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しおりを挟むバカが帰って来ねえ。
俺が朝方帰ったら。まだ帰ってなくて。
珍しくアフター行ってんのかな。
そう思って。
そのうち帰って来んだろ。
うとうとした。
気がつくと。もう朝の十時。
いくらなんでもアフターにしちゃ遅すぎる。
まさか。
あのバカ、また変なのに捕まって今度こそヤられてんじゃねえだろな。
自力で逃げれねえだろな、バカだから。
携帯に電話したら。
おかけになった電話はお客様の都合により…。
止まってやがる。
なにしてんだ。
ひょっとして。ユウん家か?
ユウのヤツ、バカの事気に入ってるからな。
上手い事言って連れ込みやがったか。
ムカつく。
俺に黙って勝手な事すんな。
「もおー、なんすか。龍二さん」
ユウん家行ったら。
上半身裸でハラかくな。
「いいとこだったのにい。邪魔しないで下さいよ」
女物の靴。
「ユウ!てめえ、石倉になにしてんだっ」
「は?莉緒ちゃん!?なに言ってんすか、違いますよっ!」
顔出したのは全然知らねえ女。
ちょっと安心して。
「莉緒ちゃん、帰って来てないんすか?」
「うん…悪い。お前んとこかと思った」
「どうしたんすかね、連絡は?」
「無い。携帯切れてっし」
やっぱ変なのに捕まったか!?
どこでなにしてんだ。あのバカ。
「とりあえず帰るわ」
「うーん。心配すね。でも龍二さん、俺んとこ来る前に電話くれえしてよ」
それはそうだな。
そんなん忘れてた。
「そんな慌てるくれえなら普段から大事にしてやりゃいいのに」
「別に…そんな関係じゃねえし」
「はいはい。わかりましたよ。んじゃ俺続きするんで、なんかあったら電話!して下さい」
ユウん家から帰って。
少し寝ようとした。
携帯切れてても公衆電話とか。
誰かに借りるとか出来んだろうに。
バカだから思い付かねえのか?
結局眠れずに。
俺が家出る時間なっても。
バカは帰って。
来なかった。
「龍二さあん、莉緒ちゃん帰って来たんすかあ?」
同伴で店入って。
顔合わせたユウが真っ先に聞く。
「いんや。俺が家出るまで帰って来てねえ」
「どうしたんすかねえ?心配だなあ」
一体、どこでどうしてんだか。
あのバカ。
でもまあ、荷物は置いたままだし。
なんも持たずに。
俺に黙って出てくなんて。そんな事ねえだろうし。
どっか友達んとこでも行ってんのかも知んねえし。
まさかと思うが。
変なヤツに捕まって外に出れねえとか。
んな事ねえだろうな。
「どうかしたの、龍二?」
「うん?なんでもないよ」
客の前でもつい考えてしまった。
ダメだ。
バカのせいで仕事集中出来ねえ。
くそ。
「龍二さん、もし今日も帰って来なかったら明日莉緒ちゃんの店行ってみましょうよ。俺付き合いますから」
ユウもマジに心配してる。
とりあえず明日はなるべく指名入れねえ様にしとこう。
仕事終わって。
家帰ったら。いつもの様に薄暗い部屋。
ソファーには。
畳んだクマの布団。
「…なにしてんだよ、バカ」
俺に黙って出てったのか?
俺が好きだって。泣いたくせに。
違うか。
あれは夢だったか。
なんにしても。俺に黙って勝手な事してんじゃねえよ。
俺にいらねえ心配とかさせんじゃねえよ。
俺に面倒ばっか。
かけんじゃねえよ。
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