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属性魔法
しおりを挟む深い深い森の中、そこに一人佇む青年。その視界には3m程あろうかという巨大な醜い生物。
一般人……いや冒険者……いや、誰であろうと何であろうとこの醜い生物を前にしては塵に等しい。それほどまでにこの生物はこの世界のヒエラルキーの頂点にいる。
名を、魔の獣の王と書いてーーー魔獣王と呼ぶ。
しかし、その青年の瞳には絶望など映っていなかった。むしろ、面倒くさいというような表情が窺える。
「ほら、最強! しっかり構えろよ。じゃないと……さくっと最弱に倒されちゃうよ?」
その青年は突然姿を消すと、魔獣王の後ろに姿を現した。その手にはいつどこからか取り出したのか、一振りの刀が握られていた。
瞬間移動したわけではない。ただ、意識が追いつかなかったのだ。彼の早さに。
「バイバイ、最強くん」
その一言を発すると同時に刀を鞘にしまった。
もう全て終わっていた。
「はぁ、帰るか」
頭と体がサヨナラしている魔獣王が、忽然と姿を消したのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「なんで俺が今更そんなとこ行かなきゃ行けないんだ? もう学ぶことなんてないだろう?」
場所は変わってサランデール王国の、王都ーーーサラマンディールの冒険者ギルド。
そのギルドマスターの部屋には、まさにエロねぇーさんという感じの女性と文句を言う青年がいた。
「俺だって大人だ。自分の道は自分で決めさせてもらうからな」
二人の間にある机に両手を叩きつける青年。
しかし、その女性も全く引かずに言い返す。
「何が大人だ。シューはまだ14ではないか。その年の者達といったら、皆学校で魔法を学びながら友と楽しく毎日を過ごすではないか。それなのにお前と言ったら……」
「俺と言ったら?」
「やーい、スライムだ。ゴブリンだ。オークだ。などと毎日、毎日、毎日魔物相手にしながら金稼ぎ。しまいには、「俺には友達なんていらねぇ。こいつさえいればそれで良い」とか言って愛刀にキスする始末。そんなお前に拒否権なんてないからな」
シューことシュージンは絶賛ボッチの駆け出し冒険者。
そんなシューを心配してか、毎日顔を合わせるギルドマスターーーーシェリーが無理矢理にでも友人を作って楽しい毎日を送らせるために学校へ入れようとしていた。
その後も一向に首を縦に振らないシューに対して、ガミガミ言い続けた結果……、最終的にシューは首を縦に降ったのだった。
はぁ、魔法学校って属性魔法を習う所だろ? そんな物俺が習って何になるって言うんだよ。使えもしないのに。
部屋をあとにしたシューの独り言は、建物内の喧騒に遮られ、誰にも届くことは無かった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
コンコン。
「はーい、どうぞ」
シューが去ったあとに入れ違いで入ってきた、黒いコートのフードで顔を隠した人物。
「おう、閃光か。頼んでいた依頼達成してきたのか?」
シェリーの問いに対して無言で首を縦に振り答える。
「そうか、突然の依頼ですまなかった。報酬はいつもの通りで」
シェリーがそー言うと、そのフードを被った者は無言で部屋をあとにした。
閃光ーーーこのサランデール王国唯一のランクSSSの冒険者の呼び名だ。
姿、形や、素性はおろか性別すら知るものはいない。もちろん顔を知るものもいない。
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