心理学で恋愛ハックするはずが、エッチな妄想が全公開された件~AIの正体は7歳の頃に交換日記をした幼馴染でした~

月下花音

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第2話:ゲインロス効果で魅力をアップ?

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「……気持ち悪いんだけど」

あの日の、あの言葉が、悪夢のように俺の脳内でリフレインする。

妄想の中のあみが、冷たい目で俺を見下ろしている。

「気持ち悪いんだけど」
「気持ち悪いんだけど」
「気持ち悪いんだけど」

何度も、何度も、繰り返される。

パンツをかぶった俺が、あみの冷酷な視線に耐えきれず崩れ落ちる。

「やめてくれ…もう許して…」

妄想の中の俺が懇願しているが、あみは容赦しない。

「気持ち悪いんだけど」

――はっ!

気がつくと、講義室で机に突っ伏していた。

隣の席の太郎が、心配そうに俺を見ている。

「おい、賢司…お前、寝言で『やめてくれ』とか言ってたぞ…」

「…悪夢を見た」

「またあみちゃんの話か?」

「…うるさい」

俺は顔を上げる。

なぜ俺は、こんなにも自分を責めるのか。

マゾなのかもしれない。

いや、違う。

これは、恋なのだ。

恋という名の、脳のバグなのだ。



合同ゼミでの「認知的不協和」作戦は、歴史的大敗を喫した。

完璧な理論、完璧なシミュレーション。

それらが、たった一言の「気持ち悪い」で、跡形もなく吹き飛んだのだ。

俺のプライドはズタズタだった。

だが、しかし。

顔を上げると、俺の口元は、自分でも気づかないうちに、にんまりと歪んでいた。

(引かれた時の、あのあみさんの顔……最高だった……)

そう。

俺は、ただの変態だったのだ。

いや、違う。

これは「知的好奇心」だ。

予想外の反応を引き出してしまったことに対する、純粋な学術的興味。

決して、彼女の冷たい視線に興奮したわけではない。断じて。

ブルリ、と俺のスマホが震えた。

手に取ると、ココロダイブからの通知が表示されている。

【昨日の作戦評価:F-】
【コメント:理論を覚えたての猿が、バナナで人を殴っているレベル。心理学への冒涜】

「うっ……!」

AIの分際で、的確に俺の心を抉ってくる。

だが、通知はまだ続いていた。

【次なる一手として、「ゲインロス効果」を提案します】



ゲインロス効果。

その言葉に、俺の目はカッと見開かれた。

もちろん知っている。

心理学の基本中の基本。

「ゲイン」=得る(プラス)
「ロス」=失う(マイナス)

簡単に言えば、こういうことだ。

例えば、友達がいつもお菓子をくれる。
嬉しいけど、だんだん当たり前になる。

でも、ある日突然「ごめん、今日はお菓子ないんだ」と言われる。

すると「えっ、寂しい!いつものお菓子が欲しい!」って強く思う。

そして次の日、「やっぱり持ってきたよ」って渡されると、最初より何倍も嬉しく感じる。

これが「ロス(失う)→ゲイン(得る)」の効果だ。

つまり、「ツンデレ」が人気な理由も同じ。

最初は冷たい(ロス)→ある日優しくなる(ゲイン)=最初から優しい人の何倍も魅力的に見える!

「なるほど……!」

(なるほど……そういうことか、ココロダイブ……!)

昨日の大失敗は、この効果を発動させるための、壮大な布石だったというわけか!

俺は、AIの深謀遠慮に打ち震えた。

マイナスからのスタート。

これ以上のマイナスはないだろう。

つまり、ここからの俺は、何をしてもプラスに評価される!

上げ幅しかない!

伸びしろしかない!

(完璧だ……!俺のキャンパスライフ、まだ終わってなかった……!)



俺の脳内で、再び妄想の劇場が幕を開ける。

『佐伯くんて、最初は"気持ち悪い"って思ってたけど……本当は、すごく博識なんだね。もっと、心理学のこと、教えてくれないかな?二人きりで……』

そう言って、はにかみながら上目遣いで俺を見つめるあみさん。

彼女の頬は紅く染まり、胸元の白いブラウスのボタンが3つも外れて、レースのブラが透けて見える。

(やった!「気持ち悪い」からの大逆転!これぞゲインロス!)

『フッ……仕方ないな。君だけの、特別講義だ』

クールに答えながら、俺は彼女の手を取り、誰もいない講義室へと導く。

二人だけの空間。

夕日が差し込む中、俺は彼女を机に座らせ、その耳元に囁く。

『心理学の奥深さ……体で教えてあげようか?』

あみさんの瞳が潤み、吐息が荒くなる。

『んっ……賢司くん……そんなこと言われたら……ドキドキしちゃう……』

小さく頷く彼女の首筋に、俺は唇を這わせる。

『ひゃっ……!そこ……敏感……なの……』

俺の手が彼女の肩に触れ……そして背中へ……ブラウスの中に潜り込む。

『賢司くん……ダメ、ここ講義室だよ……誰か来ちゃう……でも……止まらない……っ』

柔らかい感触が手のひらに……。

『んんっ……!触らないで……って言いたいのに……気持ちいいっ……!』

制服のスカートが乱れ、白い太ももが露わになる。

俺は彼女を抱き寄せ、机の上に座らせて……両手で太ももを掴むと……。

『あっ……!賢司くん……そんなところ……ダメ……っ!』

彼女のパンツが見えそうで……いや、もう見えてる!白いレースの……!

(最高だ……!これが適合率95%の奇跡……!)

俺の手がスカートの中に侵入し……太ももの内側を這い上がり……。

『んんっ……!賢司くん……ダメっ……そんなところ触ったら……っ!』

レースの感触が指先に……あみの体が震えて……。

(これが……これが適合率95%の本当の意味……!)

俺の理性が完全に崩壊する寸前、あみが俺の首に腕を回して……。

『賢司くん……私……もう……っ!』

その瞬間、机の上の資料が全部床に散乱し、夕日に照らされた講義室で、二人は禁断の……。

「……おい、賢司。いつまでニヤニヤしてんだ?講義もう終わっているぞ」

「ぶへっ!?」

妄想のクライマックスは、無遠慮な声によって中断された。

声の主は、鈴木太郎(すずき たろう)。

俺のルームメイトであり、良くも悪くも、俺の大学生活における最大の変数だ。

「なんだよ太郎か。人の甘い時間を邪魔するな。今、あみさんの白いレースの下着に触れるとこだったのに……いや、触れてた!指先にあの柔らかさが……!」

「うわ、マジでヤバいこと口走ってる。しかも具体的すぎるだろ!お前、また一人で妄想してたのかよ。いい加減、現実見ろって」

「うるせえ!妄想の中では俺とあみさんは完璧なカップルなんだよ!適合率95%の運命だ!」

「……お前の股間、テント張ってるぞ。」

「ぐっ……!」

俺は慌てて自分の両手で下半身を隠す。

(まずい、完全に興奮してた……!)

太郎は、俺のスマホをひょいと奪い取った。

「お、ココロダイブじゃん。今日の俺と、文学部のあの子の相性は……っと」

「おい、勝手に使うな!」

こいつは、人のプライベートに土足で踏み込んでくることに、何の躊躇もない男なのだ。



俺の作戦は、こうだ。

【ステップ1】あみさんに面白い本を貸す(ゲイン=プラス)
→「佐伯くん、いい本くれた!」と喜ばせる

【ステップ2】その本を"うっかり"なくす(ロス=マイナス)
→「えっ、続きが読めない!寂しい!」と思わせる

【ステップ3】本を見つけて返す(ゲイン=超プラス!)
→「やっぱり佐伯くんすごい!ありがとう!」と感動させる

完璧だ。

お菓子の例と同じ。
一度失わせることで、俺の価値が何倍にも膨れ上がるはずだ!

俺は、数日後、大学の図書館でその機会を虎視眈々と狙っていた。

(いた……!)

書架の間から、ターゲットの姿を捕捉する。

吉村あみさんだ。

彼女は、真剣な表情で本棚を眺めている。

その知的な横顔に、俺の心拍数がまたしても跳ね上がった。

【心拍数、上昇。対象:吉村あみ。学習済み】

ココロダイブの冷静な通知が、俺に現実を思い出させる。

そうだ、今は作戦中だ。

俺は、この日のために用意した「アイテム」を懐から取り出した。

一冊の、分厚い文庫本。

タイトルは『深淵を覗くとき:現代思想における無意識の構造分析』。

……もちろん、俺も読んだことはない。

だが、このいかにも難しそうなタイトルが、俺の知性を演出し、彼女の知的好奇心を刺激するはずだ。

俺は、さりげなく、そして運命を装って、彼女の前に姿を現した。

「やあ、吉村さん。奇遇だな」

「あ、佐伯くん。こんにちは」

あみさんは、少し驚きながらも、ぺこりとお辞儀をしてくれた。

覚えていてくれたらしい。

それだけで、俺の心は満たされる。

(いや、いかんいかん。俺は今、マイナスからのスタートなんだ)

「レポート、進んでるか?」

「ううん、テーマが決まらなくて。何か参考にしようと思って」

「そうか。もしよかったら、これ、読んでみるといい」

俺は、計画通り、懐の文庫本を彼女に差し出した。

緊張で、少し指が震える。

「『深淵を覗くとき』……?」

彼女は、怪訝そうな顔でタイトルを読み上げる。

「ああ。少し難しいかもしれないが、君ならきっと、この本に隠された真のメッセージを読み解けるはずだ」

思わせぶりなセリフと共に、俺は彼女に本を手渡す。

これがステップ1「ゲイン」だ。

あみさんに本を貸して、喜ばせる。

そして数日後……

ステップ2「ロス」を発動させる。

つまり、この本を一時的に「失わせる」ことで、彼女の心に喪失感を生み出す。

『あの本、もっと読みたかったな……佐伯くんに会って、感想を話したいな……』

そして最後に、

ステップ3「ゲイン」で本を見つけて返せば、俺への好感度は爆上がり!

完璧な作戦だ。

「……ありがとう。でも、なんだか難しそう」

「フッ……挑戦なくして、成長はないさ」

俺は、どこかで聞いたようなセリフで、クールに決めた。

あみさんは、少し困ったように笑いながらも、その本を受け取ってくれた。

(よし……!第一段階、クリア……!)

俺は、勝利を確信し、その場を後にした。

だが、この時の俺は、まだ気づいていなかった。

俺の背後で、あみさんが「なんでこの人、いつもこんなに芝居がかってるんだろ……」と呟いていたことにも。

そして、この作戦が、俺の予想を遥かに超える形で、最悪の結末を迎えることにも。



数日後。

いよいよステップ2「ロス(本を失わせる)」の実行日だ。

俺の作戦はシンプル。

太郎に、あみさんが持ってる本と同じ本を「間違えて」持っていってもらう。

そうすれば、あみさんは「あれ?本がない!読みたかったのに!」と喪失感を感じるはず。

そして数日後、俺が「見つかったよ!」と本を返せば、感動して好感度爆上がり!

完璧だ。

「なあ太郎、ちょっと手伝ってくれないか?」

俺は、部屋でゴロゴロしている太郎に声をかけた。

「んー?なんだよ」

「この本、俺の机の上にあるから、講義に持っていってくれないか?俺、今日バイト入ってるから」

俺は、あみさんに貸した『深淵を覗くとき』と全く同じ本を、わざわざもう一冊買って、机の上に置いていた。

太郎が持っていけば、あみさんは「あれ、本がなくなった!」と思うはず。

(完璧な計画だ……!)

「おー、いいぜ。任せとけ」

太郎は、気安く請け負ってくれた。

俺は、ほくそ笑みながらバイトへと向かった。

そして、その日の夕方。

俺は、大学のカフェテリアで、あみさんの姿を見つけた。

絶好の機会だ。

俺は、彼女のテーブルへと向かう。

「やあ、吉村さん。この前の本、どうだった?」

「あ、佐伯くん。うん、面白かったよ。ちょうど、読み終わったところ」

そう言って、彼女はカバンから『深淵を覗くとき』を取り出した。

その分厚い本のページから、可愛らしいアニメキャラクターが描かれた栞が、ぴょこんと飛び出している。

俺はその時、その栞が何を意味するのか、まだ知らなかった。

……ん?

読み終わった?

おかしい。
俺の計画では、今頃、彼女は本を失って、喪失感に打ちひしがれているはずでは……。

俺が混乱していると、あみさんは続けた。

「それでね、この本のことで、ちょっと話したいことがあるんだけど」

「は、話したいこと……?」

(まさか……!感想を語り合いたい、ということか!?)

まずい。

俺はこの本を、一行たりとも読んでいない。

背中に、嫌な汗が流れる。

その時だった。

「お、あみじゃん。奇遇だな」

馴れ馴れしい声と共に、一人の男が俺たちのテーブルに現れた。

爽やかな笑顔。

ブランドもののシャツを着こなし、いかにもリア充といったオーラを放っている。

誰だ、こいつは。

「高梨くん!こんにちは」

あみさんが、嬉しそうに声を上げた。

高梨……だと……?

俺の脳内データベースが、高速で検索を開始する。

【検索対象:高梨】
【該当者:高梨 悠(経済学部3年)】
【特記事項:テニスサークルの部長。学内イケメンランキング、不動の1位】

……最悪の男が現れた。

「あれ、そちらは?あみの友達?」

高梨は、人懐っこい笑顔を俺に向けてくる。

その笑顔が、なぜか無性に腹立たしい。

「さ、佐伯賢司だ……吉村さんとは、同じゼミで……」

「へえ、そうなんだ。よろしくな、佐伯くん」

高梨は、俺のしどろもどろな自己紹介にも、嫌な顔一つせず、爽やかに笑う。

その完璧なコミュニケーション能力が、俺の劣等感を刺激する。

「あみ、この後、サークルの飲み会に行くだろ?一緒に行こうぜ」

「うん、行くよ。じゃあ、また後でね」

「おう。じゃあな、佐伯くんも」

高梨は、嵐のように現れ、そして爽やかに去っていった。

残されたのは、呆然とする俺と、少し申し訳なさそうな顔をしたあみさん。

「ごめんね、佐伯くん。話の途中で」

「い、いや……」

俺は、嫉妬と敗北感で、言葉も出なかった。

ココロダイブが、無慈悲な通知を送ってくる。

【嫉妬指数:85%】
【恋愛市場価値(推定):佐伯賢司 25 / 高梨 悠 98】

……やかましいわ。

しかも、俺の脳内では高梨とあみさんが親しげに話すシーンが勝手に再生され始める。

高梨があみさんの肩を抱き……そのまま壁に押し付けて……。

『やめろ……俺のあみさんに触るな……!』

心の中で叫ぶが、妄想は止まらない。

あみさんが高梨に微笑みかけ、ブラウスのボタンが外れ始め……。

高梨の手があみの腰に回り、スカートが乱れて……白い太ももが露わに……。

『あっ……高梨くん……ダメ……でも……』

あみが恍惚とした表情で高梨の名前を呼ぶ……!

(くそっ……!なんで俺の妄想なのに高梨が主役なんだよ!!)

「ぐぬぬぬぬ……!」

俺は歯ぎしりしながら、その悪夢のNTR妄想を振り払おうとする。

でも脳内では続きが……高梨があみを抱き上げて、二人が夕日の中で……。

(やめろ!俺の適合率95%のあみさんがぁぁぁ!!)

「それで、本の話なんだけど……」

あみさんが、話を戻そうとする。

だが、俺の頭は、もはやそれどころではなかった。

「あ、ああ、その本なんだが……すまない、急用を思い出した!また今度!」

俺は、一方的にそう告げると、その場から逃げ出した。

情けない。

あまりにも、情けない。

ゲインロス効果どころか、ただただ、自分の惨めさを露呈しただけだった。



部屋に戻ると、太郎が「よお、おかえり」と声をかけてきた。

机の上には、俺が頼んだ『深淵を覗くとき』が、そのまま置かれている。

「……太郎、お前、この本、持っていかなかったのか?」

「ん?ああ、持っていこうと思ったんだけどさ」

太郎がスマホを見せてくる。

『あみより:佐伯くんの本、すごく面白かった!もう読み終わったから、明日返すね!』

「吉村さんから、お前にLINE来てたから、『もう読み終わったなら、本は持っていかなくていいか』って思って、そのままにしといた。俺って、気が利くだろ?」

太郎は、得意げに胸を張る。

……こいつ……!

俺の作戦は、こうだったはずだ。

【俺の計画】
1. 太郎が本を持っていく
2. あみさん「本がない!読みたかったのに!」(ロス発動)
3. 俺「見つけたよ!」(ゲイン発動、好感度爆上がり)

【現実】
1. 太郎が本を持っていかなかった
2. あみさん「もう読み終わったよ」(ロスもゲインも何もなし)
3. 俺「……」(計画崩壊)

いらないところで、気を利かせやがって……!

俺の完璧な計画は、ルームメイトの余計な親切心によって、根底から覆されていたのだ。

「そういえば、賢司」

俺が怒りに震えていると、太郎が思い出したように言った。

「さっき、吉村さんって子から電話あったぞ。『貸してもらった本、すごく面白かったから、ぜひ感想を話したい』ってさ。あと、『佐伯くん、もしかして忘れっぽい?』とも言ってたな」

「……」

時が、再び止まった。

あみさんからの、伝言。

それは、俺にとって、あまりにも残酷な、死の宣告だった。

ゲインロス効果、完全なる失敗。

俺が狙っていたのは、こうだ。

【理想】
- ゲイン(本を貸す)→ロス(本がない!)→ゲイン(見つけた!)=好感度爆上がり!

【現実】
- ゲイン(本を貸した)→何もなし→ロス(高梨に嫉妬して逃げた)=好感度ダダ下がり!

結果として、俺は彼女に「知的な男」という印象を与えることに失敗し、ただただ「忘れっぽくて、頼りなくて、変な男」という印象だけを、強烈に与えてしまったのだった。

【ゲインロス効果作戦:大失敗】
【原因:太郎の余計な気遣い+高梨の登場+賢司の嫉妬暴走】
【結論:人の心は思い通りにならない。計画が複雑すぎる。もっとシンプルに行け】

ココロダイブの通知が、俺の傷口に、さらに塩を塗り込んでくる。

だが、俺の心には、絶望と共に、新たな炎が燃え上がっていた。

(高梨……悠……!)

あの爽やかイケメン。

あいつさえいなければ。

俺の嫉妬の炎は、メラメラと燃え盛る。

(見てろよ……次は、絶対に負けない……!)

新たなライバルの出現と、ルームメイトのせいで台無しになった作戦。

俺の戦いは、ますます混迷を深めていく。

だが、それでこそ、だ。

それでこそ、俺の研究対象として、不足はない。

俺は、次なる心理学テクニックに、思いを馳せるのだった。

その時、手の中のスマホが、再びブルリと震えた。

【緊急通知】
【対象:高梨 悠と吉村 あみの適合率を算出中……】
【……算出完了】
【適合率:99%】

「うそ……だろ……?」

俺の絶望は、まだ始まったばかりだった。
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