落ちこぼれ精霊使いの英雄譚

朧月

文字の大きさ
5 / 20
第1章 出会い

シェリー=ローズ

しおりを挟む

「え? 何者というのはどういうことですか?」

何が何だか理解できない様子のレイ。

「違う、あなたに聞いているんじゃないの。そのかわいらしい少女に聞いているのよ!!!!」

「私ですか? 私はレイ様の精霊のペルでございますが」

突然訪ねられてビックリしているペル。

そんな事はお構いなしに話を進めるシェリー。

「あなた…本当に精霊なのね?」

鬼気迫る形相のシェリー。

「そうですが、なにか?」

不愉快そうな顔をするペル。

それもそのはず、突然自分の存在自体を疑ってきたのだから。

それに気付いたのかシェリーは、

「ごめんなさいね突然、私の名前はシェリー。よろしくね。さっきのは私の勘違いみたい」

突然謝ってきたシェリー。

「僕はレイです、そしてこっちは僕の精霊のペルです」

ペルを指さすレイ。

「どうも」

不承不承といった感じでお辞儀するペル。

「よろしくね、レイ、ペル。それに本当にごめんなさいね、お詫びといちゃなんだけど今日は私が奢るわ! ほらここに座りなさい」

空いている丸テーブルに腰を掛けながら、レイたちにも座るように促すシェリー。

「失礼します」

レイとペルは空いている席に座る。

「ほら、好きなもの食べて!」

「好きな物って、、、ここってAセットとBセット以外にもメニューがあるのですか?」

不思議そうに質問するレイ。

「Aセット、Bセットというのは宿に泊まった人のメニューよ。ここは酒場でもあるのよ」

やっぱり、ここ酒場でもあるんだ。

「宿に泊まっている人も、追加料金を払えば他のメニューの注文もできるわよ。ちなみに私のお勧めは串焼きよ」

自慢げな表情のシェリー。

((((こんなことで自慢げになるなよ))))

この時シェリー以外のお客さんの心が一つになった。

「それでは、お言葉に甘えて。ペルは何を注文する?」

「私はマスターと同じものでお願いします」

「了解っと、すいませんーー」

手をあげながら店員を呼ぶレイ。

「はいー、ただいまー」

小走りで来る受付の女の子。

「なんでしょうか?」

「すいません、串焼きを二人前追加で、それと先ほど向こうの席で注文したのですがこっちに移動しますので」

「かしこまりました。では」

お辞儀をして颯爽さっそうと去っていく。

「ところであなたたちはこんなところで何をしているの?」

「私たちは旅をしているのです」

「旅?みたところレイはまだ10歳にも満たないと思うんだけど…」

不安げな表情のシェリー。

「まあ僕たちにも色々と事情がありまして…」

言いづらそうなレイの表情を見てシェリーは、

「そうなの、詮索してごめんなさいね」

「いえ、気にしないでください」

少し気まずい雰囲気になってしまった。

その時、「おまたせしました、Aセットをお持ちしました」

レイとペルの料理が届いたのだ。

グッジョブ、そしてありがとう、受付の女の子。

内心でレイは受付の女の子にお礼を言った。

その後、レイたち三人はたわいもない話をしてその日は別れた。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 部屋に戻り、2人でベットに腰を掛けているレイとペル。
 
「マスター、シェリーという人をどう思いましたか?」

 唐突にレイに尋ねるペル。
 
「どう、というと?」

 イマイチその質問の真意が理解できず、逆に聞き返してしまうレイ。

 「というのも、彼女が突然私たちに敵意を向けてきたりしたということです」

 「うーん…多分ペルの事を自分の敵と見間違えたんだよ」

 その答えに納得のいかない様子のペル。

 しかしペルは、

 「そうですね、私の気にし過ぎですよね。すいません、少し考え事したいので剣になってその机の上にいますね」

 突如ペルが発光したかと思うと机の上に漆黒の長剣が現れた。

 そうだペルが剣だってことをすっかり忘れていたよ

 レイがそんな事を考えていると突然、

 コンコンっと扉をたたく音がした。

 「はーーい」

 「お湯をお届けに参りました」

 そうだ、お湯注文してたんだった

 「はーーい」

 ドアの鍵を開けて扉を開くレイ。

 「どうぞ」

 桶とタオルを2人分渡そうとしてくる受付の女の子。

 「ありがとう、今日は良く会うね。僕はレイよろしくね」

 手を差し出すレイ。

 「私はココと言います。こちらこそよろしくお願いします。」

 差し出された手を握るココ。

 「では私は仕事があるのでこれで。失礼します」

 「うん、お湯どうもありがとうね」

 ココを見送ると扉を閉め再度ベットに座るレイ。

 さてペルも考え事があるって言ってるから一人で先に身体を綺麗にしておこう

 タオルを桶に入っているお湯で濡らし身体を拭く。

 こうやってお湯でタオルを濡らして身体を拭くのは初めてだ

 レイの元実家は四大貴族の一角である。

 必然とお風呂には浴槽なるものがあった。だからレイはお湯でタオルを濡らして身体を拭くのが始めてなのだと普通なら考えるはずだ。

 そうではないのだ。レイはタオルを水で濡らし身体を拭くのは初めてではないのだ。そして浴槽などというものには入った事もない。

 要するに毎日タオルを水で濡らし身体を拭いていたのだ。

 もう家を追放されたんだ。忘れよう

 と、この事考えるのを無理やりやめささっと身体を拭いて寝てしまったのだった。








しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

【完結】シュゼットのはなし

ここ
恋愛
子猫(獣人)のシュゼットは王子を守るため、かわりに竜の呪いを受けた。 顔に大きな傷ができてしまう。 当然責任をとって妃のひとりになるはずだったのだが‥。

【完結】クビだと言われ、実家に帰らないといけないの?と思っていたけれどどうにかなりそうです。

まりぃべる
ファンタジー
「お前はクビだ!今すぐ出て行け!!」 そう、第二王子に言われました。 そんな…せっかく王宮の侍女の仕事にありつけたのに…! でも王宮の庭園で、出会った人に連れてこられた先で、どうにかなりそうです!? ☆★☆★ 全33話です。出来上がってますので、随時更新していきます。 読んでいただけると嬉しいです。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜

クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。 生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。 母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。 そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。 それから〜18年後 約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。 アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。 いざ〜龍国へ出発した。 あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね?? 確か双子だったよね? もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜! 物語に登場する人物達の視点です。

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから

渡里あずま
ファンタジー
安藤舞は、専業主婦である。ちなみに現在、三十二歳だ。 朝、夫と幼稚園児の子供を見送り、さて掃除と洗濯をしようとしたところで――気づけば、石造りの知らない部屋で座り込んでいた。そして映画で見たような古めかしいコスプレをした、外国人集団に囲まれていた。 「我々が召喚したかったのは、そちらの世界での『学者』や『医者』だ。それを『主婦』だと!? そんなごく潰しが、聖女になどなれるものか! 役立たずなどいらんっ」 「いや、理不尽!」 初対面の見た目だけ美青年に暴言を吐かれ、舞はそのまま無一文で追い出されてしまう。腹を立てながらも、舞は何としても元の世界に戻ることを決意する。 「主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから」 ※※※ 専業主婦の舞が、主婦力・大人力を駆使して元の世界に戻ろうとする話です(ざまぁあり) ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

処理中です...