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第2話:ゲインロス効果で魅力をアップ?
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「……気持ち悪いんだけど」
あの日の、あの言葉が、悪夢のように俺の脳内でリフレインする。
妄想の中のあみが、冷たい目で俺を見下ろしている。
「気持ち悪いんだけど」
「気持ち悪いんだけど」
「気持ち悪いんだけど」
何度も、何度も、繰り返される。
パンツをかぶった俺が、あみの冷酷な視線に耐えきれず崩れ落ちる。
「やめてくれ…もう許して…」
妄想の中の俺が懇願しているが、あみは容赦しない。
「気持ち悪いんだけど」
――はっ!
気がつくと、講義室で机に突っ伏していた。
隣の席の太郎が、心配そうに俺を見ている。
「おい、賢司…お前、寝言で『やめてくれ』とか言ってたぞ…」
「…悪夢を見た」
「またあみちゃんの話か?」
「…うるさい」
俺は顔を上げる。
なぜ俺は、こんなにも自分を責めるのか。
マゾなのかもしれない。
いや、違う。
これは、恋なのだ。
恋という名の、脳のバグなのだ。
◆
合同ゼミでの「認知的不協和」作戦は、歴史的大敗を喫した。
完璧な理論、完璧なシミュレーション。
それらが、たった一言の「気持ち悪い」で、跡形もなく吹き飛んだのだ。
俺のプライドはズタズタだった。
だが、しかし。
顔を上げると、俺の口元は、自分でも気づかないうちに、にんまりと歪んでいた。
(引かれた時の、あのあみさんの顔……最高だった……)
そう。
俺は、ただの変態だったのだ。
いや、違う。
これは「知的好奇心」だ。
予想外の反応を引き出してしまったことに対する、純粋な学術的興味。
決して、彼女の冷たい視線に興奮したわけではない。断じて。
ブルリ、と俺のスマホが震えた。
手に取ると、ココロダイブからの通知が表示されている。
【昨日の作戦評価:F-】
【コメント:理論を覚えたての猿が、バナナで人を殴っているレベル。心理学への冒涜】
「うっ……!」
AIの分際で、的確に俺の心を抉ってくる。
だが、通知はまだ続いていた。
【次なる一手として、「ゲインロス効果」を提案します】
◆
ゲインロス効果。
その言葉に、俺の目はカッと見開かれた。
もちろん知っている。
心理学の基本中の基本。
「ゲイン」=得る(プラス)
「ロス」=失う(マイナス)
簡単に言えば、こういうことだ。
例えば、友達がいつもお菓子をくれる。
嬉しいけど、だんだん当たり前になる。
でも、ある日突然「ごめん、今日はお菓子ないんだ」と言われる。
すると「えっ、寂しい!いつものお菓子が欲しい!」って強く思う。
そして次の日、「やっぱり持ってきたよ」って渡されると、最初より何倍も嬉しく感じる。
これが「ロス(失う)→ゲイン(得る)」の効果だ。
つまり、「ツンデレ」が人気な理由も同じ。
最初は冷たい(ロス)→ある日優しくなる(ゲイン)=最初から優しい人の何倍も魅力的に見える!
「なるほど……!」
(なるほど……そういうことか、ココロダイブ……!)
昨日の大失敗は、この効果を発動させるための、壮大な布石だったというわけか!
俺は、AIの深謀遠慮に打ち震えた。
マイナスからのスタート。
これ以上のマイナスはないだろう。
つまり、ここからの俺は、何をしてもプラスに評価される!
上げ幅しかない!
伸びしろしかない!
(完璧だ……!俺のキャンパスライフ、まだ終わってなかった……!)
◆
俺の脳内で、再び妄想の劇場が幕を開ける。
『佐伯くんて、最初は"気持ち悪い"って思ってたけど……本当は、すごく博識なんだね。もっと、心理学のこと、教えてくれないかな?二人きりで……』
そう言って、はにかみながら上目遣いで俺を見つめるあみさん。
彼女の頬は紅く染まり、胸元の白いブラウスのボタンが3つも外れて、レースのブラが透けて見える。
(やった!「気持ち悪い」からの大逆転!これぞゲインロス!)
『フッ……仕方ないな。君だけの、特別講義だ』
クールに答えながら、俺は彼女の手を取り、誰もいない講義室へと導く。
二人だけの空間。
夕日が差し込む中、俺は彼女を机に座らせ、その耳元に囁く。
『心理学の奥深さ……体で教えてあげようか?』
あみさんの瞳が潤み、吐息が荒くなる。
『んっ……賢司くん……そんなこと言われたら……ドキドキしちゃう……』
小さく頷く彼女の首筋に、俺は唇を這わせる。
『ひゃっ……!そこ……敏感……なの……』
俺の手が彼女の肩に触れ……そして背中へ……ブラウスの中に潜り込む。
『賢司くん……ダメ、ここ講義室だよ……誰か来ちゃう……でも……止まらない……っ』
柔らかい感触が手のひらに……。
『んんっ……!触らないで……って言いたいのに……気持ちいいっ……!』
制服のスカートが乱れ、白い太ももが露わになる。
俺は彼女を抱き寄せ、机の上に座らせて……両手で太ももを掴むと……。
『あっ……!賢司くん……そんなところ……ダメ……っ!』
彼女のパンツが見えそうで……いや、もう見えてる!白いレースの……!
(最高だ……!これが適合率95%の奇跡……!)
俺の手がスカートの中に侵入し……太ももの内側を這い上がり……。
『んんっ……!賢司くん……ダメっ……そんなところ触ったら……っ!』
レースの感触が指先に……あみの体が震えて……。
(これが……これが適合率95%の本当の意味……!)
俺の理性が完全に崩壊する寸前、あみが俺の首に腕を回して……。
『賢司くん……私……もう……っ!』
その瞬間、机の上の資料が全部床に散乱し、夕日に照らされた講義室で、二人は禁断の……。
「……おい、賢司。いつまでニヤニヤしてんだ?講義もう終わっているぞ」
「ぶへっ!?」
妄想のクライマックスは、無遠慮な声によって中断された。
声の主は、鈴木太郎(すずき たろう)。
俺のルームメイトであり、良くも悪くも、俺の大学生活における最大の変数だ。
「なんだよ太郎か。人の甘い時間を邪魔するな。今、あみさんの白いレースの下着に触れるとこだったのに……いや、触れてた!指先にあの柔らかさが……!」
「うわ、マジでヤバいこと口走ってる。しかも具体的すぎるだろ!お前、また一人で妄想してたのかよ。いい加減、現実見ろって」
「うるせえ!妄想の中では俺とあみさんは完璧なカップルなんだよ!適合率95%の運命だ!」
「……お前の股間、テント張ってるぞ。」
「ぐっ……!」
俺は慌てて自分の両手で下半身を隠す。
(まずい、完全に興奮してた……!)
太郎は、俺のスマホをひょいと奪い取った。
「お、ココロダイブじゃん。今日の俺と、文学部のあの子の相性は……っと」
「おい、勝手に使うな!」
こいつは、人のプライベートに土足で踏み込んでくることに、何の躊躇もない男なのだ。
◆
俺の作戦は、こうだ。
【ステップ1】あみさんに面白い本を貸す(ゲイン=プラス)
→「佐伯くん、いい本くれた!」と喜ばせる
【ステップ2】その本を"うっかり"なくす(ロス=マイナス)
→「えっ、続きが読めない!寂しい!」と思わせる
【ステップ3】本を見つけて返す(ゲイン=超プラス!)
→「やっぱり佐伯くんすごい!ありがとう!」と感動させる
完璧だ。
お菓子の例と同じ。
一度失わせることで、俺の価値が何倍にも膨れ上がるはずだ!
俺は、数日後、大学の図書館でその機会を虎視眈々と狙っていた。
(いた……!)
書架の間から、ターゲットの姿を捕捉する。
吉村あみさんだ。
彼女は、真剣な表情で本棚を眺めている。
その知的な横顔に、俺の心拍数がまたしても跳ね上がった。
【心拍数、上昇。対象:吉村あみ。学習済み】
ココロダイブの冷静な通知が、俺に現実を思い出させる。
そうだ、今は作戦中だ。
俺は、この日のために用意した「アイテム」を懐から取り出した。
一冊の、分厚い文庫本。
タイトルは『深淵を覗くとき:現代思想における無意識の構造分析』。
……もちろん、俺も読んだことはない。
だが、このいかにも難しそうなタイトルが、俺の知性を演出し、彼女の知的好奇心を刺激するはずだ。
俺は、さりげなく、そして運命を装って、彼女の前に姿を現した。
「やあ、吉村さん。奇遇だな」
「あ、佐伯くん。こんにちは」
あみさんは、少し驚きながらも、ぺこりとお辞儀をしてくれた。
覚えていてくれたらしい。
それだけで、俺の心は満たされる。
(いや、いかんいかん。俺は今、マイナスからのスタートなんだ)
「レポート、進んでるか?」
「ううん、テーマが決まらなくて。何か参考にしようと思って」
「そうか。もしよかったら、これ、読んでみるといい」
俺は、計画通り、懐の文庫本を彼女に差し出した。
緊張で、少し指が震える。
「『深淵を覗くとき』……?」
彼女は、怪訝そうな顔でタイトルを読み上げる。
「ああ。少し難しいかもしれないが、君ならきっと、この本に隠された真のメッセージを読み解けるはずだ」
思わせぶりなセリフと共に、俺は彼女に本を手渡す。
これがステップ1「ゲイン」だ。
あみさんに本を貸して、喜ばせる。
そして数日後……
ステップ2「ロス」を発動させる。
つまり、この本を一時的に「失わせる」ことで、彼女の心に喪失感を生み出す。
『あの本、もっと読みたかったな……佐伯くんに会って、感想を話したいな……』
そして最後に、
ステップ3「ゲイン」で本を見つけて返せば、俺への好感度は爆上がり!
完璧な作戦だ。
「……ありがとう。でも、なんだか難しそう」
「フッ……挑戦なくして、成長はないさ」
俺は、どこかで聞いたようなセリフで、クールに決めた。
あみさんは、少し困ったように笑いながらも、その本を受け取ってくれた。
(よし……!第一段階、クリア……!)
俺は、勝利を確信し、その場を後にした。
だが、この時の俺は、まだ気づいていなかった。
俺の背後で、あみさんが「なんでこの人、いつもこんなに芝居がかってるんだろ……」と呟いていたことにも。
そして、この作戦が、俺の予想を遥かに超える形で、最悪の結末を迎えることにも。
◆
数日後。
いよいよステップ2「ロス(本を失わせる)」の実行日だ。
俺の作戦はシンプル。
太郎に、あみさんが持ってる本と同じ本を「間違えて」持っていってもらう。
そうすれば、あみさんは「あれ?本がない!読みたかったのに!」と喪失感を感じるはず。
そして数日後、俺が「見つかったよ!」と本を返せば、感動して好感度爆上がり!
完璧だ。
「なあ太郎、ちょっと手伝ってくれないか?」
俺は、部屋でゴロゴロしている太郎に声をかけた。
「んー?なんだよ」
「この本、俺の机の上にあるから、講義に持っていってくれないか?俺、今日バイト入ってるから」
俺は、あみさんに貸した『深淵を覗くとき』と全く同じ本を、わざわざもう一冊買って、机の上に置いていた。
太郎が持っていけば、あみさんは「あれ、本がなくなった!」と思うはず。
(完璧な計画だ……!)
「おー、いいぜ。任せとけ」
太郎は、気安く請け負ってくれた。
俺は、ほくそ笑みながらバイトへと向かった。
そして、その日の夕方。
俺は、大学のカフェテリアで、あみさんの姿を見つけた。
絶好の機会だ。
俺は、彼女のテーブルへと向かう。
「やあ、吉村さん。この前の本、どうだった?」
「あ、佐伯くん。うん、面白かったよ。ちょうど、読み終わったところ」
そう言って、彼女はカバンから『深淵を覗くとき』を取り出した。
その分厚い本のページから、可愛らしいアニメキャラクターが描かれた栞が、ぴょこんと飛び出している。
俺はその時、その栞が何を意味するのか、まだ知らなかった。
……ん?
読み終わった?
おかしい。
俺の計画では、今頃、彼女は本を失って、喪失感に打ちひしがれているはずでは……。
俺が混乱していると、あみさんは続けた。
「それでね、この本のことで、ちょっと話したいことがあるんだけど」
「は、話したいこと……?」
(まさか……!感想を語り合いたい、ということか!?)
まずい。
俺はこの本を、一行たりとも読んでいない。
背中に、嫌な汗が流れる。
その時だった。
「お、あみじゃん。奇遇だな」
馴れ馴れしい声と共に、一人の男が俺たちのテーブルに現れた。
爽やかな笑顔。
ブランドもののシャツを着こなし、いかにもリア充といったオーラを放っている。
誰だ、こいつは。
「高梨くん!こんにちは」
あみさんが、嬉しそうに声を上げた。
高梨……だと……?
俺の脳内データベースが、高速で検索を開始する。
【検索対象:高梨】
【該当者:高梨 悠(経済学部3年)】
【特記事項:テニスサークルの部長。学内イケメンランキング、不動の1位】
……最悪の男が現れた。
「あれ、そちらは?あみの友達?」
高梨は、人懐っこい笑顔を俺に向けてくる。
その笑顔が、なぜか無性に腹立たしい。
「さ、佐伯賢司だ……吉村さんとは、同じゼミで……」
「へえ、そうなんだ。よろしくな、佐伯くん」
高梨は、俺のしどろもどろな自己紹介にも、嫌な顔一つせず、爽やかに笑う。
その完璧なコミュニケーション能力が、俺の劣等感を刺激する。
「あみ、この後、サークルの飲み会に行くだろ?一緒に行こうぜ」
「うん、行くよ。じゃあ、また後でね」
「おう。じゃあな、佐伯くんも」
高梨は、嵐のように現れ、そして爽やかに去っていった。
残されたのは、呆然とする俺と、少し申し訳なさそうな顔をしたあみさん。
「ごめんね、佐伯くん。話の途中で」
「い、いや……」
俺は、嫉妬と敗北感で、言葉も出なかった。
ココロダイブが、無慈悲な通知を送ってくる。
【嫉妬指数:85%】
【恋愛市場価値(推定):佐伯賢司 25 / 高梨 悠 98】
……やかましいわ。
しかも、俺の脳内では高梨とあみさんが親しげに話すシーンが勝手に再生され始める。
高梨があみさんの肩を抱き……そのまま壁に押し付けて……。
『やめろ……俺のあみさんに触るな……!』
心の中で叫ぶが、妄想は止まらない。
あみさんが高梨に微笑みかけ、ブラウスのボタンが外れ始め……。
高梨の手があみの腰に回り、スカートが乱れて……白い太ももが露わに……。
『あっ……高梨くん……ダメ……でも……』
あみが恍惚とした表情で高梨の名前を呼ぶ……!
(くそっ……!なんで俺の妄想なのに高梨が主役なんだよ!!)
「ぐぬぬぬぬ……!」
俺は歯ぎしりしながら、その悪夢のNTR妄想を振り払おうとする。
でも脳内では続きが……高梨があみを抱き上げて、二人が夕日の中で……。
(やめろ!俺の適合率95%のあみさんがぁぁぁ!!)
「それで、本の話なんだけど……」
あみさんが、話を戻そうとする。
だが、俺の頭は、もはやそれどころではなかった。
「あ、ああ、その本なんだが……すまない、急用を思い出した!また今度!」
俺は、一方的にそう告げると、その場から逃げ出した。
情けない。
あまりにも、情けない。
ゲインロス効果どころか、ただただ、自分の惨めさを露呈しただけだった。
◆
部屋に戻ると、太郎が「よお、おかえり」と声をかけてきた。
机の上には、俺が頼んだ『深淵を覗くとき』が、そのまま置かれている。
「……太郎、お前、この本、持っていかなかったのか?」
「ん?ああ、持っていこうと思ったんだけどさ」
太郎がスマホを見せてくる。
『あみより:佐伯くんの本、すごく面白かった!もう読み終わったから、明日返すね!』
「吉村さんから、お前にLINE来てたから、『もう読み終わったなら、本は持っていかなくていいか』って思って、そのままにしといた。俺って、気が利くだろ?」
太郎は、得意げに胸を張る。
……こいつ……!
俺の作戦は、こうだったはずだ。
【俺の計画】
1. 太郎が本を持っていく
2. あみさん「本がない!読みたかったのに!」(ロス発動)
3. 俺「見つけたよ!」(ゲイン発動、好感度爆上がり)
【現実】
1. 太郎が本を持っていかなかった
2. あみさん「もう読み終わったよ」(ロスもゲインも何もなし)
3. 俺「……」(計画崩壊)
いらないところで、気を利かせやがって……!
俺の完璧な計画は、ルームメイトの余計な親切心によって、根底から覆されていたのだ。
「そういえば、賢司」
俺が怒りに震えていると、太郎が思い出したように言った。
「さっき、吉村さんって子から電話あったぞ。『貸してもらった本、すごく面白かったから、ぜひ感想を話したい』ってさ。あと、『佐伯くん、もしかして忘れっぽい?』とも言ってたな」
「……」
時が、再び止まった。
あみさんからの、伝言。
それは、俺にとって、あまりにも残酷な、死の宣告だった。
ゲインロス効果、完全なる失敗。
俺が狙っていたのは、こうだ。
【理想】
- ゲイン(本を貸す)→ロス(本がない!)→ゲイン(見つけた!)=好感度爆上がり!
【現実】
- ゲイン(本を貸した)→何もなし→ロス(高梨に嫉妬して逃げた)=好感度ダダ下がり!
結果として、俺は彼女に「知的な男」という印象を与えることに失敗し、ただただ「忘れっぽくて、頼りなくて、変な男」という印象だけを、強烈に与えてしまったのだった。
【ゲインロス効果作戦:大失敗】
【原因:太郎の余計な気遣い+高梨の登場+賢司の嫉妬暴走】
【結論:人の心は思い通りにならない。計画が複雑すぎる。もっとシンプルに行け】
ココロダイブの通知が、俺の傷口に、さらに塩を塗り込んでくる。
だが、俺の心には、絶望と共に、新たな炎が燃え上がっていた。
(高梨……悠……!)
あの爽やかイケメン。
あいつさえいなければ。
俺の嫉妬の炎は、メラメラと燃え盛る。
(見てろよ……次は、絶対に負けない……!)
新たなライバルの出現と、ルームメイトのせいで台無しになった作戦。
俺の戦いは、ますます混迷を深めていく。
だが、それでこそ、だ。
それでこそ、俺の研究対象として、不足はない。
俺は、次なる心理学テクニックに、思いを馳せるのだった。
その時、手の中のスマホが、再びブルリと震えた。
【緊急通知】
【対象:高梨 悠と吉村 あみの適合率を算出中……】
【……算出完了】
【適合率:99%】
「うそ……だろ……?」
俺の絶望は、まだ始まったばかりだった。
あの日の、あの言葉が、悪夢のように俺の脳内でリフレインする。
妄想の中のあみが、冷たい目で俺を見下ろしている。
「気持ち悪いんだけど」
「気持ち悪いんだけど」
「気持ち悪いんだけど」
何度も、何度も、繰り返される。
パンツをかぶった俺が、あみの冷酷な視線に耐えきれず崩れ落ちる。
「やめてくれ…もう許して…」
妄想の中の俺が懇願しているが、あみは容赦しない。
「気持ち悪いんだけど」
――はっ!
気がつくと、講義室で机に突っ伏していた。
隣の席の太郎が、心配そうに俺を見ている。
「おい、賢司…お前、寝言で『やめてくれ』とか言ってたぞ…」
「…悪夢を見た」
「またあみちゃんの話か?」
「…うるさい」
俺は顔を上げる。
なぜ俺は、こんなにも自分を責めるのか。
マゾなのかもしれない。
いや、違う。
これは、恋なのだ。
恋という名の、脳のバグなのだ。
◆
合同ゼミでの「認知的不協和」作戦は、歴史的大敗を喫した。
完璧な理論、完璧なシミュレーション。
それらが、たった一言の「気持ち悪い」で、跡形もなく吹き飛んだのだ。
俺のプライドはズタズタだった。
だが、しかし。
顔を上げると、俺の口元は、自分でも気づかないうちに、にんまりと歪んでいた。
(引かれた時の、あのあみさんの顔……最高だった……)
そう。
俺は、ただの変態だったのだ。
いや、違う。
これは「知的好奇心」だ。
予想外の反応を引き出してしまったことに対する、純粋な学術的興味。
決して、彼女の冷たい視線に興奮したわけではない。断じて。
ブルリ、と俺のスマホが震えた。
手に取ると、ココロダイブからの通知が表示されている。
【昨日の作戦評価:F-】
【コメント:理論を覚えたての猿が、バナナで人を殴っているレベル。心理学への冒涜】
「うっ……!」
AIの分際で、的確に俺の心を抉ってくる。
だが、通知はまだ続いていた。
【次なる一手として、「ゲインロス効果」を提案します】
◆
ゲインロス効果。
その言葉に、俺の目はカッと見開かれた。
もちろん知っている。
心理学の基本中の基本。
「ゲイン」=得る(プラス)
「ロス」=失う(マイナス)
簡単に言えば、こういうことだ。
例えば、友達がいつもお菓子をくれる。
嬉しいけど、だんだん当たり前になる。
でも、ある日突然「ごめん、今日はお菓子ないんだ」と言われる。
すると「えっ、寂しい!いつものお菓子が欲しい!」って強く思う。
そして次の日、「やっぱり持ってきたよ」って渡されると、最初より何倍も嬉しく感じる。
これが「ロス(失う)→ゲイン(得る)」の効果だ。
つまり、「ツンデレ」が人気な理由も同じ。
最初は冷たい(ロス)→ある日優しくなる(ゲイン)=最初から優しい人の何倍も魅力的に見える!
「なるほど……!」
(なるほど……そういうことか、ココロダイブ……!)
昨日の大失敗は、この効果を発動させるための、壮大な布石だったというわけか!
俺は、AIの深謀遠慮に打ち震えた。
マイナスからのスタート。
これ以上のマイナスはないだろう。
つまり、ここからの俺は、何をしてもプラスに評価される!
上げ幅しかない!
伸びしろしかない!
(完璧だ……!俺のキャンパスライフ、まだ終わってなかった……!)
◆
俺の脳内で、再び妄想の劇場が幕を開ける。
『佐伯くんて、最初は"気持ち悪い"って思ってたけど……本当は、すごく博識なんだね。もっと、心理学のこと、教えてくれないかな?二人きりで……』
そう言って、はにかみながら上目遣いで俺を見つめるあみさん。
彼女の頬は紅く染まり、胸元の白いブラウスのボタンが3つも外れて、レースのブラが透けて見える。
(やった!「気持ち悪い」からの大逆転!これぞゲインロス!)
『フッ……仕方ないな。君だけの、特別講義だ』
クールに答えながら、俺は彼女の手を取り、誰もいない講義室へと導く。
二人だけの空間。
夕日が差し込む中、俺は彼女を机に座らせ、その耳元に囁く。
『心理学の奥深さ……体で教えてあげようか?』
あみさんの瞳が潤み、吐息が荒くなる。
『んっ……賢司くん……そんなこと言われたら……ドキドキしちゃう……』
小さく頷く彼女の首筋に、俺は唇を這わせる。
『ひゃっ……!そこ……敏感……なの……』
俺の手が彼女の肩に触れ……そして背中へ……ブラウスの中に潜り込む。
『賢司くん……ダメ、ここ講義室だよ……誰か来ちゃう……でも……止まらない……っ』
柔らかい感触が手のひらに……。
『んんっ……!触らないで……って言いたいのに……気持ちいいっ……!』
制服のスカートが乱れ、白い太ももが露わになる。
俺は彼女を抱き寄せ、机の上に座らせて……両手で太ももを掴むと……。
『あっ……!賢司くん……そんなところ……ダメ……っ!』
彼女のパンツが見えそうで……いや、もう見えてる!白いレースの……!
(最高だ……!これが適合率95%の奇跡……!)
俺の手がスカートの中に侵入し……太ももの内側を這い上がり……。
『んんっ……!賢司くん……ダメっ……そんなところ触ったら……っ!』
レースの感触が指先に……あみの体が震えて……。
(これが……これが適合率95%の本当の意味……!)
俺の理性が完全に崩壊する寸前、あみが俺の首に腕を回して……。
『賢司くん……私……もう……っ!』
その瞬間、机の上の資料が全部床に散乱し、夕日に照らされた講義室で、二人は禁断の……。
「……おい、賢司。いつまでニヤニヤしてんだ?講義もう終わっているぞ」
「ぶへっ!?」
妄想のクライマックスは、無遠慮な声によって中断された。
声の主は、鈴木太郎(すずき たろう)。
俺のルームメイトであり、良くも悪くも、俺の大学生活における最大の変数だ。
「なんだよ太郎か。人の甘い時間を邪魔するな。今、あみさんの白いレースの下着に触れるとこだったのに……いや、触れてた!指先にあの柔らかさが……!」
「うわ、マジでヤバいこと口走ってる。しかも具体的すぎるだろ!お前、また一人で妄想してたのかよ。いい加減、現実見ろって」
「うるせえ!妄想の中では俺とあみさんは完璧なカップルなんだよ!適合率95%の運命だ!」
「……お前の股間、テント張ってるぞ。」
「ぐっ……!」
俺は慌てて自分の両手で下半身を隠す。
(まずい、完全に興奮してた……!)
太郎は、俺のスマホをひょいと奪い取った。
「お、ココロダイブじゃん。今日の俺と、文学部のあの子の相性は……っと」
「おい、勝手に使うな!」
こいつは、人のプライベートに土足で踏み込んでくることに、何の躊躇もない男なのだ。
◆
俺の作戦は、こうだ。
【ステップ1】あみさんに面白い本を貸す(ゲイン=プラス)
→「佐伯くん、いい本くれた!」と喜ばせる
【ステップ2】その本を"うっかり"なくす(ロス=マイナス)
→「えっ、続きが読めない!寂しい!」と思わせる
【ステップ3】本を見つけて返す(ゲイン=超プラス!)
→「やっぱり佐伯くんすごい!ありがとう!」と感動させる
完璧だ。
お菓子の例と同じ。
一度失わせることで、俺の価値が何倍にも膨れ上がるはずだ!
俺は、数日後、大学の図書館でその機会を虎視眈々と狙っていた。
(いた……!)
書架の間から、ターゲットの姿を捕捉する。
吉村あみさんだ。
彼女は、真剣な表情で本棚を眺めている。
その知的な横顔に、俺の心拍数がまたしても跳ね上がった。
【心拍数、上昇。対象:吉村あみ。学習済み】
ココロダイブの冷静な通知が、俺に現実を思い出させる。
そうだ、今は作戦中だ。
俺は、この日のために用意した「アイテム」を懐から取り出した。
一冊の、分厚い文庫本。
タイトルは『深淵を覗くとき:現代思想における無意識の構造分析』。
……もちろん、俺も読んだことはない。
だが、このいかにも難しそうなタイトルが、俺の知性を演出し、彼女の知的好奇心を刺激するはずだ。
俺は、さりげなく、そして運命を装って、彼女の前に姿を現した。
「やあ、吉村さん。奇遇だな」
「あ、佐伯くん。こんにちは」
あみさんは、少し驚きながらも、ぺこりとお辞儀をしてくれた。
覚えていてくれたらしい。
それだけで、俺の心は満たされる。
(いや、いかんいかん。俺は今、マイナスからのスタートなんだ)
「レポート、進んでるか?」
「ううん、テーマが決まらなくて。何か参考にしようと思って」
「そうか。もしよかったら、これ、読んでみるといい」
俺は、計画通り、懐の文庫本を彼女に差し出した。
緊張で、少し指が震える。
「『深淵を覗くとき』……?」
彼女は、怪訝そうな顔でタイトルを読み上げる。
「ああ。少し難しいかもしれないが、君ならきっと、この本に隠された真のメッセージを読み解けるはずだ」
思わせぶりなセリフと共に、俺は彼女に本を手渡す。
これがステップ1「ゲイン」だ。
あみさんに本を貸して、喜ばせる。
そして数日後……
ステップ2「ロス」を発動させる。
つまり、この本を一時的に「失わせる」ことで、彼女の心に喪失感を生み出す。
『あの本、もっと読みたかったな……佐伯くんに会って、感想を話したいな……』
そして最後に、
ステップ3「ゲイン」で本を見つけて返せば、俺への好感度は爆上がり!
完璧な作戦だ。
「……ありがとう。でも、なんだか難しそう」
「フッ……挑戦なくして、成長はないさ」
俺は、どこかで聞いたようなセリフで、クールに決めた。
あみさんは、少し困ったように笑いながらも、その本を受け取ってくれた。
(よし……!第一段階、クリア……!)
俺は、勝利を確信し、その場を後にした。
だが、この時の俺は、まだ気づいていなかった。
俺の背後で、あみさんが「なんでこの人、いつもこんなに芝居がかってるんだろ……」と呟いていたことにも。
そして、この作戦が、俺の予想を遥かに超える形で、最悪の結末を迎えることにも。
◆
数日後。
いよいよステップ2「ロス(本を失わせる)」の実行日だ。
俺の作戦はシンプル。
太郎に、あみさんが持ってる本と同じ本を「間違えて」持っていってもらう。
そうすれば、あみさんは「あれ?本がない!読みたかったのに!」と喪失感を感じるはず。
そして数日後、俺が「見つかったよ!」と本を返せば、感動して好感度爆上がり!
完璧だ。
「なあ太郎、ちょっと手伝ってくれないか?」
俺は、部屋でゴロゴロしている太郎に声をかけた。
「んー?なんだよ」
「この本、俺の机の上にあるから、講義に持っていってくれないか?俺、今日バイト入ってるから」
俺は、あみさんに貸した『深淵を覗くとき』と全く同じ本を、わざわざもう一冊買って、机の上に置いていた。
太郎が持っていけば、あみさんは「あれ、本がなくなった!」と思うはず。
(完璧な計画だ……!)
「おー、いいぜ。任せとけ」
太郎は、気安く請け負ってくれた。
俺は、ほくそ笑みながらバイトへと向かった。
そして、その日の夕方。
俺は、大学のカフェテリアで、あみさんの姿を見つけた。
絶好の機会だ。
俺は、彼女のテーブルへと向かう。
「やあ、吉村さん。この前の本、どうだった?」
「あ、佐伯くん。うん、面白かったよ。ちょうど、読み終わったところ」
そう言って、彼女はカバンから『深淵を覗くとき』を取り出した。
その分厚い本のページから、可愛らしいアニメキャラクターが描かれた栞が、ぴょこんと飛び出している。
俺はその時、その栞が何を意味するのか、まだ知らなかった。
……ん?
読み終わった?
おかしい。
俺の計画では、今頃、彼女は本を失って、喪失感に打ちひしがれているはずでは……。
俺が混乱していると、あみさんは続けた。
「それでね、この本のことで、ちょっと話したいことがあるんだけど」
「は、話したいこと……?」
(まさか……!感想を語り合いたい、ということか!?)
まずい。
俺はこの本を、一行たりとも読んでいない。
背中に、嫌な汗が流れる。
その時だった。
「お、あみじゃん。奇遇だな」
馴れ馴れしい声と共に、一人の男が俺たちのテーブルに現れた。
爽やかな笑顔。
ブランドもののシャツを着こなし、いかにもリア充といったオーラを放っている。
誰だ、こいつは。
「高梨くん!こんにちは」
あみさんが、嬉しそうに声を上げた。
高梨……だと……?
俺の脳内データベースが、高速で検索を開始する。
【検索対象:高梨】
【該当者:高梨 悠(経済学部3年)】
【特記事項:テニスサークルの部長。学内イケメンランキング、不動の1位】
……最悪の男が現れた。
「あれ、そちらは?あみの友達?」
高梨は、人懐っこい笑顔を俺に向けてくる。
その笑顔が、なぜか無性に腹立たしい。
「さ、佐伯賢司だ……吉村さんとは、同じゼミで……」
「へえ、そうなんだ。よろしくな、佐伯くん」
高梨は、俺のしどろもどろな自己紹介にも、嫌な顔一つせず、爽やかに笑う。
その完璧なコミュニケーション能力が、俺の劣等感を刺激する。
「あみ、この後、サークルの飲み会に行くだろ?一緒に行こうぜ」
「うん、行くよ。じゃあ、また後でね」
「おう。じゃあな、佐伯くんも」
高梨は、嵐のように現れ、そして爽やかに去っていった。
残されたのは、呆然とする俺と、少し申し訳なさそうな顔をしたあみさん。
「ごめんね、佐伯くん。話の途中で」
「い、いや……」
俺は、嫉妬と敗北感で、言葉も出なかった。
ココロダイブが、無慈悲な通知を送ってくる。
【嫉妬指数:85%】
【恋愛市場価値(推定):佐伯賢司 25 / 高梨 悠 98】
……やかましいわ。
しかも、俺の脳内では高梨とあみさんが親しげに話すシーンが勝手に再生され始める。
高梨があみさんの肩を抱き……そのまま壁に押し付けて……。
『やめろ……俺のあみさんに触るな……!』
心の中で叫ぶが、妄想は止まらない。
あみさんが高梨に微笑みかけ、ブラウスのボタンが外れ始め……。
高梨の手があみの腰に回り、スカートが乱れて……白い太ももが露わに……。
『あっ……高梨くん……ダメ……でも……』
あみが恍惚とした表情で高梨の名前を呼ぶ……!
(くそっ……!なんで俺の妄想なのに高梨が主役なんだよ!!)
「ぐぬぬぬぬ……!」
俺は歯ぎしりしながら、その悪夢のNTR妄想を振り払おうとする。
でも脳内では続きが……高梨があみを抱き上げて、二人が夕日の中で……。
(やめろ!俺の適合率95%のあみさんがぁぁぁ!!)
「それで、本の話なんだけど……」
あみさんが、話を戻そうとする。
だが、俺の頭は、もはやそれどころではなかった。
「あ、ああ、その本なんだが……すまない、急用を思い出した!また今度!」
俺は、一方的にそう告げると、その場から逃げ出した。
情けない。
あまりにも、情けない。
ゲインロス効果どころか、ただただ、自分の惨めさを露呈しただけだった。
◆
部屋に戻ると、太郎が「よお、おかえり」と声をかけてきた。
机の上には、俺が頼んだ『深淵を覗くとき』が、そのまま置かれている。
「……太郎、お前、この本、持っていかなかったのか?」
「ん?ああ、持っていこうと思ったんだけどさ」
太郎がスマホを見せてくる。
『あみより:佐伯くんの本、すごく面白かった!もう読み終わったから、明日返すね!』
「吉村さんから、お前にLINE来てたから、『もう読み終わったなら、本は持っていかなくていいか』って思って、そのままにしといた。俺って、気が利くだろ?」
太郎は、得意げに胸を張る。
……こいつ……!
俺の作戦は、こうだったはずだ。
【俺の計画】
1. 太郎が本を持っていく
2. あみさん「本がない!読みたかったのに!」(ロス発動)
3. 俺「見つけたよ!」(ゲイン発動、好感度爆上がり)
【現実】
1. 太郎が本を持っていかなかった
2. あみさん「もう読み終わったよ」(ロスもゲインも何もなし)
3. 俺「……」(計画崩壊)
いらないところで、気を利かせやがって……!
俺の完璧な計画は、ルームメイトの余計な親切心によって、根底から覆されていたのだ。
「そういえば、賢司」
俺が怒りに震えていると、太郎が思い出したように言った。
「さっき、吉村さんって子から電話あったぞ。『貸してもらった本、すごく面白かったから、ぜひ感想を話したい』ってさ。あと、『佐伯くん、もしかして忘れっぽい?』とも言ってたな」
「……」
時が、再び止まった。
あみさんからの、伝言。
それは、俺にとって、あまりにも残酷な、死の宣告だった。
ゲインロス効果、完全なる失敗。
俺が狙っていたのは、こうだ。
【理想】
- ゲイン(本を貸す)→ロス(本がない!)→ゲイン(見つけた!)=好感度爆上がり!
【現実】
- ゲイン(本を貸した)→何もなし→ロス(高梨に嫉妬して逃げた)=好感度ダダ下がり!
結果として、俺は彼女に「知的な男」という印象を与えることに失敗し、ただただ「忘れっぽくて、頼りなくて、変な男」という印象だけを、強烈に与えてしまったのだった。
【ゲインロス効果作戦:大失敗】
【原因:太郎の余計な気遣い+高梨の登場+賢司の嫉妬暴走】
【結論:人の心は思い通りにならない。計画が複雑すぎる。もっとシンプルに行け】
ココロダイブの通知が、俺の傷口に、さらに塩を塗り込んでくる。
だが、俺の心には、絶望と共に、新たな炎が燃え上がっていた。
(高梨……悠……!)
あの爽やかイケメン。
あいつさえいなければ。
俺の嫉妬の炎は、メラメラと燃え盛る。
(見てろよ……次は、絶対に負けない……!)
新たなライバルの出現と、ルームメイトのせいで台無しになった作戦。
俺の戦いは、ますます混迷を深めていく。
だが、それでこそ、だ。
それでこそ、俺の研究対象として、不足はない。
俺は、次なる心理学テクニックに、思いを馳せるのだった。
その時、手の中のスマホが、再びブルリと震えた。
【緊急通知】
【対象:高梨 悠と吉村 あみの適合率を算出中……】
【……算出完了】
【適合率:99%】
「うそ……だろ……?」
俺の絶望は、まだ始まったばかりだった。
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