論理で恋を解く男が、星のように揺れる夜

月下花音

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第35話「君の秘密を探した」

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 午前3時の相談所。

 透は、パソコンの画面を見つめていた。

 美月の過去を、もっと深く調べる。

「真実を、知らなければ……」

 透は小さくつぶやく。

 指が、震える。

 ◆

 五路交差点発、哲学者のほろにがログ。第35話。

 透は、検索を続ける。

「星野美月 自殺未遂 被害者 詳細」

 いくつかの記事が出てくる。

 透は、一つずつ開いていく。

 そして、ある記事を見つける。

『風刺イラスト事件、被害者の現在』

 日付:2年前の記事。

 透は、記事を読み進める。

『3年前に風刺イラストが原因で自殺未遂を図った藤原雪さん(当時17歳)は、現在も治療を続けている。家族によると、雪さんは事件後、学校を退学し、自宅療養を続けているという』

 透の心臓が、止まる。

「藤原雪さん(当時17歳)……」

 透は、椅子から立ち上がる。

 手が、震える。

「雪……?」

 透は、引き出しを開ける。

 雪の死亡診断書。

 日付:8年前の11月18日。

 死亡時年齢:17歳。

 透は、記事の日付を確認する。

 3年前の7月15日。

 被害者:藤原雪さん(当時17歳)。

「違う……時期が合わない……」

 透は、混乱する。

 雪は、8年前に死んだ。

 でも、記事の雪は3年前に自殺未遂。

「別の雪……?」

 透は、小さくつぶやく。

 でも、名前が同じ。

 年齢も同じ。

「まさか……」

 透の視界が、歪む。

「美月さんの『雪ちゃん』は……妹の雪……?」

 透は、床に座り込む。

 頭を抱える。

「でも、時期が合わない……」

 透は、何度も確認する。

 雪の死:8年前。

 記事の事件:3年前。

 5年のズレ。

「分からない……」

 透は、涙を流す。

「雪……美月さん……」

 透は、二人の名前を呼ぶ。

 でも、答えが出ない。

 真実が、見えない。

 透は、携帯を取る。

 美月に電話する。

 でも、繋がらない。

「美月さん……教えてくれ……」

 透は、小さく祈る。

 でも、返事はない。

 ◆

 午前5時の相談所。

 透は、一晩中考えていた。

 可能性を、すべて書き出す。

 1. 別の藤原雪(同姓同名)
 2. 記事の誤報(年齢や時期の間違い)
 3. 妹の雪が関係している(時期のズレの理由は不明)

 透は、ペンを置く。

「どれも、確信が持てない……」

 透は、窓の外を見る。

 朝日が、昇り始めている。

 新しい一日。

 でも、透の心は、暗い。

「美月さん……」

 透は、小さくつぶやく。

「君の秘密を、探した」

「でも、真実が分からない」

 透は、立ち上がる。

 美月に、会わなければ。

 直接、聞かなければ。

 透は、相談所を出る。

 ◆

 午後11時の相談所。

 透は机に向かい、新しい手紙を開いた。

 便箋には、丁寧な文字でこう書かれていた。

『真実を探しました。

 でも、矛盾だらけです。

 時期が合わないのに、名前が同じ。

 年齢も同じ。

 これは、偶然なのでしょうか?

 それとも、何か理由があるのでしょうか?

 30歳・男性』

 透の手が、止まる。

 これは、俺のことだ。

 透はペンを取り、ノートに書き込む。

「矛盾の数をC、真実の確率をT、偶然の可能性をRとする。

 だが、この式には本質が欠けている。

 真実は、時に矛盾する」

 透の手が、震える。

 でも、今度は迷わない。

 透は便箋に、丁寧な文字で書き始めた。

『真実を探しました。

 でも、矛盾だらけです。

 それは、正常です。

 真実は、時に矛盾します。

 時期が合わないのに、名前が同じ。

 年齢も同じ。

 それは、偶然かもしれません。

 それとも、何か理由があるかもしれません。

 でも、真実を知るには、勇気が要ります。

 矛盾を受け入れる勇気が。

 私も、勇気を出します。

 美月さんに、直接聞くために。

 どんな真実でも、受け止めます。

 あなたも、勇気を出してください。

 真実を、知ってください。

 藤原透』

 透は手紙を封筒に入れ、棚に置く。

 透は、決意した。

 美月に、会う。

 そして、真実を聞く。

 透は引き出しを開ける。

 星座図に、手を伸ばす。

 指先が震える。

 触れる。

 埃が、舞う。

 でも、開けない。

 まだ、開けない。

 透は星座図を閉じた。

 透は相談所を出て、交差点に立つ。

 五つの道。

 どれも、真実に繋がっている。

 風が、冷たく吹き抜ける。

 星空が、静かに輝いている。

 透は、小さくつぶやく。

「君の秘密を探した」

 でも、まだ見つからない。

 だから、直接聞く。

 透は、前に進む。

 美月を、探すために。

(第35話完 次話へ続く)

 次回、透は「傷だらけの優しさ」に触れる。
 そして、透の心が——君の想像する「真実」が、明らかになり始める——。
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