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番外編21 和臣の妄想Ⅰ
十三 タキくんのにおい
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十三
朝になって俺が起きても、カズ先輩はまだ寝ていた。いつの間にかカズ先輩は俺を抱き枕よろしく抱きついて、もはや全身と手足で巻き付くみたいになっていて、俺の頭をすっぽりと胸におさめて、俺の額に口付けながら。
よく寝てるなぁ。寝れないとか言ってなかったっけ?
俺は身動きが取れない。
肩を抱かれて、頭を抱かれて、あったかくて気持ちいいけど妙に恥ずかしい。
カズ先輩、体格いいな。背が高くて全身が伸びやかだ。手足長い。
でも寝すぎじゃない? 昨日十二時過ぎだったとはいえ、もう十一時だよ。あ、でも海外で寝られなかったとも言ってたな。寝不足解消したかな。
と、カズ先輩が、んん、と呻いて、腕のあたりをぽりぽり掻きながら、ぼんやり起きた。
「んん?」
「おはようございます」
「……へ!?」
カズ先輩は、目の焦点が合うやいなや、ばっと起き上がって離れた。
「タ、タキくん」
「はい」
「あ、そっか。昨日、泊まってくれたんだ。どおりでタキくんのにおいがすると思った」
「え、においます?」
「そんなんじゃないよ。いいにおいだよっ、うわ、おはよ。ごめん、寝すぎた。うわー、いい夢みたわけだよ」
「あはは。どんな夢みたんですか」
「タキくんを抱きしめてる夢」
「夢っていうか実際やってましたね」
二人で起きて、伸びをして、洗面所に向かう。顔を洗って、歯を磨いて。
「ごめん、タキくん、寝られた?」
「まぁまぁ寝ました!」
緊張はしてたんだ。でもカズ先輩はあったかくて、寝ついてしまえば、寝苦しくはなかったな。むしろ安心してた。なんだか、初めてじゃないみたいに。不思議だな。
「今日休みでよかったねぇ」
「ですねっ」
「朝昼になってごめん。なにか食べにいこうか。タキくん、何が食べたい?」
「食べるのはなんでも。コーヒーさえ飲めたら」
「了解」
「あ、和食で、あとでカフェ。どうです?」
カズ先輩、日本食が好きだし、たぶんまだ味噌汁を飲みたいだろうし。
カズ先輩は破顔した。
「助かる」
「へへ。俺も和食好きですよ」
顔を洗って、俺はカズ先輩に渡されて、カズ先輩の私服をまた借りた。大きくてぶかっとしてる。
「すみません、全部借りちゃって」
「ううん。可愛い」
可愛いって……。
カズ先輩は、俺を背中からふわっと抱きしめてくる。
俺の首に顔を埋めて、鏡に映っているけど、表情は見えない。
「タキくん」
「はい」
「俺さ。タキくんと再会して、それだけで幸せだった」
「……」
「しかも月イチでごはん行けてさ。こんな幸せがあるのかって信じられなかった」
「……」
「しかも、告白したら、付き合ってくれて、毎日連絡とれて、幸せの上に幸せが重なって、こんな、タキくんを裏切るみたいな気持ちに応えてもらえて……それだけで贅沢なくらいだって思ってた」
カズ先輩は少し顔を上げて、俺の首筋に鼻で触れてる。たまらなさそうに擦りつけてくる。
「帰国して、会いたいって言ったら、夜遅くなのに会ってくれて。心配してくれて、ごはんを二人で食べて、泊まってくれて、二人で眠って、また一緒にごはん食べられて……」
抱く力が強くなった。
「どの幸せも俺にはとんだ贅沢なのに、どれも手放せない。どんどん欲深くなるんだ。もっともっと、欲しくなる。再会しただけで喜んでいた自分には、戻れなくなりそうなんだ」
朝になって俺が起きても、カズ先輩はまだ寝ていた。いつの間にかカズ先輩は俺を抱き枕よろしく抱きついて、もはや全身と手足で巻き付くみたいになっていて、俺の頭をすっぽりと胸におさめて、俺の額に口付けながら。
よく寝てるなぁ。寝れないとか言ってなかったっけ?
俺は身動きが取れない。
肩を抱かれて、頭を抱かれて、あったかくて気持ちいいけど妙に恥ずかしい。
カズ先輩、体格いいな。背が高くて全身が伸びやかだ。手足長い。
でも寝すぎじゃない? 昨日十二時過ぎだったとはいえ、もう十一時だよ。あ、でも海外で寝られなかったとも言ってたな。寝不足解消したかな。
と、カズ先輩が、んん、と呻いて、腕のあたりをぽりぽり掻きながら、ぼんやり起きた。
「んん?」
「おはようございます」
「……へ!?」
カズ先輩は、目の焦点が合うやいなや、ばっと起き上がって離れた。
「タ、タキくん」
「はい」
「あ、そっか。昨日、泊まってくれたんだ。どおりでタキくんのにおいがすると思った」
「え、においます?」
「そんなんじゃないよ。いいにおいだよっ、うわ、おはよ。ごめん、寝すぎた。うわー、いい夢みたわけだよ」
「あはは。どんな夢みたんですか」
「タキくんを抱きしめてる夢」
「夢っていうか実際やってましたね」
二人で起きて、伸びをして、洗面所に向かう。顔を洗って、歯を磨いて。
「ごめん、タキくん、寝られた?」
「まぁまぁ寝ました!」
緊張はしてたんだ。でもカズ先輩はあったかくて、寝ついてしまえば、寝苦しくはなかったな。むしろ安心してた。なんだか、初めてじゃないみたいに。不思議だな。
「今日休みでよかったねぇ」
「ですねっ」
「朝昼になってごめん。なにか食べにいこうか。タキくん、何が食べたい?」
「食べるのはなんでも。コーヒーさえ飲めたら」
「了解」
「あ、和食で、あとでカフェ。どうです?」
カズ先輩、日本食が好きだし、たぶんまだ味噌汁を飲みたいだろうし。
カズ先輩は破顔した。
「助かる」
「へへ。俺も和食好きですよ」
顔を洗って、俺はカズ先輩に渡されて、カズ先輩の私服をまた借りた。大きくてぶかっとしてる。
「すみません、全部借りちゃって」
「ううん。可愛い」
可愛いって……。
カズ先輩は、俺を背中からふわっと抱きしめてくる。
俺の首に顔を埋めて、鏡に映っているけど、表情は見えない。
「タキくん」
「はい」
「俺さ。タキくんと再会して、それだけで幸せだった」
「……」
「しかも月イチでごはん行けてさ。こんな幸せがあるのかって信じられなかった」
「……」
「しかも、告白したら、付き合ってくれて、毎日連絡とれて、幸せの上に幸せが重なって、こんな、タキくんを裏切るみたいな気持ちに応えてもらえて……それだけで贅沢なくらいだって思ってた」
カズ先輩は少し顔を上げて、俺の首筋に鼻で触れてる。たまらなさそうに擦りつけてくる。
「帰国して、会いたいって言ったら、夜遅くなのに会ってくれて。心配してくれて、ごはんを二人で食べて、泊まってくれて、二人で眠って、また一緒にごはん食べられて……」
抱く力が強くなった。
「どの幸せも俺にはとんだ贅沢なのに、どれも手放せない。どんどん欲深くなるんだ。もっともっと、欲しくなる。再会しただけで喜んでいた自分には、戻れなくなりそうなんだ」
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