落ちこぼれ精霊使いの英雄譚

朧月

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第2章 旅立ち

旅の意味

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 深い深い森の中に王冠をかぶった緑色の覇気を纏った魔物と対峙する少年がいた。

「しっっ」
 掛け声と共に一瞬で魔物の後ろ側に回り込んだ青年は、目にも止まらぬ速度の斬撃で魔物を粉々に切り裂くが、そんな斬撃を放っても不満そうな顔をする少年。

 だめだ、だめなんだ。この程度じゃあの人を……師匠を救えない……


そして、時は遡ること四年。


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 それはシェリー=ローズとの修行が始まって早4年たった時の話。

 毎日剣術や精霊術の修行に明け暮れる日々を過ごしていたレイ。


 「ほら、気を抜くな。足元がお留守だぞ」
 剣を持ち女と向き合う少年。
その瞬間女の姿がぶれ、少年がぶっ飛んでいく。

 11歳になったレイは未だに全くシェリー=ローズの足元にも及んでなかった。

 まだ師匠の足元すら見えない、くそっ、次はどうする?
 真正面から突っ込んで行っても躱されるだけだ、なら
 「 来い、ペル」
 「はい」

 その瞬間空いているレイの左手に1振りの漆黒の長剣が現れた。

 驚くべきことに一連の思考をレイはぶっ飛ばされながら行っていたのだ。

 レイは膝を曲げ木をクッションにして体勢を立すと、同時に膝を曲げてシェリーに向かって突っ込む。

 むむ、またレイは突っ込んで来るのか? それとも何か考えがあるのか……

 薄らと笑みを浮かべるシェリー。

 レイはシェリーを視界に収めると、同時に右手に持つ長剣をぶん投げた。

 よし、この剣に注意が向いている隙に回り込む!

 レイは反対側に回り込むとペルを上段に構え目を瞑り精神を統一しだした。

 まだ……まだ……今だ!!!

 「はっ!」
 レイがペルを振りかぶると同時にペルから漆黒の斬撃が飛ぶ。

 しかし、シェリーは飛んでくる長剣を左手の指で挟むと、同時に右手の手刀で斬撃を打ち消す。

 うっそーん、流石に師匠強すぎでしょ

 そんな思考もつかの間シェリーはレイが認識するよりも早くレイに近づき、レイの首に手刀を落とす。

 く、くそ……ま、まだまだ……か
 この思考を最後に意識を手放したレイだった。

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 「ん、んーー」
 ベットで目を覚ましたレイ。

 はぁ、また足も出なかった

 俺本当に強くなってるのかな?

 いや、そんなこと考えちゃだめだ

 俺は確実に強くなってる!!

 ガチャ

 「お、レイ気づいたんだね」
 扉を開けて入ってきたシェリー
 「おお、そんなことより……し、師匠今日の俺はどーだった?」

 少し不安そうな表情をするレイ。

 「うーん、長剣を投げて撹乱する作戦は良かったよ。だけど、私にはまだまだ遠く及ばないかな」
 笑顔でウインクしてくるシェリー。

 確かに遠く及ばなかったかも知れないけど、これで良いんだ、少しづつ近づいていくんだ

 「レイ、私もあの作戦は良かったと思います」

 扉を開けて入ってくるペル。

 「そ、そうかな?あはは、ありがとう」

 「でも、まだまだ修行は足りないからな。せめて私に一太刀でも入れられる様にならないとな」

 「わかってるけ「ばーーーーーん」」

 「何事だ??」
 突如鳴り響く轟音。

 少し慌てた様子のシェリー
 「ちょっと私は外を見てくる。レイたちは家の中で待っていてくれ」
 言い終えるとすぐに部屋を飛び出して行くシェリーだった。
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ストックかあるなら出せ!!という、悪魔てんしのささやきにより毎日投稿続けます!
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