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番外編2
3 食ったら帰らないと食われる
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※第一部の2と3の間の話です。
------------------------------------
肉、美味しかったなぁ。
ランチはリーズナブルでいいよね。お会計はカズ先輩任せだけど。
カズ先輩はお会計を終えて、一緒に店を出る。
「ごちそうさまでした」
「美味しかったね」
「はい!」
「タキくん、むかしと比べて今はちゃんとお野菜も食べててえらいね」
「へへ。ちょっと大人になりましたー。それにしても暑いですねー」
「そうだね。あ、アイスでも買って帰ろうか。バニラだよね?」
「あっ、俺が買いますよ」
「ううん。大丈夫だよ」
カズ先輩はすぐのところのコンビニに入る。俺も暑いからついていく。一緒に選んでコンビニを出て、マンションのほうへ歩いていく。
一緒に部屋に入って、リビングのソファテーブルにアイスを置くと、カズ先輩は袋の中を覗き込んだ。
「ちょっと溶けてるかな」
「凍らせますか」
「うん。冷凍庫に入れておこう。タキくん、アイスコーヒーでいい?」
「えっ、あっ、ありがとうございます」
カズ先輩はアイスコーヒーをいれてくれて、ソファにふたりで座る。
アイスコーヒーおいしいな。
俺はほぼ一気飲み。その様子をカズ先輩はにこにこ眺めてくる。
「?」
「タキくん、コーヒー好きだよね」
「はい。美味しかったです」
俺はテーブルの上に、空になったグラスを置く。
カズ先輩も、そのすぐそばに半分ほど残ったグラスを置く。
「お腹壊さないようにね。アイスは少し後にしようね」
「はぁい」
というと、カズ先輩は声をあげて笑った。
「あはは!」
「へ?」
「間延びしてて可愛い。わざと?」
男に可愛いとかそういうのは言わないでほしいな。別に可愛くないし。
ていうか、この状況、かなりまずい気がしてきた。
店に行く前には確実に決意したはずなんだよ、食ったら帰らないと食われるって。のこのこついてきちゃってさ。これ絶対にやられるやつ。
逃げる手立てあるかな。なさそう。許してくれなさそう。
カズ先輩は性格が良くて穏和で優しくて、憧れの先輩で可愛がってくれてて、俺は居心地いいって思ってて、いまも居心地悪くないというか、気遣ってくれるから過ごしやすいし楽なんだけど、一気に心理的距離が近づいたのは、もちろんセックスしたからで……。
物理的距離も詰められて、あとがない。足首掴まれてるし。
太ももに両手を回されて、ぐいっと引かれて、ソファに仰向け。
もっと早く気付けよ、俺。
硬直して青ざめる俺をくすくす笑いながら、カズ先輩はソファの傍らに膝をついて、俺の背中と膝に腕を回してきた。
あっという間に横抱きにされて、思わずカズ先輩に縋りつく。
「うあっ」
カズ先輩は俺を横抱きにしたまま立ち上がって、寝室に向かおうとする。
「ベッドにしよう」
「カズ先輩、もうやめましょ」
「ごめん。聞けない」
「痛くしないでください、痛いのも苦しいのもいやです」
「もちろん気持ちよくしてあげる。今日はもうお尻でするのはやめておこう。ごめんね、けさ辛かったね。口でしてあげる」
……それだったらまあいっか。
いや、待て待て。口でされるっていうのも再検討したほうがいいって。流れでやられる気がするし。
約束なんて守ってくれる気がまったくしない。さすがに俺もそろそろわかってきてる。
「大丈夫だよ。絶対に痛くしない。気持ちよくする。口でするだけ」
本当かな……。
〈第一部の2と3のあいだの話 終わり〉
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肉、美味しかったなぁ。
ランチはリーズナブルでいいよね。お会計はカズ先輩任せだけど。
カズ先輩はお会計を終えて、一緒に店を出る。
「ごちそうさまでした」
「美味しかったね」
「はい!」
「タキくん、むかしと比べて今はちゃんとお野菜も食べててえらいね」
「へへ。ちょっと大人になりましたー。それにしても暑いですねー」
「そうだね。あ、アイスでも買って帰ろうか。バニラだよね?」
「あっ、俺が買いますよ」
「ううん。大丈夫だよ」
カズ先輩はすぐのところのコンビニに入る。俺も暑いからついていく。一緒に選んでコンビニを出て、マンションのほうへ歩いていく。
一緒に部屋に入って、リビングのソファテーブルにアイスを置くと、カズ先輩は袋の中を覗き込んだ。
「ちょっと溶けてるかな」
「凍らせますか」
「うん。冷凍庫に入れておこう。タキくん、アイスコーヒーでいい?」
「えっ、あっ、ありがとうございます」
カズ先輩はアイスコーヒーをいれてくれて、ソファにふたりで座る。
アイスコーヒーおいしいな。
俺はほぼ一気飲み。その様子をカズ先輩はにこにこ眺めてくる。
「?」
「タキくん、コーヒー好きだよね」
「はい。美味しかったです」
俺はテーブルの上に、空になったグラスを置く。
カズ先輩も、そのすぐそばに半分ほど残ったグラスを置く。
「お腹壊さないようにね。アイスは少し後にしようね」
「はぁい」
というと、カズ先輩は声をあげて笑った。
「あはは!」
「へ?」
「間延びしてて可愛い。わざと?」
男に可愛いとかそういうのは言わないでほしいな。別に可愛くないし。
ていうか、この状況、かなりまずい気がしてきた。
店に行く前には確実に決意したはずなんだよ、食ったら帰らないと食われるって。のこのこついてきちゃってさ。これ絶対にやられるやつ。
逃げる手立てあるかな。なさそう。許してくれなさそう。
カズ先輩は性格が良くて穏和で優しくて、憧れの先輩で可愛がってくれてて、俺は居心地いいって思ってて、いまも居心地悪くないというか、気遣ってくれるから過ごしやすいし楽なんだけど、一気に心理的距離が近づいたのは、もちろんセックスしたからで……。
物理的距離も詰められて、あとがない。足首掴まれてるし。
太ももに両手を回されて、ぐいっと引かれて、ソファに仰向け。
もっと早く気付けよ、俺。
硬直して青ざめる俺をくすくす笑いながら、カズ先輩はソファの傍らに膝をついて、俺の背中と膝に腕を回してきた。
あっという間に横抱きにされて、思わずカズ先輩に縋りつく。
「うあっ」
カズ先輩は俺を横抱きにしたまま立ち上がって、寝室に向かおうとする。
「ベッドにしよう」
「カズ先輩、もうやめましょ」
「ごめん。聞けない」
「痛くしないでください、痛いのも苦しいのもいやです」
「もちろん気持ちよくしてあげる。今日はもうお尻でするのはやめておこう。ごめんね、けさ辛かったね。口でしてあげる」
……それだったらまあいっか。
いや、待て待て。口でされるっていうのも再検討したほうがいいって。流れでやられる気がするし。
約束なんて守ってくれる気がまったくしない。さすがに俺もそろそろわかってきてる。
「大丈夫だよ。絶対に痛くしない。気持ちよくする。口でするだけ」
本当かな……。
〈第一部の2と3のあいだの話 終わり〉
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