お腹を空かせた駄犬は

月夜(つきよ)

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美味しいあなた 前半

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ガク視点

俺は店長さんに19時から送別会が始まると聞いていたから、21時過ぎに教えてもらった店に行こうと思った。
だけど、もしすれ違ってしまったらと思うと居ても立っても居られず、結局21時前に店に着いた。
お店の人に団体名を告げ個室に案内してもらう間、俺の心臓は今までにない緊張とおねえさんにやっと会える喜びで、、ちょっと苦しい、、いや、嘘ついた。
気持ち悪くなるぐらい激しくバクバクとしている。
結局、参考になる大人の男は見つからず、ここまで来てしまった。だいたい、俺に大人の男って無理なんだよ。女顔だし、頼りないし、体格だって、男らしく逞しいとは言えない細マッチョ。。。言ってて悲しくなってきた。
はあぁぁぁ。
だいたいおねえさんが俺と二つしか変わらないのに、大人な女なのがいけないんだ。
なんだ、あのエロさ、あの手管、あのたゆんと揺れるおっぱい、、。
違う違う、、おっぱいじゃない。
おねえさんは、優しい笑顔でいつも俺を気遣ってくれて、優しい言葉で俺を慰めてくれるんだ。
そう、決してエロだけじゃない。
いつも飄々と大量のオーダーを無駄のない動きでさばきつつ、俺へは優しい笑顔を向けるおねえさんに毎日会いたかったんだ。美味しいご飯だけじゃない。
いつも、これからも俺にその笑顔を向けてほしい。
そのために今日は来たんだ。

「こちらになります。」
店員さんが失礼しますと言って障子を開けた時、俺が見たものは、、
バイトの子たちに囲まれ、若い男に抱きつかれているおねえさん。

「ちょっと!何してんですか!俺のおねえさんだからっ!」
カッと頭に血が登った俺は、力任せにお姉さんを後ろから抱き寄せる。
周りの子たちがなんか言ってた様な気がするし、「ぐえっ」ってお姉さんが苦しそうに言ったけど、ダメだから。
他の奴となんか抱き合ったらダメだ。
この人は俺のもの。

「ガク?、、く、首に腕が、、。」
お姉さんを見ると、たしかに俺の腕がおねえさんの首を締め上げてしまったようだった。
少し力を緩めると、こちらに向き直り俺から離れようとするおねえさん。
ちょっと!何逃げようとしてんの!
俺はこちらを遠ざけようとする腕を掴んだ。

「ひどいよ、おねえさん!!美味しいご飯と優しい笑顔で俺を虜にしたくせにっ!
あんなエロい事も散々しといて、、俺ダメだって言ったのにっ!
飽きたら、ポイですかっ!?
俺の純情を踏みにじるんですか!」
俺は想いを言い切った。
そこに男のプライドも、見栄もない。どんだけ無様でも、周りがどう思おうが関係ない。
目の前のこの人だけでいいんだ。

「踏みにじったわけじゃ、、。」
お姉さんが気まずそうに呟いた。

そうじゃないんだ、責めてるわけじゃなくて、そんな顔させたいんじゃない。
焦った俺は、思っていたことを口走る。
「そのうち、いや、近いうち、色気ある大人の男になっておねえさんを俺の虜にさせる!
俺を選んでくれたら後悔させないからっ!良かったって絶対思ってもらえる様に頑張るからっ!」
祈る様な気持ちでおねえさんを見つめると、おねえさんの顔がじわじわと赤くなった。
少しは伝わった?
どうしたら、俺の全部の気持ちがおねえさんに伝わる?
もっともっと伝えたいんだ。
俺がどんな気持ちでカフェに通ったか、どんな気持ちでおねえさんを抱いたか、朝、一人で目覚めてどう思ったか。この数日、どんな気持ちだったか。でも、それだけ伝えても足りない。

「好きなんだ。」
俺の一番伝えたい事。
俺は指先が震える様な緊張感に震えながら、単純だけど俺の心のど真ん中を伝える。
これ以上、何を伝えたらいいか分からない。

すると、おねえさんはうつむいたまま、
「なんでここでそんな事言うの。」と怒った様に言ってサッと立ち上がった。

、、ダメって事?やっぱり俺じゃダメなのか?
息苦しい様な絶望感に目の前が真っ暗になった。


「みんなごめん。ほら、帰るよ。ガク。」
おねえさんが俺に手を差し伸べた。
俺と一緒に帰ってくれるってこと?さっきの絶望の谷から一気に希望の坂道を駆け上る。
店を出ると、おねえさんが泣きそうな真っ赤な顔で俺を見上げると
「ガクの家に連れて帰って。」
って言った。
俺の心臓を容赦なく鷲掴みにするおねえさん。こんな可愛い人は他にいない。
すぐにタクシーを捕まえておねえさんを連れて帰る。そうしないと色々我慢できないから。
こんな可愛いおねえさんを誰にも見せたくないし、早く抱きしめたい。
じりじりと俺を追い詰める様な本能が、まだかまだかと俺を焦らす。
やっとの事で自宅のドアを開けると、鍵を閉めながらおねえさんを抱き寄せる。
お姉さんの香りを胸いっぱい吸い込む。今日も、ちょっとだけ酒の匂い。
「くくくっ。」
お姉さんがこちらを怪訝そうに見つめる。
「おねえさん、いつも飲んでる気がする。」
つい意地悪を言ってしまう。
「いつもじゃないよ。たまたま!」
ふざける様な言い合いも、どこか高揚した気持ちを誤魔化すようだ。
ゆっくりと思いを確かめたい気持ちと、早くおねえさんを抱きたい気持ちが俺の中でせめぎ合う。
はあぁ。熱い身体を持て余しながら、おねえさんの体のラインをゆっくりと手でなぞる。
身体をびくりとさせたおねえさんは、俺の胸元に顔を埋めたまま、
「私、ガクが好き。」と言った。
え?おねえさんが俺を好き?
じゃあ、なんで逃げたの?
「こわかったの。目が覚めた時、こんなつもりじゃなかったって言われるの。、、ちょっと、酔いに任せて好きな様にしちゃったし、、。」
思い出されるおねえさんの痴態と、俺への所業。
おねえさんの腰を俺の下半身にぐりっと引き寄せる。
びくりとするおねえさんに、
「俺の身体は、俺の気持ちとおんなじで正直なんだ。エロいおねえさんも、かわいいおねえさんも大好きだよ。」
俺の気持ちを伝える。そんな事を思ってたんだ。やっぱり、話さなきゃ分かんないこともあるんだな。
「か、可愛くはないと思うけど、、。」
おねえさんは俺の胸元に顔を埋めたまま言うが、その耳はすごく赤い。これのどこが可愛くないんだろう。
「顔見せて?」自然と甘い声が出た。
おねえさんは顔を埋めたまま首を左右に振った。可愛いけどそれじゃ寂しいと思い、おねえさんの赤くなった耳をパクリと咥え、舌でベロリと舐めると、おねえさんはびっくりして赤い顔のまま顔を上げた。
その赤く染まった顔は俺をゾクリとさせた。俺、いつも飄々としてるお姉さんが見せるその顔がすごく好きなんだ。それに、おねえさんは、俺みたいにストレートに気持ちを言うのが苦手なのかもしれないが、赤く染まった顔は、正直におねえさんの気持ちを俺に教えてくれるみたいだ。
、、その顔、もっと見てみたい。
俺はおねえさんの顔、いたるところにキスをする。抱きしめた身体も、優しく撫でさする。
今、目の前にいるおねえさんを甘く愛したい。
「おねえさん、今日は酔いに任せず、俺に抱かれて?」
出来る限りの甘い笑みをおねえさんに向けると、おねえさんは伏し目がちにうなづいた。
可愛すぎて、甘く溶かせるかちょっと心配になった。

おねえさんとベッドに腰掛けキスをする。こないだみたいなエロいキスじゃなくて甘いキス。それなのに、俺のブツはギチギチと固くなる。
はぁっとおねえさんの色っぽい吐息がこぼれた。
それを合図にベッドに優しく押し倒し、おねえさんをまたいで上から覆いかぶさる様にキスをするとおねえさんが俺の頭を抱き寄せた。すごく嬉しい、、だけど、、
「ダメだよ、今日は俺が抱く。」
お姉さんの手をおねえさんの顔の横で左右それぞれ恋人繋ぎで拘束する。
おねえさんにエロい事されると俺の身が危うい。
おねえさんはなんだか恥ずかしそうだ。
。。。わかった。おねえさんは恥ずかしいとエロくなるんだ。なんて、なんて、、
「可愛い。おねえさんすごく可愛い。」
思った事が口からつい出た。
すると、真っ赤になったおねえさんは、もうやだ見ないでと手で顔を隠そうとするが、俺に手を拘束されてて出来ない。ばたばたして涙目のおねえさんは、俺にとっては物凄くそそる。
もう、心も体も俺のものは全部あげる。だから、おねえさんを全部ちょうだい。












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