食育される受付坊ちゃん

夏瀬カグラ

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7章 大規模異世界召喚

06 共闘戦線

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 よしっ、準備が出来た。
 僕のゲーム好きが功を奏したというか。
 シミュレーションにRPGという分野があって、本当に良かったよ!

「じゃあ、始めますね。よろしくお願いします、ラテジアさんたち」
「えぇ。もちろんです、チカさん」

 みんなの了承を確認し、僕はリベールたちを見る。

「リベ……じゃなかった。王子様たち、避けてください!」

 そのまま、僕は数歩だけ後ろに下がる。
 助走をつけて、全力でソレを蹴るために。

(というか、知らない女性がいつの間にかいるんだけどー!?)

 よくわかんないけど、あの人は回避した方が良いよね。
 僕の知っているこの手のパターンは、だいたいリベールたちの知り合いだし。

 女性で妙齢となったら、ワンチャン母親ってこともありえるじゃん!

 でも、もしそうだとしても……

「サッカー少年の底力を、なめるなぁあああああ――――――ッ!」

 彼らが別々に当てようとしたら、避けられる可能性が高い。
 ならば、最も油断して回避をしないであろう僕がやるのが最善手。
 こっちだって、小さい頃からゲームと同じぐらいサッカーやっていたんだ。
 この程度の障害物があるシュート、出来て当然!

 右足を大きく後ろにやると、サッカーボールほどの魔力の玉が現れる。

 よしっ、いっけぇ――――――ッ!

 勢いよく、それでもボールの軌道を調整しながら全力で蹴る。
 魔力の玉は、凄まじい速度で、一気にエスピオン王弟殿下へと向かっていった。

【なにを……! この女がどうなっても……】
「僕は事情を一切知らないので、気にしません!」

 仮に本当にリベールたちの母親だったら、後で全力土下座だけどね。
 今はそんなことを言ってる場合じゃないんだ。

「ッ! アルフェクエール、ディアルソート!」
「おうっ」
「はい!」

 僕の意図を察したのか、リベールがアフェクたちに声をかける。
 すぐさま3人は走り出し、妙齢の女性に武器を向けた。
 僅かに攻撃の位置をずらすことで、どの攻撃をどの順番で防ぐかを選択させたんだ。

 どれを優先すべきか、その判断の遅れが……こちらの勝利につながる!

【な、おい! なぜこちらを守らな……ぐはっ!?】

 それは、エスピオン王弟殿下も同じだったようだ。
 油断もあっただろうが、こちらからの予想外の攻撃に対応しきれず、そのまま魔力の玉に直撃。

 これさえできれば、こちらのもの!

「ラテジアさんたち、今です!」

 バサッ、と羽を広げ、ラテジアさんと黒いローブの人は制空権を握る。
 残りの2人が、エスピオン王弟殿下の逃げ道を塞ぐように陣取る。

 さぁ、彼らからの反逆を思いっきり味わえばいい!

【なんだこれ、結界……? どういうことだ】

 エスピオン王弟殿下は、僕が蹴り当てた魔力によって展開した球体に閉じ込められている。
 そりゃあね、逃げられたら困るから。

【いや、しかし結界は好都合。これならば……】

「悪いですが、死に逃げを許すとお思いで?」
「我々が味わった苦痛、貴様にも味わってもらう!」

 四方に陣取ったラテジアさんたちが、結界に向けて魔力を放った。

【な、なにを……は? 傷が、体が、癒えて?】

 さっきから体が崩壊していたように見えたエスピオン王弟殿下の皮膚が、再生しはじめる。

【く、はははは! 回復までするとは愚かな。それならば力を貯めて結界を……は?】

 そこで、ようやく気付いたようだ。
 すでに詰んでいるということに。

【なぜだ。魔力が練れない? いや、練れないどころか、力が、抜ける!?】

「エスピオン王弟殿下。あなたは彼らを少し甘く見すぎですよ」

 ここにいる人たちは、100人の中の生き残り。
 本人たちは不本意ではあっただろう。
 けれども、モンスターとの融合において、高い適性があったのも事実。

「天使の力による半永久的な癒しの加護。そこに、悪魔や上位種による呪いが重なればどうなるか」

 今まで、それらの力が向かなかったのは協力関係だったから。
 だけど現在は敵対関係。

 天使による、無慈悲な癒しの加護。
 悪魔による、永遠の堕落という名のデバフ。
 他にも、絶対壊せない結界、痛覚をはじめとした感覚強化。

 これだけ見ると、モンスターとの融合による兵器化の怖さが、良くわかる。

 そりゃ、さらに上の存在を作りたくなるよ。

【壊せない。あ、あぁぁ……体が、体の崩壊の痛み、が、あ……あ、すぐに再生が……!】

「我々を裏切った罰ですよ、エスピオン」

 空中で魔力を注ぎ込みながらも、見下すように、蔑むようにラテジアさんが言った。
 よし、これでエスピオン王弟殿下を捕まえる件は、ほぼ達成。

 あとは……

「リベール!」

 僕は視線を3人の方へ向ける。
 そこには、妙齢の女性と切り伏せた彼らがいた。
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