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3 新婚旅行の申し込みと発育不良のΩ
二 申込みできない
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先ほど旅行代理店の窓口でもらってきた申込書に記載されていた旅行代金が、想定外に高すぎる。
これは俺たち契約結婚カップルの新婚旅行には予算オーバーでは?
契約結婚なのに新婚旅行に行くの?
どうしても行く必要があるとすれば(周囲へのカモフラージュ的な???)、近場の温泉一泊二日でいいのでは???
と相談しようと、マンションに帰宅した俺を待っていたのは、文弥さんの声だった。
文弥さん、帰ってきてるんだ。
「尚くん、僕とけ……っ、あぁあっ、噛んだ……」
悩ましげな声が文弥さんの部屋から聞こえてくる。どうしたんだろう。
俺はおそるおそるノックをしようとし、その前に、ドアが開いた。
「あっ、おかえりなさいっ! 尚くん! ごめんね、午前中、急な仕事でひとりにして」
「いえ、大丈夫です。ただいま……」
「おかえり~!!!」
と、おかえりなさいのちゅー。
本日、日曜日。
文弥さんはふだん、平日と土曜日が仕事。
日曜日はお休みだけれど、今朝、急に仕事に行くことになって、二人で行こうと予約していた旅行代理店に、俺はひとりで行ってきた。
といっても、文弥さんが代理店のスタッフの人と事前に内容を打ち合わせしてあって、俺は詳しいパンフレットをもらって、用意されているという申込書に判を押して申込みを完了するだけ! と文弥さんに念押しされていたんだけど……。
高級感のある旅行代理店のスタッフの人に、「ご結婚おめでとうございます!」と言われるまではまだよかったんだ。
けれど、その後、「旦那様から承っております!」と、代理店のひとが作成してほぼ記入済の、あとは印鑑を押すだけになっている申込書を見せられて、俺は目ん玉が飛び出るかと思った。
1名様あたり、四百万円。
ファーストクラス航空券含む、燃油サーチャージ別。
!?
二段目はよくわからない。けれど、とにかく、ファーストクラスの航空券は含まれていて、だけど何かが別でかかることはわかる。
問題はそこじゃない。いや、ファーストクラスも、俺が知る限り、飛行機の特等席なんだけど、とりあえず置いておく。
よ、四百万円!?
「印鑑を押すだけだよ」と文弥さんは言ってたけど、こんなの勝手に押せないよ。何かの間違いでしょ?
考えさせてください、と言って、先ほど、逃げるように代理店を出てきた。
文弥さん、代金をちゃんと確認していなかったのかなぁ。あ、オプションをつけていったらあっという間に予算オーバーしちゃったのかな。
あるよね。そういうこと。俺も、大学の学生食堂でたまにはと奮発して小鉢をつけたら五百円を超えたりする。桁が違うな……。
なんのオプションかは知らないけど、特別とか豪華とか書いてるから、特別で豪華で、Sなんだと思う。おそらく、スペシャルのS。Wはなんだろう。ワールド? ワイド?
文弥さんはひとしきり俺の唇をついばみ、俺を抱きしめて、流れでひょいと横抱きにして、俺の部屋を通り過ぎて、リビングに連れていってくれる。
ここ一週間、ずっとこんな調子。
最初のうちは「???」と頭の上に疑問符まみれだった俺も慣れてきた。そろそろ抑制剤を飲む時期なのに、飲んでいないせいでビミョーに体調不良だし、任せようかなって。
文弥さんは、ソファにそうっとおろしてくれる。「そうっと、そうっと」と小声で言うので、つい笑ってしまいそう。
それから文弥さんは対面キッチンに立って、お湯を沸かしてる。
「尚くん、麦茶とルイボスティー、どっちがいい? 体を冷やしちゃいけないからホットで淹れるね」
「ありがとうございます???」
ルイボスティー、飲んだことはないし聞いたこともない。ルイボスって何?
夏の冷たい飲み物ってイメージの麦茶をホットでというのも聞き慣れない。でも文弥さんは飲み物に詳しいみたい。任せておけばいいかな。
「尚くんはどれが好き?」
「えっと……」
「冒険する? それとも麦茶にしておく? ルイボスティーは紅茶っぽいよ。くせはないけど」
「じゃあ、ルイボスティーで……」
「了解で~す」
文弥さんはルンルンでポットにお湯を注いでいる。そして飲み物をふたつ淹れて、隣り合って一口。
あ、おいしい。くせがない。なのにお茶。飲みやすい。
「申込書の控え、もらってもいい? お支払いしておくね」
「あっ、あの、そのことなんですが」
俺は三枚綴りの申込書を取り出す。まだ申込みはしていないそれ。
「あの、俺では、押せなくて」
「えっ! なにか気に入らないの入ってた? 五つ星ホテルのオーシャンビューにしたけど、あっ、海苦手!? ハワイじゃなくて、別の国にしようか!? どこがいい!? ヨーロッパ!? アメリカ!? オセアニア!?」
「あのー、新婚旅行って、人生にそう何度もあるものじゃない、ですよね」
「僕、はじめて!」
「初婚ですもんね」
「尚くんと新婚旅行~!」
文弥さんは俺の肩を抱き、嬉しそうに俺の前髪をあむあむ食んでる。
「そのことなんですけど」
「あっ、ごめん。僕だけで決めちゃいけないね。尚くん。僕、反省してる。新婚旅行、尚くんの行きたい国に行こう」
文弥さんは期待に満ちたきらきらした眼差しで俺のことを見つめている。
「文弥さんは、旅行に行きたいんですか?」
「うん。でも場所はどこでもいいんだ。どうせホテルに入り浸りになるし」
「???」
「だって、ねぇ?」
文弥さん、嬉しそう……。超にこにこしてる。そんなに旅行にいきたいんだ。仕事忙しそうだし、これまで、旅行する機会がなかったのかな。
俺でいいならいっか。
「とりあえず、代金が……、見てもらったらわかるんですけど」
「1名様あたり四百万円。ファーストクラス航空券込み、燃油サーチャージ別」
「はい」
「なんだろう……あっ、消費税込みだよね」
「あ、たぶん」
見ると税込みと書いてある。
文弥さんは「???」と首を捻らせている。
「尚くん、なにか気になることがある?」
「え!? 代金……ですかね」
「ハイシーズンのファーストクラスでオプションをつけたわりに、安く済んだよね。僕、海外は殆どいかないから、よくわからなくて。希望を伝えて、プランを組んでもらったんだ。あっ、なにかオプションつけたい? 海好き? アクティビティ、マリンスポーツに興味ある? でもごめん。旅程の三日目は一日自由って書いてあるんだけど、ここは僕に任せてほしい。したいことがあるんだ。四日目の午前中なら入れられるかなぁ。尚くんのやりたいこと、半日で足りる?」
「いえ……とくになにも……大丈夫です」
「他に気になることは?」
「あの、かなり高い気がして……」
「え、そうかな? ……むしろ安いぐらいかなぁって」
新婚旅行ってそんなに予算かけられるものなの?
まぁ、でも、文弥さんは会社役員だし、御曹司だろうし、この程度は当たり前なのかもしれない。俺が庶民だから高すぎるように感じちゃうだけで……。
……いや、どう考えても高いよ。二人で八百万円って。
「僕は、尚くんがよければこれでいいんだ。どう?」
「は、はい」
「じゃあ、僕が申し込んでおくね」
「お、お願いします」
文弥さんはほわほわの夢見心地で微笑んでいる。
「楽しみ……尚くんも楽しんでほしい……」
「はい……」
そう答えたけれど。
でも、いいのかな。はじめての新婚旅行、俺とで。
これは俺たち契約結婚カップルの新婚旅行には予算オーバーでは?
契約結婚なのに新婚旅行に行くの?
どうしても行く必要があるとすれば(周囲へのカモフラージュ的な???)、近場の温泉一泊二日でいいのでは???
と相談しようと、マンションに帰宅した俺を待っていたのは、文弥さんの声だった。
文弥さん、帰ってきてるんだ。
「尚くん、僕とけ……っ、あぁあっ、噛んだ……」
悩ましげな声が文弥さんの部屋から聞こえてくる。どうしたんだろう。
俺はおそるおそるノックをしようとし、その前に、ドアが開いた。
「あっ、おかえりなさいっ! 尚くん! ごめんね、午前中、急な仕事でひとりにして」
「いえ、大丈夫です。ただいま……」
「おかえり~!!!」
と、おかえりなさいのちゅー。
本日、日曜日。
文弥さんはふだん、平日と土曜日が仕事。
日曜日はお休みだけれど、今朝、急に仕事に行くことになって、二人で行こうと予約していた旅行代理店に、俺はひとりで行ってきた。
といっても、文弥さんが代理店のスタッフの人と事前に内容を打ち合わせしてあって、俺は詳しいパンフレットをもらって、用意されているという申込書に判を押して申込みを完了するだけ! と文弥さんに念押しされていたんだけど……。
高級感のある旅行代理店のスタッフの人に、「ご結婚おめでとうございます!」と言われるまではまだよかったんだ。
けれど、その後、「旦那様から承っております!」と、代理店のひとが作成してほぼ記入済の、あとは印鑑を押すだけになっている申込書を見せられて、俺は目ん玉が飛び出るかと思った。
1名様あたり、四百万円。
ファーストクラス航空券含む、燃油サーチャージ別。
!?
二段目はよくわからない。けれど、とにかく、ファーストクラスの航空券は含まれていて、だけど何かが別でかかることはわかる。
問題はそこじゃない。いや、ファーストクラスも、俺が知る限り、飛行機の特等席なんだけど、とりあえず置いておく。
よ、四百万円!?
「印鑑を押すだけだよ」と文弥さんは言ってたけど、こんなの勝手に押せないよ。何かの間違いでしょ?
考えさせてください、と言って、先ほど、逃げるように代理店を出てきた。
文弥さん、代金をちゃんと確認していなかったのかなぁ。あ、オプションをつけていったらあっという間に予算オーバーしちゃったのかな。
あるよね。そういうこと。俺も、大学の学生食堂でたまにはと奮発して小鉢をつけたら五百円を超えたりする。桁が違うな……。
なんのオプションかは知らないけど、特別とか豪華とか書いてるから、特別で豪華で、Sなんだと思う。おそらく、スペシャルのS。Wはなんだろう。ワールド? ワイド?
文弥さんはひとしきり俺の唇をついばみ、俺を抱きしめて、流れでひょいと横抱きにして、俺の部屋を通り過ぎて、リビングに連れていってくれる。
ここ一週間、ずっとこんな調子。
最初のうちは「???」と頭の上に疑問符まみれだった俺も慣れてきた。そろそろ抑制剤を飲む時期なのに、飲んでいないせいでビミョーに体調不良だし、任せようかなって。
文弥さんは、ソファにそうっとおろしてくれる。「そうっと、そうっと」と小声で言うので、つい笑ってしまいそう。
それから文弥さんは対面キッチンに立って、お湯を沸かしてる。
「尚くん、麦茶とルイボスティー、どっちがいい? 体を冷やしちゃいけないからホットで淹れるね」
「ありがとうございます???」
ルイボスティー、飲んだことはないし聞いたこともない。ルイボスって何?
夏の冷たい飲み物ってイメージの麦茶をホットでというのも聞き慣れない。でも文弥さんは飲み物に詳しいみたい。任せておけばいいかな。
「尚くんはどれが好き?」
「えっと……」
「冒険する? それとも麦茶にしておく? ルイボスティーは紅茶っぽいよ。くせはないけど」
「じゃあ、ルイボスティーで……」
「了解で~す」
文弥さんはルンルンでポットにお湯を注いでいる。そして飲み物をふたつ淹れて、隣り合って一口。
あ、おいしい。くせがない。なのにお茶。飲みやすい。
「申込書の控え、もらってもいい? お支払いしておくね」
「あっ、あの、そのことなんですが」
俺は三枚綴りの申込書を取り出す。まだ申込みはしていないそれ。
「あの、俺では、押せなくて」
「えっ! なにか気に入らないの入ってた? 五つ星ホテルのオーシャンビューにしたけど、あっ、海苦手!? ハワイじゃなくて、別の国にしようか!? どこがいい!? ヨーロッパ!? アメリカ!? オセアニア!?」
「あのー、新婚旅行って、人生にそう何度もあるものじゃない、ですよね」
「僕、はじめて!」
「初婚ですもんね」
「尚くんと新婚旅行~!」
文弥さんは俺の肩を抱き、嬉しそうに俺の前髪をあむあむ食んでる。
「そのことなんですけど」
「あっ、ごめん。僕だけで決めちゃいけないね。尚くん。僕、反省してる。新婚旅行、尚くんの行きたい国に行こう」
文弥さんは期待に満ちたきらきらした眼差しで俺のことを見つめている。
「文弥さんは、旅行に行きたいんですか?」
「うん。でも場所はどこでもいいんだ。どうせホテルに入り浸りになるし」
「???」
「だって、ねぇ?」
文弥さん、嬉しそう……。超にこにこしてる。そんなに旅行にいきたいんだ。仕事忙しそうだし、これまで、旅行する機会がなかったのかな。
俺でいいならいっか。
「とりあえず、代金が……、見てもらったらわかるんですけど」
「1名様あたり四百万円。ファーストクラス航空券込み、燃油サーチャージ別」
「はい」
「なんだろう……あっ、消費税込みだよね」
「あ、たぶん」
見ると税込みと書いてある。
文弥さんは「???」と首を捻らせている。
「尚くん、なにか気になることがある?」
「え!? 代金……ですかね」
「ハイシーズンのファーストクラスでオプションをつけたわりに、安く済んだよね。僕、海外は殆どいかないから、よくわからなくて。希望を伝えて、プランを組んでもらったんだ。あっ、なにかオプションつけたい? 海好き? アクティビティ、マリンスポーツに興味ある? でもごめん。旅程の三日目は一日自由って書いてあるんだけど、ここは僕に任せてほしい。したいことがあるんだ。四日目の午前中なら入れられるかなぁ。尚くんのやりたいこと、半日で足りる?」
「いえ……とくになにも……大丈夫です」
「他に気になることは?」
「あの、かなり高い気がして……」
「え、そうかな? ……むしろ安いぐらいかなぁって」
新婚旅行ってそんなに予算かけられるものなの?
まぁ、でも、文弥さんは会社役員だし、御曹司だろうし、この程度は当たり前なのかもしれない。俺が庶民だから高すぎるように感じちゃうだけで……。
……いや、どう考えても高いよ。二人で八百万円って。
「僕は、尚くんがよければこれでいいんだ。どう?」
「は、はい」
「じゃあ、僕が申し込んでおくね」
「お、お願いします」
文弥さんはほわほわの夢見心地で微笑んでいる。
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「はい……」
そう答えたけれど。
でも、いいのかな。はじめての新婚旅行、俺とで。
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