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第9話:農業革命
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リリの加入により、俺たちの生活水準(QOL)は劇的に向上した。
掃除が行き届き、食事が美味しくなり、洗濯物がパリッと乾く。
素晴らしい。彼女は「有能な総務」だ。
そして、リリは意外な才能を見せた。
農業だ。
魔法は使えないが、植物の「声」が聞こえるらしい。
「フィリア様、この麦ですが……『もっと感覚を空けてほしい』と言っています」
「えっ、そうなの?」
「はい。あと、こちらの野菜は『昨日の水が冷たすぎた』と……」
リリの通訳を受けて、フィリアが能力を使う。
すると、農作物の収穫量が倍増した。
さらに、品種改良にも成功した。
「創様、これを見てください」
リリが持ってきたのは、黄金色のトウモロコシだ。
「加熱すると体積が膨張し、内部から破裂する特性を持たせました」
俺は試しにフライパンで炒めてみた。
パン! パパン!
軽快な音と共に、トウモロコシが白い花のように弾ける。
ポップコーンだ。
「……味は?」
塩を振って食べてみる。
サクサクとした食感。香ばしい香り。
「美味い……!」
これは革命だ。
今までは「生きるための食事」だったが、これは「楽しむための食事」だ。
嗜好品の誕生。文化の始まりだ。
「すごいわリリ! あんた天才よ!」
ヘスティアがポップコーンを頬張る。
「これならお酒のつまみに最高……あ、お酒ないんだった」
「お酒……作れますよ?」
リリがさらりと言う。
「エルフの秘伝の酵母を知っています」
「!!」
俺とヘスティアが同時に反応した。
酒。
社畜のガソリン。大人の癒やし。
「作れ! 今すぐだ! リソースは惜しまない!」
俺は即決した。
こうして、「第一回・廃棄世界醸造プロジェクト」が始動した。
数日後。
完成したのは、麦と果実を原料にしたエールビールだ。
夜、全員で試飲会を開く。
「……乾杯」
木のジョッキを合わせる。
一口飲む。
苦味と、フルーティな香り、そして炭酸の刺激。
「くぅぅぅ……!」
俺は唸った。
五臓六腑に染み渡る。
死んでて良かったと思う瞬間だった。
「ぷはーっ! 最高!」
ヘスティアがいける口だった。
フィリアとソフィアは一口で顔を赤くしてフラフラしている。
リリはニコニコしながら俺におかわりを注ぐ。
酔いが回るにつれて、会話が弾む。
愚痴、夢、どうでもいい話。
笑い声が夜空に吸い込まれていく。
俺は酔った目で彼女たちを見た。
ポンコツで、手がかかって、愛すべき部下たち。
「……悪くないな」
俺は呟いた。
この世界に来て初めて、心の底からリラックスしていた。
胃の痛みも、今は忘れていた。
(つづく)
掃除が行き届き、食事が美味しくなり、洗濯物がパリッと乾く。
素晴らしい。彼女は「有能な総務」だ。
そして、リリは意外な才能を見せた。
農業だ。
魔法は使えないが、植物の「声」が聞こえるらしい。
「フィリア様、この麦ですが……『もっと感覚を空けてほしい』と言っています」
「えっ、そうなの?」
「はい。あと、こちらの野菜は『昨日の水が冷たすぎた』と……」
リリの通訳を受けて、フィリアが能力を使う。
すると、農作物の収穫量が倍増した。
さらに、品種改良にも成功した。
「創様、これを見てください」
リリが持ってきたのは、黄金色のトウモロコシだ。
「加熱すると体積が膨張し、内部から破裂する特性を持たせました」
俺は試しにフライパンで炒めてみた。
パン! パパン!
軽快な音と共に、トウモロコシが白い花のように弾ける。
ポップコーンだ。
「……味は?」
塩を振って食べてみる。
サクサクとした食感。香ばしい香り。
「美味い……!」
これは革命だ。
今までは「生きるための食事」だったが、これは「楽しむための食事」だ。
嗜好品の誕生。文化の始まりだ。
「すごいわリリ! あんた天才よ!」
ヘスティアがポップコーンを頬張る。
「これならお酒のつまみに最高……あ、お酒ないんだった」
「お酒……作れますよ?」
リリがさらりと言う。
「エルフの秘伝の酵母を知っています」
「!!」
俺とヘスティアが同時に反応した。
酒。
社畜のガソリン。大人の癒やし。
「作れ! 今すぐだ! リソースは惜しまない!」
俺は即決した。
こうして、「第一回・廃棄世界醸造プロジェクト」が始動した。
数日後。
完成したのは、麦と果実を原料にしたエールビールだ。
夜、全員で試飲会を開く。
「……乾杯」
木のジョッキを合わせる。
一口飲む。
苦味と、フルーティな香り、そして炭酸の刺激。
「くぅぅぅ……!」
俺は唸った。
五臓六腑に染み渡る。
死んでて良かったと思う瞬間だった。
「ぷはーっ! 最高!」
ヘスティアがいける口だった。
フィリアとソフィアは一口で顔を赤くしてフラフラしている。
リリはニコニコしながら俺におかわりを注ぐ。
酔いが回るにつれて、会話が弾む。
愚痴、夢、どうでもいい話。
笑い声が夜空に吸い込まれていく。
俺は酔った目で彼女たちを見た。
ポンコツで、手がかかって、愛すべき部下たち。
「……悪くないな」
俺は呟いた。
この世界に来て初めて、心の底からリラックスしていた。
胃の痛みも、今は忘れていた。
(つづく)
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