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2 お見合い
しおりを挟む我がアマート公爵家の屋敷にてコルトー侯爵とお会いすることになった当日。
私の両親も同席しているが……緊張する~!!
「ダリオ・コルトーです。お話しするのは初めてですね。王宮でお見掛けしたことは何度かあります。よろしくお願いします」
うわっ、イッケメーン! 笑顔が眩しい! 30歳ってこんなに男の色気が出るものなの?!
初めて至近距離で見たコルトー侯爵は、それはもう素敵な男性だった。
「ジェンマ・アマートでございます。今日はわざわざ我が家までおいでくださってありがとうございます。私も王宮で侯爵様を遠目にお見掛けしたことはありますわ」
父が嬉しそうに言う。
「13歳も離れているのに全然違和感がないな。コルトー侯爵は年齢より若々しいし、ジェンマは年齢の割に老け……イヤ、落ち着いているからなー。お似合いじゃないか!」
お父様! 今、聞き捨てならないことを仰りかけましたわね!
「ジェンマ嬢。王太子殿下との婚約解消の件はお辛かったと思いますが、貴女に何の非もないことは皆がわかっていることです。あんな不誠実な殿下のことは忘れて、私と新しく人生をやり直してみませんか?」
えっ? いきなりのプロポーズ?
「あの、侯爵様は私でよろしいのですか? 侯爵様はとても魅力的な殿方ですわ。さぞかし女性に人気がおありなのでは?」
「……こんな事を言うと自意識過剰だと思われそうなのですが……実は色々な女性にアプローチされて困っているのです。私に直接近寄ってくる分には適当に躱せば済むことなのですが、最近は息子のグレゴリオを手懐けようと画策する女性まで現れて、ほとほと参っているのです」
うゎ、世の中にはそんな女がいるのねー!?
「まぁ、ご子息に近付くなんて?! それはご心配ですわね」
「我が家には信頼できる女主人が必要なのです。ジェンマ嬢、どうか私の妻としてコルトー侯爵家を守っていただけないでしょうか?」
なるほど。つまりモテ過ぎるコルトー侯爵は、ご子息やコルトー侯爵家を守る為に奥方を必要とされているのですね。イケメンは大変ですわね。
「でも侯爵様、今日初めて言葉を交わす私を信用してくださいますの?」
「貴女はアマート公爵ご自慢のご令嬢です。以前より御父上から貴女のお話はよく伺っております。そして、もう長いこと社交の場から離れている私の耳にさえ、『ジェンマ嬢は淑女の中の淑女だ』と社交界での高い評判が聞こえてくるのです。貴女が賢く気高い女性だと知らない貴族はこの国にはいないと思いますよ」
「ほほほ。私は噂ほど立派な淑女ではございませんわ。ただ、アマート公爵家の長女として恥ずべき言動や行動をしたことはございません。その一点だけは信用してくださいませ」
私の言葉を聞いて、コルトー侯爵は微笑んだ。麗しい笑顔ですわ~。
「ジェンマ嬢を信頼できる淑女と見込んでお願いします。貴女にコルトー侯爵夫人になっていただきたいのです。私と結婚してください」
こんな素敵な殿方にプロポーズされて断る女性がいるだろうか?
だが、私とコルトー侯爵は今日が実質的な初対面だ。
さすがに、すぐ承諾するのは早計ですわよね。
「あの、申し訳ございませんが、私は侯爵様のことをよく存じ上げません。もう少し侯爵様のことを知ったうえでお返事しとうございます。侯爵様にも人伝に聞いた私ではなく、実際の私のことを知っていただきたく思います」
コルトー侯爵はハッとした表情になった。
「そうですよね。まず私のことを知っていただくのが先ですね。申し訳ありません。つい焦って先走ってしまって。ジェンマ嬢、ぜひ私とお付き合いしてください。その上で私との結婚をお考えください」
「はい。まずはお付き合いから始めましょう。どうぞよろしくお願い致します」
私は笑顔で返した。
若くして財務大臣の地位に就いたコルトー侯爵。
エリート然としたクールな方だろうと勝手に思っていたが、実際にお話しすると率直で誠実な人柄が伝わってきた。
ふふふ。ダリオ・コルトー侯爵――嫌いではありませんわ。
「今度はぜひ我が屋敷においでください。息子のグレゴリオを紹介いたします」
おぉ、8歳のグレゴリオ君ですわね。
私のような若い娘を受け入れてくれるかしら? というか、イヤな子供だったら私の方が受け入れられないし!
こればっかりは会ってみないと分かりませんわね。
「では、次回は侯爵様のお屋敷に遊びに行かせていただきますわ」
「ありがとうございます。お待ちしております。それから、私のことはどうか『ダリオ』とお呼びください」
そうね。13歳も年上だけど、お付き合いするなら名前呼びよね。
「はい、分かりました。ダリオ様」
私が初めてお名前で呼ぶと、ダリオ様の耳が赤く染まった。
ダリオ様が照れた!? 何この破壊力!? 乙女の心臓鷲掴みですか!? このイケメンめ!
照れ笑いを浮かべるダリオ様と、その麗しいお顔に見とれる私。
両親がヒソヒソ「いける!」「よし!」と囁いている。
聞こえていますわよ! お父様! お母様!
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