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15 大丈夫か!?

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「ルイゾン様、私を迎えに来て下さったのですか?」
「オリーヴ、オリーヴ。大丈夫か? ゲス王太子に何もされてないか?」
「はい。大丈夫でございます」
「良かった。オリーヴ……」

「誰が『ゲス王太子』だ?!」
 不機嫌そうなアランの声が聞こえたが、無視してオリーヴの髪に顔を埋める俺。
「おい! 無視するなよ!」
 ちっ、仕方ねぇな。まぁ、いい。コイツに言いたい事もあるしな。

「アラン殿下。この騒ぎは一体どういう事ですか? ご説明ください」
「騒ぎを起こしたのは、お前だろーが! ルイゾン!」
 何、言ってやがる!
「殿下がオリーヴを拉致したのでしょう? 一体全体、何のマネです? 我が国の王太子ともあろう御方が他人ひとの婚約者を攫うなど――この国はいつから無法国家になったのですか?!」
「そ、そこまで言うことないだろ」
「いいえ、言わせて頂きます。だいたい、学園時代から散々オリーヴに辛く当たって勝手に拗らせておきながら、今更何なのですか?! 殿下は来月、同盟国の王女様と結婚されるのですよ? この時期に、このような軽率な行動を取るなんて、バカなのですか? バカなのですね? 今日の件は陛下と王妃様にも報告させて頂きます。私個人はもちろん、ブロンディ公爵家からも王家に正式に抗議致します! 覚悟なさって下さい!」

「そ、そんなに怒るなよ、ルイゾン」
「オリーヴは私の婚約者です。愛する婚約者を攫われて、私がどれだけ頭にキているか、お分かり頂けませんか?」
「分かった、分かった。まことにゴメーン」
 ふざけとんのか!! ワレェェェ!!
 俺がアランを睨み付けると、オリーヴが俺の腕にギュッとしがみついてきた。

「ルイゾン様。もう、おめ下さい。殿下は今までの事を私に謝って下さったのです。無体な事は何もされておりません。私は大丈夫ですから」
「オリーヴ……それは本当か?」
「はい。ですから、もうこれ以上、殿下をお責めになりませんよう、お願い致します」
「そうか。オリーヴがそう言うなら、後はうちの母に任せよう」
「はい?」
 オリーヴは俺の母の恐ろしさを知らない。故にキョトンとしている。
 だが、アランは母の怖さをよ~く知っているのだ。

「い、今、何と言った? ルイゾン?」
「ん? 『後はうちの母に任せる』と言ったのですよ。連絡をしてあるので、そのうち母が王宮に乗り込んで来ると思います。あぁ、そう言えば、母は最近ロイクの件もあって余り機嫌が良くないのです。今の母を怒らせるとどうなるか分からないので、家の中もピリピリしているのですよ。困ったものです。ハハハハハ」
「え……」
「それでは殿下、私はオリーヴをベルモン家へ送って行きますので、これにて失礼致します(首を洗って待ってろ!!) さぁ、行こう。オリーヴ」
「はい、ルイゾン様。それでは殿下、失礼致します」

「え? ちょ!? 叔母上が来るの!? ホントに来ちゃうの!? うわぁぁぁ~!?」

 背後でアランの絶望する声が聞こえたが、知ったことではない。





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