ヘヴンリー・ヘル ~姦ノ島~

クロナミ

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三日目

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 真夏の太陽の下を全力疾走し、全身汗まみれでふらふらになりながらどうにか洋館にたどり着いたレンが、そのまま勢いよくドアを開けると、すぐに食堂の方から、カララン、と何か軽いものが床に落ちる音がした。

「っ!?」

 レンが急いでそちらに走っていくと、

「んっ……んん……」

 たった今まで大きなテーブルにひとりで突っ伏して寝ていたらしいキョウコが、寝ぼけまなこをこすりながら伸びをしていた。

 女の周囲に空になったビール缶が五本転がっているのをみて、レンは、酒豪の彼女が昼間からひとりで酒を飲んだ挙句、そのまま眠ってしまったらしいことを察する。

(とりあえず、永瀬は、無事か……)

「あれ? レン……帰ってきたんだ。ええと、いま、何時?」
「桜井はどこだ?」

 相手の質問を無視してレンが訊くと、女は面倒くさそうに頭を掻いた。

「アキは……部屋で寝てるはず。そろそろ、起こしたほうがいいかな……」
「……っ」

 レンは、すぐに女に背を向けて走り出した。

「あっ、ちょっと!」

 呼びとめるキョウコを無視して、階段を駆け上がり、アキの部屋のドアをどんどんと叩く。

「桜井、開けてくれっ!」

 数秒の後、ドアが開いて――顔を見せたのは、リクだった。

「っ!?」

 愕然としたレンは、すぐにすべてを察して、絶望する。

(遅かった、のか……) 

 アキは、今はきちんと服を着て、ベッドの上で気持ちよさそうに眠っているが、部屋に充満したあの甘い刺激臭を嗅げば、つい先ほどまでここで何がおこなわれていたのかは、火を見るよりも明らかだ。

「桜井は、疲れて眠ってる。もうしばらくそっとしといてやれ」

 リクは、柔らかく微笑んでいうと、そのままレンの脇を通り過ぎて、一階へと下りていった。

「……クソッ!」

 通路の壁を拳で叩きつつ叫んだレンは、しかし、すぐに食堂にキョウコが独りでいることを思い出し、慌てて男の後を追う。

(もう、無事でいるのは、オレと永瀬だけだ)
(永瀬だけは、アイツだけはなんとしても守らないと……)

 レンが一階に戻った時、ちょうど研究所から三人が帰って来た。

「ひとりで走って帰るなんて、若いねぇっ」

 ヒトミがわざとらしく言うと、隣でユウトがくすくすと笑った。

 食堂から、リクと一緒にキョウコが出てきて、まだ開けていないビールの缶を振ってみせる。

「いまから昼食の準備をするのも大変だから、今日は昼と夜をかねて、豪華なバーベキューパーティにしましょ? 最後の夜だから、思いきりパァーッと」

 隣でリクが微笑みながらうなずくと、それを見たユイも、やはり満足げに笑いながらうなずいた。
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