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【第四章】 『北の魔王』ザラ
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果てしない闇の奥で旺介の魂が出会ったのは、ひとりの哀れな幼女だった。
類まれなる武の才を持って生まれたために、幼き頃より魔王となることを義務づけられ、ただひたすら怒りと憎しみのみを植え付けられてきた、孤独な幼女――ザラ。
やがて、成長した彼女が他を圧倒する武力を手にすると、周囲の誰もが彼女を畏れ、敬うようになり、望むものすべてを手にできるようになったが、ただひとつ、愛だけはけして与えられることがなかった。
孤独を忘れるため、少女ザラは文字通り、血反吐を吐きながら地獄のような鍛錬を続け、いつしか世界最強の存在へと成り果した。
だが、ザラが常軌を逸した、悪魔の如き強さを手にすると、周りの者たちは次第に彼女を恐怖するようになり、彼女は愛されるどころか、ますます深い孤独へと追いやられた。
毎晩、寝室でひとり青い月を見上げながら泣いていた少女が、やがて絶望の末に怒り以外の感情すべてを失ってしまったとしても、無理からぬことだった――。
「……」
いま、すべてを知った旺介は、幼女の姿のまま成長できずに泣き続けているザラの魂に、そっと寄り添った。
「いやっ! どっかいってっ!」
幼女は俯いたまま、かすれた泣き声で言った。
「いや、どこにもいかない」
少年は、かぶりを振った。
「どっかいってってばっ!」
幼女は、その小さな手で少年を強く叩いたが、彼はまったく動じなかった。
「どこにもいかないよ」
「……なんで?」
「オレは、キミを助けにきたんだ」
「……無理よ、そんなの」
少年は腰を屈めて、幼い泣き顔を覗き込んだ。
「ねえ、ひとつ訊いていいかな?」
「……なに?」
「キミは、どうして魔王になったの?」
「……? だって、周りのみんなが、魔王になれっていうから……」
「でも、キミは、本当はもう魔王でいたくないんじゃない?」
「……そんなの、関係ない。あたしは、もう魔王になっちゃったんだから。これからも、魔王でいるしかない。みんながそれを望むかぎり」
「そんなことないよ。キミがもう魔王でいたくないなら、魔王なんて今日をかぎりにやめちゃえばいいんだ」
「無理よっ! あたしは北の魔王ザラヴァンドール。神すら恐れる邪悪の化身。この世界にあまねく闇をもたらす者……」
「ちがうよ」
少年は、にっこり笑った。
「オレの目の前にいるのは、ちょっと不器用だけど、ほんとはすごく優しくて、とっても可愛い、ただのひとりの女の子だよ」
「……っ」
幼女が、その泣き腫らした目で少年を見つめた時――、旺介は、彼女の身体をそっと抱き締め、その長い黒髪を何度も撫でた。
「もういい。もういいんだ……。キミは、もう苦しまなくていい。誰も傷つけなくていい。キミは、自由なんだ」
「……で、でもっ、あたし……っ」
「だいじょうぶ。魔王ザラヴァンドールは、いまこの瞬間に死んで、そして、生まれ変わったんだ。恐怖ではなく、愛をもって国を治める、優しい女王に」
「愛……そんなもの、このあたしに――」
「あるよ。キミの中にも、愛はある。とっても温かくて、大きな愛が。だからこそ、オレはこうしてキミのもとへやってくることができたんだ。キミが、オレをここへ招き入れてくれたんだよ。キミが封印した愛を、このオレに解放させるために」
「……っ!」
幼女の目から一筋の美しい涙がこぼれた時、旺介はもう一度、彼女にやさしくキスをした。
その瞬間――、ふたりを包む永遠の闇にビシリッ! と大きな亀裂が入ったかと思うと、たちまち無数の黒い破片となって砕け散り、あたりに眩い光が降り注いだ――。
*****
ヴァンドール城の冷たい床の上に横たわったザラは、その金色の眼から涙を零しながら、少年の顔を見上げた。
「あ、あたし……」
旺介は、うなずいた。
「もう、大丈夫だね」
言って、少年が少女の蜜壷から怒張した肉棒を引き抜こうとすると、
「いやっ!」
ザラは、彼の腰に細い脚をからめて、牡竿をふたたび深く咥えこんだ。
「このまま、して……。何もかも、忘れさせて……」
「……」
少年は、またひとつうなずいた。
「わかった」
そして、いきなりズンッ! と少女の膣奥を荒々しく突いた。
「あぁああっ! おねがいっ! もっと、もっと強くしてっ!」
「うんっ」
少年が、なんの工夫もなく、ただただ激しく、乱暴に腰を打ちつけると、ザラは快感を叫びながら歓喜の涙を流した。
「はぁあっ! ぁああっ、は、はげしっ! んあぁあああっ! いいっ! あぁああああっ!!!」
ズンッ! ズンッ! ズンッ! ズンッ!
「あぁっ、ああんっ!! あぁあぁっ、あんっ! あぁっっ!! はぁあああっ!!! あっ、ぁああっ、く、くるっ! きちゃうっ!! あっ、あたし、もうっ!!」
「いいよっ、いまこの瞬間に、キミのすべてを解放するんだっ!」
ゆっくり下りてきた子宮口を、仕上げとばかりに少年が全力で突き上げた時――、
「はぁぁあああっ!! あっ、あたしっ、いやっ、あぁっ、あぁああっ! んっぁああああああああアアアアアアアアーーーッッッ!!!!」
ザラは絶叫しつつ細い体を大きく仰け反らせて絶頂し、股からぶしゃぁあっ! と大量の潮を吹いた。
「……あぁぁっ……ぁあぁ……ぁぁ……」
ビグンッ、ビグンッ! と何度も痙攣しながら、少女はとろけきった顔を紅く染め、恥ずかしげに呟く。
「す、すごかった……。ほんとに、死ぬかと思った……。これが、イクってことなのね……」
「そうだよ」
やがて、旺介は、床に横たわったままの少女の蜜壷からじゅぽん、と肉棒を引き抜くと、背後を振り返って、悲しげに目を細めた。
「アン……イリアナ……ウィレア……」
旺介のため、この世界のため、ためらわずその身を犠牲にした偉大な三人の英雄の亡骸を見つめて、彼はしずかに涙を流した。
(みんなのおかげで、この世界は救われたよ……)
心の中で呟いた少年は、ふいに強烈な孤独に襲われた。
(いまこの瞬間に、みんなと笑って抱き合うためにずっと戦ってきたのに……どうして、どうしてこんな……っ)
「どうしてだよ……っ!」
少年がきつく拳を握り締めて、やり場のない悲しみに顔を歪めた、その時――。
「……っ!?」
突然、彼の目の前で、命尽きたはずの三人の女の身体が、あたたかな黄金の光に包まれた。
「なっ、なんだ……?」
この世のものとも思えぬ神々しい光は、やがて、女たちの胸のあたりにすべて吸い込まれていき――、
「ん……んっ、あれ?」
床に俯せに倒れていたイリアナがいきなり息を吹き返し、不思議そうに自分の身体を見つめた。
「あたし、死んだはずじゃ……」
それから、弓を構えたまま石像と化していたウィレアも、石の肌がパラパラと砕け落ちて、すぐにグラマラスな生身の肉体を取り戻す。
「こ、これは、一体……?」
最後に、床に横たわったアンドローズの胸から、魔法のようにするすると魔王の剣が抜けていったかと思うと、
「う、ん……。お、旺介……?」
ぼんやり目を開けた女騎士は、眼前にたつ少年と、傷痕ひとつ残っていない自分の身体を交互に見つめて、驚愕に目を見開いた。
「!? な、なにがどうなって――」
女騎士が呟いた瞬間――、
「アンッ!!」
旺介がいきおいよく飛びついて、彼女の身体を強く、強く抱き締めた。
「旺介……っ」
「よかった、本当に、よかった……っ!」
女の胸に顔を埋めて、幼い子供のように泣きじゃくる少年を見つめて、アンドローズは聖母のような微笑みを浮かべる。
「それでは……魔王に勝ったのだな?」
「うん……」
「そうか……さすがだ、旺介。やはり、お前を信じたのは、間違いではなかった……」
イリアナとウィレアが近づいて来て、女騎士とそっくり同じ笑みを浮かべた。
「まさか、あたしら三人が束になっても敵わなかった相手に、ほんとにひとりで勝っちゃうなんてね」
「わたしは、信じていましたよ? 旺介さまなら、きっとできると」
「っ! あ、あたしだって信じてたしっ! 尻の毛一本ほども疑っちゃいなかったしっ!」
「それにしても……」
エルフは豊満な乳房を抱えるように腕を組み、首を傾げた。
「一度は死んだはずのわたしたちがこうして蘇ったのは、なぜでしょう?」
「わからん……。まさしく神の奇跡、としか言えんな」
アンドローズも眉を寄せながら言うと、旺介は暗い天井を見上げて、
「神の奇跡、ね……」
呟いて涙を拭き、ひとりそっと笑った。
類まれなる武の才を持って生まれたために、幼き頃より魔王となることを義務づけられ、ただひたすら怒りと憎しみのみを植え付けられてきた、孤独な幼女――ザラ。
やがて、成長した彼女が他を圧倒する武力を手にすると、周囲の誰もが彼女を畏れ、敬うようになり、望むものすべてを手にできるようになったが、ただひとつ、愛だけはけして与えられることがなかった。
孤独を忘れるため、少女ザラは文字通り、血反吐を吐きながら地獄のような鍛錬を続け、いつしか世界最強の存在へと成り果した。
だが、ザラが常軌を逸した、悪魔の如き強さを手にすると、周りの者たちは次第に彼女を恐怖するようになり、彼女は愛されるどころか、ますます深い孤独へと追いやられた。
毎晩、寝室でひとり青い月を見上げながら泣いていた少女が、やがて絶望の末に怒り以外の感情すべてを失ってしまったとしても、無理からぬことだった――。
「……」
いま、すべてを知った旺介は、幼女の姿のまま成長できずに泣き続けているザラの魂に、そっと寄り添った。
「いやっ! どっかいってっ!」
幼女は俯いたまま、かすれた泣き声で言った。
「いや、どこにもいかない」
少年は、かぶりを振った。
「どっかいってってばっ!」
幼女は、その小さな手で少年を強く叩いたが、彼はまったく動じなかった。
「どこにもいかないよ」
「……なんで?」
「オレは、キミを助けにきたんだ」
「……無理よ、そんなの」
少年は腰を屈めて、幼い泣き顔を覗き込んだ。
「ねえ、ひとつ訊いていいかな?」
「……なに?」
「キミは、どうして魔王になったの?」
「……? だって、周りのみんなが、魔王になれっていうから……」
「でも、キミは、本当はもう魔王でいたくないんじゃない?」
「……そんなの、関係ない。あたしは、もう魔王になっちゃったんだから。これからも、魔王でいるしかない。みんながそれを望むかぎり」
「そんなことないよ。キミがもう魔王でいたくないなら、魔王なんて今日をかぎりにやめちゃえばいいんだ」
「無理よっ! あたしは北の魔王ザラヴァンドール。神すら恐れる邪悪の化身。この世界にあまねく闇をもたらす者……」
「ちがうよ」
少年は、にっこり笑った。
「オレの目の前にいるのは、ちょっと不器用だけど、ほんとはすごく優しくて、とっても可愛い、ただのひとりの女の子だよ」
「……っ」
幼女が、その泣き腫らした目で少年を見つめた時――、旺介は、彼女の身体をそっと抱き締め、その長い黒髪を何度も撫でた。
「もういい。もういいんだ……。キミは、もう苦しまなくていい。誰も傷つけなくていい。キミは、自由なんだ」
「……で、でもっ、あたし……っ」
「だいじょうぶ。魔王ザラヴァンドールは、いまこの瞬間に死んで、そして、生まれ変わったんだ。恐怖ではなく、愛をもって国を治める、優しい女王に」
「愛……そんなもの、このあたしに――」
「あるよ。キミの中にも、愛はある。とっても温かくて、大きな愛が。だからこそ、オレはこうしてキミのもとへやってくることができたんだ。キミが、オレをここへ招き入れてくれたんだよ。キミが封印した愛を、このオレに解放させるために」
「……っ!」
幼女の目から一筋の美しい涙がこぼれた時、旺介はもう一度、彼女にやさしくキスをした。
その瞬間――、ふたりを包む永遠の闇にビシリッ! と大きな亀裂が入ったかと思うと、たちまち無数の黒い破片となって砕け散り、あたりに眩い光が降り注いだ――。
*****
ヴァンドール城の冷たい床の上に横たわったザラは、その金色の眼から涙を零しながら、少年の顔を見上げた。
「あ、あたし……」
旺介は、うなずいた。
「もう、大丈夫だね」
言って、少年が少女の蜜壷から怒張した肉棒を引き抜こうとすると、
「いやっ!」
ザラは、彼の腰に細い脚をからめて、牡竿をふたたび深く咥えこんだ。
「このまま、して……。何もかも、忘れさせて……」
「……」
少年は、またひとつうなずいた。
「わかった」
そして、いきなりズンッ! と少女の膣奥を荒々しく突いた。
「あぁああっ! おねがいっ! もっと、もっと強くしてっ!」
「うんっ」
少年が、なんの工夫もなく、ただただ激しく、乱暴に腰を打ちつけると、ザラは快感を叫びながら歓喜の涙を流した。
「はぁあっ! ぁああっ、は、はげしっ! んあぁあああっ! いいっ! あぁああああっ!!!」
ズンッ! ズンッ! ズンッ! ズンッ!
「あぁっ、ああんっ!! あぁあぁっ、あんっ! あぁっっ!! はぁあああっ!!! あっ、ぁああっ、く、くるっ! きちゃうっ!! あっ、あたし、もうっ!!」
「いいよっ、いまこの瞬間に、キミのすべてを解放するんだっ!」
ゆっくり下りてきた子宮口を、仕上げとばかりに少年が全力で突き上げた時――、
「はぁぁあああっ!! あっ、あたしっ、いやっ、あぁっ、あぁああっ! んっぁああああああああアアアアアアアアーーーッッッ!!!!」
ザラは絶叫しつつ細い体を大きく仰け反らせて絶頂し、股からぶしゃぁあっ! と大量の潮を吹いた。
「……あぁぁっ……ぁあぁ……ぁぁ……」
ビグンッ、ビグンッ! と何度も痙攣しながら、少女はとろけきった顔を紅く染め、恥ずかしげに呟く。
「す、すごかった……。ほんとに、死ぬかと思った……。これが、イクってことなのね……」
「そうだよ」
やがて、旺介は、床に横たわったままの少女の蜜壷からじゅぽん、と肉棒を引き抜くと、背後を振り返って、悲しげに目を細めた。
「アン……イリアナ……ウィレア……」
旺介のため、この世界のため、ためらわずその身を犠牲にした偉大な三人の英雄の亡骸を見つめて、彼はしずかに涙を流した。
(みんなのおかげで、この世界は救われたよ……)
心の中で呟いた少年は、ふいに強烈な孤独に襲われた。
(いまこの瞬間に、みんなと笑って抱き合うためにずっと戦ってきたのに……どうして、どうしてこんな……っ)
「どうしてだよ……っ!」
少年がきつく拳を握り締めて、やり場のない悲しみに顔を歪めた、その時――。
「……っ!?」
突然、彼の目の前で、命尽きたはずの三人の女の身体が、あたたかな黄金の光に包まれた。
「なっ、なんだ……?」
この世のものとも思えぬ神々しい光は、やがて、女たちの胸のあたりにすべて吸い込まれていき――、
「ん……んっ、あれ?」
床に俯せに倒れていたイリアナがいきなり息を吹き返し、不思議そうに自分の身体を見つめた。
「あたし、死んだはずじゃ……」
それから、弓を構えたまま石像と化していたウィレアも、石の肌がパラパラと砕け落ちて、すぐにグラマラスな生身の肉体を取り戻す。
「こ、これは、一体……?」
最後に、床に横たわったアンドローズの胸から、魔法のようにするすると魔王の剣が抜けていったかと思うと、
「う、ん……。お、旺介……?」
ぼんやり目を開けた女騎士は、眼前にたつ少年と、傷痕ひとつ残っていない自分の身体を交互に見つめて、驚愕に目を見開いた。
「!? な、なにがどうなって――」
女騎士が呟いた瞬間――、
「アンッ!!」
旺介がいきおいよく飛びついて、彼女の身体を強く、強く抱き締めた。
「旺介……っ」
「よかった、本当に、よかった……っ!」
女の胸に顔を埋めて、幼い子供のように泣きじゃくる少年を見つめて、アンドローズは聖母のような微笑みを浮かべる。
「それでは……魔王に勝ったのだな?」
「うん……」
「そうか……さすがだ、旺介。やはり、お前を信じたのは、間違いではなかった……」
イリアナとウィレアが近づいて来て、女騎士とそっくり同じ笑みを浮かべた。
「まさか、あたしら三人が束になっても敵わなかった相手に、ほんとにひとりで勝っちゃうなんてね」
「わたしは、信じていましたよ? 旺介さまなら、きっとできると」
「っ! あ、あたしだって信じてたしっ! 尻の毛一本ほども疑っちゃいなかったしっ!」
「それにしても……」
エルフは豊満な乳房を抱えるように腕を組み、首を傾げた。
「一度は死んだはずのわたしたちがこうして蘇ったのは、なぜでしょう?」
「わからん……。まさしく神の奇跡、としか言えんな」
アンドローズも眉を寄せながら言うと、旺介は暗い天井を見上げて、
「神の奇跡、ね……」
呟いて涙を拭き、ひとりそっと笑った。
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