喉が焼けるように痛い。
「今のお前にぴったりだろう?弱い酒でお花畑な妄想に取り憑かれてないで、リアルな現実をみろよ。今お前が想像したアダルトな行為にふける砂糖菓子な女の子の相手がお前じゃなくていいのか?
他の男に・・かじられていいのか?」
「かじられるってお前、ボキャブラリーねえなっ!」
残念なやつ・・と冴木課長は呟く。
「しょうがねえだろ?食うとか、ヤルとか、しゃぶるっ」
「「!!!」」
ドンッと突き飛ばしたのは、バーテン。
「や、山城が壊れた・・。」
ドン引きなのは冴木課長。
「お、おっまえ!俺はヤローとキスなんてする趣味ねえぞっ!
しかも、べろちゅー!しかも、酒口移しっ!!」
グイグイ口元を拭き取るワイルドイケメンバーテンダー。
「手、出せないんで・・。一番嫌がる事思いまして。」
ニヤリと笑った俺だって、キスするなら・・凛ちゃんが・・。
「分かった。よく分かった!お前がダメダメなのはっ!キャラさえ崩壊してるぞ。
もう、とりあえず誤解を解け、それで告白しろ。
んで、ダメなら諦めんのか、すがりつくのかは後で考えろ。
分かったなっ!?」
まるで業務命令のような課長の指示。
でも、結局それしかないのかもしれない。
ここから先を進むには、どんなに・・ロリコンと罵られようが、気持ち悪いと言われようが・・
結果どんなにボロボロになっても、伝えたい。
俺のこの5年間を。
一緒に過ごしたあの頃を。
今の想いを。
が、世の中、そう都合良くは待っていてくれない。
あの日から1週間経っても凛ちゃんは電車に乗ってこなかった。
・・あの夏の終わりに会わなかったら、一人でいるのなんて当たり前だったはずだ。
なのに一人満員電車に揺られていると、どうしょうもない孤独感に襲われた。
このまま・・もう会えない?
上手く息が出来ないほど胸が軋む。
目をつぶり、自身の心をあざ笑う。
こんなんで良く、凛ちゃんには似合いの相手が・・とか・・。
もう、取り繕ってる余裕なんてない。
それなのに、なにを送っていいのか分からない。
どうして電車にいない?
体調悪い?
まず誤解を解かないと。
何から話す?
話したい事、伝えたい事が沢山あるはずなのに、文が作れない。
契約書なら簡単に作れるのに。
残念な自分の頭をこねくり回し、結局昼過ぎにラインを送った。
大学は行ってる?
だとしたら、俺に会いたくない?
俺は会いたい。
緊張でタップする指が震えた。
ダンッ!
グラスに入ったウィスキーを一気飲みしてカウンターに置く。
「もー俺、クズ。ゴミっ!」
カウンターに肘をつき頭を抱えても現状は何も変わらないって分かってても、飲まずにいられねえし、なんか話してないと息が詰まりそうだ。
「おっまえ、その酒・・安酒じゃねえんだけどな?」
こんな俺の横には、無駄にイケメンな上司が酒を片手に苦笑いしている。
正直こんな最悪な時、麗しいイケメンといると自分の残念さが際立って余計に落ち込む・・。
それでも、ボロボロの俺に何があったんだ、どうしたんだと質問せず、ただ馴染みのバーに連れてきてくれる冴木課長は、
「いつも頼りっぱなしのお前の一大事だからなぁ。・・やっぱ飲め。」
そう言いしょうがない奴と笑い俺の背中をポンと叩くから、中身もイケメンで最早となりにいるのが辛い。
俺はやっぱ何をしてもこの課長には追いつけねえなと思ってしまう。
・・そう、俺は、ちっせえ男なんだ。
「俺・・怖くて。」
もう今更課長に取り繕うこともないと、ポツリと呟く。
「何が?」
イケメン課長はカウンターに肘をつき、こちらにちらりと視線を流しつつウイスキーを飲む仕草まで絵になる。
「俺、ロリコンじゃないかって。」
ゴッフォ。
イケメン課長がむせた。
・・すみません。これでも真面目です。
「あ、相手、大学生じゃなかったのかっ!?」
涙目の冴木課長は手の甲でむせた酒を拭きつつ
「いくら好きでも犯罪はダメだ!」
と言っている。
犯罪・・。
ああ、幾度もそう思った。
「好きになった時、相手はまだ14で。」
「「えっ!!」」
気がつけば、課長の友人のバーテンさんも話に加わっている。
「そばにいるとつい触りたくなって。
駄目だと思うのに堪らなくて。
限界ギリギリで離れたんです。」
「「おおっ。」」
ホッとする二人。
「で、他の女の子・・ああ、いや大丈夫です。
成人女子と何人かと付き合ったんですが・・その女子中学生を忘れられなくて。」
「その中学生は・・こう・・早熟で色気があったとか?」
バーテンが思わずと言ったように聞いてくる。
「いえ。どちらかと言えば、ふわふわした砂糖菓子みたいな子です。」
「「!!」」
課長がこめかみを揉んだ。
「お前・・真面目に言うなよ・・。」
ため息混じりの課長の声。
分かってますよ、自分のイタさぐらい。
「振り切るように離れたのに、偶然再会して・・。」
そう、偶然なんだ。
凛ちゃんが会いたいと思ったわけじゃなく。
「・・今、いくつなんだ?相手。」
課長がおそるおそる聞いた。
「19才です。」
「わっか!ピチピチじゃん。」とにやけるバーテン。
凛ちゃんをいやらしい対象で想像するのはやめてくれ。
「10代・・。未成年・・。
うーん、禁断な感じ?背徳感がたまらないってことか。」
酒を飲む冴木課長に何とも言えない腹立たしさを感じる。
「そんなんじゃないです!そういうんじゃないんだけどっ・・。」
でも、あの大人になりきれない少女に欲情し続けてしまった日々が紛れも無い事実でもある。
こんな俺を凛ちゃんはどう思うんだ?
「気持ち悪い」と・・言われれば、立ち直ることは難しい。
言葉に詰まった俺は、うつむくしかない。
そこに、「はぁぁ。」と深いため息が聞こえた。
不埒なバーテンだ。
「なんなの?エリートは恋愛一つもできないわけ?
それともお前の部下だから?類友なの?恋愛まで指導必要な訳?」
「っ。お前みたいな要領いい奴ばっかじゃねえんだよ。それに、本気の恋愛なんて一つで十分だろ!」
と言い返す冴木課長。
そうだった、このイケメン課長も恋愛初心者。
相談相手としては・・。
なんて思っていると、
「山城、今お前俺じゃ恋愛相談無理だって思っただろ!」
あ、エスパー。さすがです。
「たっく。その通りだけどな。
でも一つ言えんのは、偶然だろうが運命だろうが唯一と思える相手に会っちまったら・・。」
ガタンとグラスを置いた冴木課長はニヤリと笑う。
「会っちまったら、なんだよ、初心者?」
バーテンが小馬鹿にするように笑う。
「なりふり構わず・・縋り付け。」
自信満々に言う冴木課長。
たしかに・・課長が恋愛初心者であることは間違いなさそうだ・・。
「おい、ロリコン。」
ぐさっと人の痛いところを刺してくるバーテン。
「たしかに14の砂糖菓子みたいな女の子に欲情するのはロリコンかもな。
俺にはそういうの分かんねえよ。
でもさ、その相手の女の子だって分んねんじゃねえの?」
「分からない?」
それは、ロリコンが?
「昔から知ってる大の大人が自分を好きだって分かった時、
ロリコンだ!って避けられるか・・捕獲されてもいいって思うか。」
「!そ、そんな都合良くは無理ですよ。俺なんて何にもないし・・。」
俺は課長と違ってイケメンじゃないし、無愛想だし、勉強ならいくらでも教えられるが、大切にしたいと思っても、どうしていいか分からないんだ。
ダンッ
酒の注がれたグラスが目の前に置かれる。
「うっぜーなぁ。なんなのお前!ちんこついてんのかよ!?」
言い過ぎだとカッとなる気持ちを抑えようとすると、バーテンが俺のネクタイをぐいっと引っ張り上げた。
「おい、やめろ。」
冴木課長の声が聞こえるが、目の前のバーテンがこちらを殺気立った目で睨むからこちらもそらすことは出来ない。
このバーテンはいかにも遊んでそうな男だが、締め上げられたところで空手有段者の俺が先に手を出すことは許されない。
こちらを気に入らないと睨みつけるこのバーテン。
俺はそれをただじっと睨み返す。
この人の真意は何だ?
ピンと張りつめた空気。
BGMのジャズだけが流れる。
「拓、やめとけ。こいつ空手の有段者だ。」
沈黙を破ったのは冴木課長。
その声で、店内の緊張感がふっと消えた。
「なんだよ、早く言え。俺、超カッコ悪いじゃん。」
殺気を消した拓というバーテンは、へらりと笑う。
「山城、こいつ悪いやつじゃないんだ。ちょっと・・気が短いけど。
多分、こいつなりにお前にハッパをかけたかたんだ。そうだろう?」
冴木課長がそう言うと、
「そんなんじゃねぇよ。・・お前、ただのガリ勉じゃねえし、冴木がここに連れてくるぐらい気に入ってる奴なんだ。もう少し、ウダウダ言ってねえで自信持てよ。
無理って諦めたら、その女子はお前じゃない誰かのものになっちまうんだ。分かってんのか?」
ぐっと苦いもので胸が締め付けられる。
「分かって・・ます。」
「はあぁ。分かってねえよ!
お前、その大事にしてきた女の子がそこら辺の男に裸に剥かれて、ちんこガツガツ突っ込まれて、あんあん鳴かされっ・・!あ、っぶねえなっ!!」
気がつけば立ち上がって、バーテンを殴りかかっていた・・。
「す、すみません!!大丈夫ですかっ!」
カウンターの中で尻もちをついたバーテンにざっと青ざめた。
「おっまえ、有段者だろ!?俺だからギリギリ避けれたんだ。簡単に手なんか出すなよ!」
そう怒鳴られ、言い返す言葉もない。
「・・まあ、今のは拓も悪い。」
と冴木課長が取りなす。
「なんだよ。俺は脳内お花畑の男に現実を教えただけだろっ!?」
立ち上がりながらバーテンは言う。
現実って、そんなかよ?
あのふわふわした凛ちゃんが・・。
服を乱し透けるような白い肌を晒して、白く細い脚を広げて男を咥えこみながら「気持ちいいっ。」とか言うっていうのか?
・・顔や耳を赤く染めて?
快楽に溺れて・・しがみつくのか?
生々しすぎる俺の妄想が全身を焼くように熱を持たせる。
「・・むっつり?」
「ち、違います!!」
バーテンの鋭いツッコミを否定しつつ、目の前に置かれた酒を一気にあおる。
「っ!っけほ。な、んですか!や、焼ける。」
信じられないくらいのアルコールの熱。
喉が焼けるように痛い。
「今のお前にぴったりだろう?弱い酒でお花畑な妄想に取り憑かれてないで、リアルな現実をみろよ。今お前が想像したアダルトな行為にふける砂糖菓子な女の子の相手がお前じゃなくていいのか?
他の男に・・かじられていいのか?」
「かじられるってお前、ボキャブラリーねえなっ!」
残念なやつ・・と冴木課長は呟く。
「しょうがねえだろ?食うとか、ヤルとか、しゃぶるっ」
「「!!!」」
ドンッと突き飛ばしたのは、バーテン。
「や、山城が壊れた・・。」
ドン引きなのは冴木課長。
「お、おっまえ!俺はヤローとキスなんてする趣味ねえぞっ!
しかも、べろちゅー!しかも、酒口移しっ!!」
グイグイ口元を拭き取るワイルドイケメンバーテンダー。
「手、出せないんで・・。一番嫌がる事思いまして。」
ニヤリと笑った俺だって、キスするなら・・凛ちゃんが・・。
「分かった。よく分かった!お前がダメダメなのはっ!キャラさえ崩壊してるぞ。
もう、とりあえず誤解を解け、それで告白しろ。
んで、ダメなら諦めんのか、すがりつくのかは後で考えろ。
分かったなっ!?」
まるで業務命令のような課長の指示。
でも、結局それしかないのかもしれない。
ここから先を進むには、どんなに・・ロリコンと罵られようが、気持ち悪いと言われようが・・
結果どんなにボロボロになっても、伝えたい。
俺のこの5年間を。
一緒に過ごしたあの頃を。
今の想いを。
が、世の中、そう都合良くは待っていてくれない。
あの日から1週間経っても凛ちゃんは電車に乗ってこなかった。
・・あの夏の終わりに会わなかったら、一人でいるのなんて当たり前だったはずだ。
なのに一人満員電車に揺られていると、どうしょうもない孤独感に襲われた。
このまま・・もう会えない?
上手く息が出来ないほど胸が軋む。
目をつぶり、自身の心をあざ笑う。
こんなんで良く、凛ちゃんには似合いの相手が・・とか・・。
もう、取り繕ってる余裕なんてない。
それなのに、なにを送っていいのか分からない。
どうして電車にいない?
体調悪い?
まず誤解を解かないと。
何から話す?
話したい事、伝えたい事が沢山あるはずなのに、文が作れない。
契約書なら簡単に作れるのに。
残念な自分の頭をこねくり回し、結局昼過ぎにラインを送った。
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緊張でタップする指が震えた。
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