同僚がヴァンパイア体質だった件について

真衣 優夢

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27話 はじめての夜 その2 ●

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 桐生は、ぐらぐらなオレを抱き寄せて、鎖骨の上にキスをした。
 びくん! と大げさに体が反応する。桐生は薄く笑い、鎖骨に沿って舌を這わせた。


「あぁ、そこ、……くすぐった、やめ」

「くすぐったい部分はね、これから性感帯になるんだよ」


 骨ごと軽く甘噛みされると、背筋から下にまで刺激が通った。
 桐生は肩、二の腕、手の甲、あちこちにキスを落としてから、胸に吸いついた。
 赤く膨らんだ突起を舐め、ちゅっと吸う。


「は、うぁ……。いやだ、へんなかんじが」

「ここ感じるのは知ってる。感じやすいよね。
 可愛いな。小さなさくらんぼみたい。
 本当に食べたくなる」

「そこ、……女みた、い……、だから」

「気持ちいい部分に、男とか女とか、関係ないよ。
 人としての個体差があるだけ。
 じゃあ、僕の弱い部分も教えるから、それでどう?」


 やられっぱなしでないなら。何か反撃できるなら。ほとんど回らない頭でオレは頷いた。
 桐生は少し困り顔で、自分の耳を指さした。
 オレが触れやすいように、耳をオレに寄せてくる。
 オレは人差し指で、耳たぶから上へとなぞってみた。


「んん、ぅ……っ!」


 桐生がぎゅっと目を閉じた。ぶるぶるっと震えている。
 指を耳奥に押し込んでみた。


「あ、っく……!
 お手やわらかに、お願い……。
 本当に弱い、から、クる」


 懇願さえも雄らしかった。
 オレに触れられ、声を上げる桐生に興奮した。
 オレは悪戯心半分、感じる桐生見たさ半分で、耳を口でくわえてみた。


「……っ、
 う、ぐ」


 感じるというより、押し殺した、くぐもった声。
 桐生は荒い息を呑みこみ、「お手柔らかにって言ったでしょ」と、オレの顎を指ですくった。
 桐生の瞳は、煌々と光る赤だった。
 今までもダスティピンクが薄くなったり濃くなったりしていたが、今のこの色は。


 桐生の興奮が最大限になった時の瞳だ。


「もっと時間をかけようと思ったのに、どうしてくれるの」

「どうって」


 答えに困る問い。桐生は返事を求めていなかった。
 勢いよくベッドに押し倒された。
 赤い瞳の男がオレを見下ろす。
 恐怖のような期待のような、複雑に入り混じった感情が心臓をどくどくさせた。


 桐生は後ろ手で何かごそごそしてから、左手だけでオレの片足を持ち上げて開かせた。
 見られている。恥ずかしい……!


 ぬるっと変な感触。
 ぬるぬるしたものが後ろをなぞっている。


「桐生、ちょ、待て」

「待てないようにしたの、だーれ」


 つぷ、と、桐生の指先がオレの後ろに入った。


「うおっ!? ひ、うわ!!」


 色っぽさゼロの悲鳴を上げてしまった。
 桐生は心配そうに、「痛い?」と尋ねてくる。
 痛くはなかった。痛くはないけれど。


「き、きもちわるい、のと」


 異物感がすごい。中から押される圧迫感もすごい。
 健康診断の腸カメラを思い出した。
 あの時はもっと痛くて、悲鳴を抑えきれずに医者や看護師に苦笑された。
 ココは物体を入れる臓器じゃない。たとえオレたちが愛し合うのが、ココしかないとしても。


「それに、きたない、から」


 羞恥心がすさまじくて、別の意味で頭に血が上って、どうにかなりそうだった。
 桐生はなぜか、オレににこっと笑った。
 一度指を抜いてくれた。


「今入れたの、第一関節くらいだよ」

「なんだと!?」

「それから、これを見て」


 桐生は右手をオレに見せた。
 極薄の、ぴったり手に張り付くタイプのゴム手袋をしている。


「直接触れたら、きっと恥ずかしがると思って。
 朝霧を汚いなんて思わないし、僕は直に触れたいけど、それは僕だけの願望。
 手袋越しだから、心配しないで。
 摩擦も少ないし、さっきは朝霧、ちょっと力入れすぎ」


 手袋越し……。
 全身から力が抜けた気がした。桐生の手を汚してなくてよかった。
 安心したのも束の間、桐生は再び後ろに指を当ててきた。
 ぬちゃ、ぴちゃ、と水音が聞こえる。周囲まで濡れてべたべたする。


 桐生は、左手だけでオレを強引に抱き起こした。
 ヴァンパイアの膂力。人外の力。
 軽々とオレを抱き寄せた桐生は、丹念に舐めてから、オレの首筋に嚙みついた。


「ひ……うああぁぁぁっ!!」

 
 ずぶずぶと埋め込まれていく牙。電流のような暴力的快感。
 視界がばちっと白くなり、オレはおもちゃのようにがくんがくん揺れながら達していた。
 なにもわからな、かんがえられ、ない。


 桐生がゆっくり牙を抜いて傷跡を舐めた時、オレの後ろには、異物の感触があった。


「中指、付け根まで入ったよ。
 これは気持ち悪い?」


 中で、桐生の指がうごめく。
 異物感はやはりあったが、最初ほど気持ち悪くはなかった。
 奥のほうを中から撫でられている。
 桐生の手のひらがオレに当たるたびに水音がした。
 

「今は、平気……
 あ、ぁっ!?
 ちょ、そっちも触るのか!?」

「初めてなのに、後ろだけで感じろというのは無茶だから」


 桐生は再びオレを寝かせ、左手でオレの前を弄り始めた。 
 大きくて長い指が絡みつき、下から上にしごいては、筋や先端を的確に刺激していく。
 さっき達したばかりなのに、あっという間に固さが戻っているのに自分で驚く。
 前にも触れられた場所だが、今回のほうが、何倍も、きもち、いい。
 だめだ、で、る、


 桐生はぱっと手を離した。


「……!!」

「睨まないで。
 ただの意地悪じゃないんだよ。
 我慢して、我慢して、耐えて耐えたその先が一番気持ちいいんだ。
 まあ、その……我慢して目を潤ませる朝霧が見たいって気持ちはあるんだけど」

「ベッドの上だけSか、お前は!」

「実はね、それもよく言われたんだよ」


 再び桐生の手がオレの前に触れ、くちゅくちゅと上下に擦った。
 微妙にいいところを外し、当たりそうになると手を放してしまう。
 オレが呻くたびに、桐生は目を細めて嬉しそうに笑った。


「ほら、今、指三本目。
 気づいてた?
 後ろ、随分ほぐれてきたよ。
 うねりながらびくびくして、僕の指をしゃぶってる」

「!?」


 前への刺激が強すぎて気づかなかった。いや、もしかして桐生がテクニシャンなのか。
 後ろの異物感……もうさほど異物とは思わない、なにかがあるだけの感覚。
 中で指が動いても、苦痛はなく、そう、苦痛ではなく……


「……そこ、やめろ……」


 時折、指が当たった部分からおかしな感覚がする。
 脳を直接殴られるような、達する一瞬に近いような、どこにも繋がらない反応だけの快感が突き刺さって、おかしい!


「ここのこと?」

「アぁっ! やめ、……! そこ、おかし、おかしい!!」

「うん、ここだ。
 見つけた。朝霧のいいとこ」

「!?」

「こっちにも感じる部分はあるんだ。
 ちっとも変じゃないんだよ」

「そんなわけ、…ひっ、ァ!!」

「慣れていないと、刺激が強すぎるのかな」


 内部の腹側をなぞるように動いていた桐生の指が離れた。
 オレはやっと謎の感覚から解放され、全身で息を吐き出した。
 桐生の指はそのままゆっくり抜けていった。


 桐生が右手の手袋を脱ぎ、裏返してごみ箱に捨てる。
 オレはただ、赤い目を輝かせる桐生を眺めていた。
 桐生の顔が、視界の下に消える。
 膝を両手で掴まれ、大きく開かされた。オレの後ろを、肉感のある何かがなぞった。
 やわらかくて平面っぽい……、桐生の、舌!?




   つづく
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