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最終章 あるふたりきりの夜
最終話* 今は反省しているらしい
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四月の夜。
午後六時半。日は暮れたばかり。
仕事が終わって駅までの道を歩きながら。
空気は暖かくて、街が高揚しているみたい。冬の名残のイルミネーションが街路樹を色とりどりに彩っている。東京の夜は明るい。薄ぼんやりとした、かすみがかった月明かり。
昨晩は寒かったのに、今夜は春めいた風が吹いている。
いい夜だな。
和臣さんは今日は遅いのかな。
そう考えたときだ。
「多紀くん」
と呼ばれて、俺は振り返った。
「和臣さん」
仕事帰りの和臣さんが駆け寄ってくる。心から安堵している笑顔に、こちらもほっとする。
「いま帰り? 偶然」
「和臣さん、早いですね」
「多紀くんこそ。ね、一緒に帰ろ」
「はい」
「たまには歩いて家まで帰る?」
「あ、いいですね。歩きましょうか」
和臣さんの提案で、ふたりで肩を並べて、駅に背を向け、夜の街をのんびりと歩いていく。
コートがいらないほど暖かくて、ボタンを外して開ける。脱いでもいいな。上着もいらないかも。
「晩ごはん、何にしようね。食べたいものは?」
「んー、あ。カレーにしませんか」
昼に西さんが食べててさ。カレーの気分って伝染するよね。
「いいね。スーパーに寄ろう。お肉を買い足さないと。牛豚鶏、なにがいい? そういえば、多紀くん、おうちのカレーは何派だった?」
と訊ねられて思い出す。実家のカレー。
俺は逆に質問してみる。
「何だと思います?」
「えー? なんだろ? 鶏?」
「ブッブー」
「わかった。変わり種系だね?」
お。当たるかな?
「変わり種です」
「んー、わかった! マトン! 八種類のスパイスで作る、本格インドカレー!」
「右手しか使わずにね。って、なんでやねん」
「ふふ。正解は?」
「正解は、こんにゃくです」
和臣さんは目をぱちくりさせて、しばし沈黙。笑おうとして失敗してる。
「……あ、ごめん、想定外。ちくわかな、とは思ったんだけど。こんにゃくね、こんにゃく。ダイエットまたは環境問題を意識した代替食という考えもあるね。えーっと、多紀くんが入れたければ、入れようか。あっ、スーパーで買わないと」
「いえ、入れなくて大丈夫です」
小学校の給食で初めてカレーが出たとき、俺はカレーには肉を入れるんだと知ったんだ。だから母親に肉が入っていたと主張したものの、母親は、何かの間違いだと言って譲らなかった。
実家のカレーに肉が入っていたことは一度もない。いまは何が入っているのだろうか。
カレーはこんにゃく推しのひとには申し訳ないけれど、俺はこんにゃくは味噌汁とおでんがいいかな。
「笑い飛ばすか、鋭いツッコミをくださいよ。俺の貧乏育ちネタ」
「わかった。がんばる!」
「カレーの具、和臣さんのご実家は?」
「なんだと思うー?」
和臣さんのカレーっていつも豚肉なんだよね。
「うーん、ボケるの難しいですね」
「多紀くんが貧乏ネタなら俺は金持ちネタで攻めていくよ」
「んじゃ、めっちゃ高級食材」
「黒毛和牛シャトーブリアンに世界三大珍味も入れちゃおー」
「カレーの包容力が試されますね!」
「キャビア選手が圧倒的な存在感を放ちそう。あっ! そうだ。色々作ってみてさ。うちのオリジナルおうちカレー開発しようよ」
「あっ、いいですねぇ」
「多紀くんとおうちカレー……!」
「小野寺家? ですかね?」
「小野寺多紀……いいな……。あっ、相田でもいいよ? 相田和臣。ふふ。漢字だと字面が読みづらいかな。入籍できるときには、別姓の話も進むのかなー」
「そうかもですね」
「小野寺でも相田でも、どっちでもいいから、多紀くんとお揃いにしたい」
ちょうど、ひとの多いエリアを抜けた。和臣さんがすすすと左手を伸ばしてきたので、俺はその手を握る。嬉しそうな顔しちゃって。
先日新しく購入した、イニシャル入りの結婚指輪は、お互いにはめている。刻印と、以前交換した指輪と同じように、裏石に相手の誕生石を入れている、メビウスの輪みたいな形のプラチナのもの。永遠を象っているんだって。
下見するだけっていう話でお店に入ったのに、店員さんにデザインを説明されて、和臣さんのテンションが爆上がりしちゃって即購入。結婚式はまだ先だけど、受け取ったときに交換して付けてる。
俺はふと訊ねた。
「ところで、GPS、どこにつけてるんですか?」
「え!? 今夜は偶然だよ!?」
「それは嘘」
「嘘じゃないよっ」
そんなへらへら笑ってさ。つけてないわけないでしょ。
だが和臣さんは真面目そうな顔を取り繕って、胸に手を当てて言った。
「本当だよ。誓って、今はつけていません。もうそんなことをしなくても、大丈夫なんだ。これまで、多紀くんの同意なしにつけていたこと、心から反省してる」
ほんとかな?
「じゃあ、どこにつけてたのか、教えてください」
「………………ごめん、言えない」
絶対にまだつけてるじゃん。確かめられたら困るって顔じゃん。
「あの、あのね、今夜は偶然、多紀くんを見つけて、とっても嬉しかったんだ。ね、カレーたくさん作ってさ、今日明日で食べようね」
和臣さんは必死に話題を変えようとしている。見つけたのは偶然なんだろうな。でもさぁ。
……まあ、いっか。プライバシーの侵害だろとは思うけど。
俺、心広いわ。
自画自賛。
「『昨日のカレー』って美味しいですよね」
「作り立てより味が深くて美味しいよね!」
他愛もない話をしながら街歩き。久しぶりに歩くと結構変わってるものだな。
新しいお店を見つけて、また行こうねと言ったり、散歩している犬を見つけて可愛いと言ったり。空を見上げると月がきれいだったり。
和臣さんの大きな手は温かく、しっかりと握ってくる。俺も同じ強さで握り返している。
「ねぇ、多紀くん」
「はい?」
「なんでもなーい」
和臣さんは心から嬉しそうに俺のことを見ている。目を細めて、口元をゆるませて、なんちゅう可愛い顔してるの。そんな和臣さんを見上げながら歩く。歩いていく。
何気ない日常を笑い合って積み重ねていく。そうしたら、毎日、幸せのてっぺんを更新すると俺は確信してるんだ。全身全霊で幸せにしてやる。連れていってあげる。手を引いて、景色を見せてあげる。そういう気持ち。
やがて俺たちはスーパーを見つける。目的地。通過点。
あと数十メートル。手を繋いで、眩い光を目指して夜道を歩いている。
「スーパーで買うものー。肉以外に何がありますかねー」
「サラダ用に野菜を買おうかな。日用品は大丈夫だねー」
「あっ、ビール飲みたいです!」
「いいね。俺も飲むー」
「やった」
「あとはー、こんにゃく?」
「いりませんって。絶対だめ。カレー以外ならいいけど」
「でもさー、俺、多紀くんがどんなカレーを食べて育ったのか興味ある」
「だって、カレー味をまとったこんにゃくですよ? カレーを食べてたらあの触感が時々現れるんですよ。全部想像どおりですって。あ、そういえば、ちくわが入っていたこともあったかも?」
「あ! 第二候補!」
「たまにね。ごくたまに。ちくわだと、旨味? は出るっぽいんですよね」
「魚肉だもんね。これは試してみるほかないね。ちくわ買おっか」
「待って! 肉がいいですってば!」
「ふふ。わかってるよ。冗談。カレーはお肉にしようね。多紀くんの大好物」
「です!」
「ちくわはビールのおつまみに、磯辺揚げにしようかな」
「それ好きです!」
「好きなんだ? 初めて知った。多紀くんの好きな食べ物、知れて嬉しいな……。たくさん教えてね」
俺は言った。
「和臣さん」
「え?」
「和臣さんがいちばん好きだよ」
「そ、そういうの、いきなり言われると……! 俺も多紀くん、大好き! え、待って。好きな食べ物でそれって、下ネタ? 好きなのはわかるけど、多紀くん、外では流石にまずいよ……」
「うわっはっはっは! 違いますよ! やめてくださいよ! 俺の方がびっくりなんですけど! こんなのふつーに愛の告白でしょ!?」
「でも好きでしょ。食べるの」
「わっはっはっ! 好きですよ! ばか!」
「多紀くんっ、ちゅーしたい!」
「それは家に帰ってから!」
「多紀くんっ、結婚して!」
「いいですよ! もうしてるけどっ!」
『エリート先輩はうかつな後輩に執着する』 本編終わり
お読みいただきありがとうございました。
ご感想などいただけるとうれしいです。
(このエピソード以降は番外編です。)
午後六時半。日は暮れたばかり。
仕事が終わって駅までの道を歩きながら。
空気は暖かくて、街が高揚しているみたい。冬の名残のイルミネーションが街路樹を色とりどりに彩っている。東京の夜は明るい。薄ぼんやりとした、かすみがかった月明かり。
昨晩は寒かったのに、今夜は春めいた風が吹いている。
いい夜だな。
和臣さんは今日は遅いのかな。
そう考えたときだ。
「多紀くん」
と呼ばれて、俺は振り返った。
「和臣さん」
仕事帰りの和臣さんが駆け寄ってくる。心から安堵している笑顔に、こちらもほっとする。
「いま帰り? 偶然」
「和臣さん、早いですね」
「多紀くんこそ。ね、一緒に帰ろ」
「はい」
「たまには歩いて家まで帰る?」
「あ、いいですね。歩きましょうか」
和臣さんの提案で、ふたりで肩を並べて、駅に背を向け、夜の街をのんびりと歩いていく。
コートがいらないほど暖かくて、ボタンを外して開ける。脱いでもいいな。上着もいらないかも。
「晩ごはん、何にしようね。食べたいものは?」
「んー、あ。カレーにしませんか」
昼に西さんが食べててさ。カレーの気分って伝染するよね。
「いいね。スーパーに寄ろう。お肉を買い足さないと。牛豚鶏、なにがいい? そういえば、多紀くん、おうちのカレーは何派だった?」
と訊ねられて思い出す。実家のカレー。
俺は逆に質問してみる。
「何だと思います?」
「えー? なんだろ? 鶏?」
「ブッブー」
「わかった。変わり種系だね?」
お。当たるかな?
「変わり種です」
「んー、わかった! マトン! 八種類のスパイスで作る、本格インドカレー!」
「右手しか使わずにね。って、なんでやねん」
「ふふ。正解は?」
「正解は、こんにゃくです」
和臣さんは目をぱちくりさせて、しばし沈黙。笑おうとして失敗してる。
「……あ、ごめん、想定外。ちくわかな、とは思ったんだけど。こんにゃくね、こんにゃく。ダイエットまたは環境問題を意識した代替食という考えもあるね。えーっと、多紀くんが入れたければ、入れようか。あっ、スーパーで買わないと」
「いえ、入れなくて大丈夫です」
小学校の給食で初めてカレーが出たとき、俺はカレーには肉を入れるんだと知ったんだ。だから母親に肉が入っていたと主張したものの、母親は、何かの間違いだと言って譲らなかった。
実家のカレーに肉が入っていたことは一度もない。いまは何が入っているのだろうか。
カレーはこんにゃく推しのひとには申し訳ないけれど、俺はこんにゃくは味噌汁とおでんがいいかな。
「笑い飛ばすか、鋭いツッコミをくださいよ。俺の貧乏育ちネタ」
「わかった。がんばる!」
「カレーの具、和臣さんのご実家は?」
「なんだと思うー?」
和臣さんのカレーっていつも豚肉なんだよね。
「うーん、ボケるの難しいですね」
「多紀くんが貧乏ネタなら俺は金持ちネタで攻めていくよ」
「んじゃ、めっちゃ高級食材」
「黒毛和牛シャトーブリアンに世界三大珍味も入れちゃおー」
「カレーの包容力が試されますね!」
「キャビア選手が圧倒的な存在感を放ちそう。あっ! そうだ。色々作ってみてさ。うちのオリジナルおうちカレー開発しようよ」
「あっ、いいですねぇ」
「多紀くんとおうちカレー……!」
「小野寺家? ですかね?」
「小野寺多紀……いいな……。あっ、相田でもいいよ? 相田和臣。ふふ。漢字だと字面が読みづらいかな。入籍できるときには、別姓の話も進むのかなー」
「そうかもですね」
「小野寺でも相田でも、どっちでもいいから、多紀くんとお揃いにしたい」
ちょうど、ひとの多いエリアを抜けた。和臣さんがすすすと左手を伸ばしてきたので、俺はその手を握る。嬉しそうな顔しちゃって。
先日新しく購入した、イニシャル入りの結婚指輪は、お互いにはめている。刻印と、以前交換した指輪と同じように、裏石に相手の誕生石を入れている、メビウスの輪みたいな形のプラチナのもの。永遠を象っているんだって。
下見するだけっていう話でお店に入ったのに、店員さんにデザインを説明されて、和臣さんのテンションが爆上がりしちゃって即購入。結婚式はまだ先だけど、受け取ったときに交換して付けてる。
俺はふと訊ねた。
「ところで、GPS、どこにつけてるんですか?」
「え!? 今夜は偶然だよ!?」
「それは嘘」
「嘘じゃないよっ」
そんなへらへら笑ってさ。つけてないわけないでしょ。
だが和臣さんは真面目そうな顔を取り繕って、胸に手を当てて言った。
「本当だよ。誓って、今はつけていません。もうそんなことをしなくても、大丈夫なんだ。これまで、多紀くんの同意なしにつけていたこと、心から反省してる」
ほんとかな?
「じゃあ、どこにつけてたのか、教えてください」
「………………ごめん、言えない」
絶対にまだつけてるじゃん。確かめられたら困るって顔じゃん。
「あの、あのね、今夜は偶然、多紀くんを見つけて、とっても嬉しかったんだ。ね、カレーたくさん作ってさ、今日明日で食べようね」
和臣さんは必死に話題を変えようとしている。見つけたのは偶然なんだろうな。でもさぁ。
……まあ、いっか。プライバシーの侵害だろとは思うけど。
俺、心広いわ。
自画自賛。
「『昨日のカレー』って美味しいですよね」
「作り立てより味が深くて美味しいよね!」
他愛もない話をしながら街歩き。久しぶりに歩くと結構変わってるものだな。
新しいお店を見つけて、また行こうねと言ったり、散歩している犬を見つけて可愛いと言ったり。空を見上げると月がきれいだったり。
和臣さんの大きな手は温かく、しっかりと握ってくる。俺も同じ強さで握り返している。
「ねぇ、多紀くん」
「はい?」
「なんでもなーい」
和臣さんは心から嬉しそうに俺のことを見ている。目を細めて、口元をゆるませて、なんちゅう可愛い顔してるの。そんな和臣さんを見上げながら歩く。歩いていく。
何気ない日常を笑い合って積み重ねていく。そうしたら、毎日、幸せのてっぺんを更新すると俺は確信してるんだ。全身全霊で幸せにしてやる。連れていってあげる。手を引いて、景色を見せてあげる。そういう気持ち。
やがて俺たちはスーパーを見つける。目的地。通過点。
あと数十メートル。手を繋いで、眩い光を目指して夜道を歩いている。
「スーパーで買うものー。肉以外に何がありますかねー」
「サラダ用に野菜を買おうかな。日用品は大丈夫だねー」
「あっ、ビール飲みたいです!」
「いいね。俺も飲むー」
「やった」
「あとはー、こんにゃく?」
「いりませんって。絶対だめ。カレー以外ならいいけど」
「でもさー、俺、多紀くんがどんなカレーを食べて育ったのか興味ある」
「だって、カレー味をまとったこんにゃくですよ? カレーを食べてたらあの触感が時々現れるんですよ。全部想像どおりですって。あ、そういえば、ちくわが入っていたこともあったかも?」
「あ! 第二候補!」
「たまにね。ごくたまに。ちくわだと、旨味? は出るっぽいんですよね」
「魚肉だもんね。これは試してみるほかないね。ちくわ買おっか」
「待って! 肉がいいですってば!」
「ふふ。わかってるよ。冗談。カレーはお肉にしようね。多紀くんの大好物」
「です!」
「ちくわはビールのおつまみに、磯辺揚げにしようかな」
「それ好きです!」
「好きなんだ? 初めて知った。多紀くんの好きな食べ物、知れて嬉しいな……。たくさん教えてね」
俺は言った。
「和臣さん」
「え?」
「和臣さんがいちばん好きだよ」
「そ、そういうの、いきなり言われると……! 俺も多紀くん、大好き! え、待って。好きな食べ物でそれって、下ネタ? 好きなのはわかるけど、多紀くん、外では流石にまずいよ……」
「うわっはっはっは! 違いますよ! やめてくださいよ! 俺の方がびっくりなんですけど! こんなのふつーに愛の告白でしょ!?」
「でも好きでしょ。食べるの」
「わっはっはっ! 好きですよ! ばか!」
「多紀くんっ、ちゅーしたい!」
「それは家に帰ってから!」
「多紀くんっ、結婚して!」
「いいですよ! もうしてるけどっ!」
『エリート先輩はうかつな後輩に執着する』 本編終わり
お読みいただきありがとうございました。
ご感想などいただけるとうれしいです。
(このエピソード以降は番外編です。)
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