Think about you

てらだりょう

文字の大きさ
28 / 86
04

4

しおりを挟む




高校ん時。

なんでだったか。

尊さんが。

「龍二、お前女好きって思った事ある?」

言い出した。

「普通にヤりてえなと思いますよ」

「女見て、ヤりてえってかさあ。絶対この女が良い、とか」

「そりゃ一回ヤってみて良かったらそう言う風に思うかもですけど」

尊さんが頭捻って。

「なんつうか…絶対この女じゃなきゃ嫌だとかさ。好き?っての?そう言うのあるか?」

その時の俺は別に女とか、面倒くせえし、どうでも良かったし。

「無いっすね、俺そんなん面倒だし」

「俺もわかんね。嫌いはすげえ理解出来るけど好きはわかんねえ」

そう言ってた尊さんは。

みのりさんに出逢って。

誰にも触らせたくねえっていつも言ってた。今でも変わんねえ。

尊さんがみのりさんの事想って。

自分がいたらみのりさんの邪魔になる、って。

身を引いた時。

殴られた気分なった。こんな風に人を好きになれるのか、と思った。

尊さんはみのりさんから離れてから、みのりさんの名前すら口に出さなかった。

それからの尊さんはみのりさんに会う前に戻ったみたいに振る舞ってて。

まるでみのりさんの存在は知らなかったことみたいに。

もうみのりさんの事は諦めたんだろうな、と思った。

でも倒れた時、尊さんは眠りながらずっとみのりさんの名前呼び続けてて。

俺は耐えらんなくて。尊さんが想い続けるのも。みのりさんがなんも知らねえのも。

だから勝手を承知でみのりさんに連絡した。

あの二人は一緒じゃなきゃなんねえ、って思った。

尊さんの場合は尊さんの一目惚れだが。

俺は人を好きになれんのかな。

指し当たって。今一番身近にいるのはバカ。

でもバカだからな。

俺が優しいって。

勘違いしてるだけだ。

いつもの様に。

朝方家に帰る。

暗いはずの部屋。灯りがついてる。

まだ起きてやがんのか。

部屋入ると。

バカはいねえ。

どこにいんだ。と思ったら。

バスルームの脱衣所で寝てるバカ。

裸で。

髪の毛と化粧落としてる状況からすると、多分酔っ払ってシャワー浴びたまではいいが、出たとこで力尽きたんだろうな。

「おい、起きろ!」

「う…ん」

起きそうにねえな。

いつからここで寝てんだ、コイツは。

頭揺すっても起きねえ。

しょうがねえな。

抱き上げて部屋に連れてく。

よくよく考えたら裸の女抱いてんだが。全くなんも感じねえな。

「起きろ!なんか着ろ!」

反応無し。

なんで俺がこのバカに下着から着せてやんねえとなんねえんだよ。

脱がす事あっても着せてやるなんてねえぞ。

いつもパジャマ代わりにしてる服まで着せてやって。

ソファーに寝かそうと。

身体冷えてんな。

けっこう長い事裸で寝てたんだろうな。

また風邪ひきやがるな。

しょうがねえからもっかい抱き上げた。

「兵藤くん…」

なんだ。起きたのか。

バカが俺の首に抱きついて。

「好きだよお…ずっと昔から好き…」

言って、また寝た。

コイツは勘違いしてるだけだ。

ベッドに寝かせて。身体冷えてっから一緒寝たら少しはいいだろう。

思って。

抱き締めたら。少し開いた唇から寝息が漏れる。

なんとなく。

唇近づけて。

酒臭かったから。

止めた。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

なほ
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模るな子。新入社員として入った会社でるなを待ち受ける運命とは....。

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

屋上の合鍵

守 秀斗
恋愛
夫と家庭内離婚状態の進藤理央。二十五才。ある日、満たされない肉体を職場のビルの地下倉庫で慰めていると、それを同僚の鈴木哲也に見られてしまうのだが……。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

処理中です...