落ちこぼれ精霊使いの英雄譚

朧月

文字の大きさ
4 / 20
第1章 出会い

星のたまり場

しおりを挟む

第4話


 都市エルダンテから少し離れた森林に2人組の幼い男女が歩いていた。

 「なんか流れで出てきてしまったけどこれからどうしようか……」

 苦笑いしているレイ。

 「私はマスターと一緒ならどこへでも」

 「ありがとう。ペル。これからもよろしくね」

 「はい、マスター」

 少し照れた様子なレイととても嬉しそうなペル。


 「とりあえずローランド帝国から出て、商業都市ファーハルトを目指そうと思う。それで良いかい?」

 「かしこまりました。しかし乗合馬車などで行かずに徒歩で行くのですか?」

 「ああ、徒歩で向かいながら魔物を倒したり野営することによって心身を鍛えるんだ」

 「なるほど、さすがマスターです」

 大きく頷いているペル。

 「おしゃべりはここら辺までにして行くぞ」

 「はい、マスター」

 そして会話をやめて歩き出した2人だった。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 しばらく歩いていると小さな村が見えてきた。

 「マスターマスター、なんか見えてきましたよ」

 すごくはしゃいでいるペル。

 「そうだな。確かバックスという村だったかな。100人くらい住んでいるはずだ」

 「そーなのですか?お詳しいのですね。流石マスターです」

 レイを尊敬の眼差しで見つめるペル。

 しかしレイは、

 「僕には何の才能もなかったからせめて勉学だけは頑張ろうと思ってね…………」

 下を向くレイ。

 そんなレイにペルは、

 「そんなことはありません。レイ様はとてもお優しい方です。それに、それに…………レイ様は……」

 何かいいたそうなペル。

 「ありがとう。そう言ってもらえるだけで嬉しいよ。とりあえず今日はこの村に泊まろう。ほらいくよ」

 手招きをするレイ。

 「はい、参りま、っっっ!」

 急に慌てて周りを警戒するペル。

 不審に思ったレイは、

 「どうしたんだい?」

  と尋ねる。

 しかし、ペルは何も返さない。そんな緊張状態は数秒続くとやっとペルは、

 「なんでもありません。すいません。では参りましょう。」

 何事も無かったかのように歩を進めて村に向かって行くのだった。

 しかしペルはなにか考えているようだった。

 ペルはどうしたんだろうか?

 レイの頭の中はさっきのペルの事でいっぱいだった。



「ところでマスター。この村に宿屋はあるのですか?」

 少し不安げな表情のペル。

 「確か星のたまり場っていう宿があったと思うよ」

 「ありがとうございます。マスター」

 「でも、これから野宿をしたりする時もあるかもしれないからね」

 少し重い顔なレイ、しかしペルは、

 「もちろん心得ております。私はマスターとならどこへでも参る所存でございます」

 満面の笑みのペル。

 「ありがとうね、ペル」

 ペルから顔をそらすレイ。

 「ほら、行きましょうよマスターー」

 ペルが鈍感でよかった

 レイは密かにこんなことを思っていたとかいないとか。

 「マスター、あそこではないでしょうか?」

 星のたまり場と書かれた看板が貼ってある建物を指さす ペル。

 「うん、ここだね。入ろうか?」

 少し不安そうな顔をするペル。

 「どうしたの?ペル?」

 「いえ、追放されてしまったのでお金は…………」

 すごく悲しそうな顔のペル。

 それを見たレイは、

 「なんだ、そんなことか。お金なら倉庫からチョチョっとね」

 と、悪い笑みを見せるレイ。

 しかしペルは、

 「そんな……すいません。元はといえば私があの時にあの様な態度をとってしまったからであって……すいません……」

 下を向いて泣いているのか? しかたないなぁ

 そしてレイは、

 「ペル、いいかい?僕はあの家が嫌いだった。でも心のどこがで家族だからとかいつか認めてもらえるかもしれないとか思ってなかなか吹っ切れていなかったんだ。でもペルがあそこで父様---レオ=ランベルトに反抗して僕を追放させてくれたから僕は全てを吹っ切って自由になることが出来たんだよ。感謝こそすれ恨む筋合いなんてないんだ。ペル、僕は本当に君に感謝しているだ。だから僕に謝らないで欲しい。わかったかい?」

 と優しい口調で言うレイ。

 「ありがとうございます。ありがとうございます。ありがとうございます」

 泣きながらずっとお礼をいうペル。

 「ほら、こんな辛気臭いのはやめて早く宿で休もう……」

 ペルの手を引っ張りドアの前まで行きそしてドアを開く。

 宿の中はいたって普通だった。

 レイはペルの手を引っ張って受け付けまで行く。

 そこには12歳くらいの女の子がいた
宿の娘さんかな? まぁいいや

 「すいません、2人で一部屋を1泊お願いできますか?」

 「かしこまりました。1泊50コルになります。お食事とお湯はどうなさいますか? お食事は今日の夜と明日の朝を合わせると30コル、お湯は15コルになります」

 「ならどちらもお願いできますか?」

 「かしこまりました。それでは合計は140コルになります」

 「はいっ!」

 と、袋の中から銀貨1枚と銅貨4枚を出すレイ。

 「はい、確かに。お湯はお部屋にお持ちします。お食事は食堂までお越しください。夜は7時から10時まで、朝は7時から9時までになっております。お部屋はそこの角を曲がった106号室をお使い下さい」

 と、角を指さしながら鍵を渡してくる女の子。

 「ありがとう」

 レイとペルは鍵を受け取って部屋へ向かった。


 宿屋の一室のベットの上にレイとペルはいた。

 「マスター、夕食の時間まで何をしますか?」

 「そうだなぁ……とりあえず……寝るか」

 「寝るっ?!?!?!」

 急に大きな声を出してびっくりするペル。

 「どうしたんだ? ペル? ただ、ベッドで寝るだけだぞ? なんか変な事言ったか?」

 不思議そうな顔をするレイ。

 「な、なるほど。取り乱してすいません。では寝ましょう」

 といって2人でベッドに横になった。

 ペルの寝息が響く。

 もうペルは寝ちゃったのか、やっぱり疲れてたんだな。お疲れ様ペル。

 ペルの頭を撫でるレイ。

 僕も寝るか。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 レイは夢を見る。

 ある青年と、ペルにものすごく似た女の子と、もう1人全体的に白く華奢な印象の女の子が楽しそうに歩いている。

 ここはどこだ?  夢なのか?  それにあれはどう見ても……ペルだよなぁ。

 急に辺りが真っ白になるぐらい光り、先程までいた女の子たちが消え変わりに漆黒の剣と純白の剣が1本ずつ現れた。

 なんだあれは? それにあの漆黒の剣は……やはりペルだ。

 しかしこれは何なんだろう……。

 夢は続く。

 突如現れたのは全身真っ黒の黒いオーラをまとった人のような生物。
あれは人なのか?

 レイの疑問など関係なしに、その青年はまるで瞬間移動をしたかのように真っ黒の生物の懐に入り、そしてそのまま一刀両断した。

 その瞬間レイの意識は途絶える。

 「はっ!」

 突如叫び出すレイ。
今のは……………………。

 レイが1人思考にふけっていると、

 「どうかなさいましたか? マスター?」

 隣で寝ているペルを起こしてしまった。

   聞くべきか聞かないべき、

 レイは迷っていた。

 よしっ、

 「いや、なんでもないよ。ごめん、気にしないで」

 「そーでございますか…承知しました」

 悲しそうな表情のペル。
 
 また今度ペルに聞けば良いか

 ペルが悲しそうなのをお構いなしにレイはこう考えていた。

 レイは話を変えるために、

 「そんなことより、そろそろ食堂に行こう。終わってしまうよ」と切り出す。

 「そーですね、参りましょう」

 そして2人は部屋を出て一階にある食堂に向かうのだった。


 「マスター、あそこでございます」

 と、食堂の入口の方を指さすペル。

 「そうだね、早く行こう。僕もうお腹ペコペコだよ」お腹をさするレイ。

 「はい行きましょう」

 扉を開けて中に入る2人。

 中にはたくさんの人々が騒がしく食事していた。

 「すごい数の人だね。空いている席はあるかな?」

 「あそこにございますわ。ほらマスター行きましょう」

  レイの手を引っ張るペル。

 「よいしょっ」

 席に座る2人。

 メニューはAセット、Bセットのどちらかから選ぶようだ。

 「ペルは何を注文する?」

 「私はマスターと同じものをお願いします」

 「了解、すいませんーー!」

 手を上げながら大声で店員を呼ぶレイ。

  すると受付で見た女の子が小走りで寄ってきた。

  「はい、ご注文でしょうか?」

  「うん、Aセットを二つお願いします」

 「かしこまりました、では」

 と言ってすぐほかのテーブルへ行ってしまう。

 「忙しそうだね」

 「そうですね。とても混んでいますから。しかし向こうの方やけにうるさいですね」

 少し顔をしかめるペル。

 「まぁ、仕方ないよ。酒場みたいなものだよ。少し見に行ってみる?」

 悪い笑みを浮かべながらそう尋ねるレイ。

 「少しだけですからね」

 と言って立ち上がり、うるさい方へと歩を進めていく2人。

 そこでは女性と男性が飲み比べをしているようだった。

 男性の方は、今にも倒れそうなほど酔っているようだ。

 「ふふふっ、私、シェリー=ローズに勝とうなんて100年早いわね」と叫ぶ飲み比べをしていた女性。

 シェリー=ローズ?? あれっ?  どこかで聞いたことあるような

 そんなことを考えていると突然その女---シェリー=ローズがこちらに近づいてくる。

 「あなた何者?」

 ほかの人には聞こえないような小さな声で僕とペルに訪ねてくる。






しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜

美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?

私が消えたその後で(完結)

毛蟹
恋愛
シビルは、代々聖女を輩出しているヘンウッド家の娘だ。 シビルは生まれながらに不吉な外見をしていたために、幼少期は辺境で生活することになる。 皇太子との婚約のために家族から呼び戻されることになる。 シビルの王都での生活は地獄そのものだった。 なぜなら、ヘンウッド家の血縁そのものの外見をした異母妹のルシンダが、家族としてそこに溶け込んでいたから。 家族はルシンダ可愛さに、シビルを身代わりにしたのだ。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

【完結】お父様の再婚相手は美人様

すみ 小桜(sumitan)
恋愛
 シャルルの父親が子連れと再婚した!  二人は美人親子で、当主であるシャルルをあざ笑う。  でもこの国では、美人だけではどうにもなりませんよ。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

私、異世界で獣人になりました!

星宮歌
恋愛
 昔から、人とは違うことを自覚していた。  人としておかしいと思えるほどの身体能力。  視力も聴力も嗅覚も、人間とは思えないほどのもの。  早く、早くといつだって体を動かしたくて仕方のない日々。  ただ、だからこそ、私は異端として、家族からも、他の人達からも嫌われていた。  『化け物』という言葉だけが、私を指す呼び名。本当の名前なんて、一度だって呼ばれた記憶はない。  妹が居て、弟が居て……しかし、彼らと私が、まともに話したことは一度もない。  父親や母親という存在は、衣食住さえ与えておけば、後は何もしないで無視すれば良いとでも思ったのか、昔、罵られた記憶以外で話した記憶はない。  どこに行っても、異端を見る目、目、目。孤独で、安らぎなどどこにもないその世界で、私は、ある日、原因不明の病に陥った。 『動きたい、走りたい』  それなのに、皆、安静にするようにとしか言わない。それが、私を拘束する口実でもあったから。 『外に、出たい……』  病院という名の牢獄。どんなにもがいても、そこから抜け出すことは許されない。  私が苦しんでいても、誰も手を差し伸べてはくれない。 『助、けて……』  救いを求めながら、病に侵された体は衰弱して、そのまま……………。 「ほぎゃあ、おぎゃあっ」  目が覚めると、私は、赤子になっていた。しかも……。 「まぁ、可愛らしい豹の獣人ですわねぇ」  聞いたことのないはずの言葉で告げられた内容。  どうやら私は、異世界に転生したらしかった。 以前、片翼シリーズとして書いていたその設定を、ある程度取り入れながら、ちょっと違う世界を書いております。 言うなれば、『新片翼シリーズ』です。 それでは、どうぞ!

老聖女の政略結婚

那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。 六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。 しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。 相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。 子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。 穏やかな余生か、嵐の老後か―― 四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。

処理中です...