エリート先輩はうかつな後輩に執着する

みつきみつか

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番外編20 季節ものSS

クリスマスデートのお二人(※)和臣編

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 クリスマスイブ。
 平日。
 街はクリスマス一色で、カップルは手をつなぎ、あるいは腕を組んで歩いている。
 あいつら、これからもれなく全員エッチするんだよな……。羨ましい。
 俺も俺も俺も。
 多紀くんと手をつなぎたい、腕を組みたい。エッチしたい。どれからやってもいいけど全部したい。早めに。今日中に。
 籍こそ入れられなくてもれっきとした配偶者である俺たち。とはいえ、仕事帰りのスーツ姿でいかにもカップル感を出すのは憚られる。
 俺はどう見られてもウェルカムだけど、多紀くんはどうやら俺との関係を会社の一部のひとにしか言ってないようで、多紀くんには、大阪出身の、甘えたがりの、年上美人の奥さんがいることになっている。
 なので、手を繋ぐのも腕を組むのも、会社帰りは基本NG。俺は待てをさせられている。自宅付近だとお許しが出ることもあるけど。
 待てない。やりたい。うぅ……。
 肩を並べて街を歩き、いつもの焼肉屋の暖簾をくぐる。手が冷たそう。握りたい。握られたい。どこでもいいから握られたい。どこでもいいから握りたい。

「コートとジャケット掛けますよ」
「ありがとう」

 多紀くんは俺が脱いだコートとジャケットをハンガーに通して、壁掛けにかける。
 多紀くんもコートを脱いで、ジャケットを脱いだ。白いワイシャツごしの多紀くんの細くて薄い体にうっとり。
 第一ボタンを外して、第二ボタンを外して、ネクタイをゆるめちゃって。あのネクタイで縛り上げて、あるいは目隠しをして、シャツはたくし上げるなどをして……。
 ん? 多紀くん、こんな時間まで仕事でトラブルだったはずなのに、にこにこしてる。いまにも鼻歌でもうたいはじめそう。お疲れじゃないのかな。
 話しをしているうちに、多紀くんの笑顔の理由がわかった。そこからはカズ先輩とタキくんごっこ。乾杯をして、肉を焼きながら。

「もー、西さんときたら、思いつきで物言うわりに、最近は細部まで配慮が行き届いていて困りますよ」

 むかしパワハラ社長とモラハラ上司に仕事で押しつぶされて愚痴っていた自覚があるタキくんは、今の上司の愚痴を一所懸命絞り出そうとして失敗してる。
 俺は苦笑。

「あのひとそういうところあるよね」
「あれじゃあ文句のつけどころがないじゃないですか。大阪にいるのに、こっちが困ってたらすぐ来るフッ軽だし」
「東京大阪間なんて、『いうて国内やん』って思ってるよ」
「言います言いますー!」

 N社長、慕われてるなぁ。タキくんの笑顔ときたら。俺はタキくんの笑顔と、愚痴のフリした惚気を肴にビールを飲む。美味いのに不味い。N社長め……。
 多紀くんはビールをがぶがぶ飲みながら、焼肉をバウンドさせた大盛りごはんをぱくぱく食べてる。
 あっ、頰にごはんつぶついてる。ごはんつぶになりたいな……。

「タキくん」

 俺は手を伸ばして頰のごはんつぶを回収。自分で食べるか、多紀くんに食べさせるかを検討。多紀くんの口に指を突っ込んで、指フェラさせたい。
 でも多紀くんの頰にくっついた実績をもつごはんつぶを体内に取り込むほうを優先。

「すみません!」
「ううん」

 焼肉をガッツリ食べたかったけど、ほどほどにした。胃もたれしそうだし、今からやることあるし。
 多紀くんはビール三杯。平日なのに呑むね。俺は一杯だけ。だってやることあるし。
 食べ終わって、ジャケットを着る。多紀くんの薄い肩。二の腕。掴んで、噛んで、引っ張って、拘束して……。

「カズ先輩、はいコート」
「ありがとう」

 カズ先輩だなんて呼んじゃってさ、多紀くんノリノリだ。会計をしながら、でこっぱちにキスしてやりたい。
 焼肉屋を出て、マンションへの帰路も、流れでごっこ遊び。酒も手伝ってテンションの高い多紀くん。
 早くぶち込みたい。スラックスのお尻だけ出させて、膝がくがくになるまで犯して、ごめんなさいって謝らせたい。理由なんてなんでもいい。
 マンションのエントランスからエレベーターホールに向かう。誰もいないなぁ。でも防犯カメラがあるし、事を起こすのは部屋に入ってから。

「ただいまー! 大和ー!」

 玄関に入ると、寝ていた犬が寝ぼけ顔でとたとたやってきて、多紀くんはコートのまま、玄関先の廊下に転がって犬を掴まえて愛でてる。
 多紀くんが酔っぱらいだと気づいている犬は、多紀くんをテキトーにあしらって、コートを脱いで玄関のクローゼットに掛けた俺に鼻先で申し訳程度の挨拶をしたのち、さっさと犬部屋に引っ込んでいった。
 うちの犬、酒臭いの嫌いなんだよね。

「あ~~~、大和ぉ~~~」

 俺は革靴すらも脱がずに転がって呻く多紀くんを四つん這いにさせて、ベルトを外して、ワイシャツや肌着の裾を出させて、尻をぷりんと出させる。ぺちぺち。白くて小さくて柔らかい。
 俺もスラックスのベルトをかちゃかちゃ外して、チャックをおろし、下着の隙間に手を入れた。いつから勃っていたんだろ。すでにがちがちの臨戦態勢。
 ローションは浴室と寝室にあるけど、念の為いつも荷物に入れてある。出先で多紀くんを犯す機会があるかもしれないし。
 ビジネスリュックの内ポケットから小さいボトルを取り出して垂らした。

「タキくん。膝立ててね」

 先っぽを当てて、なかに食い込ませ、咥えさせていく。
 あったかい。

「え、あ? あっ、あっ……あ……!?」
「腰上げて。お尻突き出して」
「う、うぁ、は」
「食べていいよね?」
「んっ、は、はい」

 俺は廊下に手をつき、多紀くんの背中に覆いかぶさる。多紀くんは膝がくがく。廊下に潰れちゃった。
 俺は追い打ちをかけるように、多紀くんの上に膝で跨って挿入しながら押しつぶす。奥まで入れちゃお。
 指を多紀くんの口に突っ込んで、いやらしく舐めさせる。
 俺は多紀くんの後頭部に鼻を埋めて、耳のふちをかじって、薄い肩をコート越しにかじかじ。
 お互い、服を脱いでいなさすぎて動きづらいな。全身でのしかかってすり潰していく。

「っ……奥まで入ったよ。動いていい? 動くよ?」
「んぅ、んぅ、ぅん」
「夕方、小さいクリスマスケーキ買っておいた。冷蔵庫に入れてあるから、好きなときに食べてね」
「んっ、ふ、ぅ、あ、あっ」
「俺のデザートはタキくん」
「んぐ、あっ、は……」

 メリークリスマス。
 いい夜~。



〈クリスマスデートのお二人(和臣編) 終わり〉
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