食育される受付坊ちゃん

夏瀬カグラ

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2章 受付坊ちゃん、お仕事開始!

05 人間オークション

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『それでは、1000からスタート!』

 正直、まだお給料を貰っていないから、僕がどれだけの価値かはわからない。
 とはいえ、値段はジワジワと釣り上がってゆく。
 ……で、この鳥かごにいる以上、何をしろというのだ。

(都合よく、王族に買われろってことなんだろうけど……)

 無理じゃない?
 僕の髪色と目も珍しいというなら、王族より貴族が買いそうだし。
 ほら、珍しいのを囲うと噂になりやすいからさ。
 人身売買するって事実をバラしたくないなら、むしろ手は出さないはず。

(アフェクさんの作戦が、さっぱり想像できない)

 ライトがここまでまぶしくなければ、状況把握ができたのに。
 少し目を細めながら、周囲を見回す。

 う、うーん?

 顔の上半分だけ隠すマスクと、フォーマルスタイル?
 やましいものオークション会場っぽくも見えるし、お忍び貴族の遊び場にも見える。
 
(というか、誰が王族とかわかるかー!)

 アフェクさんが判別基準持っているなら別だろうけど!
 むしろ、目的が目的だから、持ってないと不自然で。

(あれ? 王族を判別できるって……限りなく近い位置にいないと無理だよね)

 一般人からしたら、そういう立場の人と会うことは少ない。
 SNSとかメディアがあるなら、映像で毎日見るかもしれないけど。
 あとは新聞があれば、姿だけはわかるかもだけど……

 そう、つらつらと考えていると、カンカンカンッ、とうるさい音が会場に響く。

『落札者が決定しました!』

 続いて拍手。
 うわぁ、競り落とされちゃったよ、僕。
 そのままガラガラと、どこかへ再度移動させられる。

「こちらが品物となります」
「ふむ、ありがとう」

 連れてこられた先にいたのは、予想よりもはるかに紳士的な人だった。
 もうちょっとこう、悪役らしい小太りのおっさんかと思ったら。
 もしくは、ヤンデレ入ってそうな、やつれて、目がヤバい感じの人。

「おぉ素晴らしい! 近くで見ると、より愛らしい」

 年齢的には、ギルマスさんぐらい?
 顔が隠れているとはいえ、品の良さがわかるというか。
 さすが、訪れるランクが違うオークションなだけあるかも。

「まずは何をしようか。味見も良い、泣かせるのも良い、それとも……」

 ぞわっ、とする。
 目が全然笑ってないぞ、この人。

「いや、まずは適正を確認しないとか」

 男性の右手から、魔法陣のようなものが出現する。

「……何をする気ですか?」
「おや、思ったよりも中性的な声だね。しかし、これならもしかすると……」

 僕にそれを向けつつ、なにかをブツブツとつぶやく。

「なるほど。セイレーン、ハーピィ、いろいろ選択肢はありそうだね」

 モンスターの種族名?
 なんで、そんなものの名前がこんなタイミングで……え? いやいや、まさか。

「空から、海や川から、他国の人間を惑わす。なかなか面白い作戦ができそうだ」

 まてまてまて!
 冗談もたいがいにした方が良いよ、これ!
 お願いだから、僕の嫌な予感は当たってて、本当に!

「あの、まさかモンスターと人を合成とか言いませんよね。今の内容からすると」
「思ったよりも賢いね、キミ。これは素晴らしい! これなら素晴らしい兵器になりそうだ!」

 兵器っつった!?
 まずい、マズすぎるよ、これ。
 正直、奴隷市場の方がよっぽどマシなんですけど。
 僕、異世界で人間卒業の大ピンチに陥っているー!

(アフェクさん! いやもう、呼び捨てでいいやあんな奴! アフェクのアホー!)

 本気で早く助けに来て欲しい。
 このままだと、人間としておさらば確定するんですけど。

「ただまぁ、どちらがよいかは……」

 ガシャン、と両腕と両足が拘束される。
 今まで鳥かごの中だけどはえい、自由にさせておいていきなり!?
 もがいている間に、かごの扉が開かれて、男が入ってくる。

「どんな声で泣くかを確認しなければな」

 つぅ、と首筋に指をあてて、胸元まで僕の体をなぞってゆく。
 人間終了にプラスして、別のものまで喪失しそうな空気しかない!

「ぼ、僕は男だからな!? 女じゃない!」
「そうなのかい? 私は気にしない。むしろ……」

 スルリと手が、服の隙間から胸元に入ってくる。

「逆に新たな兵器が誕生する可能性すらある。くくく、研究の価値がある」
「変態な上に、マッドサイエンティストって、最悪なんだけど……ッ!」

 気持ち悪い。
 しかも、首元に顔を近づけてきて、吐息まで感じる。

「やめ、ろ……! 離せ、離せっ!」
「そうそう、どんどん声をあげてくれ。キミにはどちらが似合うか、じっくりと……」

「なにをやっている」

 そこに、聞き覚えのある声が響く。
 アフェクの奴じゃない。
 でも、なぜ『ここ』にいるのかが、分からない。

「リベー……ル、さん?」
「こ、これは!? 申し訳ありません、王子。初めての訪問なのに、お待たせしてしまい」

 おう、じ?
 え? え? ちょっとまって。
 僕の脳内処理が、そろそろキャパオーバー。

「能書きはいい。なにを、やっているんだ」

 いつもとは雰囲気が違うリベールさん。
 いや、それよりも先に!

(王子って、どういうことだよ!?)
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