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11話 食事の作法 ダリー
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レナードが部屋を去り、私とダリーと名乗る男が二人きりになった。
彼は依然として床に跪き、恍惚とした表情で私を見上げている。
その瞳はレナードのそれとはまた違う、純粋な信仰心と、研究対象を前にした学者のような探求心に満ちていた。
「……顔を上げなさい、ダリー」
私がそう命じると、彼ははっとしたように顔を上げ、居住まいを正した。
「は、はい!リリア様!」
「あなたは、私のこと……サキュバスについてくわしいの?」
「はい。昔から研究しておりまして、古の文献を読み漁りました。サキュバス様は、気高く、美しく、そして愛と快楽を司る、至上の存在にございます」
彼の言葉は、まるで暗唱しているかのように滑らかだった。
その言葉に、私は悪い気はしなかった。
むしろ、心地よささえ感じている。
リアンもレナードも、私を美しいとは言ったが、サキュバスとしての私を、ここまで肯定してくれた者はいなかった。
「レナードは、あなたのことを『非常食』だと仰っていたわね」
「はい!この身、リリア様のお心のままに!我が血肉、我が精気、すべてはリリア様がその御身を健やかに保つための糧となるためにございます!」
彼は、心の底からそう思っているようだった。
その狂信的なまでの献身に、私は少し気圧されながらも、強い好奇心を覚える。
「……お腹が、空いていないわけではないのだけれど」
私が試すようにそう言うと、ダリーの顔がぱあっと輝いた。
「それでは早速リリアさまにサキュバスとしての食事の作法をお教えしてもよろしいでしょうか?」
「おお……!では、早速!僭越ながら、このダリーが、リリア様の初めてのお食事の作法を、お教え申し上げてもよろしいでしょうか?」
「作法?」
「はい。ただ闇雲に精気を吸うのはあまりに勿体ない。味わい、弄び、そして極上の美酒へと昇華させる……。それこそが、サキュバスのリリア様にふさわしい、お食事の作法にございます」
彼の言葉に、私は完全に心を奪われた。
リアンとの交わりは、ただ本能のままに貪るだけだった。
レナードとのそれは、支配の快感を味わうもの。
確かに今まで本能の赴くままに精気を摂取してきたためやり方など考えたこともなかった。
「……面白いわ。聞かせてみなさい」
私がそう言うと、ダリーは嬉々として語り始めた。
「まず、サキュバス様がお相手から精気をいただく際、最も効率が良いのは、やはり粘膜の接触にございます。口づけや、より深い交わりがそれに当たります。しかし、それだけでは芸がございません」
「……というと?」
「精気とは、いわば魂の香り。その香りを最も芳醇に立たせるには、お相手とリリア様の感情を高ぶらせる必要がございます。恐怖、屈辱、そして、何よりも強いのが……快楽、にございます」
ダリーは、私の足元に静かににじり寄ると、私の靴を優しく脱がせた。
そして、その冷たい指先で、私の足の裏をそっと撫でる。
「ひゃっ……!」
突然の刺激に、思わず声が漏れる。
足の裏は、自分でも知らなかった、敏感な場所だった。
「リリア様のそのお身体には、快感を司る場所が、人間の女性とは比べ物にならないほど、数多く存在します。例えば、この足の裏。そして、翼の付け根。うなじや、耳の後ろも……」
「……っ、やめ……」
「これらすべてを開発し、悦びを知ることで、リリア様ご自身が得られる快感も、そして、お相手から引き出せる精気の質も、格段に向上するのです」
彼の指は、私の足の裏を撫でながら、的確にツボを刺激していく。
それは、ただ擽ったいのではない。身体の芯が、じんと痺れるような、未知の感覚だった。
「さあ、リリア様。まずは、ご自身の身体が、どれほど快楽に素直であるかを、お知りください」
ダリーはそう言うと、今度は私のふくらはぎを、ゆっくりと揉み解し始めた。
それは、ただのマッサージではなかった。
筋肉をほぐしながら、時折、甘い疼きが走る場所を、執拗に刺激してくる。
「あ……ん……。そこは……」
「お嫌ですか?」
「い、や……じゃ、なくて……」
嫌じゃない。むしろ、気持ちいい。
でも、それを認めてしまうのが、なぜか悔しい。
そんな私の葛藤を見透かしたように、ダリーは静かに言った。
「リリア様。何も、恥じることはございません。快楽を求めるのは、サキュバス様の本能。貴女様の生まれ持った権利なのですから」
その言葉が、私の心の最後の扉を、静かに開いた。
そうだ。私は、サキュバスなのだ。
快楽を求めて、何が悪い?
「……もっと……」
気づけば、私はそう呟いていた。
「もっと、教えて。ダリー。私にサキュバスとしての生き方を……」
私の言葉に、ダリーは深く、深く頭を下げた。
その瞳の奥に、満足と、そしてこれから始まる「調教」への期待が、妖しく揺らめいているのを、私は見逃さなかった。
これが、私とダリーの出会い。
そして、私が真のサキュバスとして開花するための、「調教」が始まった、記念すべき日となったのだ。
彼は依然として床に跪き、恍惚とした表情で私を見上げている。
その瞳はレナードのそれとはまた違う、純粋な信仰心と、研究対象を前にした学者のような探求心に満ちていた。
「……顔を上げなさい、ダリー」
私がそう命じると、彼ははっとしたように顔を上げ、居住まいを正した。
「は、はい!リリア様!」
「あなたは、私のこと……サキュバスについてくわしいの?」
「はい。昔から研究しておりまして、古の文献を読み漁りました。サキュバス様は、気高く、美しく、そして愛と快楽を司る、至上の存在にございます」
彼の言葉は、まるで暗唱しているかのように滑らかだった。
その言葉に、私は悪い気はしなかった。
むしろ、心地よささえ感じている。
リアンもレナードも、私を美しいとは言ったが、サキュバスとしての私を、ここまで肯定してくれた者はいなかった。
「レナードは、あなたのことを『非常食』だと仰っていたわね」
「はい!この身、リリア様のお心のままに!我が血肉、我が精気、すべてはリリア様がその御身を健やかに保つための糧となるためにございます!」
彼は、心の底からそう思っているようだった。
その狂信的なまでの献身に、私は少し気圧されながらも、強い好奇心を覚える。
「……お腹が、空いていないわけではないのだけれど」
私が試すようにそう言うと、ダリーの顔がぱあっと輝いた。
「それでは早速リリアさまにサキュバスとしての食事の作法をお教えしてもよろしいでしょうか?」
「おお……!では、早速!僭越ながら、このダリーが、リリア様の初めてのお食事の作法を、お教え申し上げてもよろしいでしょうか?」
「作法?」
「はい。ただ闇雲に精気を吸うのはあまりに勿体ない。味わい、弄び、そして極上の美酒へと昇華させる……。それこそが、サキュバスのリリア様にふさわしい、お食事の作法にございます」
彼の言葉に、私は完全に心を奪われた。
リアンとの交わりは、ただ本能のままに貪るだけだった。
レナードとのそれは、支配の快感を味わうもの。
確かに今まで本能の赴くままに精気を摂取してきたためやり方など考えたこともなかった。
「……面白いわ。聞かせてみなさい」
私がそう言うと、ダリーは嬉々として語り始めた。
「まず、サキュバス様がお相手から精気をいただく際、最も効率が良いのは、やはり粘膜の接触にございます。口づけや、より深い交わりがそれに当たります。しかし、それだけでは芸がございません」
「……というと?」
「精気とは、いわば魂の香り。その香りを最も芳醇に立たせるには、お相手とリリア様の感情を高ぶらせる必要がございます。恐怖、屈辱、そして、何よりも強いのが……快楽、にございます」
ダリーは、私の足元に静かににじり寄ると、私の靴を優しく脱がせた。
そして、その冷たい指先で、私の足の裏をそっと撫でる。
「ひゃっ……!」
突然の刺激に、思わず声が漏れる。
足の裏は、自分でも知らなかった、敏感な場所だった。
「リリア様のそのお身体には、快感を司る場所が、人間の女性とは比べ物にならないほど、数多く存在します。例えば、この足の裏。そして、翼の付け根。うなじや、耳の後ろも……」
「……っ、やめ……」
「これらすべてを開発し、悦びを知ることで、リリア様ご自身が得られる快感も、そして、お相手から引き出せる精気の質も、格段に向上するのです」
彼の指は、私の足の裏を撫でながら、的確にツボを刺激していく。
それは、ただ擽ったいのではない。身体の芯が、じんと痺れるような、未知の感覚だった。
「さあ、リリア様。まずは、ご自身の身体が、どれほど快楽に素直であるかを、お知りください」
ダリーはそう言うと、今度は私のふくらはぎを、ゆっくりと揉み解し始めた。
それは、ただのマッサージではなかった。
筋肉をほぐしながら、時折、甘い疼きが走る場所を、執拗に刺激してくる。
「あ……ん……。そこは……」
「お嫌ですか?」
「い、や……じゃ、なくて……」
嫌じゃない。むしろ、気持ちいい。
でも、それを認めてしまうのが、なぜか悔しい。
そんな私の葛藤を見透かしたように、ダリーは静かに言った。
「リリア様。何も、恥じることはございません。快楽を求めるのは、サキュバス様の本能。貴女様の生まれ持った権利なのですから」
その言葉が、私の心の最後の扉を、静かに開いた。
そうだ。私は、サキュバスなのだ。
快楽を求めて、何が悪い?
「……もっと……」
気づけば、私はそう呟いていた。
「もっと、教えて。ダリー。私にサキュバスとしての生き方を……」
私の言葉に、ダリーは深く、深く頭を下げた。
その瞳の奥に、満足と、そしてこれから始まる「調教」への期待が、妖しく揺らめいているのを、私は見逃さなかった。
これが、私とダリーの出会い。
そして、私が真のサキュバスとして開花するための、「調教」が始まった、記念すべき日となったのだ。
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