エリート先輩はうかつな後輩に執着する

みつきみつか

文字の大きさ
165 / 396
2 ある年始のドタバタ

八 俺のもの Side和臣(※)

しおりを挟む
 足、痛いな……。
 体内で時々鳴る軋みも嫌な感じ。具合が悪い。
 だが、朝起きたら隣で多紀くんが俺の寝巻きを着てすぴすぴ寝ていて、ぶかぶかで可愛くて幸せすぎて天国かも。帰ってからも積極的に着せたいな。
 午前七時。
 俺が起きて身動ぎすると、多紀くんはすぐに起きた。

「おはようございます。足、大丈夫ですか」
「おはよう。痛い……」

 痛いのは事実なのでちゃんと言っておく。あわよくばよしよしされたい。
 多紀くんは心配そうに俺を甘やかしてくれる。頭を撫でたり、頬に手を添えたり、覗き込んできたり、背中をさすってくれたり。ふふふ。弱っているときは大人しく弱るに限るね。

「起きられます?」
「手を引いてほしいな」

 手を差し伸べてくれる。優しい手。あたたかい。
 多紀くんに助けてもらって、半身を起こしてベッドの脇に掛ける。こんな幸福な目覚めがあるだろうか。いや、ない。
 多紀くんは明るいところで見ても、暗いところで見ても可愛い。
 置いてある松葉杖を持ってきてくれるけど、多紀くんの肩がいいな……。薄い肩につかまりたい。触りたい。噛みたい。
 座ったままの俺を着替えさせてくれようとする。パジャマの下をおろすとボクサーパンツの中で大きくなってる。朝だから。
 多紀くんは苦笑している。ここは元気だよ。

「エッチしたい……」
「……舐めるのだけなら、しましょうか」
「ほんと!?」

 俺は勢い、向かい側に立つ多紀くんのズボンを引きずり下ろす。
 多紀くんは大慌て。

「いやっ、俺じゃなくてですね……!」
「しっ、声出しちゃだめ」

 多紀くんは黙った。俺は多紀くんの下着をおろして、俺とは違ってまったく力を持っていないそれを咥える。

「っ……」

 多紀くんは口でするとすぐ出してしまう。
 すぐ出しちゃいそうになるのを恥ずかしがる様子が可愛いし、焦らすように舐めたり咥えたり扱いていると、イきたくて涙目になるのも可愛い。
 多紀くんを見あげると、声を出さないように必死に、片手で自分の口を押さえている。顔は真っ赤。潤んだ瞳。手のひらの中で、荒い息をこらえている。
 もう片方の手は俺の頭にのせて、ときどき目を細めてよしよししてくる。可愛い。
 唾液を引きながら名残惜しく口を離して、完全に勃起したそれを根元のほうで扱きながら、俺は言った。

「あー、いれたい……」

 ねじこみたい。

「だめです」
「多紀くんがそんな顔するから……。煽ってるし、誘ってるし……」
「そんな、してない」
「やられたいくせに。俺の、おさまらないよ。ね、ちょっとだけ入れていい? 入れるだけ」
「だめ」
「先っぽだけ」
「だめ」
「多紀くんが欲しいよ……お願い」
「……だめ」
「無理はしないからさ」
「……」

 多紀くんの心が揺れてきた。
 ふふふ。こんなこともあろうかと俺は荷物を持ってきているし、ローションも入っている。
 俺は自分のものを下着の隙間から取り出す。
 多紀くんは拒否しようとして、迷ってる。期待してる。

「……体、痛いでしょ」
「痛いのは足だけ。腕とかはもう痛くないよ」
「怪我、昨日ですよ」
「うん。激しい動きは無理かな。だから、入れるだけ。つながるだけ。ね?」

 大人しく下を脱いで、ゆっくり跨ってくる。
 よし。大成功。

「い、痛かったらすぐに退くので、ちゃんと言ってくださいね。我慢しないでくださいね。絶対ですよ」
「うん」
「ちょっとだけ、ですからね」

 多紀くんも我慢できないみたい。作戦勝ち。
 俺は性欲旺盛、多紀くんは調教済み。快感の奴隷。咥えられて、犯される気持ちよさを思い出してる。
 俺が動けないから、多紀くんは積極的に、上からキスしてきたり、俺のペニスをローションを使って扱いたり、跨りながら自分の指でほぐしたり。
 最高。こんなに手取足取り看病やら何やらをしてもらえるなら、骨折も悪くない。
 多紀くんが腰を下ろしてくる。
 俺の足に負担をかけないように、体重をかけないように。
 多紀くんの穴が俺のものを徐々に呑み込んでいく。締めつけ。包み込まれて、熱い。多紀くんの中、気持ちいいな……。愛しい多紀くんを犯しているんだ、という感覚が良い。
 多紀くんは俺のもの。
 多紀くんの必死な顔に、俺は口づける。多紀くんはベッドに片手をつきつつ、俺の、怪我をしていない右側に控えめにすり寄ってくる。可愛い……。
 全部呑み込んで、多紀くんは止まった。はっ、はっと短い喘ぎを漏らしながら、涙目になって俺を見てくる。
 俺は多紀くんを見つめる。その頬に片手を添える。

「全部いれちゃったね……」
「ん、ん」
「繋がってるね」
「か、和臣さん、痛く、ない?」
「気持ちいい。すごく気持ちいい。多紀くんのエッチ。そんなふうに搾られると中出ししちゃうよ?」
「あ、大きくなっちゃ、だめ……」

 そんな多紀くんをやわらかく抱きしめると、ひんひん鳴きながら、多紀くんは俺の腕の中でイった。体が強張って、震えている。
 俺の体で気持ちよくなったのだと思うと、胸がいっぱいになる。
 恍惚と怯えの混じる表情。捕食されてる小動物みたい。耳元で訊ねながら、細い顎をつかんで目をじっと見る。

「いま、イったね?」
「ちが、ちがいます」
「体のほうが正直だね。多紀くん、今までどれだけ俺にエッチされたと思ってるの。締めてくるよ。いれられただけでイったの、わかるよ。ちがうの?」

 多紀くんは腕の中でがくがく震える。涙に濡れ、うつろな目をしている。息が不規則に荒く、大興奮。激しくメスイキしてる。

「やめて、イっちゃう、いれられただけで、こんな、うそ……とまらない……力入らない……」
「少しなら体重かけてもいいよ」
「だめです、だめ」
「……多紀くんの体、すぐイっちゃうね。おなかの奥まで入れて悦んでるね。いい子。俺に可愛い顔見せて」
「やだ、やめて、見ないで」

 嫌がってそらそうとする顎を、俺は離さない。無理やり向かせて覗き込んで、目を見るように言って、捉える。食われている獲物。
 逃すものか。
 心まで食べてしまいたい。
 多紀くんは観念してとろとろ。甘い声で鳴いてる。

「きもちい、あ、あ、あ、いい、きもちい」
「気持ちいいね。よしよし。可愛いね。多紀くん、可愛い。感じてるね。またイっちゃいそう?」
「イく、またイく、や、なんでこんなに、なんで」
「さいきん、エッチしてなかったもんね。できなくてごめんね。おあずけになっちゃってたね。多紀くんのここ、欲しがりだもん。入れるの我慢してさびしかったね」
「やっ、ひっ、イく、イく、イく……!」
「イっていいよ」
「またイく、イく、和臣さんっ、イく」

 声を出さないように、顔は真っ赤で、体も赤くて熱い。

「よしよし、中でたっぷりイこうね。ちゃんと言える?」

 俺は訊ねる。おねだりするときに言うようにさせてる言葉。

「俺は、和臣さんのもの」
「多紀くんは俺のものだね」
「うん、うん……! お願い、和臣さん……! あっあっ」

 動きたすぎてどうしよう。激しく突きたい。けど足が痛い。
 とりあえず抱きながらゆるく揺さぶってると、多紀くんは泣きながらイきまくってる。
 うーん、可愛すぎてしんどい。
しおりを挟む
感想 341

あなたにおすすめの小説

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。 「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」 現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません? 魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。 BL大賞エントリー中です。

寝てる間に××されてる!?

しづ未
BL
どこでも寝てしまう男子高校生が寝てる間に色々な被害に遭う話です。

ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました

あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」 完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け 可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…? 攻め:ヴィクター・ローレンツ 受け:リアム・グレイソン 弟:リチャード・グレイソン  pixivにも投稿しています。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。

悪役令嬢の兄でしたが、追放後は参謀として騎士たちに囲まれています。- 第1巻 - 婚約破棄と一族追放

大の字だい
BL
王国にその名を轟かせる名門・ブラックウッド公爵家。 嫡男レイモンドは比類なき才知と冷徹な眼差しを持つ若き天才であった。 だが妹リディアナが王太子の許嫁でありながら、王太子が心奪われたのは庶民の少女リーシャ・グレイヴェル。 嫉妬と憎悪が社交界を揺るがす愚行へと繋がり、王宮での婚約破棄、王の御前での一族追放へと至る。 混乱の只中、妹を庇おうとするレイモンドの前に立ちはだかったのは、王国騎士団副団長にしてリーシャの異母兄、ヴィンセント・グレイヴェル。 琥珀の瞳に嗜虐を宿した彼は言う―― 「この才を捨てるは惜しい。ゆえに、我が手で飼い馴らそう」 知略と支配欲を秘めた騎士と、没落した宰相家の天才青年。 耽美と背徳の物語が、冷たい鎖と熱い口づけの中で幕を開ける。

処理中です...