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第10話:通貨システムの構築
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人口が5人になった。
そして生産物(農作物、加工品、酒)が増えた。
物々交換では限界が来ている。
「通貨を作るぞ」
俺は定例会議で提案した。
「価値の尺度が曖昧だと、トラブルの元だ。……特に、ヘスティアの作る家具と、フィリアの野菜の交換レートでいつも揉めてるだろ」
「当たり前よ! あたしの作った椅子と、ナス一本が同じ価値なわけないでしょ!」
「でも、ナスは美味しいですよ?」
経済の導入。
俺は木のチップに焼き印を押した「コイン」を発行することにした。
単位は「G(ジェネシス)」。
しかし、ここで問題が発生した。
通貨の信用裏付け(担保)をどうするかだ。
金はない。希少金属もない。
このコインに価値があると、どうやって信じさせる?
「創様の『労働力』を担保にしてはどうでしょう?」
リリが提案した。
「このコイン10枚で、創様にお願い事を一つ聞いてもらえる……とか」
「……は?」
俺は聞き返した。
それはつまり、「俺の肩たたき券」みたいなものか?
「それいい!」
女神たちが食いついた。
「100枚貯めたら、創さんとデートできる券とか!」
「50枚で頭撫でてくれる券!」
「1枚で……膝枕……」
待て待て。
趣旨が変わっている。
だが、彼女たちの目の色はマジだ。
「……わかった。採用しよう」
俺は渋々承諾した。
他に担保がない以上、俺の身体(労働)を差し出すしかない。
結果。
ハイパーインフレーションが起きた。
女神とリリが、狂ったように働き始めたのだ。
農作物が山積みになり、家具が量産され、酒樽が積み上がる。
全ては「コイン」を得るため。
そして、コインを得る目的は「俺への権利」を行使するため。
「創さん! コイン100枚貯まりました! デートしてください!」
フィリアがコインの袋を突きつけてくる。
「ずるい! あたしだって貯めたわよ! 一緒に寝る券!」
ヘスティアが割り込む。
俺の身体は一つしかない。
供給が需要に追いつかない。
市場崩壊の危機だ。
「落ち着け!」
俺は叫んだ。
「順番だ! 予約制にする! ……あと、『一緒に寝る』は添い寝までだ! 不純異性交遊は禁止!」
俺は手帳を開き、スケジューリングを開始した。
『13:00~ フィリアと散歩』
『15:00~ ヘスティアの昼寝に付き合う』
『18:00~ ソフィアに本の読み聞かせ』
……なんだこれ。
管理者じゃなくて、ホストのスケジュールじゃないか。
俺は遠い目をした。
経済は回った。国は豊かになった。
しかし、俺の疲労度はマッハで上昇した。
これも「管理職の責任」なのだろうか。
(つづく)
そして生産物(農作物、加工品、酒)が増えた。
物々交換では限界が来ている。
「通貨を作るぞ」
俺は定例会議で提案した。
「価値の尺度が曖昧だと、トラブルの元だ。……特に、ヘスティアの作る家具と、フィリアの野菜の交換レートでいつも揉めてるだろ」
「当たり前よ! あたしの作った椅子と、ナス一本が同じ価値なわけないでしょ!」
「でも、ナスは美味しいですよ?」
経済の導入。
俺は木のチップに焼き印を押した「コイン」を発行することにした。
単位は「G(ジェネシス)」。
しかし、ここで問題が発生した。
通貨の信用裏付け(担保)をどうするかだ。
金はない。希少金属もない。
このコインに価値があると、どうやって信じさせる?
「創様の『労働力』を担保にしてはどうでしょう?」
リリが提案した。
「このコイン10枚で、創様にお願い事を一つ聞いてもらえる……とか」
「……は?」
俺は聞き返した。
それはつまり、「俺の肩たたき券」みたいなものか?
「それいい!」
女神たちが食いついた。
「100枚貯めたら、創さんとデートできる券とか!」
「50枚で頭撫でてくれる券!」
「1枚で……膝枕……」
待て待て。
趣旨が変わっている。
だが、彼女たちの目の色はマジだ。
「……わかった。採用しよう」
俺は渋々承諾した。
他に担保がない以上、俺の身体(労働)を差し出すしかない。
結果。
ハイパーインフレーションが起きた。
女神とリリが、狂ったように働き始めたのだ。
農作物が山積みになり、家具が量産され、酒樽が積み上がる。
全ては「コイン」を得るため。
そして、コインを得る目的は「俺への権利」を行使するため。
「創さん! コイン100枚貯まりました! デートしてください!」
フィリアがコインの袋を突きつけてくる。
「ずるい! あたしだって貯めたわよ! 一緒に寝る券!」
ヘスティアが割り込む。
俺の身体は一つしかない。
供給が需要に追いつかない。
市場崩壊の危機だ。
「落ち着け!」
俺は叫んだ。
「順番だ! 予約制にする! ……あと、『一緒に寝る』は添い寝までだ! 不純異性交遊は禁止!」
俺は手帳を開き、スケジューリングを開始した。
『13:00~ フィリアと散歩』
『15:00~ ヘスティアの昼寝に付き合う』
『18:00~ ソフィアに本の読み聞かせ』
……なんだこれ。
管理者じゃなくて、ホストのスケジュールじゃないか。
俺は遠い目をした。
経済は回った。国は豊かになった。
しかし、俺の疲労度はマッハで上昇した。
これも「管理職の責任」なのだろうか。
(つづく)
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