無属性魔法士学園へ

朧月

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閃光

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 「おい、お前ら静かにしろ! 私は伊達や酔狂でこんな事を言っている訳ではない」

 「いやでも実際私達は落ちこぼれだからこのクラスにいる訳で、そんなの無理に決まってます」

 「そーだ、この世界は才能が全てをーーー」
 「おーーー」

 「おい! それは違うぞ!」

 男子生徒の実力が全てと言う発言に対して、セレカがそれを否定しようとした瞬間、シューが立ち上がりながら大声で更にそれを遮る。

 どうしても許せなかったのだろう。生まれつきの才能で全てが決まってしまうこの世界が。才能がないからと自分の息子を捨てた家族、、が。

 突然大声をあげながら立ち上がったシューに注目するクラスメイト。

 それに気づいたシューは、「取り乱した。何でもない」

 と言い、席につく。

 「こほん、まぁこの世界は生まれつきの才能至上主義だが、その男の言う通りそれは違う。才能などなくてもいくらでも強くなれる」

 「はっ、馬鹿じゃねーのか! 才能がないカスがいくら努力したって強くなれるわけがねーんだよ」

 セレカの理想論に対してこちらもまた一般論で反論するロズヴェルト。

 確かにこの世界は生まれつきの才能が全てだ。無属性ならばお話にならないし、たとえ属性があったとしてもそれがろくに使えなければ、落ちこぼれのレッテルを貼られる。もちろん無属性など論外である。

 そんな固定概念に囚われた世界にも関わらず、あろう事か才能は関係ない! などと言い出すこの世界の上位に存在する存在。

 「お前達は閃光という冒険者は知っているか?」

 「当たり前だろ」

 「知らない人なんていませんよ!」

 「もちろん知ってますよ!出自から性別まで秘匿されているこの国の最高戦力なんですから」

 矢継ぎ早に同意の声が飛んでくる。

 「実はな、その閃光……無属性魔法士だ!」

 「「「「えーーーーー!」」」」

 それもそーだろう。王国の最高戦力が無属性ということだけではなく、正体を知るものがいない閃光が無属性だと知るセレカに驚いているのだ。

 しかし、この教室で最も驚いている人が左後方の窓際、、、、、、に。

 閃光か……。

 「まぁそーいう事だからこれからびしばし鍛えていくぞ。それでは今日のホームルームは終わるぞー」

 セレカは、まだざわつく教室を颯爽と去っていったのだった。

 
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